佐祐理「祐ちゃんが生意気なんで一度いじめてあげようと思ったからですっ!」
佐祐理「………というのは冗談ですよ」
香里 「………あの一瞬本気にしたんですけど」
名雪 「やっぱ祐一が失礼なことしてるんじゃ………」まぁ、いじめというか意地悪というか、祐一を困らせる手段としては、結構有効だろう。
名雪も「あんなに困った顔の祐一初めて見たよ」と言っていることだし。
SAYURIN☆LESSON(第3話)Script by shion SAKATSUKI気を取り直して佐祐理は場を仕切りなおした。もっとも、実際に『気を取り直さなければならなかった』のは佐祐理ではなく他の二人であろうが。
佐祐理「えっと、どうして佐祐理が祐ちゃんのママになろうと思ったか………ですよね?」名雪 「えっと………それでいいと思います」
名雪もまだ動揺しているようだ。
香里 (あの名雪をここまで動揺させるとは………やるわね、倉田先輩)
と………自分の動揺を棚に上げるかのように香里。
まぁ、実際名雪を動揺させるものといえば、香里は「秋子さんの謎のジャム」くらいしか知らないのだから当然といえば、当然だろう。佐祐理「少し、昔の話に遡っちゃっていいですか?」
一方。
無事に(違う意味での)修羅場を脱した祐一は、なぜか裏庭で舞と一緒にいた。とはいえ、別に剣の特訓をしている訳ではない。舞 「祐一。佐祐理は?」
祐一 「名雪たちと一緒にいる」
舞 「名雪?」
祐一 「ああ、舞も一度見たことあるだろ? 俺のクラスメイトだ」
舞 「………はちみつくまさん」
祐一 「………」
ちょっと呆れた顔をしたのを察したのか舞は少し顔を赤らめた。
舞 「前に………祐一がそう言えって言ったから」
照れるというか、恥ずかしがっている舞を見ていると何故か温かい気持ちになる。そのことは祐一だけでなく、それを見ている誰もが感じることだろう。祐一 「ところで………さ」
祐一は偶然舞に出会った訳ではない。
わざわざ3年の教室まで行って舞を呼び出したのだ。
勿論話題は決まっている。佐祐理さんのことだ。舞なら分かるかもしれない。
祐一は本題に入ることにした。祐一 「なぁ、どうして佐祐理さんは突然あんなこと言い出したんだ?」
舞 「私にもわからない」
………希望は一瞬でくずれさった。
しばらくの沈黙。
祐一はただただ苦悩するしかなかった。舞 「ただ、佐祐理も祐一のことが嫌いじゃないから」
突然舞はそんなことを言い出した。祐一 「………いや、それは嬉しいといえば嬉しいけど」
舞 「………祐一は佐祐理のことが嫌いなの?」
祐一 「そんなことないよ、それだけは決してない」
舞 「なら、見つけて欲しい………佐祐理が何を求めているのか………」
佐祐理「佐祐理が祐ちゃんのことが大好きだから………ではいけませんか」
香里 「………いや、基本的にはいいと思うんですが………」
佐祐理「佐祐理はまだ頑張っている途中なんです」
いきなりそう言うと佐祐理は制服の袖を少しまくってみせた。
そこには、もうほとんどなくなりかけていたが、うっすらと線のようなものが残っている。香里 「倉田先輩………それは」
佐祐理「ええ、一度、手首を切った事があるんです」
その瞬間、ちょっと空気が重くなった。
佐祐理「何もかもが………空虚に思えたんです………」
香里も名雪も「空虚って………何が?」とは言わなかった。
もとより、佐祐理が何の話をしているのか理解できなかったという方が正しいだろう。実際には、佐祐理は"弟の一弥のこと"を語っているわけだが、今の2人にはそのような事情は分からない。分かるとしたら、この場にはいない祐一と舞くらいのものだろう。 それを察したのか、佐祐理は顔をほころばせた。
佐祐理「大丈夫ですよ。今の佐祐理は空虚なんかじゃありませんから」
その微笑みは、見ていて誰もが心を和ませるに足るものだった。
佐祐理「誰かを幸せにしてみたいと思えるようになったんです」
香里「それが………川澄さんですか?」
佐祐理「あははーっ、よく分かりましたねーっ」
佐祐理が舞を庇いつづける3年を送ってきたことは校内中でも有名である。
佐祐理「そうです。佐祐理は舞に出会いました。舞を幸せにすることで………」
と、佐祐理がここで言葉を切る。
佐祐理「佐祐理も幸せになれると信じたんです」
ちなみに、もう佐祐理は独白モードだった。
2人とも「えっと、何の話なんでしょうか」という言葉を飲み込んでいた。佐祐理「でも、駄目でした。最後の最後で、佐祐理も祐一さんに頼ってしまいました」
一旦佐祐理はここで言葉を切った。
佐祐理「あまりにも、祐一さんが優しかったから、佐祐理は最後の最後で祐一さんに甘えてしまいました」
佐祐理「だからこれは仕返しです。」
佐祐理「祐一さん………いえ祐ちゃんが完全に佐祐理を頼って………佐祐理に甘えてくれるようになって欲しいんです。佐祐理がいないと何もできなくなっちゃうくらいになって欲しいんです。
それじゃ………いけませんか?………理由になりませんか?」名雪「佐祐理さんに甘えている祐一………」
名雪はその言葉を聞いた瞬間意識が妄想のかなたに飛んだ。
30秒ほど経って名雪がゆっくり口を開いた。
名雪「それ、私も見てみたい」
一応………続きます………たぶん
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