2003.01.31 update
 FanFiction Novel 「恋」: FINAL FANTASY XI


「ボギーやグールに襲われても面倒だ。今日はここで休んでいこう」
鮮やかな花が乾いた砂に咲き、透明なザフムルグ海の波が打ち寄せる隠された海岸で、彼は言った。
「わかったわ」
あたしは海岸を隔てる岩場に寄り添い、羽織っていたケープを砂に広げた。ぺたんとその上に座れば、すぐ隣に彼が大きな身体で座り込む。
気候の温暖なバルクルム砂丘の事と、油断したのが過ちだった。

「寒い……」
日が暮れた砂丘は急激に温度を下げていった。呟く間もカチカチと歯の根が合わない程に震えが止まらない。
「しくじったな。セルビナ近くの湾じゃ、これほど気温が下がる事はなかったんだが」
野営を諦めて街を目指そうにも、この閉ざされた海岸を抜ける唯一の洞窟の入口に、ボギーがゆらりと、その黒く無気味な姿を揺らめかせているのだ。とても近づけたものではなかった。
膝をかかえて震えるあたしに、彼は手を伸ばす。
「おいで、パーシヴァル。くっついてる方がすこしは暖かいだろう」
「うん」
あたしは素直に頷いてその膝に座った。あたしの胴ほどのボリュームのある大きな手が、肩をそっと抱き寄せてくれる。ローブの布地を通して手のひらの暖かさがじんわりと伝わって来る。あたしはその広すぎる胸に手をまわしてぴったりと身体を押し付けた。
ガウェンは優しい。敵に対しては実に容赦なくその拳を振るうが、相棒であるあたしには限りなく優しい。あたしの回復魔法に、感謝の意を常に示し、少しでも敵の狙いがあたしに向こうものならば、全力をもって守ってくれる。まるであたしが女神様かお姫様であるみたいに。
パルブロ鉱山で道に迷ってた時に出逢って以来、ずっと一緒に戦ったり、ミッションやクエストをこなしたりしてるうちに、あたしは彼のことが好きになっていた。
最初に信頼があって、そしてそれが愛情に変わっても、全然不思議じゃないと思う。ただちょっとだけ不幸だったのは、あたしがヒュームで彼がガルカだったってことだ。

「大好きよ、ガウェン」
目を閉じて、じっと抱きしめていると、彼の鼓動が聞こえる。
「俺もだ、パーシヴァル。お前をとても大切に思っている」
額に、微かに湿った柔らかい感触が一瞬だけ触れた。
(え? 今のって……キス?)
驚いて顔をあげた。優しい目が、あたしを見ていた。
「すまん、嫌だったか? ヒュームの男はこんな風に愛情を表現していたと思ったんだが」
ヘタするとあたしの手首くらいありそうな指が、髪を頬を撫でる。
「すごく、嬉しい……」
嬉しくて、そしてせつなかった。あたしの中の女の部分が、うずうずとそれを求めるからだ。でも彼はガルカで、ガルカには性がない。彼にはこの欲望は理解できないに違いない。
「ガウェン……キスして……」
目を閉じたあたしの額に、再び唇が触れた。ちゅ、と小さく音をたててすぐに離れる。
「ちがうの。もっと……ちゃんとキスして欲しいの」
ああ、あたしは何を言ってるんだろう。彼はきっと困惑してる。
あたしは立ち上がった。地面に尻をついて座っていてもなお、ガウェンの頭は見上げる位置にある。あたしは背伸びをして彼の唇に自分のそれを重ねた。
反応のない唇を、ついばむように。ちゅ、ちゅ、と音を立てて吸い、舌を伸ばしてそっと舐める。舌で唇を割ると抵抗なく開かれる口にあたしは深く舌を差し入れた。
性的な興奮のないディープキスなんて気持ち悪いだけに違いない。抵抗しないでいてくれるのはあたしを傷つけまいとしているのだろう。そんな彼の優しさが心に痛い。
彼の舌に舌を絡める。口腔内をさぐって舐めまわし、強く吸う。溢れた唾液が顎を伝って落ちた。
「んっ……ふぅン……」
彼の唇を貪りながら漏らした声は、自分でも驚く程に、淫らだった。

子供みたいに泣きじゃくるあたしを、彼の胸元にしがみついたあたしの身体を、大きな両手が抱きしめてくれた。
涙が、止まらない。
こんな事しても彼を困らせるだけなのに。まるで欲しいものの前で駄々をこねる子供だ。自己嫌悪で胸が悪くなる。なのに彼は優しくて。
「すまん、パーシヴァル。辛いのだな……。どうすればいい?」
言葉の意味が解らず、あたしは彼の顔を見上げた。
「俺はヒュームの男のようにお前を愛する術を知らん。ただ……お前が時折自らを慰めているのが、痛々しくてな」
「!」
その言葉に、あたしは声を失った。知られていた……?! あまりの羞恥に顔が青ざめる。
「教えてくれないか?」
うつむくあたしの顎を捕らえ、ガウェンが唇を重ねて来た。舌を入れ、柔らかく吸ってくるそのキスはとてもぎこちなくて。
「無理か? やはりガルカではお前を慰めてやることもできんか?」
「ガウェン……」
彼は穏やかに頷いた。

あたしはローブのボタンを外す。ただでさえ寒いのに冷たい外気が素肌を刺し、先端が痛い程に勃っているのが解る。
「触って……」
あたしを膝に抱いて、彼はゆっくりとあたしの胸に指を這わせた。戦いに荒れた掌が先端を擦る度にぴくんと反応してしまう。
「柔らかいな。迂闊に触ると壊れてしまいそうだ」
顔をかがめて、ガウェンが胸元に顔をよせた。抵抗する間もなく、尖った先端を口に含む。
「あっ……」
温度差で熱く感じる彼の舌が、ころころと先端を口の中で転がす。軽く噛み、吸う。
「はあん……あっ、あっ」
快感に素直に従えば、自然と声が漏れる。
「口でするのがいいようだ」
「うん、すごく、気持ちイイの……」
「しかし、胸だけではないのだろう?」
ガウェンが手を太腿に伸ばす。思わずまじまじとその顔をみたあたしに、ガウェンは軽く苦笑する。
「俺とてまったく何も知らん訳でもないぞ」
蹴飛ばすようにヒュムパンツと下着までもを脱ぎ捨てた。最初から、そこはぐっしょりと溢れている。
ゆるく開いた脚の間に、太い指が差し込まれる。

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