「ただいま、新一。」 眠っているその人の耳に口を寄せてそっとささやいた。 かすかに長い睫毛がふるえると閉じていた花びら色の唇が少し緩んで甘い吐息を漏らす。 やがて、ゆっくりと瞼の下から夏の海を結晶化したような二つの宝石が快斗の優しいまなざしに触れた。 まだ、覚めきらぬ瞳は潤んでいつにない艶を含んで快斗を誘う。 「・・・快斗・・・おかえり・・・。」 新一の白い腕がふわりと快斗の首に回されるとと、極上の笑顔が惜しみなく輝いた。 普段は滅多に見せない表情に驚いて、どうしていいか迷っているうち、温かい腕にたぐり寄せられてしまっていた。 快斗の頬が新一の頬の温かさを感じた。 新一の長い指が快斗の髪を優しく弄ぐり、腕がさらに巻き付いてくる。 新一の腕は快斗の存在をじっくり確認するようにぎゅっと抱きしめた。 「・・・新一?」 されるがままに彼の美しい人の腕の感触を楽しんでいたが、ふと自分に巻き付いた腕の動きが止まっていることに気が付いた。 快斗の耳を規則正しい寝息がくすぐっている。 「・・・ちょっと心残りだけど・・・。」 苦笑いを浮かべて身を起こしかけた時、ほどけかけた腕が快斗を抱き寄せた。 「・・・え?」 身じろいだだけでもその腕は、優しく束縛を強め快斗を離そうとしない。 「・・・たまにはこういうのも悪くはないけどね。」 この甘美な束縛から逃れるのをあきらめて(しかも至極あっさりと)無邪気で無防備な寝顔にキスを贈ると、目を瞑った。 朝、君が目を覚ました時どんな顔をするだろう・・・と想像しながら。 FIN |
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うふふふふ〜〜vvvイラストと文と両方いただいてしまいました。 一つ前の新一(+快斗)の続き、だそうです。 文もそのまま載せさせていただいております. なんて幸せな二人vv 新一の極上笑顔がたまりません〜〜vv これで襲わないなんて、快斗ってば紳士・・・。 あ、翌朝に持ち越すのかな〜〜? 夢魔々さま、妄想まで入ってしまう、素晴らしいイラストと小説をありがとうございました! |