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論文は、むやみやたらと文章を書いてもまともな答案にはなりえません。
書き方と、問題の背景知識を頭に入れておき、すぐに活用できるようにし、
短時間で答案を書き上げられるようにする必要があります。
また下書きしてはいけません。簡単な構成のアウトラインをメモするのはいいのですが、
入試本番中に丁寧に下書きするほどの時間はありません。
答案を一気に完成させることができるように、時間をかけて対策に取り組みましょう。
まず、論文の書き方を『田村のやさしく語る小論文』(代々木ライブラリー)
『小論文教室』(Z会)『田村の小論文講義1〜2』(代々木ライブラリー)
『樋口裕一の小論文トレーニング』(ブックマン社)
『小論文に強くなる』(岩波ジュニア新書)などでしっかり覚えましょう。
あとで実際に答案が書ける段階になっても、これらを復習し、
自分にとって必要と判断する技術は徹底して身につけましょう。
次に、模範解答の例を読み込みます。こうして覚えた解答例をベースに、
実際に問題の要求を満たす自分の答案を組み立てられるようにして下さい。
『小論文ワークショップ1〜4』(教学社)『これからでる小論文』(代々木ライブラリー)
『小論文を学ぶ』(山川出版社)『法・経済学部の小論文』『文系小論文2』
『理系小論文』(以上Z会)『読むだけ小論文[1. 入門編][2. 応用編]』(学研)
などで解答例を読み込みましょう。過去問の問題内容・解説・解答例も覚えましょう。
よく論文対策と称して新書などを読み漁るように言う人がいます。
趣味・教養としてならおすすめしますが、受験のための読書は効率が悪過ぎます。
現代文と同様、論文に必要な知識は入試問題を通じて入手すべきです。
『出口小論文講義の実況中継[2. 知識情報編]』(語学春秋社)
『小論文テーマ別課題文集21世紀を生きる』(駿台文庫)
『年度版小論文問題集』(河合出版)を読み込みましょう。
慶応文系、およびSFC(総合政策・環境情報)の論文については、
できれば予備校の慶大対策講座の講習を受けておくといいでしょう。
などです。
入試小論文の第一人者である樋口裕一氏ですが、彼の方法論には賛否両論があります。
個人的な見解としては、いろいろな参考書で書き方を模索したとしてもどうしてもうまくいかない人が
最後に手をつけるべきやり方が樋口式の構成法でしょう。「イエス・ノー」で書くというのは、
問題に対して最も消極的なアプローチといえます。問題で何を訊かれているかは重要です。
「問題点を指摘して、別の例を提示してさらにわかりやすく説明する」だけで済むもの
(「論じなさい」タイプ)もありますし、「問題点を解決するために積極的に意見や策を求める」
(「意見を述べなさい」「提案しなさい」タイプ)ものもありますので、
その辺も過去問を見て、どこまで突っ込んで書いていいのかを見極めておきましょう。
駿台文庫からは『論文教室生中継法学系』という良書がかつて出ていましたが、
著者の神津陽氏が駿台を去られてしまい、既に入手不可となっています。
ひとまず、8月いっぱいまでは書き方と模範解答、背景知識の仕入れに徹することです。
実際に書く練習をするのは9月以降にしましょう。書く練習をする素材は、まず何より過去問です。
添削してもらえる人がいるといいのですが、いなければ数日間間を置いて自分で答案を読み返し、
論理的に検討してみましょう。これだけでも違うはずです。
それから、この時期以降であれば論文模試を受けるのもいいでしょう。
これだけでは「練習回数が少なくて心配」という人がいるかもしれませんが、この程度で十分です。
書き方と書く内容について頭に入っていれば、あとは実際に勘をつかむ感じで練習するという感じになるので、
アウトプットの回数はそれほどは必要ありません。
あと、論文で受験する人も『センター試験丸秘裏ワザ大全国語I・II/I』(洋泉社)
の第2章はよく読んで下さい。ここで指摘されている
「本文を読まずに設問を読んだだけで×とわかる選択肢」の内容というのは、
大学入試においてそれを答えとして「主張」としてしまうと、
大学の品位が疑われるようなことといえるわけです。
もちろん、そういう内容の「主張」を受験生が行ってもいけないわけです。
論文を書く際の「べからず集」として活用しましょう。