(4主×)ミレイ自慰「ターニャの秘密図」書 著者:5_882様

「どうかなさいました? 珍しいですわね」
 反クールーク軍旗艦内。風呂やら福引き所やら珍しい施設の多いこの船の中には、図書室まで設置されている。その部屋に、珍しい人間がやってきた。涼やかな声・初々しさと奥ゆかしさが同居している美貌・女性としても、剣士としても均整の取れた体型。普段はフォーの船内警護を買って出ているミレイだ。フォーの自室前からあまり動かない彼女が来たので、図書室管理人のターニャは思わず声をかけた。
「…ええ、気分転換しようかな、と思って」
 答えた顔と声に、隠しようのない翳りを感じる。普段の彼女らしくない様子に、ターニャは原因を類推してみる。
(今ミレイさんがここにいるって事は…フォー様は船外よね。そうだ、確かルネちゃんと一緒に宝捜しに行ったんだっけ。)
 フォーには何人もの仲間がいる。さすがに全員と常に一緒にいるわけには行かないので、船外に出るときは4〜5人で出て行く。その4〜5人の中に、ミレイがいることは珍しくなかった。むしろ、一緒でない今の状況のほうが珍しい。
(…何があったか知らないけど、そっとしとこう)
 ごゆっくり、と声をかけて、預かりものの「古い本」の解読に取り掛かる。人生で3番目くらいに幸せな時間。2番目はあの一番弟子気取りの少女に一泡吹かせたとき。1番は…もうすぐやってくるに違いない。憧れの軍師の顔を思い浮かべ、ターニャはこっそりほくそえんだ。

 訪問者のミレイは、来てはみたものの戸惑っていた。読み書きはできるから本を読むのに支障はない。だが、どの本が自分に合っているのかが分からない。部屋の主に聞いてみようかとも思ったが、彼女は自分の世界に入ってしまっている。仕方なく、近くの棚からあれこれ本を抜き出してみる。

『赤月帝国・軍師の系譜』『ハートをゲット! おまじない大百科』『紋章砲大全』『マッチ売りの少女』『男の料理100選〜群島諸国を喰らう〜』…きちんと整理はされているものの、蔵書のジャンルは多種多様。どんな本があるのか見ているだけで十分時間がつぶれる。
(ま、ちょうどいいけれど…)
 浮かない顔のまま、本を抜き出しては戻す。
 ターニャも気づいたように、今回の外出に彼女は同行していない。出会ってからしばらくの間、ずっとフォーと行動を共にしていた。一緒に船内警護をしているヘルガ・グレッチェンからうらやましがられるくらい、いつでも一緒だった。
 ミレイのほうでも、恩人である彼といっしょに行動できるのは嬉しかった。魔物やら敵兵やらに襲われるのは少々うっとうしかったが、その結果強くなれるのだから問題ない。それに、感情の最も奥の部分に、一つの思いが芽生えていたのも要因だった。最初は助けてくれた事への感謝の念、だと思っていた。でも、行動を共にするうちに、そうではないことに気づいた。――いや、気づいてしまった。
(フォー様…)
少女らしいため息が一つ、ひっそりと本の背をかすめる。
 彼と話すと心が弾む。姿を見かけると目が離せない。一緒にいられるのがとても嬉しい。他人に呆れられる程、話題が彼のことばかりになってしまう。
――人、それを「恋情」と呼ぶ。
 それに気づいてしまってからは、なんだか一緒にいてもぎこちない態度しか取れなくなってしまった。この思いに気づいて欲しいような、欲しくないような微妙な気持ち。軍の一員としての使命感と、少女らしい独占欲のジレンマ。複雑な心境が彼女の言動を混乱させる。
 そんな彼女の変化に、フォーも戸惑っているようだった。疲れているのだろう、と思われたらしく、今日の外出メンバーからは外された。
「ちょっと頼りにしすぎたみたいだね。…気づけなくってごめん。ゆっくり休んで、英気を養うように。…船長命令だからね?」
 すまなそうに、でも使命感の人一倍強い彼女が、『外される』ことを不名誉に感じないように。フォーには珍しくおちゃらけた口調で『船長命令』が下された。心遣いはありがたく、しかし気を使わせてしまった事に情けなさを感じつつ。『船長命令』に従って彼女は船内を彷徨っていた。
 本の表紙を見ては戻す。そんなことを繰り返した後、とある本が目に入った。

『青き海の恋歌』
 「恋」と言う文字に惹かれ、そっとページをめくる。どうやら恋愛小説らしい。文章も平易で、それほど長くもなさそうだ。
(ちょうどいいかも…)
 ここで読んでいこうかと思ったが、じっくり落ち着いて読めそうな場所はない。
「ターニャさん、この本お借りしてもいいかしら?」
「…え? ああ、その本でしたらどうぞ」
 ちらりとこちらを見て、また手元の本に目を落とす。
「それじゃ」
 赤い表紙の本を胸に抱え、ミレイは図書室を後にした。

「……ターニャさんて、本当に色々な本をお持ちなのね……」
 一気に読み終えてから、真っ赤な顔で本を閉じた。まだ胸の鼓動は収まらない。
 筋は良くあるものだった。旅の戦士に危ないところを救われ、共に旅することになった少女剣士が主人公だ。出会い・すれ違い・別離・再開を繰り返し、実はとある王国の王子だった戦士と幸せな結婚をする…。あらすじだけ書けば、どこにでもある恋愛小説そのものだった。が、普通でない部分が多数あった。それは…
「……どうして、こんなに、エッチなシーンがたくさんあるのかしら……」
 主人公と恋人の出会いの場面からして、暴漢に裸にされて、辱めを受けそうになったところを助けられている。その後も、急速に恋に落ちた二人(時には他人)の、あらゆる状況・心境での性的描写が満載だった。
 それでも途中で放り出さなかったのは、普通に面白い小説だったからである。読むものを引き込んで離さない文章、じっくりと練られた展開。気が付くと、休憩もせずに一気に読んでしまっていた。本を机上に置き、ほんのりと火照った体をベッドの上でゆっくり伸ばす。
「ふう…こんな本をあっさり貸してくださるなんて…ターニャさんて結構すごいのね…」
 なんだか見当違いな関心をしつつ、彼女の思考は刺激的な文章の余波で少々乱れていた。
 一番印象に残っているのは、主人公の少女と恋人の、旅先での夜。どういう手違いか、二人用のベッドしかない宿に止まる羽目になるふたり。妙に盛り上がってしまった彼が、一つ床の中主人公についつい手を出してしまう…というシーン。
 すでに心は通じ合っていたものの、なかなか一夜を共に過ごすことのできなかった二人。待ちに待ったチャンスなのだから、テンションが高くなるのは必然。それはそれは刺激的で濃厚な描写が満載だった。

「恋人同士になったら、あんなことまでするようになるのね…随分楽しそうだったけど…」
(本当に、気持ちいいのかしら? 触ったり…その、触られたりするのって…。)
 試しに、本にあったとおりに胸に触れてみた。本にあった一説を思い出しながら、自分で自分に触れてみる。
『一つ床の中、背後から彼の手は忍び寄ってきた。短く熱烈な抱擁をされた後、服の上から乳房の柔らかさを確かめるようにゆっくり手が動きだす。僅かな迷いの後、胸の頂点の辺りが指でいじられる』
「こ、こうかしら……………ううん……………」
 …特別な感覚はやってこない。触り方が悪いのかと、手のひらで包みこむように揉んでみたり、頂点を指で擦ってみたりしたが、主人公の少女のように『甘い声』とやらは出ない。普段、お風呂のときに体の柔らかい部分をつまんでみるのとあまり変わらない。ほんのかすかに、くすぐったいような感覚があるけれど、本に描写してあるような『快感』とは違う気がする。
(…もうちょっと、大きくならないかな…)
 しっかりと揉みながら、思わず冷静に考えてしまう。気に病むほど小さくはない(と思う)が、もうちょっと大きくなって欲しい。多分、そのほうが触り心地もいいのだろうし…
(…って、誰の?)
 そう自問した瞬間、彼女の脳裏に回答が例示された。
 赤いバンダナに黒い衣装。腰の双剣は闇を裂き、忌まわしき紋章と共に光を目指す者。その海色の瞳がこちらを向いた瞬間、ミレイは慌てて身を起こした。
(な、何考えてるの私…!)
 興奮ではなく、羞恥で顔が赤らむ。脳裏に浮かんだ彼の眼差しは咎めるような物ではなかった。けれど、それゆえにミレイは強く自己嫌悪を覚えた。
「馬鹿みたい…勝手に好きになって、勝手にいやらしいことまで考えて…恥ずかしい…」
 もう一度横になって、傷ついた子猫のように丸くなる。フォーにとって、彼女は大勢いる仲間の一人だ。それ以上でもそれ以下でもない…と思う。よほどのことがない限り、ミレイの望むような未来はやってこないだろう。そこまで考えると、なんだか泣きそうな気分になった。
(…でも、フォー様なら)
 ミレイはそっと眼を閉じた。
(いいえ、フォーさま以外の方は…嫌)
そして、もう一度愛しい彼の姿を思い浮かべる。

 以前、一度だけ握った彼の手。暴漢に襲われた自分を助け起こしてくれた彼の手。一見華奢そうに見えたが、幾度もの戦いを経たその手は力強く、また同時に優しかった。
 彼の手は、今は平和を求める人々全てのための手だ。共に戦う、仲間達を支える手だ。そう、今の彼の手は、彼だけのものではない。…でも、その手で自分を愛しんでくれたなら。自分だけを愛してくれたなら。彼は一体、どのように自分を愛してくれるのだろう。
 いまだ完全なる乙女のミレイに、肉体的な意味での愛された経験はない。もしかしたら今後もずっと、経験しないかもしれない。だからミレイは、主人公の少女の経験を借りることにした。ほんの一時、自分の心を慰めるために。空想の中でだけ、ミレイは少女に、フォーはその恋人になった。本の中の恋人達の記録が、フォーとミレイの経験したことになってゆく。
(今だけは…お許しください、フォー様…)
 一言詫びてから、ミレイの手は、恋人達の記録をなぞるように動き始めた。

『一つ床の中、背後から彼の手は忍び寄ってきた。短く熱烈な抱擁をされた後、服の上から乳房の柔らかさを確かめるようにゆっくり手が動きだす。僅かな迷いの後、胸の頂点の辺りも指でいじられる』
「……あ……!」
 ――ぞくり。
 さっきとは明らかに違う感覚が背筋を走る。フォーに触られている、そんな風に夢想するだけで全く違う。
(こんなに、気持ちいいんだ…直に触られたら、どうなっちゃうんだろう…)
 一度芽生えた好奇心は、満たされるまで止まらない。行き着く未知のものであればなお。
『短い上着は、下着と共にずりあげられてしまった。手のひらが直に乳房に触れる。時には痛くなる寸前まで強く揉まれ、次の瞬間には触れるか触れないかぎりぎりのところを手のひらが滑ってゆく。同時に乳首にも念入りな刺激が加えられてゆく。指先で転がすように責められ、いやおうなしに存在を主張させられる』
「ふぁ、あ、んん…くすぐったい…」
 形の良い胸が、記録の通りに変貌を遂げてゆく。布がほんの3、4枚とはいえ、手による刺激が阻害されていたのは事実だ。障害物がなくなった分、体に走る刺激は容赦なく増す。

(や、やだ、はしたない)
 自分ひとりのはずなのに、思わずそんな考えが頭をよぎる。だが、
(でも、気持ち、いい…)
 よぎっただけで、自分の胸をやわやわと揉む手は止まらない。
 最初に感じたくすぐったさが、幾重にも高められたような感覚。手が動くたびにぞくぞくするような快感が背筋を走る。
 不思議なことに、胸をじっくり攻められているはずなのに、別の部分が疼き始めた。痺れるように熱くなるそこを隠すかのように、両腿をすり合わせてもじもじとしてしまう。
『彼女の変化を、彼は見逃さなかった。胸を攻めていた手のひらが片方、背中に刺激を与えながら下方を目指して滑り落ちてゆく。柔らかな臀部の感触を軽く楽しみ、下着の上から秘所に触れた』
「んっ、くすぐった…きゃっ!」
『既に下着はじっとりと湿っていた。濃厚な香りを発しているそこを、焦らすように指でくすぐる。くちゅり、と音がしそうなねっとりとした感触。』
(え…なんで、こんなふうに、なるの…?)
 その問いに答えるものはいない。たった一人のこの部屋には。下着越しに伝わる湿った感触。汚れるのもかまわず、強弱をつけて下着を擦り付ける。胸の時とは違う、全身がとろとろに蕩けるような快感。
「ふぁ…き、気持ちいい…。」
 瞳も声も蕩け始めた。誰に教えられたわけでもなく、喉から嬌声が次々と発せられる。
「ん…ふうん…は、はあん…あ、あ、フォー、様…」
 愛しい「恋人」の名を呼んでみる。ぞわぞわと背徳的な感情に襲われるが、今の蕩けた思考の中では興奮剤にしかならない。
『体中が快楽に染まっていた。じっとりと湿った下着の中へ、素早く手を入れた。そして最後の砦へと手を伸ばす』
「だめ…、だめ、です、フォー様…。」
 かすかに残る理性が、幻のフォーに抵抗する。誰が見ても、更なる快楽をねだっているようにしか見えない、乱れた姿態で。しかし「フォー」は、攻撃の手を緩めなかった。言葉とは裏腹の、浅ましく淫らな願いを叶えるために。ミレイを完全に、快楽に溺れさせるために。
『最後の理性らしきものは、秘所に潜り込んだ指先が弾き飛ばした。薄い茂みと、麗しき花弁をかき分け、指が激しく躍る。彼女の声も一緒に踊りだした』
「……! んあぁ、はああっ……!」

 体中に激しい快感が駆け巡った。恥ずかしいくらいぬるぬるとぬめる秘所を、指は動いた。喘ぐ声と水音の二重奏が部屋に響き渡る。
「はふ、は、は…うぅん、んん、や、ぁあ、あ…!!! んあっ!!!」
 指が滑って、偶然小さな突起に指が当たったときは腰が抜けるかと思った。痛さにも似た激しい快感の波が静まってから、こんどはそっと触れてみる。
「んんんっ、くうんっ、はあ、ああっ、…フォー様…」
 気持ち良さが止まらない。妄想の中のフォーの指は、敏感な突起を執拗に指で攻め立てていた。人差し指と中指で挟んで擦り、目覚めたての快感をしっかりと覚醒させる。すぐ下の泉からは、とめどなく快感の証しが流れている。その液体を指ですくい、風変わりな形の真珠にたっぷりすり込む。真珠は赤みを増し、また泉が湧き出す。胸の頂点にしていたように、指先でぎゅっとつまむ。あまりの気持ち良さに、ミレイの瞳からは大粒の涙がこぼれていた。
「くは、ふ、うんん、そんなに、いじ、られ、たら、……いやぁあ……」
『――赤い真珠への刺激が激しすぎたのか、彼女は泣きだした。その涙に口付けて、彼は目標を変更した。歓喜の涙を流し続ける場所に。』
 少しの逡巡の後、指をこわごわ中へ導く。そっと入り口の辺りを触ろうとしたが、そのまま指は奥深くまで入り込む。
『つぷり、というほんの少しの抵抗感があっただけで、難なく中指が快楽の泉へ収まった。そのままゆっくりと抜き差しする。空いている親指で、ぴんと尖った突起もついでに触ってみる』
「!!! あんっ!!」
 同時に2箇所――胸も入れれば3個所――に攻撃が加わる。ミレイの脳裏は白く染まり、「何か」がくる予感に体が大きく震える。
「これ、なに、どうして、止まらない…っ! いや、いや、いやあっ!!」
『彼女の全身は歓びに震えていた。よがり狂う声は甘さと淫らさの極致に達し、いやらしい水音は止まることがない。両方が、彼女を極みへと押し上げる手助けになった』

「だめ、です、わたし…おか、しく、なりそう、なの…! お願いです、フォー様、もう、やめて…!」
 唇から紡がれる言葉とは裏腹に、指の動きは複雑に、かつ素早いものへと変化してゆく。気が付けば、膣内を蠢く指は二本になっていた。きつい体内を激しく前後する二本の指先。膣内の感覚が急速に覚醒してゆく。指先は湧き出続ける蜜にまみれ、妖しい輝きを放つ。
『一際激しく指を出し入れし、赤い真珠を親指で押し潰すように強く捏ね回した。それがきっかけとなり、喉から一際大きな嬌声が生み出される。』
 体中を駆け巡る快感、それらが股間の指先に収束してゆく。熱に浮かされたように、愛する人の名をミレイは叫びつづける。そして――
「…さま、フォー様、フォーさま、フォーさまぁ! いやあ、いやあああああ、あああああああああああああっ!!」
 快感は収束し、ミレイの体に初めての絶頂をもたらした。
「…フォー、さま…」
『愛する男の名を呼びつつ、彼女は果てた。』

 乱れた体と心をを風呂で落ち着かせてから、再びミレイは図書室に赴いた。
「こんにちは…あれ?」
 図書室の主は、相変わらず本に目を落としていた。ものすごい集中力だ。音を立てないようにそっと近づき、肩を叩く。
「ターニャさん、ターニャさん」
「!!!…なんだ、ミレイさんでしたの。」
「あ、あの…本、返そうと思って…」
 内容を知ってしまった今では、返却するのがかなり恥ずかしかったがそうもいっていられない。
「あら、もういいんですの?内容は実践されました?」
「じ、実践ですか?!…ちょっと、今のわたしには無理です…」
「あら、そうでしたか。アメリアさんもグレッチェンさんも、実践してみたらとてもよかったと…」

「ええええええええ?! そ、そうなんですか…。」
 艶やかな女剣士と、中性的な美貌の女剣士の二人の顔が反射的に浮かぶ。前者はなんとなく分からないでもないが、後者に関してはいくらなんでも意外すぎる。
「…?そんなに驚くようなことですか?他にも、ジーンさんやカタリナさん、そうそうリタさんやノアさんも…。」
「は、はあ…。みなさん、結構進んでるんですね…。お相手は誰なのかしら…」
 その言葉に、今度はターニャが驚く。
「…相手? 何のことです?」
「だって、この本を…その、『実践』したのでしたら…」
 手元の赤い本をターニャに渡す。受け取り、背表紙をまじまじと見たターニャの顔面が蒼白に、次の瞬間火が出そうなほど真っ赤になる。
「あ、あの…わたくし、この本を、ミレイさんに…?」
「ええ、どうぞ、とおっしゃられましたから…」
 返事を待たず、ターニャは書架を確認しだした。そして、一冊の本を抜き出す。
「…よく確認しなかった、わたくしが悪かったのですわ。こちらの本かと思いまして…」
 その本は、『青き海の恋歌』と厚さも表紙の色も良く似ていた。ほんの少しだけ、ターニャの手元にある本は縦長だが。ミレイは引っ手繰るようにしてその本のタイトルを確認した。
『一人でもできるヨーガ・美容体操〜初心者向け〜』
「…………………………」
「…………………………」
「…あの、ミレイさん」
「…何でしょうか、ターニャさん…」
「是非、このことはご内密に…」
「……ええ。もちろんです…」
 ターニャの図書館には、貴重な本だけでなく、秘密もいっぱい詰まっている。

おわり

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