フリック×オデッサ 著者:腐れSS書き様

物音に気付き、俺は目を覚ました。
重たい身体を起こし、一つ溜息をつく。
カチャカチャと装具を身につける金属音が聞こえる。
音のしたほうに視線をやると、先ほどまで隣で眠って居た彼女の姿があった。

「もう…行くのか?」

赤いマントを翻し、部屋を出て行こうとする彼女に声をかけた。
「ええ、皆が待っているから。」
彼女は振り返ることなく、扉を開け歩いてゆく。

背筋を伸ばし、真っ直ぐを見つめたまま歩いてゆく彼女。
その背中には重大な責任と使命を負っている。
彼女の名前は、オデッサ・シルバーバーグ。
解放軍のリーダーだ。
だが。
彼女だって、一人の弱い女性だ。
強く装っているだけにしか、俺には見えない。

守りたい。
彼女を守ってやりたい。
傷つかないで良いように。

彼女の支えになりたい。

だが、彼女の心には死んだ恋人が残っている。
幾ら抱いても。
愛しても。
時々、俺を通して奴を見ている。

つらかった。

ガチャ。
急に、扉が開く。
其の先には、同じ解放軍のビクトールが居た。
大柄で大雑把で、あまり好かない奴だ。
まぁ、嫌いというわけでもないが。
「よぉ、色男。オデッサが呼んでるぜ?」
「ノックぐらいしろ。」
「まぁまぁ。あの嬢ちゃんもよくやるよな。終わってから直ぐ会議だとよ。」
「黙れ。」
「恋人を放ってまで会議しなきゃなんねーもんなぁ。」

ガッ。

俺の拳がベッドの横の壁を強打する。
パラパラ、と壁から粉が落ちてきた。
「…オデッサとは、恋人でも何でもない…。」

そう、彼女との関係は恋人ではない。
リーダーと、解放軍の兵士。
そして、抱くのは性欲処理のため。
…表向きは。

俺の形相を見て、ビクトールは苦笑する。
「おー、怖ェ。悪かったよ。冗談だ。」
「当たり前だ。」
「まぁ、嬢ちゃんが呼んでるってことは伝えたぜ?」
「ああ。」

ビクトールが扉の向こうに消える。
『恋人ではない』
自分で言ったその言葉が、心を締め付ける。
彼女の心の中には死んだ夫、アキレスが居る。

愛しても愛しても。
彼女の『恋人』になることは、叶わぬ願いなのだ…。
俺は痛む胸の内を隠し、青いマントを纏った。

其の晩、彼女は俺の部屋へ来た。
いつもと変わらぬ顔で。
『性欲処理』のために。

わかっていた。
彼女の心の中。
表向きは『フリックの性欲処理のため』とか言っているけれど。
抱いている間中、彼女は「好き」と繰り返す。
俺とアキレスを見つめている。

『恋人』にはなれないけれど。
好きという気持ちを、抱く事で少し癒す。
お互いに。

始まりは、いつも軽いキスから。
「フリック、くすぐったい…。」
くすくす、と笑う彼女の顔。
女の子の顔だ。
いつもの気負っているリーダーの顔では無い。
その顔を見たくて、俺は更にキスを繰り返す。
段々、深いキスになってゆく。
「…ん。」
彼女が舌を受け入れたと同時に、俺は口内を貪ってゆく。
広がる甘い味。
「オデッサ、甘い…。」
「そう…?」
唇を離すと、今度は彼女が唇を蔽ってくる。
上唇を舌でなぞり、舌を侵入させてきた。
抱きかかえていた腕を、胸に滑らせる。
服の上からでもわかるくらいに、彼女の胸のしこりは固くなっていた。
「ん…ふっ。」
甘い声が漏れる。
もっと、其の声が聞きたくて、俺は胸の膨らみを揉みしだく。
親指と人差し指でしこりを摘むと、ビクンと身体が反応していた。
「オデッサ…可愛いよ。」
塞いでいた唇を離し、舌を首へと滑らせてゆく。
甘い香りが鼻腔をついてきた。

立っているのがつらくなったのか、彼女はベッドに腰を下ろした。
「フリック、もう大きくなってるの…?」
彼女が指摘した『ソレ』は、ズボンの上からでも解るほど膨張していた。
「オデッサがあんなキスしてきたからだ。」
「私のせい?」
くす、と彼女が笑う。
「そう。責任、取れよ…?」

ぴちゅ…。
卑猥な音が耳に届く。
生暖かい彼女の口内が俺のモノを咥えこむ。
懸命にしゃぶる彼女の中で、更に膨張していくのが自分でもわかった。
「オデッサ…上手だよ。」
「んふ…っ。はむっ。」
髪を撫でられたのに機嫌を良くしたのか、また深く咥えこむ。
チロチロ、と舌先で刺激をしてくる。
「うっ…。」
「フリックの、大きい…。美味しいの。」
「美味いのか…?」
「うん…。」
息を途切れさせながらも、しゃぶり続ける彼女。
「駄目だ、オデッサ…。もう、イッちまう…。」
「いいよ、出して。飲んであげる。」
咥えこむ彼女の顔が厭らしく、俺の何かを刺激する。

ビクン!

どぷっ、と俺の中から熱い飛沫が上がる。
丁度口を離していた彼女の顔に飛び散ってしまった。
流れてくるものをぺろり、と舌で舐め取る。
「…美味しい。」
其の姿に、俺は再び欲情してしまっていた。

彼女を生まれたままの姿にして、横たわらせる。
白く、透き通った肌。
うっすらと上気して、桃色に染まる頬。
どれもが愛しく思える。

柔らかな茂みに、そっと指を這わせてみる。
「んっ。」
彼女の身体が跳ね上がった。
「どうしたの、オデッサ…。」
中心部を触らぬように、俺は外陰部をゆっくりとなぞる。
「や、やだ…。ちゃんと触って…。」
「まだ、駄目だ。」
「意地悪っ。」
涙ぐみながら、彼女が懇願する。
普段では見れない姿。
「触って欲しい?」
問い掛けると、彼女はゆっくりと頷いた。
芯に人差し指を押し付ける。
「ひあっ!!!」
此処が、彼女の一番感じる場所。
くりくり、と指でこね回しながら、唇は胸の頂点を咥える。
悲鳴に近い声が部屋に響く。
甘く、切ない。

「お、お願い…中も、中も触って…。」
「指欲しくなっちゃたの?オデッサ。」
「うん…。」

素直に頷く彼女の姿。
抱いている時だけは、彼女は素直になる。
気を張る必要の無い時間。
俺はそれを与えてやりたい。
快楽と、愛と共に。

ずぶっ。
彼女の中に指を差し込む。一本、二本…。
かき回すたびに、彼女が声を上げる。
「ほら、やらしい音するよ、オデッサ。」
「やぁんっ、やめてフリック…。」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を響かせるほど、蜜が溢れ出していた。
「こんなにして…気持ちいい?」
「いいの…。」
与えられる快楽に彼女の意識は溺れかかっていた。
ずる、と急に指を引き抜く。
「え!?」
いきなり我に戻され、驚きの声を上げる。
「駄目だよ、オデッサ。一人で気持ちよくなるのか?」
「…フリック…。」
「さ、おいで。自分で中に入れてごらん?」
俺が仰向けになり、彼女を馬乗りさせる。
おずおず、と彼女が俺のモノを握り、自分の中へと沈めていった。

じゅぷ、ぐちゅっ。
腰を打ち付けるたびに、音が聞こえる。
熱い、彼女の膣(なか)。
俺のモノに纏わり付いてくる。
「う、いい…。」
「フリック…気持ちいいよぅ…。」
「オデッサ、俺もだ。凄く気持ち良い…っ。」
腰を懸命に動かし、快楽を得ようとする彼女。
揺らぐ胸に手を伸ばし、乳首を摘んでやる。
「あうっ!!!」
ビクン、と身体が跳ね上がると同時に、中も締め付けてくる。
絞られるような感覚にイキそうになるが、俺は必死に堪えた。
「だ、だめ…イッちゃう…!!」
唇を噛み締め、耐える彼女。ふと、俺が身体をずらす。
「…え?」
彼女が一旦息をついた瞬間に、俺は身体を抱え込んだ。

ぐるっ。
身体を翻して、正常位にする。
小さく頬と唇にキスをしてから、深く突き上げる。
「ぐ…締まって気持ちいいよ…オデッサ…。」
「フリック…好き…大好きよ。」
身体を抱え込みながら、彼女が呟く。
「ああ、好きだ…愛しているよ、オデッサ。」
背中をきつく抱きしめ、一番深く挿入する。
「やぁぁん、イッちゃう…!!」
「う、イク…!!!」
一瞬、彼女の身体が大きく仰け反った。
それに圧迫され、俺は彼女の中に熱いものを解き放った。

白いシーツの波が、二人を包んでいた。
蒼い月の照らす夜。

『恋人』にはなれないけれど。
こうして、お互いを想えるのは幸せなことで。

隣に眠る彼女の髪を梳きながら、俺は窓から月を見上げた。
少しだけ、涙が零れた。

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