パイズリするカスミ第3部 外伝 著者:通りすがりのスケベさん様

コンコン。

ベッドの中で心地良い微睡みを楽しみながら、ティルは寝返りをうった。
思い瞼を無理に開けようとはせず、その気持ち良さに身体を泳がせている。
「ん〜〜……」
ごそごそと身体を捻ってみるも、せまいベッドの上では思うが侭の態勢は取れない。
この家を経つ3年前にはこのベッドも手足を広げてもまだ余るほどだったが、
今では身体を真っ直ぐ伸ばして眠るのがやっとの思いだ。
その理由は言わずもがな、1人用のベッドに2人で寝ている事が原因なのだが。
「………ふふ」
「ぅん?」

ティルは目の前で聞こえた小さな笑い声に目を開けた。
耳に届いた声はとても優しく穏やかで、
目覚ましにしてはこれ以上気持ち良く起きられるものは無いだろう。
「おはようございます、ティル様。」
朝一番に見るものが愛しい人の微笑みなら、その日一日はどれほど充実した日になるだろうか。
ティルがそうした日々を送れるように、目の前の伴侶は毎日彼に微笑みを届ける。
その微笑みは決して義務感から来るものではなく、
想い人と共に過ごせる幸せを感じると自然に浮かぶ笑みだった。
「……おはようカスミ……いつから起きてたの?」
「たった今です。今日はお寝坊してしまいました…」
カスミが照れ臭そうに顔を緩める。
その表情がやけに可愛く感じられ、ティルの鼓動が若干早くなる。
「まぁ……しょうがないよね。昨日の夜は…」

「ずいぶんとお盛んなようでしたが。」

「えっ!?」
「…ぁ!」
部屋の入り口のドアが開いている。
そこに凭れかかるように、クレオが立っていた。
彼女が視界に入ったと同時に、2人はベッドから跳び上がる。
クレオは彼らの姿を見た途端、目を大きく見開くと同時に呆れ声を発した。
「お二方……服は着て寝てください……」
そう指摘されたティルとカスミは素肌を露にして一糸纏わぬ姿を彼女に晒していた。
顔を今にも火を吹きそうなほど紅く染めてシーツで身体を隠すカスミと、
同様に頬を赤らめて、側にかけてある衣服に手を伸ばすティル。
慌てふためく2人に心底呆れた様子で、
「そろそろ起きてくれませんか?朝食が冷めてしまいますから…」
と声をかけて、クレオは部屋を出ていった。

ティルがカスミを受け入れてから1年が過ぎた。
長かったハイランド軍と同盟軍の戦争は終わりを告げ、
それぞれの軍に所属していた者は新たな道を歩み始めた。
2人はトラン共和国へ戻り、グレッグミンスターの生まれ育った家でしばし生活する事にした。
自由を求めて勝手に抜け出した身柄、再び生家に戻るのは抵抗があったものの、
ずっと留守を預かってくれていたなじみの顔が家の中から出てきた時には
ティルにもやはりこみ上げてくる感情があった。
幼い頃からティルの世話をしていた姉のような存在のクレオ、
見た目の豪傑さとは裏腹に、根は優しい兄のような存在だったパーン。
『お帰りなさい、坊ちゃん。』
自分の居場所があるという幸せ。
その場所を守ってきてくれた2人にティルはただ胸を熱くするのだった。
兄姉のような2人とグレミオ、そしてカスミの存在がティルのわだかまりを癒してくれる。
ごく普通な日常が、ティルにはとても貴重なものに思えた。

食卓を囲むいつものメンバー。
「では、いただきましょうか。」
食事当番のグレミオが最後に席について、皆に声をかける。
その合図と同時に、マクドール家の朝食は始まるのだ。
いつもなら穏やかな談笑と共に食事が進んでいくのだが…。
「坊ちゃん、言っておきたい事があります。」
食器のスープが半分も失くならないうちに、クレオが口を開いた。
威圧的な雰囲気が読み取れたのだろうか、ティルはおずおずと彼女を見る。
ンン、と喉を鳴らして一呼吸おいてからクレオは厳しい目つきで
ティル、その隣に座るカスミを見据えた。

「仲がよろしいのは結構な事ですが、けじめはつけていただかないと困ります。
 私が朝起こしに行っても気づかないぐらいベタベタするのはいかがなものかと…」
やはりその事か……ティルは口を噤んで渋った顔をする。
私生活でのしつけやけじめについて注意するのはいつも彼女の役目だった。
「ごめん…」
こういう時は逆らわないのが一番……ティルは素直に謝罪した。
もちろんその心は一刻も早くこの話題を終わらせたいがための言葉に他ならない。
「カスミ、あなたも……時には厳しく接する事も必要ですよ。」
「は、はい。」
その矛先はカスミにも向く。
「まぁまぁクレオさん、仲がいいのは良い事じゃありませんか。」
すっかり萎縮してしまったカスミに助け舟を出したのはグレミオだ。
今や母親代わりと言っていいぐらいティルの身の回りの世話をする彼は
控えめながらもこういうタイミングを測るのは非常に上手い。

いつものように、やんわりと話を別の方向に持っていこうとするものの、
今日のクレオは少々手強かった。
「仲がいいのは悪い事ではないが、何事もいきすぎると良くないと言っている!」
今にも席から立ち上がろうとする勢いのクレオに、
彼女の横に座っていたパーンがからかい口調で言う。
「クレオは坊ちゃんとカスミの愛し合う声が毎晩聞こえてくるもんだから
 寝不足なんですよきっと。」
「ちっ……違う!」
「へーぇ、俺の部屋には聞こえてくるがね。」
赤面してしまうカスミとティル。
初めて2人が契りを交わした夜以来、彼らは毎晩のように愛し合った。
カスミにとっては、長い間抱いていた想いを受け止めてもらえる瞬間。
ティルにとっては、彼女の溢れ出る自分への想いを噛み締められる瞬間。
『性交』という行為にお互いが同じ思いを持ち、どちらからともなく求め合う。

その度に2人の距離は急速に縮まり、
ティルはカスミの深い想いを知る度に心惹かれていくのだった。
「まぁ坊ちゃんが幸せならそれでいいです、俺は。
 カスミの可愛い声も聞けるし。」
「パ、パーン…」
「〜〜っ……」
パーンは赤面している2人をフォローするつもりで言ったつもりのだろうが、
それは却って羞恥心を煽る結果になってしまった。
重苦しい雰囲気が辺りを漂う。
「わ…私はお2人の問題だと思いますので、坊ちゃん方で決められるのが良いと思います…」
食後のお茶を用意しながら、グレミオが誰に言うもなくボソリと呟いた。
ちらちらとクレオの顔色を窺う……彼女の反応が気になるようだ。

「その通りだな。坊ちゃん達のお好きなように……ここは坊ちゃんの家ですから。」
「……。」
パーンの一言に黙ってしまうクレオ。
自分の家で気をつかう必要はないという彼の意見に同意したのか。
目の前に差し出されたカップにそっと口をつけて、
クレオはそれ以上この話題を口にする事はなかった。

夜になり、2人はどこかぎこちないまま静かにベッドに入った。
ティルがもぞもぞと脚を動かす。
お互い背合わせの態勢を取っているが、どうやら眠りやすい姿勢ではないようだ。
「ティル様…」
背の向こうから名を呼ばれたティルが寝返りをうつと、
少し恥ずかしそうにカスミがはにかんでいた。
「今日は……ダメですか?」
「え?」
今朝の出来事がまだ頭に残っていたため、
ティルはカスミの言葉をすぐには認識できなかった。
開いた口からは間の抜けた返事が飛び出した。
「今日は……抱いてはくれないのですか?」

はにかみが不安に変わる。
表情が曇っていく様にティルは少し焦りながら、カスミの肩に手を置いた。
「で、でも……今朝の事もあるし…」
「ティル様はどうお思いなのですか?」
肩にかけられた手に幾分表情は和らいだものの、カスミの質問は終わらない。
自分の肩にあるティルの手をきゅっと握り、じっとティルの返答を待っている。
「えと…」
自分の正直な感情とクレオ達を気にする気持ちが葛藤して、
ティルは答えるべき返事を決めかねていた。
「……私は、抱いて欲しいです……」
そう言って、カスミは身体をティルの方へと寄せて行く。
胸の中に感じるカスミの温もり……ティルは彼女の行動力に驚きつつ、
そう言わせてしまった自分の卑怯さを悔いた。

思えば自分は、カスミよりも『身体を重ねたい』という気持ちは強かったかも知れない。
それは、衣服を着用するよう言われたのにいつも通り裸身でベッドに入った事や、
彼女の身体に当然のように触れた事からもわかる。
そうして態度を取ってなお彼女から「したい」と言わせたのは
男として恥ずべき事だ、と思った。
「……うん。僕もカスミを抱きたい……」
それ以上、もう言葉はいらなかった。
ティルはカスミを抱き寄せ、唇を重ねる。
何の抵抗のなく、彼の舌がカスミの口内に吸いこまれていく。
お互いが相手の舌を愛撫し、息をするのも忘れて唾液を貪りあう。
「んん……!」
カスミが息苦しそうに喘ぎを漏らすのも気にせず、キスに夢中になるティル。

甘い唾液に濡れた彼女の舌が、執拗に纏わりついてくる。
そのたっぷりと濡れた舌でティルの歯型を丁寧になぞると、
カスミは上体を起こして彼の口内に自ら唾液を流し込んだ。
とろり、と流し込まれる唾液をティルは躊躇する事なく飲みこむ。
飲みこむ度にゴクゴクとなる喉の音が、カスミを悦ばせた。
「んふ、ティル様……今日もして差し上げます……」
徐にカスミはティルの下腹部へ移動を始めた。
すでに興奮していきり立っている肉棒を確認すると、熱いそれにそっと指を添える。
「う…」
ひんやりと冷たいカスミの指に、ティルは声を上げそうになってしまった。
その指が微妙に上下に動き出し、心地良い快感を与えてくれる。

「ティル様、このままでよろしいですか?それとも…」
「……うん。今日も……胸でしてほしい。」
「ふふ、わかりました。」
待っていた返事が返ってきた。
カスミはティルに喜んでもらおうと、これまで自分の知る限りの愛撫を試してきた。
ほとんど性経験のなかったティルにとっては、どれも極上の快感をもたらすものであったが、
その中でも取り分け彼が気に入ってくれたのは、
これ以上ないほどの柔かさと温かさを持つカスミの胸での愛撫だった。
「いきますね…。」
量感のある自分の両乳房を下から支えて、
ティルのペニスを気遣うように優しく包み込む。
カスミの温もりを感じた瞬間、そのモノがピクリ、と反応した。
「あは、ティル様ったら……」

こみ上げてくる笑みを我慢することなく、カスミが屈託無く笑う。
その無邪気な微笑みと、妖艶な肢体のギャップに眩暈すら感じながら、
ティルは自分の肉棒に神経を集中させた。
「ティル様の……、んんん、硬い……」
乳房を揺らしながら、その谷間に見えるティルの熱い肉棒の感触に
カスミは自分の身体が火照るのを感じた。
亀頭の先から止めどなく溢れるカウパー液が、カスミの谷間を濡らしていく。
「ティル様、私の胸……気持ち良いですか?私のおっぱい、気持ち良いですか……?」
そう言って問うカスミの頬はほんのり紅みがかっており、彼女も発情しているかのように見えて
さらにティルを視覚的に興奮させた。
「うっ……ぁ、カスミ……すごく気持ちいい……!」
あまりの気持ち良さにティルの声が掠れてしまう。
もう声を出すのも億劫になるほど、この快楽に浸っていたかったのだ。

「ふふっ……このまま出してもいいですから…」
ティルの満足げな表情に気を良くしたカスミは、彼にもっと気持ち良くなってもらおうと
胸を動かす速度を上げた。
肉棒の先から流れる透明な液体がカスミのふくよかな乳房の谷間を潤滑にさせ、
はちきれんばかりに屹立したモノはティルの意識とは関係なくビクビクと動き出す。
「あ…ぁっ、カスミ……ダメだよ、それ以上されたらぁ……ッ!」
襲い来る快楽の波があまりに大きかったためか、ティルが身体を反らしてカスミに告げた。
しかしそれも言い終わらないうちに彼の怒張したモノが白濁液を吐き出してしまった。
「くっ!」
その欲望になんとか抵抗しようと試みるも、人の本能を押さえこむことはできずに
ネバついた液体はカスミの顔にふりかかる。
「あっ…」
全身を虚脱感に包まれながら呆けているティルを見て、
カスミは何かとても満たされたような…達成感のようなものを感じていた。

(私の身体で気持ち良くなっていただけたんだ……)
そう思える瞬間が、カスミにとって尤も自分の価値を見出せる時だった。
2人の関係が主従関係ではなくなった時から、
カスミは嬉しさと同様にわずかな焦りも抱くようになった。
ティルにとって彼女の存在が「必要ない」と感じられた瞬間が
彼のもとから去らなければならない時なのだから。
「ご、ごめん!顔にかかっちゃった!」
ティルは上半身を起こすと、申し訳なさそうにカスミに謝罪する。
その慌てぶりと、数秒前の恍惚とした表情とのギャップにこみ上げてくる笑みを隠さず、
カスミはにこりと笑いかけると指で顔にかかった精液を拭い、紅く光る舌で舐めとった。
「ん……いいんです。私、嬉しいですから…」
「……っ」
カスミの持つその艶な雰囲気にティルの言葉が出なくなる。
身体を重ねるようになって初めて解かった事なのだが、
カスミは時折こういう実年齢以上に妖艶な表情を見せることがあるのだ。

肉付きの良い肢体、誘うような淫らな笑み……ティルはそんなカスミを前にする度、
彼女に溺れてしまいそうになる欲求にかられる。
ただ快楽のみを求めてカスミの身体を貪りたくなる欲求に…。
「…?どうかしましたかティル様?」
「え……い、いや、何でもないよ…。」
だがそれは決して行ってはいけないこと。
カスミの気持ちを知っているのならなおさらだ。
ティルは頭に浮かんだそんなやましい気持ちを悟られまいと、カスミに覆い被さった。
「こんなにシーツを濡らして……カスミも感じてたのかい?」
そう言うティルの目線はカスミの座っていた部分にあるシミに向けられている。
あきらかに周りと違うその部分に、カスミは赤面して俯いてしまった。
「そ、そんな……!」
「いいんだ。カスミも気持ち良くなってくれたら僕も嬉しいから。」
ティルが彼女の足首を持って左右に大きく開くと、
ぬらりと妖しく光る秘裂が眼前に差し出される。

「……いいかい?」
物欲しそうなカスミに今更聞くことでもなかったが、
ティルは確認の意味も込めて同意を求めた。
カスミは意地悪とも取れるティルの質問に、
恥ずかしそうに口許に指を当ててコクリ、と頷いた。
了承を得たティルは挿入の態勢をとってゆっくりと腰を進めていく。
「んぁう……っ!」
脳天を突き抜けるような感覚にカスミが身悶えし、
侵入してくるモノを逃さぬよう彼女の襞が絡みつき始めた。
「うっく…」
その膣口はとても狭く、大きいとは言えないティルのモノの進入さえ容易に受け付けない。
毎夜身体を重ねているといっても、カスミが『初めて』を散らした日はそう昔のことではないのだ。
こういう方面にはめっぽう奥手のティルは、カスミの幾度のアプローチにも気づかず、
彼女の『誘い』が実を結んだのはごく最近のことなのである。

いつもの如くキツイ締めつけに、1回目の射精が終わってまだ硬さを取り戻してなかった
ティルのモノが反応し始めた。
ペニスを締めつけながら蠢くカスミの熱い膣内で再び大きく、硬くなっていくのを感じながら、
ティルはピストン運動を開始した。
「あんっ!ふっ……うぅ……あん!」
ゆっくりと掻き回される膣内の感覚にカスミが悶える。
口許に当てていた手が彼女の嬌声を小さくしていたが、
次第に増してくる官能にその役割は鈍くなりつつあった。
「カスミ、すごいよ……!」
「んっふ、あぁっふ!ティル様もっ……すごいぃ・・…っっ!!」
お互いの性器を誉めながら、2人はより激しく腰を動かし出した。
ティルの身体から汗が滴り落ち、カスミの身体に降りかかる。
そんな事も構わず、ティルは目をつぶってこの至高の時間をより長く続かせようと
腹に力を入れて射精の瞬間を遅らせようと努力していた。
「あぁッ!はぁんっ………、っくぅ……ぁ、あ!」
次から次へと迫る快楽の波に、カスミはただ口を開けて喘ぎ続ける。

愛しい人だけに見せる、彼女の淫らな姿。
かつての師は『快楽に飲まれるな』と彼女に言い伝えたが、
生涯愛すると誓ったこの人の前では、そんな事も許されるだろう。
与え続けられる官能に浸れる幸せを感じながら、カスミはティルに今の気持ちを伝える。
「ティル様ぁ……いいッ!すごいぃぃっ!気持ちいいんですぅ……ッ!!」
半ば泣き叫ぶようにカスミが声をあげる。
ティルはそんな彼女の反応を確かめながら腰の律動を速めた。
「カスミ……そんな大きな声出したら……っく、みんなに聞こえちゃうよっ?」
「はっ……!?あぁ……!うぅンッ!で、でもぉ………!」
彼女が何かを言おうとした時、ティルのモノが彼女の子宮をズン、強く突いた。
一際大きな刺激にカスミの肢体が大きく爆ぜる。
「ひぁ!…………ッッああぁ――――ッ!」
その感覚を堪えきれず、カスミが絶叫を上げて達した。
息も止まるほどのその瞬間、ビクリと大きく痙攣を起こして彼女の身体がベッドに沈む。
「カスミっ…!」

もう限界に近いと悟ったのか、ティルはカスミの膣内からペニスを引き抜くと
絶頂の余韻に浸っている彼女の胸の谷間にそれを挟みこむ。
「あ…」
霞みがかった意識の中で、カスミはティルの顔が目の前にあることと
自分の胸の間にある熱い感触を認識した。
ティルは自分の手でカスミの乳肉を中央に寄せて強くペニスを挟むと
射精に向けてゆっくりと腰を動かし始めた。
「はぁ、はぁ……!」
自分の胸をいいように遊ばれながら、カスミは荒い息を吐いて
ティルの射精の瞬間をを眺めている。
苦しそうに息を吐き出すその綺麗な口許に吸い寄せられるかのようにティルが唇を近づけると、
カスミは何の躊躇いもなくそこへ唇を重ねた。
「んっふ……」

息も整わないうちのキスだったが、カスミはティルの舌を激しく吸い求めた。
そしてティルはその甘い口づけを楽しみながら、カスミの豊満な胸の谷間に、射精した。
「っ!」
「ちゅ、んん……」
ティルの舌先を自分のそれと絡ませながら、カスミは自分の顎に液体が跳んでくるのを感じた。
ティルの腰の動きがゆるやかになり、止まる。
カスミは唇を離して自分の胸元を汚す精液を見つめていると、
ふいにティルが口を開いた。
「ご、ごめん……出ちゃった…。」
それは、もう少し唇を合わせていたかった思いから出た謝罪だったのだろうか、
ティルが申し訳なさそうに頭を下げる。
「ふふ、ティル様……さっきから謝ってばかりですね。」
そう言うとカスミはぐっと起き上がり、再びキスをした。
それは濃厚なものではなくあくまで軽く触れるだけのものだったが、
『気にしていませんよ』
という彼女のメッセージを伝わってきたような感じがして、ティルは苦笑いを浮かべた。

「うん……ごめん。」
ティルは彼女の横に倒れこむと、シーツに顔を埋めてそうモゴモゴと口を動かした。
そんな彼を見やりつつ、カスミは胸元を綺麗に拭き取ってから、ぴたりとティルに寄り添う。
まだ火照りが冷めない身体を密着させ、2人はそれ以上会話を交わさず眠りについた。

「………はぁ。」
昨日注意したにも関わらず、2人は昨晩も盛り上がっていたようで
窓から差しこむ陽光の中、実に安らかな寝息を立てていた。
そのあまりに可愛らしい寝顔に無理矢理怒鳴り起こすこともできず、
瞼の下にくまをこさえたクレオはただ溜息をつくだけだった。

「仕方ないですね……もう少しだけ寝かせてあげましょうか。」
ティルに甘いのはこの屋敷の男共だけではなかったようだ。
クレオの睡眠不足は当分続きそうである。

            第3部 外伝   完

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