ルシア×ヒューゴ 著者:通りすがりのスケベさん様

「すごいんだ! 俺達ウサギ狩るのがやっとなのに、
 ルシア族長はこ〜んな大きい猪倒しちゃったんだよ!?」
短い赤毛の髪をした子供が両手をいっぱいに広げて、
口に含んだ食べ物が飛ぶのも気にせず嬉しそうに話す。
「これルル! 口の中のもの飲みこんでから話しな!」
彼の目先にいたふくよかな女性が、はしゃぐ子供を叱咤した。
「ははは。話すか食うかどっちかにしろルル、忙しいな。」
「んぐ……。ねぇジンバ兄ぃ、俺も今度スッゴイの獲ってくるから!」
「うーむ、ルルには無理だろうな。」
肩幅の広い、大柄な男が苦笑いを浮かべて答える。
その答えにルルは不満そうに顔をしかめた。
「そうかなぁ……。」
やる気を削がれた、とばかりに口を尖らせるルル。
ふぅ、と息を吐いたジンバの今の心情は『やれやれ』といったところか。
「ルル、私も最初から猪を獲れた訳じゃないよ。
 小さい獲物を何回も何回も追って、『狩り』を身体で覚えるんだ。」
ちょうどルルの向かいに座っていた女性が、
囲炉裏を挟んでもなお、よく通る声でルルに言い聞かす。

「へぇ……そうなんだ。」
「母さんも子供の頃はウサギ追いかけてたの?」
ルルより若干背は高いだろうか、
ルシアの横に座っていた少年が口を開いた。
輝く金色の髪、着ている衣服が似たようなものであることから、
2人の関係は一見して母子に見える。
「そりゃそうさ。私がルルぐらいの頃はウサギを獲るのも苦労したもんだよ。」
それを聞いたふくよかな女性が、大きく口を開けてはははと笑った。
「へぇ、あんたもそんな時があったんだねぇ。」
「ルース、私も小さい頃はみなと変わらない子供だったさ。」
今やルシアの弓の腕前はカラヤ一だと認められている。
その細く強靭な腕から放たれる矢は、風よりも早い速度で獲物を確実に仕留め、
それは見るものを魅了するほどに美しく、華麗なものだった。
今日初めてそれを目の当たりにしたルルは、
その感動を言い表したくて仕方ないのである。

「大きいものを捕らえるのにはウサギ捕まえるのも大切って事?」
「そうだね……でもヒューゴとルルも随分見ない内に上手になってたよ。
 私が抜かれるのも時間の問題かもね……ふふふ。」
その笑みは、子供達の成長を嬉しく思う気持ちからきたものなのか。
ルシアは隣に座っている自分の子に目をやった。
まだあどけなさを残した面持ちのこの子が、
いつか自分を追い抜いて逞しく成長した姿を思い描いてみるものの
そのビジョンは、はっきりとした形にならなかった。
「何がおかしいの、母さん…」
「ふふ。」
自分が笑われたと思ったのか、ヒューゴはやや不機嫌な表情を浮かべた。
そんな直情的な我が子にルシアは意味ありげに笑ってみせたが、
彼にその意は汲み取れなかったようだ。
「?」

「ルシア、疲れただろう?今日は早いとこ休みな。」
用意された食事も尽きてきた頃、ルルの母親のルースがそう言って立ちあがった。
「いや、私も手伝おう。」
この人数分の後片付けは大変だと感じたルシアが
彼女の後について立ちあがろうとする。
育ち盛りの子供と大人3人、片すものも多い。
「いいからあんたは帰って休みな。汗もかいただろうし、身体を洗ってきたらどうだい?」
「……そうね。ありがとうルース、甘えさせてもらうよ。」
それは些細な気遣いだったが、ルシアはその言葉に胸が熱くなった。
普通なら気づきにくい事まできちんとサポートしてくれるルースは、
ルシアが本当に頼りにできる数少ない親友の1人なのだ。
「ルル! あんたも身体洗っといで!」
残飯処理に忙しいルルが、ビクリと身体を竦ませる。
喉につまりそうなものを飲みこんで席を立つと、ヒューゴに向かって話しかけた。
「ヒューゴも一緒に行こうよ。明日は遠乗りするんだろ?」

「うん、行こうか。ルース、ご馳走様。」
ヒューゴはルースにぺこりと軽くお辞儀をしてから、すっと立ちあがった。
服を軽く払って、脹らんだ胃をさすったりしてみる。
「今日も背中、流しっこしようぜ!」
「あぁ。」
「じゃあ、私も一緒に行こうかな?」
子供達の無邪気な会話にルシアが噛んだ。
それに敏感に反応する場の者達。喜び、驚き、様々な感情が飛び交う。
「か、母さんも!?」
「へぇ、いいじゃないか。たまには母子一緒に入っといでよ。」
顔を綻ばせるルースとは対象に、ヒューゴはいまいち乗り気ではない様子を見せている。
母と共に裸を合わす事は、多感な時期にある彼にとって大きな抵抗があったのだ。
「何さ、母さんも仲間に入れておくれよ。」
「だ、だって…」

「ははは、ヒューゴ照れてんの!」
からかい口調でルルが笑う。
ヒューゴはそんな彼を見て少しだけムッとしたものの、黙ってテントから出て行った。
今から祭りにでも出かけるかのような軽い足取りのルルが、
テントの出口前で振りかえった。
「ジンバ兄ぃは一緒に行かないの?」
今まで状況を笑顔を浮かべて見守っていたジンバが大きく目を開いてルルを見る。
「え……」
返答に困っているジンバに、ルシアは目を細めて不敵な笑みを向けた。
彼の表情を楽しむかのように、探りの誘いをふってみる。
「ふふふ。ジンバも一緒にいくかい?」
「………からかわんでくれ。」
やや不機嫌さを言葉尻にこめて、ジンバは2人から目をそらすと
その場にごろり、と転がった。

3人は、カラヤの村からそう遠く離れていない湖に着くと
早速入浴の準備を始めた。
月夜の下に露わになったルシアの身体は、
1児の母だとは信じられないほどに素晴らしいボディラインを描いており、
女性に感心を持ち始めつつある2人の子供の視線さえ虜にしてしまう。
ヒューゴにとって、実の母という繋がりの前に『女性』を感じさせるルシア。
久方ぶりに見る母の身体は溜息が出てしまうほど美しかった。
「ふわぁ……ルシア族長、キレイだね…」
「ふふふ、ありがとう。ルルも成長したわね、肩幅が広くなったよ。」
ルシアにしてみればルルの言葉はお世辞に聞こえたのだろうか、
軽い笑いと共に相手を誉める気遣いを見せた。
ルルは率直な感想を言ったまでだが、
それより自分の成長を認められた事が嬉しかったようだ。

「ホント?俺、おっきくなったよね!」
「ああ。ルルは今にカラヤ一の大男になるかもね。」
「へへへー。」
すっかり気をよくしたルルがバシャバシャと湖の中に入っていく。
水面に映った三日月がゆらゆらと揺れた。
「ヒューゴ、入らないのか?ぼーっとして……どうかした?」
「え……ぁ。」
ズボンに手を掛けたままだったヒューゴは、その声で現実に引き戻される。
まさか母親に見とれていたなんて言えるはずもなく、感づかれてもいけない。
ヒューゴは慌てて衣服を脱ぎ捨てようとする最中、
大きくなっている自分の股間の変化に気づいた。
全身の血液が自分のモノに集中している。
ルシアの姿を、育ててくれた母親としてではなく、
魅惑的な身体を持つ女性として見てしまっていた結果だった。
(ま、まずいよ……!)

持参したタオルで隠してみたものの、微妙な脹らみまで覆う事は難しい。
身体を前屈させようものなら、自ら気づいてくださいと自白しているのと同じだ。
「ヒューゴ、何やってるんだよ!気持ちいいから早く来なってー!」
「あ、ああぁ……今いくからぁ…」
ヒューゴはゆっくりと歩を進めた。
あくまで姿勢は真っ直ぐのまま、水辺に立ったままの母親に目をやることはない。
いくら不自然とはいえ、月光だけの灯りの中では
その部分をよほど注意して見なければ容易く見破られる事はないだろう。
下半身から湖につかっていくうちに、冷たい水のおかげで股間の膨張が
いくらか引いていくのが解かった。
ヒューゴがほっと胸をなでおろしながらルシアの方へ向き直ると、
母は何やら複雑な面持ちで自分とルルを見つめていた。
感づかれたかな……と不安にかられていると、眼前に水飛沫が襲いかかってきた。
不意の攻撃をまともに食らったヒューゴは、咳き込みながら攻撃の主に目線を向けた。
「ルル!げほげほっ……!」
「何見とれてるんだよ!いいなぁヒューゴはキレイな母ちゃんで!」
「あ、ルースにいいつけてやる!」

月明りの下ではしゃぐ子供達を見守りながら、ルシアは湖の中入り進む。
ちょうど腰の辺りに水を感じるぐらいの深さ、
彼女のくびれたウエストの部分に冷たさを感じるぐらいの位置でルシアは立ち止まった。
掌で透き通る水を救い、何回に分けて身体に降り注がせる。
褐色の肌に付着する水滴は月光を吸いとってまるで宝石のように煌き、
彼女の美しさをより際立たせる役割を担う。
「キレイだなぁ……ルシア族長。」
優雅に水浴びを楽しむ彼女を見るうちに、いつしか言葉を失くす2人。
ルルがポツリを呟いたその言葉は、偽りない2人の気持ちだった。
子供達の視線に気づいたルシアがザバザバと波をつくって2人に近づく。
「ほら、2人とも背中流してあげるから。」
そう言うと、ルシアはルルの背中に自分のタオルを押し当てて、力をこめて擦り始めた。
女の力といっても、子供のルルにとっては結構な力だ。

「い、いたた!」
「ほら、我慢しな。カラヤの男がそんな情けない声出すもんじゃないよ。」
「う〜〜〜……。」
ルルの背を左側から右側へ、ゴシゴシとルシアの手がタオルと共に移動する。
背骨を指でなぞりながら、ルシアはふいに力を抜いた。
「?」
「今は綺麗なこの背中にも、いつかは傷がつくんだろうね……。」
ルルの背を撫でるルシアの掌は、優しさに満ちていた。
そんな彼女の思いが伝わってくるようで、ルルは黙りこくってしまう。
「でもそれは戦士にとって名誉なことだよ。強い男になっておくれ、ルル。」
「う、うん! 俺強くなるよ! 将来はヒューゴと一緒にカラヤのみんなを守るんだ!」
尊敬するルシアに期待され、ルルは鼻息を荒くして意気込んだ。
一刻も早く、一人前になりたいという思いがこみあげてくる。
「ふふふ、期待してるよ。はい終わり、先に服着てな。」
「ありがとう!」

上機嫌で水を蹴飛ばし、ルルは湖を進んでいく。
その小さいながらも力強い足取りを、ルシアは微笑んで見送った。
「さて、と……次はあんただよ。」
「お、俺はいいよ……」
近づいてくるルシアとの距離をつめないように、ヒューゴは後退する。
足場は次第に深くなっていき、彼の腰まわりは水面下にすっかり浸かってしまっている。
「何さ、久しぶりなんだし背中ぐらい洗わせてくれてもいいじゃない。」
「い……いや、今日は調子悪いんだよ、ホント、だから…」
「捕まえたっ!!」
ザバッと水飛沫を上げて、ルシアが大きく踏み出した。
あっという間に2人の距離はなくなり、ヒューゴは彼女に捕まってしまう。
ルシアは息子の両肩に手を置いてパン、と軽く叩いた後、
筋肉の付き始めた背中を眺めていた。
「ねぇヒューゴ…。」

いきなりトーンの下がった母の口調に驚き後ろを振り返ってみると、
すぐそこにルシアの顔があった。
「な、なに?」
心の底まで見透かされているような、深い藍色の瞳。
ルシアが無言だった時間はほんの数秒だったが、
ヒューゴにはとても永い時のように感じられた。
「……いえ、何でも。あんたも大きくなったねって思ってたところさ。」
「ふ、ふーん。」
心臓に当てた手が、激しい動悸を伝えてくる。
母親に見つめられてドキドキする子供がどこにいるのか……。
ヒューゴは恥ずかしさで顔が紅くなるのを感じずにはいられなかった。
平静を装ってみたもののかすかに震えを帯びた声に、
敏感な母が怪訝に思わないはずはない。
「子供の成長ってのは早いね、本当に……。」

ヒューゴの背に向けてかけられたその言葉は、
自分自身に言い聞かすような穏やかな口調だった。
ルシアの手が彼の背を一通りなぞり終わった後、
ヒューゴは一層密着してきたルシアにビクリと身体を竦ませた。
「ちょちょっと母さん!」
「あんた……さっき、ここ大きくしてたでしょう?」
耳もとで囁く母親の吐息に、ヒューゴの心臓は跳ねあがった。
左肩に小さな顔を乗せて、ルシアは真っ赤に染まった息子の表情を覗き見る。
「うぁっっ!」
ヒューゴが何も言えず、棒立ちのまま固まっていたその時だった。
緊張と背に感じるルシアの肢体に反応し始めた肉茎を、
長く細い指がきゅ、と握り締めたのだ。
それは言うまでもなく、母の指。
冷たい水の中、適度の体温を維持している指に包まれた
肉茎の心地良さにヒューゴは絶句した。

「……!」
「悪い子。自分の母親に興奮するなんて…」
それはとても落ちついた声だった。
しかしヒューゴにとってそれは逆に恐ろしさを増す要素に他ならなかった。
握り締められたモノがビクビクとルシアの手の中で踊る。
ルシアはその感触を確かめ、楽しむように息子の肉茎を擦り始めた。
「なッ……母さん……っ!!」
「しっ……ルルに聞こえるよ。今日は、特別…」
背中にルシアの豊満な乳房が押しつけられる。
それだけでもうヒューゴのモノは我慢ならないのに、
肉茎を握る彼女の指はとても優しく慈しむように動き、さらなる刺激を与え続けてくる。
「んっ…!」
「気づかれないうちに済ませなさい。」
堪らず、ヒューゴが声にならない喘ぎを漏らした。
人にされる初めての感覚。
しかもそれが母親などとは、夢にも思わなかったであろう。
ぷるぷると背中で弾ける母の胸を思い描きながら、ヒューゴはあまりに早い限界に達してしまった。
「あ!」

「……!」
ぷかりと水面に浮上してきた白い固まりを同時に目にした2人。
それは紛れもなくヒューゴの肉茎の先から発射されたものだった。
息子の身体からそっと離れるルシア。
ヒューゴの背にはつい先ほどまであったふくよかな柔らかみはすでになく、
それがどこか寂しさを感じさせる。
「もう……。さ、帰ろう。」
ふぅ、と手の掛かる息子に笑顔を見せ、ルシアはすでに
着替えを済ませていたルルの方へ歩き始めた。
ヒューゴはすらりと伸びた母の背筋を見つめ、先ほどの行為は夢だったのかと自問する。
おおよそ現実味のない出来事。
しかし射精の余韻はまだかすかに残っていた。
ヒューゴは思いきり地を蹴って、ルシアを追い越す勢いで水中を進んだ。
「母さん、ごめん。」
追いぬく寸前に告げた謝罪は、ルシアの耳に届いたのだろうか。
いつもの彼からは想像できないほどの弱々しい口調だった。
ザブザブと進む息子の背中に目をやった後、ルシアはわずかに寂しさを宿した瞳で
空に浮かぶ三日月を見上げた。
「もう一緒には入れないか……。」

                   完

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