ルック×ビッキー 著者:2_28様

 屋上へ、星を見に行こうとビッキーが誘って来た。
 ……それはいい。
 彼女がいきなり何かを言い出したりやり始めたりする事なんてざらだから。
 問題は、今が真夜中だという事だ。
「ビッキー……君、今、何時だと思ってるの……?」
 欠伸をかみ殺したと同時に押し殺してしまった声で、僕はベッドの中から彼女を見
上げた。
「え、だって、お星様、凄くきれいなんだよ? だからルックくんにも見せてあげた
いと思って……」
「……あのね」
 僕は呟いた。
 星が綺麗?
 晴れていれば星なんていつも同じに見えるのに。
 その「同じ」が綺麗だというのなら、前もって言っておいてくれれば、僕だってこ
んなに不機嫌になったりはしない……そうだよ、分かってる。
 僕はビッキーに甘い。
 自分でも信じられないくらいにね。
 深々と溜め息を吐いた僕を見て、ビッキーがしゅん、とうなだれる。
「ルックくん……星、嫌い?」
「はあ?」
 ぽかんと口を開けた、他の人間の前では絶対にしない間抜け面を彼女の前でさらし
てしまってから、僕は溜め息混じりに起き上がった。
「別に好きでもないけど。嫌いでもないから、付き合ってあげるよ……」
 大体、僕の部屋にテレポートで現れたものだから深く考えなかったけど、夜着の上
に薄物一枚羽織っただけの格好で。
 星が綺麗だから誘いに来たって?
 じゃあそんな格好で、屋上にいたって訳か?
 無防備にも程がある。
 僕は憤然としながら、上着を羽織ってビッキーの手を取った。
 屋上までのテレポートは僕がやる。
 彼女に任せて風呂場の浴槽の上にでもテレポートした日には、目も当てられない。
 食堂のテーブルの上というのも、かなり悲惨だった。

 屋上に着くと、ビッキーは本当に……馬鹿正直に夜空を見上げて、星を見つめている。
 「星、きれいだね」の一言も無いのかい?
 まあどうせ、そう言われたところで「そう? いつもと変わらないけどね」とでも
応えるんだろうけど、僕は。
 一体どうして僕を連れて来たのか、分からないよ。
 全く彼女は、僕の理解の範疇を超えている。
「あれ? どうしたの? ルックくん??」
 気付いたら、ビッキーばかり見つめていた。
 元々星なんかより、彼女に興味があるのは事実だけど。
「別に。ただ、ビッキー。黙って星を見るだけなら、僕を連れて来なくても良かった
んじゃない?」
 途端、彼女は非難の声を上げた。
「ええー? なんでなんでぇ?! だって、ルックくんと一緒に見たかったんだもん!」
「……そう」
 何だか納得も行かないし、色々言ってやりたい事は山積みだったが、相手はビッキー。
 言って通じるとも思えない……。
 僕はその後の言葉を飲み込んだ。
 代わりに、彼女のすぐ隣に立ち、肩を抱き寄せる。
「少し肌寒くなって来ない?」
 僕が彼女に流されてしまったら、黙って星を見上げたまま朝が来ないとも限らない。
 僕はそんなのは御免だった。
「えへ、ルックくん、あったかいね」
 ビッキーは無邪気にすり寄って来る。
「屋上での星は堪能したろう? 僕の部屋の窓からでも、星は見えるよ」
 僕は言うと、ビッキーの返事を待たずに部屋へとテレポートした。

 部屋に着くと同時に、僕はビッキーを……。
「……ちょっと」
 僕の腕をすり抜けて速攻で窓に駆け寄るビッキーの背中に、僕は相当不機嫌な声で
呼びかけたらしい。
 きょとん、とした顔で彼女は振り返る。
「どうしたの? ルックくん??」
 本気で。
 僕の部屋で。
 馬鹿みたいに窓の側に突っ立って星だけ眺めて夜を明かす気?
「よく飽きないね」
 言って、僕はビッキーの腕を強く掴むと、無理矢理引いた。
「えっ?!」
 驚いた声を上げて、ビッキーがバランスを崩す。
 彼女が夜着の上に羽織っていた薄手の上着が、はらりと床に落ちる。
 そのまま僕は、彼女をベッドに押し倒した。
「カーテンは開けておいてあげるから、君はそのまま星を見てたら」
 僕はビッキーの首筋に舌を這わせながら、言った。
「ぅあぁん」
 くすぐったそうに、彼女は身をよじらせる。
 別に嫌がっている素振りは、無い。
「もうルックくんたら、いっつもいきなりなんだもん」
 ビッキーが呟く。
 ……そう、僕達は、よくこういう事を、する。
 まぁ、一応世間一般の言い方をするなら『恋人同士』ってとこなんだろう。
 最初は話していると疲れるし、能天気なビッキーがはっきり言って、得意ではなかった。
 でも何て言うか、一緒にいると胸の辺りがあったかくなる。
 僕の。
 ……不思議と、僕の胸が。
「僕から始めないと、君がその気になる事なんて無いだろ」
 言って、口付ける。

 舌で彼女の唇を割り開き、口の中に侵入する。
「んあっ……んむぅ……」
 お互いの舌を、絡め合う。
 普段は出さない、ビッキーの艶めいた声が僕を興奮させる。
 僕はそのまま、ビッキーの夜着に手を掛けた。
 胸の部分だけを、露わにさせる。
 彼女の胸は……服の上から見るよりは、意外と大きい、気がする。
 形云々は分からないけど……僕の女性経験は、彼女が初めてだから。
 興味が無い訳ではなかったし、チャンスが無かった訳でもないけど、後々面倒な事
になるのが嫌だったから。
 僕は両手で、ビッキーの胸を包み込んだ。
 人差し指と親指で先端の突起をつまむと、ころころと転がすように弄ぶ。
「ふぁ……っ、ル、ルックくぅん……」
 僕の名前を呼ぶ声に、僕は彼女の顔を見た。
 目頭がほんのり紅く染まって、色っぽい。
 彼女が発情し始めた証拠だ。
 僕は片方の突起を指で弄び続けながら、もう片方を口に含んだ。
 舌を絡め、吸い、軽く歯を立てる。
「ぁあん……」
 ビッキーが声を漏らす。
 呼吸は段々荒くなって来る。
 それでもそのまま、胸にだけ愛撫を加えていると、我慢出来なくなったのか、ビッ
キーの右手が僕の左肩を掴んだ。
「……うぅん……ルックくぅん……」
 身をよじる。
 何度しても慣れないようで、恥ずかしいらしく自分からはっきりと求めたりはしない。
 でもそれが、いい。
「この分だと、下は凄そうだね」
 意地悪な声音で囁きながら、僕は胸の部分だけを開いていたビッキーの夜着を、完
全に取り払って側にある椅子の背もたれに引っ掛けた。

 下着も脱がせると、ビッキーは生まれたままの姿になる。
 白い肌と、長い黒髪を青白い夜の光が照らし、まるで妖精のようだと僕は思う。
 最初の頃は女神かとも思ったけど……こんなおっちょこちょいで物忘れの激しい女
神なんて、僕は御免だ。
 両脚を開かせる。
 そこはもう潤っていて、星明かりにぬらぬらと光った。
「ルックくん……」
 何かを期待するように、ビッキーが僕の顔を見る。
 何か、そんなの、決まってる。
 けれど僕は、それをすぐに叶えてあげる気なんて無い。
 ビッキーの秘所に顔を近付ける。
 中心にだけは絶対触れないように、僕はゆっくりとそこへ舌を這わせる。
「あぁぁん……」
 閉じられないように、と押さえ込んだビッキーの太股が、ぴくりと震えた。
 僕は舌での愛撫を繰り返す、けれど絶対に一番敏感な部分には触れないように。
「…はぁっ……、ルックく……ぅぅん……」
 ビッキーの手が、僕の頭を押さえて引き寄せた。
 彼女の泉からは、もう蜜が溢れて止まらないようだ。
 僕は少しだけ首に力を入れ、顔を上げる。
「どうして欲しいの?」
「…ぅ……」
 上気した顔で、泣きそうに瞳を潤ませてビッキーは僕を見る。
 僕は意地悪い微笑みを作って、彼女の周囲をそっと指でなぞる。
「ふあぁん」
 ぴくん、とビッキーの体が震える。
 そして、我慢も限界を超えたのか、言葉が漏れる。
「……って……」
「何? よく聞こえないよ」
「…おねがい……さわ……って」
 涙声で哀願するビッキーに、今度は意地悪ではない微笑みを向けて、僕は彼女の泉
の中へ、指を差し入れた。

 ねっとりと絡み付いてくる彼女の液体は、どんどん溢れ続けている。
「あぁ、んぁあんっ……あはぁぁ……」
 彼女の肌を伝って、シーツに出来た染みは広がって行く。
 僕はしばらくビッキーの中を指で刺激していた。
 けれどそろそろ僕も我慢が出来なくなって来た。
 夜着を脱ぎ捨て、宣告する。
「ビッキー……行くよ」
 期待に潤んだ瞳で、彼女は僕を見た。
 僕はそのまま、ビッキーの中へ突き入れた。
「あぁぁあっんん!!」
 ビッキーが高い声を発する。
 僕は彼女の開かせた両脚をそれぞれ片手で抱えながら、何度も何度も腰を打ち付ける。
 その度、彼女は悲鳴にも似た嬌声を上げる。
 ……他の誰も、明るくて素直で天然なビッキーが、こんなに淫らによがるなんて想
像もしないだろう。
 こんな彼女を知っているのは僕だけ……。
 そう思うと、ぞくぞくする。
「ビッキー……」
 小声で名前を呼んで、僅かに角度を変えて彼女の中を出入りする。
「うあっ、あぁんん、あんっ! …あぁ……はぁ、ルックくぅん……」
 ビッキーの手が、僕の背中を抱く。
 その手に、僅かに力がこもる。
 絶頂が近い、証拠だ。
 僕も多分……遅漏ではないと思うので。
 そろそろ、限界だ。
 僕は腰の動きを速めた。
「ルックく……はっ、あぁ、ルックくん、ルックくぅぅん」
 必死で僕にしがみついて。
 あえぎながら、僕の名前を呼ぶ。

 ……可愛いよ。
 思った瞬間。
「…っ」
 僕は、彼女の中で達してしまった。
「んあぁぁぁあぁん!!」
 甲高い声を上げて、ほぼ同時にビッキーも達したらしい。
 彼女の中が、僕の精を最後まで絞り尽くそうとするように、痙攣して締め付ける。
「ビッキー……」
 はぁはぁと肩で大きく息をしながら、僕は彼女の名前を呼んで、そしてぐったりと
覆いかぶさった。
 ……勿論、僕の体重をかけないように注意して。
「ぅぁ……ぁん……」
 乱れた呼吸の中で小さく呻いた彼女は、軽く気をやってしまったようだった。
 僕はそっと、ビッキーにキスをする。
 起きないのを確認して、僕はそっと囁いた。
「……好きだよ」

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