パンチラ☆(ミアキスVSガヴァヤ・カイル・ツヴァイク) 著者:9_447様

(まずい…これはまずい。)
ヤシュナ村からビーバーロッジへと抜ける山道の中、ミアキスは一人頭を抱えた。
今日はここにドレミの精がいるという情報をどこからか掴んだコルネリオにせっつかれて王子と共にドレミの精探しに明け暮れている訳で……面倒だとは思うがまぁ、それは良い。
散々探して見付からず、コルネリオがこの凡俗がぁ!!と王子をなじっている。
切り刻んでフェイタス河に沈めてやりたい所だが、今問題なのはその事ではなかった。
綺麗な青色のスカートの裾をギュッと掴む。
そう、今ミアキスを悩ましているのはこのスカートと…その中身である。
普段ミアキスは丈の短いスカートに合わせてスカートと同色のボクサータイプのショーツ、所謂見せパンをはいている…………が、今日に限ってそれを履き忘れ今履いているのは最近買った勝負パンツだった。
22才ともなればもう大人、下着のお洒落も楽しみたいということで仲の良い女の子グループで買いに行き、昨夜お風呂上がりに見せ合いっこなどしていたのが悪かったのであろうか。それを忘れてここまで来てしまった。
短いスカートは歩くだけでもヒラヒラとして中が見えそうだと言うのに
もし!もし戦闘不能になりでもしたら!!
(そ…それだけは避けたいですよねぇ…)
フィと顔を横に向け他のメンバーを見やる。
(しかも何でこんな日に限って…男性ばかりのパーティなんでしょぉ)
王子、ミアキス、コルネリオの他はツヴァイク、カイル、ガヴァヤという最悪なメンツである。
コルネリオはドレミの精にご執心なので興味は無いだろうが、ツヴァイクは女湯に平気で乱入してくる変態だし、カイルとガヴァヤに至っては言わずもがな、である。
考えるだけでげんなりしてきてミアキスは盛大にため息をついた。
唯一、話の分かりそうな王子に事情を話して早く帰りたい所だが
その王子はコルネリオの相手に手一杯という感じでとても二人で話せる雰囲気ではない。
諦めてとっととドレミの精を見つけた方が早そうだ。

とはいえ宛てなくウロウロするばかりで雑魚モンスターとは遭遇しても目的のドレミの精はなかなか現れない。
ミアキスはヒラヒラ揺れるスカートを気にしながらモンスター達にとどめを刺していく。
本当なら他のメンバーに攻撃させて自分は高見の見物といきたい所だが、なまじ速の値が高い為、殆どミアキスが先陣を切る形になる。
その度スカートが気になって仕方がない。
「ミアキス殿、調子でも悪いんですかー?」
敵その1、カイルだ。
「そんなことありませんよぉ?普通ですぅ」
「そーですか、いやなんか普段より体のキレが悪そうだなーと思って」
目ざといヤツめ、ミアキスは心の中で舌打ちする。
此奴に知られてろくな事にはならない事は長い付き合いでよくわかっている。
「あっ!新手ですぅ!」
話を逸らそうとミアキスは自らモンスターに向かって行く。
サクサクと敵を倒してゆく後方で誰かが紋章を発動させようと詠唱している。
この呪文は……風の紋章!振り向くと敵その2ツヴァイクがまさに今魔法を使おうと右手を掲げていた。
(こっこのエロ親父!!そんなもん使ったらパンチラどころかパンモロ←パンツモロ出しの意になるでしょうがああ!!!)
渾身の力を込め手にしていた小太刀をツヴァイクに投げつける!
あわや顔面に突き刺さろうという寸前でツヴァイクは小太刀を避けきった。
「ななななな何をするんだね!!君は!!!!」
「あはぁ、手が滑っちゃいましたごめんなさぁい」
そんな事があるか!と言い募ろうとするツヴァイクだが、先ほど投げつけられた小太刀が木の幹に深々と突き刺さっているのを見て言葉を失う。
「今日はその紋章…使わないでくださいねぇ?風が吹いたりしたら、また手元が狂ってしまうかもしれませんからぁ」
「…………」
うふふと邪悪な笑みを浮かべるミアキスにツヴァイクはただただ頷くしかない。
蒼白な顔でプルプルと震えているツヴァイクを後目にミアキスは小さくガッツポーズをする。
(やりましたぁ!敵その2撃破!!)

後は度々ちょっかいを出してくる敵その3ガヴァヤをのらりくらりかわしつつ、カイルに気付かれないよう注意するだけだ。
ガヴァヤ…ふと彼が何故か後方に陣取っていることに気付く。
(そういえばこの前一緒にパーティ組んだ時もそうでしたねぇ…彼は確かSレンジだったハズ)
普段前衛を担当しているはずの彼が何故かミアキスがいる時だけは後衛なのだ。
おかげでミスを連発していたから印象に残っている。
(つまり…………そういうこと、なんですねぇ?)
ある考えに思い至り、顔は笑ったままでミアキスはぎりりと歯ぎしりをした。
それをうっかり目撃してしまったツヴァイクがブルブル震えている。
(やっぱり女の子のスカートを覗くようなヤツにはお仕置きが必要、ですよねぇ)

となれば早速…
ミアキスの右手に宿した火の紋章が淡く光る、ガヴァヤがモンスターに攻撃してるのを見計らって……レベル4魔法、大爆発!!!!
「にぎゃあああああああぁ!!!!!!111!!1」
モンスターと共にガヴァヤも火に巻かれていく。
「あらぁ失敗ですぅ…これって事故ですよねぇ、ね?王子」
「えっ!?…………そ、そうだね」
ただならぬミアキスの気に押されて王子は目を泳がせながら頷く。
黒こげになったガヴァヤを見てツヴァイクはガタガタ震えている、もう失神寸前だ。
(うふふ…大成功ですぅ!後は…カイル殿だけですねぇ)
しばし思案して
(危険な要素はない方がいいですもの…ね)
水の紋章で瀕死のガヴァヤを治療してやっているカイルの横に立ち
「そういえばカイル殿ぉこんな所で油売ってていいんですかぁ?」
「え?」
「え?じゃないですぅ!露天風呂解禁て今日ですよぉ皆楽しみにしてましたしぃ…あ、ベルナデッドさんも今日は絶対露天に入るって言ってました」
「マジですかー!!!!ありがとうミアキス殿!王子、オレ城に戻ります!!!!」
「え!?えええぇ!!?ちょっとカイル?!」
呆然としている王子をよそにカイルは風のようなスピードで山を下りていってしまった。無論、治療途中のガヴァヤはそのままで。
(うまくいきましたねぇ…邪魔者は全ていなくなりましたぁ!後はドレミの精が捕まれば完璧なんですけど)
「あ!いた!!」
木陰からふらふらと出てくる青いローブのドレミの精を発見した王子が声を上げる。
(やったぁ!王子GJ!!)
心の中でガッツポーズをするミアキス
コルネリオが捕獲しようとドレミの紋章が発動させたその時

ドレミの精の先制攻撃
王子のカウンター!
ドレミの精は逃げ出した…

「………………反撃の紋章つけてたの忘れてた」

おわり。

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