パーシヴァル×クリス 著者:WING様

「…クリス様?」
夜も深まり、城の住民も寝静まった頃、
見回り当番だったパーシヴァルはふらふらと廊下を歩くクリスを見かけた。
敬愛以上の感情を抱く上司がいつもの凛々しさを失っているからには放っておくわけにはいかず、
足早に彼女の道どりを追った。
「クリス様!」
「!……あぁ、パーシヴァルか。見回りご苦労…。」
瞬時の警戒反応もキレがなく、自分だとわかった途端に浮かぶ表情は眠気とも取れぬその時特有の状態だった。
ぼうっとし、やや赤らんだ頬と長く美しい銀の髪の対比が月明かりに交わって芸術を生み出していた。
パーシヴァルは見惚れながらも恭しく問う。
「どうなされたのですか?ご気分でも……。」
「あぁ…どうも少し熱っぽくて……。ミオさんに薬を貰おうかと…。」
そう言ってまた歩き出すにもこのままではいつ倒れてしまうかわからない。
冷えた廊下で夜を明かしてしまっては悪化する一方だ。
「クリス様。薬は私が貰ってきますから、どうかお部屋にお戻り下さい。」
「…あぁ……すまんな…そうさせてもらう……。」
自分の着ていた上着をクリスに羽織らせ、パーシヴァルは早々に医務室に向かった。

カルテ処理で徹夜だったミオから解熱剤を貰い、即クリスの部屋に入室した。
ベッドに横たわり深々と毛布を被っているクリスの白肌は熱を帯びやや赤らんでいる。
薬と水の入ったグラスをテーブルに置き、枕元で密やかに声をかける。
「大丈夫ですか、クリス様。薬をお持ちしました。」
「…すまない、パーシヴァル。」
いえ、と被りを振り、グラスと薬を差し出した。それを取る手も震えており、かなり重症のようだ。
「…玉薬か…参ったな…喉が痛いのだ…。」
「……では、私が飲ませて差し上げましょうか?」
ぽかんと口を開けて何を言っているのか良くわからない表情でこちらを見たクリスにニコリと笑いかける。
グラスと薬を受け取り、それらを口に含んで立ち上がり、クリスの頬を両手で上向きにする。
指先に伝わる彼女を苦しめる体温の熱が、暖かかった。
戸惑いがちに見上げるクリス。
「一体何を?ねぇ、パーシヴァ…」
自分の名を呼び終わらない内に口付け、ゆっくりと薬と水を流し込む。
クリスは瞳を見開いて体を強張らせたが流れこむ水と砕けた薬の新鮮な感触に緊張を解いてゆく。
ごくり、とクリスの喉が鳴ったのを確認し、一度唇を引き離す。
潤んだクリスの瞳は熱のせいなのか。それとも。

「……愛しています、クリス様。」
ずっと胸に抱きつづけていた言葉。
幾千の女の中で、最も美しく、最も愛おしい存在。
親しい同僚がバカ正直に贈る眼差しを羨ましく思った時さえある。
女と適当に付き合う事を学んでしまった自分には、
誠に愛する人にでさえどうとでもない振るまいが出来てしまう。
もしかすると、一生内に秘めたままだったかもしれなかった言葉を…。
「パーシヴァル……すまない、」
詫びの言葉に果てしない絶望が振りかかる。
このショックはらしくもなくさぞかし顔に出ている事だろう。
「…わかりました。そのお気持ちを聞けただけで十分です。
 私こそクリス様のお気持ちも考えずこんなご無礼を…。お許し下さい。」
「ちっ…違うのだ!!聞いてくれパーシヴァル!」
「…?」
首を傾げ、見つめるパーシヴァルの視線を逸らして俯き、クリスはもごもごとくぐもった声で呟いた。
「その…私は…すごく、すごく嬉しいのだ。こんな…剣しか取り柄の無い私が…
 誰かに愛されるなど……考えてもみなかった…。
 だけど…こういう時に一体どうすればいいのかよくわからなくて……。」
「…………では?」
「…っと…私も……お前が好きだ…。お前の言葉で…やっと気付く事ができた…。」
熱とはまた別の理由で染まる頬と、僅かに微笑んだ笑顔が美しい。

「クリス様…ありがとう、ございます。」
そう言って交わした口付けは甘く、そして深く。
「…っん…。」
舌先で器用に絡め取るようにクリスの口内を弄る。
時折唇が離れる度に漏れるクリスの吐息と嗚咽に理性麻痺を誘う。
口付けを交わしているうちにしばしは対等だったバランスが徐々に傾き、
自然とクリスはベッドに体を委ね押し倒される形になっていた。
クリスの両肩を抱いて覆い被さったパーシヴァルは最後通告とばかりに問う。
彼女を無下に傷つけたくない彼なりの優しさ、なのだろう。
「……よろしい…のですね?」
クリスが視線を逸らし、首を縦に振る。耳まで真っ赤だ。
それが熱のせいなのかどうかなど―――もうどうでもよかった。

質の良いクリスの夜着をゆっくりと肌蹴させ、覗いた胸元からするりと手を侵入させる。
先端が既に固くなり始めた形の良いふくらみを優しくもみしだく。
「んっ…はぁっ……」
熱も重なってか吐き出される吐息の暖かさはとてつもない色香を含んでいる。
乳房を覆っていた手を先端にもってゆき、転がすように弄んだ。
「ふぁっ…んっ…」
「我慢なさらずにお声を出してください。」
「だ、だが…」
「私が…望んでいるのです。」
「わ…わかった…ひゃぅっ…!」
先端の刺激を指先から舌に変えて責める。
「あぁっ…!はっ…んっ…!」
優しく舐め、時に歯を立て、言い表せぬ彼女への想いの伝手を表現するたびに小さな悲鳴が上がる。
「クリス様…お綺麗です…。」
「…クリス…と呼んで欲しい…。パーシヴァル、お願い。貴方の前だけでは、騎士ではなく一人の女でいたい…」
覆い被さるパーシヴァルの頬を両手で包み、目尻に涙を蓄えながら訴えるクリスはそれは官能を誘い。
「わかりました…。では、私…いや、俺の事も、いつしかそう呼んでくれたように…」
「…ええ、わかったわ。―――パーシィ。」
互いに微笑み合い、いつしかたった2人で出かけたパーシヴァルの故郷での出来事を思い出す。
思えば、彼女をこんなにも愛しいと、全てを奪ってしまいたいと思ったのもあの頃。
騎士である彼女を女に戻してしまうことに多少の罪悪感を抱きながらも、もうパーシヴァルは己の理性を
止められる事ができなかった。クリスも、彼の全てを受けとめようとしていた。

乳首を舌先で弄んだまま、指先をクリスの下半身に辿らせる。
器用に衣服を取り払い、下着を降ろしながら柔らかな茂みに触れる。
「はぁっ…ん… そ、そこは…」
既に濡れそぼったソコに指をのめりこませるとくちゅ、と音を立てて液体が溢れる。
「クリス…もうこんなに…。」
パーシヴァルの人差し指と中指の間でクリスの液体が糸をを引き、窓から侵入する月光できらきらと光った。
「綺麗だ…クリス。」
更に指を這わせる。始まりは外を辿るように、そして徐々に中央に寄り添ってゆく。
「あぁっ… ん……パーシィッ…」
肢体を逸らして痙攣を起こしかけるクリスをそのまま指だけで責めたて続ける。
「あ…あぁ…だめ…イッちゃう…」
「イッていいよ…最高のクリスを見せて欲しい…」
「…私だけじゃ…ダメ…」
そう言ってクリスはパーシヴァルのズボンと下着を降ろす。
既に張り詰めたそこを優しく触り、クリスは微笑んだ。
「2人で……」
「……そうだな…」

パーシヴァルの先端がクリスに挿入され、愛液が一気に溢れ出す。
「大丈夫かい…?」
「構わない…き…来て…」
自身をゆっくりと進み入れ、徐々に2人の感覚が狭まってゆく。
「あぁぁっ!!パーシィっ…!!」
空間を埋められる感覚にとろけそうになりながらクリスはパーシヴァルにしがみついた。
鍛え上げた彼の体がこんなにも頼りになるとは思ってもみなかった。
いつも前線に立っていたのは、私のはずだったのに…。
「入った…」
パーシヴァルの根元までを受け入れたクリスの意識はもう既に飛んでしまいそうだった。
ただ、そこにある彼の存在と体温だけが意識を繋ぐ唯一の糸だった。
(こんなにも弱かったのか…私は。)
己の脆さを嘲笑い、女として居る事に不安さえ覚える。
剣だけを握り、騎士としての生を誓った私が―――。
でも、そんな私を女として欲してくれる人がいて…本当に、私は幸せだ…。
「パーシィ…」
抱えた愛しい名を呼ぶ。
「クリス…愛している…。」
甘い言葉と共に膣中の物体が動作を始めクリスの至る部分を快感の渦に陥れる。
「ひゃっ…うっ…!!んんっ…!」
「うっ…すごいよ…クリス…。君の中で出してもいいかな?」
「わかった…来て…貴方の全てを…受け入れるから…」
激しくなった動作に揺さぶられ意識を朦朧とさせながらもクリスは必死にしがみついた。
「あぁぁっ…パーシィィっ!!」
突き上げられるような感覚でパーシヴァルの液がクリスの液と交じり合って子宮内を埋め尽くす。
「はぁっ…はっ……!!あぁぁぁぁ!!」
前進から這い巡る快感で絶頂に辿りついたクリスは眩暈を覚え、そのままパーシヴァルに寄り添った。

その後、パーシヴァルの腕の中でクリスは呟く。
「日が明けてしまえば私もただの騎士に戻ってしまうのだな…。」
「…だが、俺の前だけでは違う…。」
「え?」
「貴方は銀の乙女であり炎の英雄。しかしその前にただの…クリスという一人の女だ。
 俺はそれを知っている…。それだけでは…不満だろうか?」
「…いや。ありがとう、パーシヴァル。そして…これからも貴方に頼っていいのだろうか…。」
「勿論…。」
きつく抱き合って、クリスは久しぶりに暖かく安らか眠りに着いた。

翌日、クリスが引いた風邪は見事にパーシヴァルに移り、
パーシヴァルは特別休暇とクリスの手厚い看護を受け、他の騎士達と1週間口を聞いてもらえなかったと言う。

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