シュウ×ヨシノ 著者:10_304様

ことはとある街角でが発端だった。

「まちなさいこそ泥ぉっ!!」

ラダトの街中を怒声が響き渡る。
最近結婚したばかりでサウスウィンドウに赴任中の夫の留守を守る妻、ヨシノ。
その声が響いていた。
どうやら泥棒を追っているらしい。その手には、長刀。

「待てと、待てといっていますっ!」

追う。
とおりをひたすらにおい続ける女はその進行方向に、厳重に護衛された馬車があることに気がつかなかった。
と言うよりは、こそ泥を追うことに血が上っていたというべきだろうか。

「ほーれっ!!」

こそ泥は馬車を一気に飛び越した。
そして反対側をかけていく。周囲の護衛たちの怒声が響くが問題はそのあとだった。

「と、とまらなあいっ!!」

スピードが乗りすぎていたというべきだろう。
ヨシノは飛び越したこそ泥を追って飛び越そうとした、が。

聞こえてきたのは、破砕音だった。

後日。
シュウの屋敷。
そこで神妙な顔をしたヨシノの姿があった。
正面には、イスに座り、とんとんとテーブルを叩くシュウの姿。
そして。
ヨシノの前には一つの請求書。

30万。

「せいじのつぼを買い付けて欲しい。と言う依頼でね。運んでいたのは全てそれだった。
 しかし、君がその全てを破砕してくれたわけだ。」
「…も、申し訳ございません…」
「何、怒っているわけではない。こちらも商売ではあるが、信用問題なのだ。
 期限がすぐそこ。しかし商品が集まらない。納入先がラダトだということが幸いしたが」

怒っていない、と言うのも嘘だ。
怒ってはいる、しかし金額を払えれば許そうと言うレベルだ。

「その金額を払ってもらいたい。現状君の行為によって生じた損害額だ」
「こ、こんな金額…」
「払えないというのか?全ては君のやったことだが」
「…ほ、他に何か…なんでもしますからっ!」

シュウはふむ、と一息。
ヨシノのすぐそばに歩み寄り一言。

「脱げ」

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