トウタ×ミオ 著者:5_299様

最後の決戦も間近となった。犠牲者を1人でも減らすために、できる限りのことをしなくては。それが軍医としての自分の務め──。
月明かりが差し込む診療所。トウタは最後の戦いに備え、医療器具をまとめていた。
「ホウアン先生…今回もよろしくお願いします」
呟きながら、師・ホウアンから譲り受けた医学書も鞄にしまい込んだ。その内容はすべて頭の中に入っているが、いわばお守り代わりだ。

コン、コン。
「トウタ先生……」
ノックとともに看護婦のミオが入ってきた。
「ミオさん……どうしました?」
「遅くにすいません。なんだか、身体がおかしくて…。少し、診ていただけませんか」
そう言いながら、ミオは患者用のイスに腰を落とした。頬は赤く、目は潤んでいる。
「大丈夫ですか。じゃあ、聴診器を当てますので、む……」
胸を出してください。そう言いかけて、トウタは口ごもった。
……診察で女性の肌が目に入っても、やましい気など抱かない。以前は多少緊張したものの、最近は慣れた。
だが、相手は密かに想いを寄せている女性。意識せずにはいられなかった。
あぁ、何を考えているんだ僕は……。
プチ…プチ…。
「先生、お願いします…」
思い悩むトウタをよそに、ミオはシャツのボタンを上から3つほどはずしていた。
白く美しい彼女の胸がシャツの隙間から垣間見える。
トウタは思わず顔を赤らめながら、その透き通るような肌に見入ってしまう。
「先生…」
「あ、は…はい。じゃぁ、失礼します…」
ミオに促され、聴診器をその胸元にゆっくりと滑り込ませた。
胸、腹部と聴診器をあてていくが、特に異常は見られない。
あるとすれば、やや鼓動が早いこと。彼女も緊張しているのだろうか。だとしたら……
「「先生」」
聴診器を通して、ミオの声が耳に響く。
「はイっ」
少々驚き、頓狂な声を出してしまうトウタ。

「聴診器じゃなく、直に耳を当ててくれませんか…」
「ははハイ?」
さっきよりもさらに頓狂な声が口を飛び出る。
「直に聞いてもらった方が良い気がするんです…」
何? 何て言ったんだ、今。聴診器の性能なら、今この耳で確かめたばかり。直に? 耳を…
「胸にっ?」
「はい…」
「でも、その…」
「お願いします…」
そう言いながら、ミオはさらに胸をはだける。もう少しで、頂が見えそうなほどに。
これは……もしかして、僕は誘われているのだろうか…。…いや、何を考えている。そんなことは…でも、なぜ聴診器では駄目なんだろう。……と、とにかく耳をあてなければ……。
そっと右耳をミオの胸の合間に近づけていく。ミオの鼓動より先に、自身の鼓動が聞こえてくる。
これじゃぁ、耳を当てても何も聞こえないな……。
ミオの右の乳房が視界に入る。ミオの身体から、その熱気が伝わってくる。そして、ミオの肌に、右耳が

「えいっ!」
「うわっ!?」
ガタガタッ。
「あはははははははははははは。ひっく…。ふっ、ふふふふふ」
右耳が触れようとした瞬間。何を思ったか、ミオは乳房を寄せ、トウタの顔を挟んでしまった。
トウタの驚きように笑いがこらえきれないといった様子だ。床に座り、上半身をベッドに寄りかからせるような体勢で笑い続けている。
…お酒の匂いがした。ミオさん、酔っていたのか……。
驚き、椅子から転げ落ちたトウタ。その鼓動はさっきよりも早くなっていた。そして頬にじんじんと残る柔らかい感触を思い出し、また少し、早くなった。
「ひっく…ふふ、ふふふふ。ごめんなさい」
ひとしきり笑い終えたようで、ふぅと息を吐き、言葉を続けた。
「ふふ……あなたの照れてる顔…好きなんです」
はにかむミオに見とれていたトウタは、突然の言葉にますます顔を赤くする。
え? え? 今なんて? 好きって……? あなた? どういう意味で……。僕のことが? いや。でも、確かに…。あぁ、でも。

戸惑いは加速し、混乱してしまいそうになる。顔は熱くなるばかり。
いや、落ち着け。落ち着け。ただ照れた顔が好きだと言われただけ。今なら“僕もあなたが好きです”って、違う! そうじゃなくて……。いや、…今なんて言ったのか、さりげなく尋ねよう。もう一度聞こう。それだ。落ち着け…。
「あ、あの…」
すー…すー……
声をかけようとして、トウタはようやくミオが寝てしまっていることに気づいた。
「……ふぅっ」
鼓動がようやく落ち着き出す。
ミオの寝顔を覗く。透き通る肌に、頬だけ赤みが差している。本当に愛らしい。心からそう想う。
よほど酔っていたのかな。ミオさんがあんな悪ふざけをするなんて。
……まだ、露わになったままの胸が目に入る。手を伸ばせば、丁度手のひらに収まりそうだ。頬に感触がよみがえる。もう一度触れたい、…でも…。

バタン!
「ミオ! 居るかい。宴を途中で抜け出すなん……ん?」
「あっ」
「おっ」
ノックも無しに入ってきたルシアは、トウタとミオを交互に見やり、意味ありげに目を細めた。
「ふぅ〜ん、“僕”も随分大胆になったじゃないか。酔った女を襲うなんて」
「ちがっ、違います!」
いや、胸に手を伸ばしかけていた。全く違うわけでもない。そう思うと余計に声が高くなった。
「都市同盟にいた頃は、あんなにかわいかったのにねぇ」
「いや、だから…」
「まぁ、優しくしてやりな。私も未亡人だし、その娘の寂しい気持ちはわかる。そう、腰を痛めない程度に愛してあげることだね。ふふふ」
言うが早いか、ルシアはドアを閉じ、行ってしまった。
「はぁ…」
すっかり気持ちは萎えていた。
悪いことはできないものだな、そう反省しながらミオの衣服をそっと正す。
こんなところじゃ風邪をひく。ベッドに運ぼうと、トウタは、彼女を優しく抱きかかえた。
「よっ…と」
ベッドにミオの身体を横たえる。
「んん…」
ふいに彼女が呻き声を漏らした。そして、ゆっくり両腕をあげたかと思うと、そのままトウタの首に絡みつけられた。

「えっ……」
両腕は抱え上げた時の位置のまま、ベッドとミオの間に挟まれている。彼女の唇から漏れる息が、トウタの鼻に感じられるほどに近づいていた。薄く……しかし、どことなく艶やかなその唇。また鼓動が鳴り始める。トウタは吸い込まれるようにゆっくりと唇を近づけた。

「死なないで……」

彼女の声にハッとし、我に返るトウタ。……寝言だろうか。身を起こし、彼女の顔をのぞき見ると、その頬には涙があった。
(私も未亡人だし、その娘の寂しい気持ちはわかる)
ルシアの言葉が、脳裏に響く。
かけられたミオの腕をそっと外し、その場を離れる。
……今の言葉は、夫に向けられたものだ。おそらくその前の「好き」という言葉も。
彼女は、戦場で夫を亡くしている。そして皮肉なことに、その戦場で僕と彼女は出会った。
3年前のあの戦場から、彼女の心は変わってなどいない。亡夫を想い続けている。
僕が…彼女に想いを寄せることなど、してはならないんだ……。
トウタの心の中は、自己嫌悪と悲しみでいっぱいだった。
……決戦は間近。彼女への想いは、今しばらく胸にしまい込んでおこう……。

    *     *     *

「ミオさん! 早く、こっちです」
「はい!」
──儀式の地。
戦いの終わりは近づいていた。

「……すまないね。…こんなところまで」
クイーンは、か細い声でそうつぶやいた。出血がひどいのか、蒼い顔をしている。
「トウタ先生」
「大丈夫、とりあえず足の傷を止血しましょう」
素早く、的確に処置を進めていくトウタ。戦場では、いつもの頼りなさげな青年は見あたらなかった。
「そういえば…エースとジョーカーは……」
「お二人は通路でモンスターを食い止めてくれています」
トウタの補佐をしながら、ミオが答える。
「ふん…私を置いて逃げちまったのかと思ったよ」

「へぇっくしょいおぅ!」
「ずいぶんと豪快なくしゃみじゃな、臆病風に吹かれたか? エース」
「違うよ、女が俺の噂してんだ。もちろん美女がな」
「ふん……この怪物どもを倒さん限り、待っているのは美女でなく地獄の鬼じゃがの」

ゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

遺跡に地鳴りが響き始めた。かなり揺れは大きい。
「トウタ先生…」
「よし、止血完了。……もう、いつ崩れ出してもおかしくないですね…」
15年前、ルルノイエの崩壊がトウタの脳裏に浮かんだ。
紋章の力は強大だ。こんな遺跡など造作もなく崩してしまうだろう。
「おい! クイーンはどうだ!?」
エースとジョーカーが戻ってきた。どうやらモンスターを片づけたようだ。
「大丈夫です。とりあえず、この遺跡を脱出しましょう! 」
「よっし、クイーン! しっかり掴まれよ」

よし、クイーンさんは、エースさんがおぶってくれる。エースさんの素早さなら、それでも十分脱出できるだろう。ミオさんのフォローは僕が……
ガラッ…
今まさに崩れ落ちようとしている天井が、トウタの視界に入った。ガラガラと音を立てて落下する岩盤、その下にはミオ。トウタの身体は勝手に動いていた。

「…………!」
………。誰かの声が聞こえる……。叫んでいるみたいだ…。
「…な……!!」
身体が言うことを聞かない……。もう…死んだのかな……。もう……

「死なないでぇっ!!」
トウタの上の岩盤を押し上げながら、ミオが涙ながらに叫んでいた。
エースとジョーカーも手伝うものの、なかなか上がりそうに無い。

ミオさんの声が聞こえる……。『死なないで』……か。もしかすると、あの時の言葉も、全て僕に向けられていたものだった……っていうのは……都合の良い考えかな……。
「お願い! 目を開けて!!」
…………でも…………。
……万が一そうだったなら…ミオさんは2度も同じ苦しみを味わうことになる……。
それだけは駄目だ…。それだけは…………それだけは!

「……くっ…うぅ…」
「トウタさん!!」
意識を取り戻したトウタ。しかし、岩盤は、彼の身体をくわえたまま離そうとしない。
「ミオちゃん! 俺たちがこの岩なんとかするから、先生を出すんだ!」
「ふう、体力は残っておるのか? わし一人では上がらんぞ」
「ねえけど…何とかするよ。クイーンの恩人だ。じいさんこそ、腰いわせるなよ」
「ふん、いくぞ」
「どりゃっ!!」
一瞬だけ、岩盤がその重い口を開いた。
ミオが、脇から抱きかかえるように、トウタを一気に引っぱり出す。
「……トウタさん……」
ようやく解放された彼の身体を、ミオは確かめるようにしっかりと抱きしめた。

    *     *     *

──1カ月後。

「ふわ〜ぁ」
診療所のベッドで、トウタはあくびをかいていた。

「トウタ先生、いつまでもベッドの上じゃ駄目ですよ。もうみなさん退院なさって、残りは先生だけなんですから」
お湯を張った洗面器とタオルを持ったミオがたしなめる。
「う…すいません。でも、みんなの回復力は尋常じゃないですよ」
「ふふ…。身体、お拭きしますね」

あの遺跡で何とか一命を取り留めたトウタは、あと少しで全快というところまで回復していた。
多くの負傷者が出たあの戦いの後、ミオは仲間の協力を得ながら、診療所をトウタの代わりに切り盛りしていた。
ミオさんには、命だけでなく、この診療所まで助けられてしまったな……。

「……あっ」
脚を拭いていたミオがかすかに声をあげた。頬を染め、それでも視線はそこから離そうとしない。
「ミオさん? ……あっ!」
拭われる刺激に耐えきれなかったのか、トウタのその部分は既に大きく屹立し、下着から飛び出ていた。
「あっ、わっ、その、ちっ違うんです」
愛する女性に、無防備なその部分を見られたことで、トウタの顔は一気に紅潮する。
「は、はい。……でも……それだけお身体が良くなった…ということです…よね」
そうつぶやくと、ミオはタオル越しにトウタのそれをしごき始めた。
「ミオさん!? うっ」
「あ…あの…このままだとお拭きできませんし……出された方が…身体にもいい…ですよね」
ほんのり赤く染まった頬を、さらに赤くしてミオが言う。
「ミ…ミオさん」
「先生……」
「ミ…ミオさん、その…タオルがこすれて…痛いです…」
「えっ」
ミオがタオルを離すと、そこは少し赤くなっていた。
「ごっごめんなさい! 大丈夫ですか!? ヒリヒリします?」

「そ、そんな大げさにならなくても、大丈夫ですよ。唾でもつけときゃ」
パクッ
トウタが言い終わらぬうちに、ミオはその艶やかな唇で、彼のそれをくわえていた。
「えっ?」
驚くトウタ。しかし、その驚きもすぐにかき消され、心地よい刺激に襲われる。
「ミオさん…唾をつけるっていうのは、言葉の…あっあやで…」
柔らかく唾液でぬめった舌と唇がモノを這っている。ゆっくりと頭を上下させるミオ。
ちゅぽっ
「ト、トウタ先生…出そうになったら、そのまま出してくださいね…」
濡れ光る唇でそう言い終えると、再びトウタの下腹部に頭を沈めた。
笠の部分から根本まで、忙しくミオの唇が往復する。トウタのそれはさらに膨れ上がる。
「も、もう駄目です…ミオさん…くっ」
我慢の限界に達したそれは、「びゅるっびゅるっ」という音とともに、ミオの口内で大きく跳ねた。
「んっ! んんっ」
4回ほど跳ねた時点で、ミオの口の中は白い粘液で溢れ返った。しかし、まだその律動は止まらない。思わず唇を離したミオの顔に、襟に、胸元に、トウタの1カ月分の粘液が襲いかかった。
「はぁはぁ、す、すいませんミオさん…」
ごくっ、くっ、くっ…
「はぁ……けぷ。…いっぱい……ですね…」
口内に残っていたものを飲み下すと、粘液にまみれた顔で、トウタに笑顔を向ける。
「あっ! い、今拭きます」
トウタは、さっきまで自分の股間を拭いていたタオルで、ミオの顔を拭った。
「もう…残ってないですね。大丈…ん…」
トウタの言葉を遮って、ミオの唇が重なる。驚きに見開かれ、そしてゆっくりと降りていくトウタの瞼。
診療所内が、シンと静まり返り、ようやくミオの唇が離れる。
「……ミオさん…」
「………」
頬がますます紅潮しているミオをそっと抱き寄せる。トウタの胸に顔を埋めるミオ。
「……先生…脇腹に何か、当たります」

見るとトウタのそれは、未だなお硬さを失わずそそり立ち、その存在を主張している。
「あ…」
「やっぱりまだ……足りないですよね」
そう言って、トウタのそれに手を伸ばすミオ。トウタも、ミオのシャツのボタンを外し、そっと胸へと手を滑り込ませる。
「あっ…先生…」
お互いに言葉が少なくなっていく。しかし、却って心は通じ合っているように思えた。
「はぁっ」
ミオの柔らかい胸が揉みしだかれ、その形を歪ませる。
この前は、ちらりと覗いただけであんなにも緊張したのに…。今は、違う。彼女の気持ちがわかる。彼女の感じ方が伝わってくる……。
そのまま、ミオのスカートもたくし上げ、指を滑り込ませる。
「先…生っ」
下着の横から指を滑り込ませると、そこはすでに雫が垂れそうなほどになっていた。
「ミオさん…こんなに…」
「言っちゃ…駄目…」
ミオの愛液を潤滑剤に、突起をゆっくりとこねる。
「ひゃぅっ」
思わず喘ぐミオ。自分の声を恥ずかしく思ったのか、人差し指の背を噛み、必死に耐えている。
優しく、ときに激しく突起をこねくり回していく。スカートに隠れてその部分は視認できないが、手にからまる愛液の量で、ミオが感じていることは充分にわかった。
「ふぅ、ふぅっ、ふっ!」
指をくわえたミオの口から、吐息が漏れる。目を閉じ、頬は真っ赤。
「ミオさん……我慢しなくていいですよ」
トウタは、左手でミオの手を掴むと、その唇から指を離させた。そのままの体勢で右耳にキスしながら、一気に激しく突起を擦りあげる。
「ひゃっ! あっ、あああああああぁっ!」
びくびくとミオの身体が激しく痙攣する。どうやらイッたようだ。はぁ、はぁ、と息を切らせながら、まだ波打つ身体を押さえようとしている。
「大丈…夫ですか? ミオさん」
トウタの腰のあたりで息を整えるミオに、心配そうに声をかける。
「大丈夫……」

身体を起こそうとすると、頬にトウタのモノが触れた。さっきよりも固くなっている。今の愛撫のお返しとばかりに、もう一度くわえるミオ。
「うあ…」
イッたばかりだからか、ミオの口の中はさっきよりも熱くとろけている。
「先生。あたし、もう…」
さらに大きくなったトウタのそれから唇を離すと、ミオは目で懇願した。
衣服を脱ぎ落としていくミオ。
「ミオさん、僕も…」
「先生は動かないで…」
身体を起こそうとするトウタを遮り、裸になったミオがベッドに上がってくる。
細く、程良い肉付きで柔らかそうな肢体。透き通るような肌がまぶしい中、その部分だけがいやらしくぬめって光る。
ミオは、自らのその部分をトウタのそれにあてがった。差し込む光が彼女を照らす。とても淫靡だと、トウタは思った。
ヌ…ニュルル…
ゆっくり腰を落とす。ミオの穴は、潤滑油のおかげで、トウタのそれをいとも簡単に飲み込んでいった。
「あっ…うん」
「ミ…オさん…」
ミオの肉壁が、トウタのそれに積極的に絡みついてくる。腰がぶつかり合う音に混じって、「ニュルっニュルっ」と卑猥な音がかすかに聞こえる。
熱くって……柔らかい…。彼女に包み込まれている部分もそうだけど…腰骨にあたるヒップも、その胸も、唇も……。
「先生……」
ミオの方も、ゆっくりと腰を上下させ、自らの中を硬いモノでえぐられる快感に震えていた。彼女の腰の動きが、少しずつ早くなっていく。
それに合わせて、トウタも下から突き上げる。
「ミオさん、ミオ…くっ!」
「トウタさん、はぁ、あっ! あぁああああっ!!」
トウタのそれが、ミオの中で一気にはじけた。粘液をどくどくと吐き出しながら、ミオの肉壁をたたき続けている。
「はあっ、はあっ」
喘ぐミオを、挿入したままきつく抱きしめるトウタ。
彼女が落ち着くのを待って、静かにささやいた。

「僕の身体が完治したら、また他の地へ赴くことになるでしょう。その時は、看護婦としてではなく、その…奥……さ…というか……。えっと…その……ずっと、……ずっと一緒に居てくれ…ませんか…」
身体を起こし、トウタの顔を見つめるミオ。その目から涙がぽろぽろこぼれる。
そして、つぶやいた。
「死なない?」
「えっ?」
「もう、あの時みたいに、危ないことしない?」
涙の数が増えていく。
「私のことなんか助けなくていいから、だから…」
震えるミオの身体を再び抱き寄せるトウタ。
「大丈夫。死にませんし、誰も死なせません。それは医者として、そして……あ、あなたの…その……伴……侶…と……して……」
どうしても口ごもってしまう。顔はまた赤くなってしまった。
「先生、…顔上げてもいいですか?」
泣きやんだ様子のミオが耳元でささやく。
「だっ駄目です」
とてもじゃないが、こんな格好の悪いところを見られたくは無い。
しかし、ミオは強引に身体を起こし、はにかみながら言った。
「先生の照れてる顔が好きなんです」

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