〜 Valentine 〜  


1
 
今日は2月14日、地球ではValentineである。 無論地球外からきたラム達もこの日を利用しない手はないと考えてい
た。 ラムはあたるに、ランはもちろんレイにあげるためにもう何日もチョコレート探しをしていたのだ。
ラム;これをあげたらダーリン喜ぶっちゃ〜。
ラン;これでレイさんのハートはわいのもんじゃー!!
さてこちらは面堂邸。 古参の黒子に聞くと了子様は毎年ヴァレンタインとなると必ずうきうきしてチョコレートを用意する
と言っていた。 今年も例年通りチョコレートを用意したが少し事情が違っていた。 諸星あたるの存在である。 言うまで
もないが了子様もしっかりこの日のための用意をしていたのだ。
了子;諸星様!
あたる;了子ちゃん、どうしたの?
了子;これ、受け取ってくださります?
あたる;こ・・これはまさか?・・?
了子;そのまさかですわ。
あたる;了子ちゃん、うれしいよ〜。
そう、了子様は諸星あたるにチョコレートを渡したのだ。 無論何の仕掛けもない正真正銘の本命チョコレートだったの
だ。 飛龍には当然の結果と言ってもよいものだったが多くの黒子にとっては意外な結果でもあった。 もちろん若とトン
ちゃんにもチョコレートの用意は忘れていなかった。
黒子;シュルルルッ(若に目隠し)
若;なっ、何をするっ!
黒子;若、落ち着いてください。
了子;はい、お兄様、あ〜んv
若;なんだ了子か。
了子;そうですわ。
若;最初からそう言ってくれればよかったのだ。
了子;それじゃ、あ〜ん。
若;(口を開ける)
了子;(兄の口にチョコレートを入れる)
若;(ちゅどどどどどどど/爆弾)
了子;くすっ。
若;ほぶほふえ〜(おのれ〜!!)
飛龍;やりましたな。
・・・・・・・・・・
黒子;(飛麿発見)了子様、こちらでございます。
飛麿;りょ、了子ちゃん!
了子;飛麿様、お会いしたかったですわ。
飛麿;(逃げようとする)
黒子;逃げてはなりませんぞ。
了子;これをお渡しに参りましたわ。
飛麿;ず・・ずいぶん大きなチョコレートだな・・(冷汗)
了子;飛麿様、あ〜んv
飛麿;(雰囲気にのせられて口を開ける)
了子;(飛麿の口にチョコレートを入れる)
飛麿;(ぱん すぱぱん ぱん/花火)
飛龍;おお、これは・・
飛麿;わ〜ん(泣)
これは例年通りと言えるものだったようだ。 この仕掛けはこのようにして作られていたのだ。
飛龍;了子様、ヴァレンタインの用意でございますな。
了子;ええ、すばらしいものを用意しますわ。
飛龍;何かあった時には遠慮なく我々黒子をお呼びくださいませ。
了子;あら、頼もしいわ。
ヴァレンタイン前日である2月13日、了子様はチョコレートの用意をしていた。 
了子;黒子、来なさい。
黒子;はっ、何でございましょう。
了子;お兄様のチョコレートに爆弾を、飛麿様のチョコレートに入れる花火とそれを作動させるための信管を持ちなさ
い。
黒子;はっ!
黒子;(爆弾、花火、信管を用意/噛むと発火するように設定)
このようにして若とトンちゃんの分のチョコレートは作られていたのだ。 毎年参加している黒子が信管の設定にあたっ
ていたがその手つきは見事なものだった。 他にも若にはカラシ、ワサビ、激ニガ、トンちゃんにはショウガ、タバスコ、
劇甘を用意していた。 一方諸星あたるに渡したチョコレートのほうだがこれに関しては企業秘密とされたためここでの
公開は不可能である。 ただしチョコレートを渡す現場をある人物に目撃されていたために危険な事態が発生してしまっ
た。
ラム;ダーリン、このチョコレートはどういうことだっちゃ?
しのぶ;あたる君、誰からもらったの!?
あたる;了子ちゃんに決まってるじゃないか〜♪
しのぶ;浮気者〜!!
ラム;天誅だっちゃ〜!!
あたる;(逃亡)うぎゃ〜!!
ラム;(電撃)
しのぶ;(机投多連装)
あたる;(了子ちゃんのチョコレートを全部持って逃亡)
ラム;せっかくダーリンのために苦労してチョコレート作ったのにどうしてくれるっちゃ〜!!
あたる;ラムの手作りが俺の口に合う味なわけがあるかー!!
ラム;ダーリンひどいっちゃ、どうすればそんなことが言えるっちゃーっ!!
しのぶ;あたしだってあたる君のために苦労して手作りしたんだからね!
あたる;だったらなんで渡さないんだー!
しのぶ;了子ちゃんからそんなにもらってるんならもう充分でしょ!!
あたる;以前は必ず俺に渡してたくせにー!!
しのぶ;それはまだラムとも了子ちゃんとも知り合う前でしょ!!
・・・・・・・・・・
了子様は最後に我々黒子全員にチョコレートを配るということも忘れていなかった。 なお後日諸星あたるの元にはおユ
キさんからもチョコレートがとどけられていた。 もちろんおユキさんのチョコレートというだけあって冷凍になっていたの
は言うまでもないが別に何か仕掛けてあったとかいうことではない。 
--------------------------------------------------------------------------------

2
 
さて、地球ではあたるをめぐってラム、しのぶ、了子様が入り乱れて争うヴァレンタインを迎えている頃、別な場所では
またある者がうきうきしながらヴァレンタインのチョコレートを運んでいた。
ラン;らん らん らん♪
そう、チョコレートを運んでいるのはランだったのだ。 もちろんお目当ての相手はレイ1人である。 レイは待ち合わせの
場所でランがチョコレートを持ってくるのを楽しみにを待っていた。
ラン;レイさ〜ん。
レイ;(人型に戻る)ラン
ラン;今日はチョコレートいっぱい持って来たのよ〜。
レイ;(虎牛変化)ぶき〜っ
ラン;いっぱいあるわよ、好きなだけ食べてね。
レイ;ザラザラ(喰)
だがここはラン、ただのチョコレートではなかったのだ。
ラン;(このチョコレートは奪魂糖入りじゃい)
そう、ランはチョコレートを作る際に奪魂糖を溶かして混ぜていたのだ。 以前の失敗にも懲りず再挑戦しようとしていた
のだ。 だがそううまくはことが運ばないのだ。
レイ;(虎牛)ポン ポン(頭上にハートのかけらが少しずつ出てくる)
ラン;(がっ、これじゃいつとるんじゃい)
レイ;(頭上のハート片に気付かず食べ続ける)
そう、チョコレートに奪魂糖を溶かし込んだはよいがそれを何も考えずにいくつもの型に分けて入れてしまったため効果
が分割されてしまったのだ。 そのためレイがラン特製のチョコレートを1個食べるごとに極微小なハート片が出てくると
いうありさまだった。
ラン;(まずいわい、全部出る前にとったらレイさんのハートは完全にはつかめないやんけ、でも最後の最後まで出揃うま
で待ってたら時間かかりすぎじゃい、それにそんなに待っとったらレイさんがハートに気付いて食うてしまうやんけ)
こうして時間が経過していくうちにレイは頭上のハート片に気付いてそれを食べてしまったのだ。
ラン;がっ・・
レイ;(人型に戻る)ラン?
ラン;(ふるふるふるふる)おいしい?
レイ;うん
その後残りのハート片もレイの頭上に出たがこれも気付き次第食べてしまったので今回もランの奪魂糖作戦は失敗し
たのだった。 こうしてランが苦心の末に作り上げた手作りチョコレートも全ていつものデートで携行するものと全く同じこ
とになってしまった。

--------------------------------------------------------------------------------

3
 
さて、ランがレイに奪魂糖入りチョコレート作戦を決行している頃地球の友引高校購買部ではある男女の間にヴァレン
タインのことで1騒動起きていた。
渚;〜♪
竜之介;おい渚、昨日から何やってんだ?
渚;ナイショですわv
竜之介;そうか・・(何考えてんだ?)
渚;ところで竜之介様は何をしてますの?
竜之介;言うわけねえだろ。
そう、友引高校購買部ということでほとんどの人がわかったと思うが1騒動起こしたある男女というのは竜之介と渚のこ
とだったのだ。 父によりおかしい育て方をされたこの2人にもヴァレンタインのことはちゃんと教えられていたのだ。
渚;竜之介様♪
竜之介;(ギクッ)な、何だよ・・
渚;はい(渡)
竜之介;何だよこれは?
渚;あら、今日は2月14日ですわよ。
竜之介;ってことはまさか・・
渚;そのまさかですわv
予想していた人は多いだろうがこの男女逆転カップルのヴァレンタインは男である渚が女である竜之介にチョコレート
を渡したのだった。 もちろんこのチョコレートは渚の手作りだった。
竜之介;ガサガサ(開封)
渚;(うきうき)
竜之介;・・(絶句)
中から出てきたのはハートの形をしたチョコレートだった。 そしてそこにはハートつきで『竜之介様』とピンク色の文字が
書いてあったのだ。
藤波父;渚、えらいぞ!
潮渡父;竜之介君、おめでとう。
竜之介;おいちょっと待て、俺がどうしたってんだ!
渚;竜之介様のために心をこめて作ったのよv
竜之介;こんなのもらえってのかよ!!
藤波父;竜之介、貴様はせっかくの好意を踏みにじる気か!
潮渡父;竜之介君、わしの看板娘の気持ちどうか受け取ってくれないか。
竜之介;んなこと言われてもよ・・
藤波父;父は貴様をそのように育てた覚えはない!
渚;あたしのチョコレートはきらい?
竜之介;そ・・そういうわけじゃな・・
渚;ひどいわ・・(涙)
竜之介;泣くな〜っ!!
藤波父;(殴)竜之介!!
竜之介;何しやがんでい!!
藤波父;貴様、許婚を泣かせおって!
男女逆転カップルに両者の父が介入したことで騒動が余計に大きくなってしまったのだ。 その後しばらくして場が落ち
着いたところで竜之介は渚のチョコレートを受け取ることにした。
竜之介;とりあえずもらっとくぜ。
渚;うれしいv
藤波父;それでこそ竜之介じゃ。
潮渡父;流石は藤波君の息子じゃ。
竜之介;(両者の父を無視してチョコレートを食)
渚;おいしい?
竜之介;うめえ・・(じ〜ん)
藤波父;料理の上手なお嬢さんですな。
潮渡父;はっはっは、わしが徹底して仕込みましたから。
こうしてこの家でのヴァレンタイン騒動も解決したのだ。 
--------------------------------------------------------------------------------

4
 
さて、友引高校での騒動が落ち着いてきた頃せっかくあたるのために用意したチョコレートを渡せずに終わったしのぶ
は1人帰宅の途についていた。
しのぶ;は〜、あたる君ったら・・
毎年あたるに渡していた手作りチョコレートも今年で終止符かと思って歩いていたのだ。
しのぶ;面堂君に渡そうかな・・でも面堂君いろんな人からもらってそうだし・・あたしがあげなくたって同じよね。
気を落として歩いているしのぶのところにある人影が近付いてきた。
人影;(しのぶに向かって走ってくる)
しのぶ;あら、誰かしら?
人影;しのぶさ〜ん!
しのぶ;その声は因幡さん!?
そう、しのぶを見つけて走ってきた人影は因幡だった。
因幡;会いたかった〜。
しのぶ;あたしもよ、ところで今日はどうしたの?
因幡;久しぶりにお休みなんですよ。
しのぶ;あ、ちょうどよかった、因幡さんバレンタインって知ってる?
因幡;はい、恋人のいる局員から聞いてます。
しのぶ;じゃあ話が早いわね、はい。
因幡;こ・・これはまさか・・
しのぶ;あたしの本命チョコよ。
因幡;しのぶさん・・(感激)
そう、しのぶは因幡にチョコレートを渡したのだった。 幸いあたるに渡す予定だったチョコレートに相手の名前は書いて
なかったため何の躊躇もなく渡せたのだった。 
--------------------------------------------------------------------------------

5
 
さて、所変わって今度は水乃小路邸。 ここのヴァレンタインはまた騒動が起きるように宿命付けられていた。
飛麿;(1人木の上に)
親衛隊;坊ちゃんどうなさいましたの?
飛麿;ひふほほはばぶび(言うことはない)
親衛隊;えっ!?
親衛隊;坊ちゃんしゃべりかたがおかしいわよ?
飛麿;(紙切れを落とす)
親衛隊;(紙切れをひろう)何々、今年は了子ちゃんに花火チョコ、ショウガチョコ、タバスコチョコ、劇甘チョコをもらってし
まった・・
親衛隊;毎年毎年面堂邸のお嬢様もやるわね。
毎年この日には了子様から仕掛けチョコをもらっては食べて被害にあって帰還しているトンちゃんだったが今年はそれ
だけではすまされなかった。 飛鳥の存在である。 そう、昨年までは互いに存在さえも知らなかった兄と妹、それが互い
に惹かれあっているのだから何事も起きないはずは無いのだ。
飛麿;ふ〜(やっと口が治った)
飛鳥;(みしっ/抱)お兄様〜♪
飛麿;グエエ〜、また俺の肋骨を折る気か〜!
飛鳥;(離)ごめんなさい。
飛麿;で、何か用なのか?
飛鳥;こちらへ来ていただけるかしら。
飛麿;あ、ああ。
こうして飛鳥は自分の部屋へとトンちゃんを連れて行った。 そこには何やら巨大な箱が置いてあった。
飛麿;な、何だこれは・・?
飛鳥;お兄様のために作りましたわ。
飛麿;(いやな予感)そ、そうか・・
飛鳥;(箱を開ける)
中から出てきたのは何と飛鳥の鎧と同じ形に作られたチョコレートだった。
・・・・・・・・・・
さて、遡ること数ヶ月、水乃小路邸では親衛隊が飛鳥にこんなことを教えていたのだ。
親衛隊;お嬢様、2月14日はバレンタインという日になります。
親衛隊;この日女は好きな男にチョコレートを渡すのです。
飛鳥;バレンタイン?
親衛隊;そうです。
飛鳥;チョコレートですね。
親衛隊;ええ、それも本命と義理に分けられます。
親衛隊;本命は自分で手作りしたものを渡すことが多いのです。
飛鳥;手作りですわね。
こうしているうちに2月13日になり飛鳥も手作りチョコに挑戦することになったのだ。
飛鳥;(親衛隊に教わりながらチョコレートを用意)
指導に当たっている新鋭隊員は皆飛鳥がチョコレートを作る姿を見て安心していた。 だがここは飛鳥、普通のチョコレ
ート作りで終わるはずが無かった。
親衛隊;あら、どうしてここに鎧が?
飛鳥;さっきそこで脱いだのがそのままでしたわ。
親衛隊;片付けますか?
飛鳥;いいえ、そのままにしておいて。
こうしてあとはチョコレートを固めるだけとなったところで飛鳥はなぜか新鋭隊員をみんな退室させた。 そしてチョコレー
トを型に流し込んだのだ。 そして翌日チョコレートでできた鎧のパーツを組み立てるとあとは上記のようにして兄である
トンちゃんに渡したのだ。
飛麿;飛鳥、このチョコレートの鎧はどういうことだ?
飛鳥;お兄様のために心を込めて作りましたわ♪
飛麿;そ・・そうか・・
とりあえすトンちゃんは飛鳥の気持ちを考えてそのチョコレートの鎧を受け取ることにした。 それからしばらくして水乃
小路邸宅に1人の来客があった。
若;面堂終太郎です。
親衛隊;どうぞ。
飛鳥は若を呼んでいたのだ。 最初はサングラス部隊を何人か連れて行くことも考えた若だったが水乃小路邸宅に潜
入させた者がことごとく返り討ちにあっていたことと飛鳥の男性恐怖症と怪力を考え1人で来ることになった。
飛鳥;はいv
若;これは?
飛鳥;私の手作りチョコレートですわ。
若;おお、ありがたく受け取ります。
流石にこれは飛麿にあげたような大げさなものではなかったが面堂家ではタコをかわいがっていると聞いてタコ型にし
てあったのだ。 

--------------------------------------------------------------------------------

面堂邸BBSで連載(!?)してたヴァレンタインネタここに完結。 実際は他にもいくつか考えてたけど自分で設定した期限
(H15.2.14)に間に合わなくなるんで未完成だったやつは全部消去した。 



〜一言感想〜
十人十色のバレンタイン風景が、それぞれのキャラの魅力を生かして素敵に描かれています!
さすがはうる星やつらの世界のバレンタインなだけあって、どの女の子のチョコレートもかなり特徴的です(笑
しかし、同時のどのチョコレートにも愛情がたっぷりという感じもして、なんだか微笑ましくもあります。
ありがとうございました!

トップへ
トップへ
戻る
戻る

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!