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(黒い天馬とアスク)
黒き翼・・・ イリア地方。 極寒のその地方では、男女の差別が逆転している。 男は出稼ぎ、女は天馬騎士と、役目が決まっていた。 しかし、ここで話す天馬騎士は少々普通じゃなかった…。 「この国に、凄腕の天馬騎士が来るって、本当かしら?」 「そうらしいわね、姉さん。」 この二人も天馬騎士である。 姉と呼ばれたほうがユーノ、呼んだほうはもちろんティトである。 そのうち二人の前に、天馬が下りてきた。 二人の噂している、凄腕の天馬騎士である。 「あら? あなただったの。」 「まあ、凄腕って言ったら、あなたしかいないわね。」 「光栄です。」 その天馬騎士は、確かに一風変わっている。 まず、天馬が黒い。黒い天馬はかなり珍しい。 次に、顔立ちはかなり女性っぽいのだが…。 「でも、あなたも苦労するでしょう?」 「そんなことは…まあ、珍しい目では見られますけどね。男の天馬騎士なんて…。」 そう。 この天馬騎士は、男である。名をアスクという。 「とにかく、将軍のもとに案内するわ。来て。」 アスクがユーノと共に歩いて、いた時ふと、アスクはつぶやいた。 「兄さん…。あなたを引きずりおろしに来ました…。」 「え? 何か言った?」 「いいえ、何も。」 その言葉の真意は、後々明かされるであろう・・・。 |