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(巫女長・アルトと将軍・アークス)

プロローグ


注:この話に出てくる版権キャラ(一部改)は本陣キャラ予備軍+その作品の主人公です。




城と神殿の連絡通路
濃い紫の髪の少女が自然に囲まれた通路を歩いていた……

「お兄様〜〜!お兄様〜〜〜!」

ここはストラウス公国の城隣りにある、巫女姫達の居る神殿と城を繋ぐ通路だ。
そしてこの少女はこの国の姫で巫女達の長、アルト・ルイゼン・ストラウスである。
彼女は今、姿の見えない兄のアークス・ライディート・ストラウスを探していたのだった。

「あの……アルト様…どうしました?」

反対側から付き添いの巫女たちと歩いてきたのこの薄い紫の長髪の少女はソフィーヤ、巫女達の中でも高い位に要る巫女姫の一人でアルトに次ぐ力の持ち主であり一言で言えば副委員長的な立場に居る。

「お兄様を探しているのですけど、ソフィーヤは知りませんか?」

「すいません…わたしも……今日は会っていません。」

ソフィーヤは申し訳無さそうに答えた。

「そう、何所に行ったのかしら…お兄様…」

「あの……わたし……ロイさまの所にいかなればいけないので……」

「あ、ごめんなさいね。」

呼び止めてしまった事を謝るとアルトは神殿に向かって歩いていった。

「はい…では、しつれいします……」

ぺこりとお辞儀をするとソフィーヤも城のほうに歩いて行った。

神殿・中央広場

「あら?騒がしいみたいだけど…どうしたのかしら?」

「式森〜〜〜!!」

「うわぁ〜〜〜!!」

「あら…あの二人また……」

向こうのほうから走って来た、青いローブを来た黒髪の少年と青い髪の少女は神殿の近衛兵長 神城 凛と魔道兵長 式森 和樹である、この二人は事何かの理由で喧嘩するごとに、剣を抜いた凛に和樹が追われていると言う場景を繰り広げるのである。
ケンカするほど仲が良いと言うがこの二人もそうなのだろうか?

「式森!!仮とは言えお前は軍の魔道士達を束ねる立場になったのだぞ!!  もう少ししっかりできんのか〜〜〜!!」

「そんなこと言っても、凛ちゃん、僕……は昨日いきなり任命されて……」

彼は前任の兵長が急死したため(120歳だったのだから当然と言えば当然である)急遽、魔力数値がずば抜けて高い彼が役目につくことになったのであった。
(魔道兵は後方支援で前線に立つ事は無く、軍の指揮は参謀本部がとっているので実際、誰でも良いので単純な攻撃力だけで決める事が多い。)

「いくら後ろの方に要るとはいえ、戦場では油断すれば死ぬ事も有るんだぞ… 心配なんだ私は………お前が………(ぼそ)」

「そんなこと言っても〜〜〜〜これじゃ戦いに出る前に死んじゃうよ」

「言い訳するな!!見苦しい……いい機会だ…その根性叩き直してやる!!」

剣に集められていた魔力が真空刃波に変わり思いっきり地面に叩きつけられる…そして

ドゴォ〜〜〜ン!!

「うわ〜〜〜〜〜!!」

と辺りに悲鳴と共に凄まじい轟音が響き渡った普通なら大騒ぎする所だがこの轟音も日常茶飯事なので、回りは全く気にしていないのだった。

神殿・集会場

「ふう…あぶなかった…もう少し静かに出来ないものかしら〜〜〜」

騒動に巻き込まれる前に逃げてきたアルトは作戦会議室の前まで走ってきたのだった。

がちゃ……

集会場の扉が開いて中から2の女性と1の男性が出てきた。

「おや?」

「あ、アルト様」

「どうかなさいました?」

「あ、アークス様、エレアノ―ル様、サラ様」

この兄と同じ名前の剣士さまはアークスさん、奥さんの司祭のサラさんと夫婦で領内の廃城で孤児院をしている夫婦です、エレアノールさんはその友人で二刀流の剣士で「西方の賢者」と呼ばれる有名な傭兵です。アークスさん達は子供達を安全な首都に移動させて面倒を見るためのお金を国に出してもらう為に傭兵として戦いに参加する事に決めたそうです、エレアノールさんはその手伝い。
アークスさんは以前、評議員の一人が勝手にその場所を制圧する為に部隊を差し向けた時たったサラさんと二人で120人全員を倒してしまった凄く強い人です。

「アルト様、こんな所でどうしました?」

「あ、いえ、兄を探しているのですけど…みつからなくて。」

「アークス将軍ですか……すいません私は存じ上げません。」

「ごめんね、私も知らないの」

「僕は昨日頼まれて手合わせしたけど、今日は会ってないよ。」

「そうですか……」

「アルト様、私たち用事が有るから失礼するね…ごめんなさい。」

「あ、お呼び止めしてごめんなさいね。」

神殿・神獣の間
城の神殿は長の間、六龍の間、神木の間、神獣の間の四つに分かれており、普段、アルトがお祈りをしているのが長の間。
そしてここには神獣の巫女姫セシリアが居る神獣の間。

「あら、アルト様こんにちは」

とセシリアは祭壇の前に置かれた机の下から挨拶してきた。

「あの、どうしてそんなところに居らっしゃるのですか?」

少し困惑した感じのアルトが聞き返す。

「あら…?私どうしてこんな所に」

それは此方が聞きたいとアルトは思った、しかしそれは時間がかかってしまうから後にすべきだろうと言う事は今までの経験で解っていた。

「……………え〜〜と、お兄様の居場所を知りませんか?」

「アークス様ですか?……たしかロディも探していたと思いますけど…」

(人物紹介;ロディ・ラグナイト;狙撃部隊の兵隊長で狙撃武器の名手)

「そうですか……では、他を回って見ますね……」

「お役に立てなくてすいません……」

「いえ、お気になさらずに……」

アルトは頭を下げるとそくさくと部屋を出て行き、机の下にセシリアが残った。

「………それにしても、私は何でこんな所に居るのでしたっけ?」

セシリアは机の下で四つん這いになったまま思考に入った。
数分後………

「あ、思い出しました!!」

セシリアは数分前に机の下にロディから貰ったお守りを落としてしまい、それを拾う為、机の下に入ったのだった、しかし下から出るときに強く頭を打ってしまい記憶が曖昧に成ってしまったようだ。

「お守りも拾った事ですし、でましょう……(ゴン!)…いた!」

しかし出ようとした矢先にまた勢いよく頭をぶつけてしまうのだった。

「あら…わたし、こんな所で何してるんでしたっけ?」

…と、彼女はこんな事をしばらくの間、同じ事を繰り返していたのだった。





神殿・六竜の間
この六龍の間は光・闇・火・水・風・土の六竜それぞれの巫女姫達、ソフィーヤ・イドゥン・カトリ・エンテ・ネイファ・ティーエが居る、しかし、今は誰も居ないようだ。

「だれも居ませんね……仕方ありません他を回りましょう。」




神殿・神木の間
この神木の間はストラウス公国の神木「紫の桜」を祭る場所である。
(解説;紫の桜;普通の桜のほかに紫色の花を咲かせる御神木)
ここには眠り姫の異名をもつ巫女姫サクラが居る。

「あら、あれは正宗様。」

入り口前まで来て見ると、一人の少年が入り口の前に立っていた。

「あ、アルト様…何か御用ですか?」

彼は天馬兵の兵隊長で有翼人種の天狗族(鼻は普通)の少年である。

「ええ、実はですね…お兄様を探してるんですけど。」

「アークスシ将軍なら部屋じゃないでしょうか?」

「え?部屋に居るのですか?」

「だと思います、今日は一度も見ていませんしメイドの人たちが部屋に食事を運んでいましたし。」

「そう、ありがとう、あ…ところでどうして扉の前に居るのですか?」

普段はここに居る時は中に居るのに今日は何故の外に居るのかと思い尋ねてみる。

「それが……中でサクラが朝から2度寝してるんです…。」

サクラのその異名の通りよく寝る娘だった…ほんとによく寝る。

「まあ…」

扉を開けてこっそり中をのぞいてみると確かに中で桜色の髪の少女が寝息を立てていた。

「そんな訳で、ここで番をしているんです。」

開戦が近いせいか最近は物騒な事が多いので、多分安全な神殿内でも要人は寝ている時など無防備な時は必ず護衛がつくことになっている。

「そうですか…では、私はこれで…部屋に行って見ます。」




城・アークス自室前

「お兄様〜〜!居るんでしょう〜〜!」

城に戻ってきたアルトは城にアークスの部屋の扉を思いっきり叩いていた。

「お・に・い・さ・ま・あ〜〜〜!!」

「うるさ〜〜い!!(ドカン!)」

「きゃっ!!」

大声と共に扉をぶち破り飛び出てきたのは、兄の部屋に置かれていた招き猫だった、オ―ラを帯びて飛んできた招き猫は壁を突き破り何所までも何所までも飛んでいき…そして星になった。

「お、お兄様!!危ないじゃないですか〜〜!」

尻餅をついていたアルトはサッと起き上がり部屋の中に居るであろう兄に苦情をぶつける。

「う〜〜〜……」

半壊した入り口から乱れた浴衣を着た、寝惚けた目つきのアークスが出てきた、どうやら、起きたばかりのようだ。

「お前が扉をドンドン叩くのがいけないじゃないか……ふぁ〜。」

「もう、お兄様もうすぐ正午ですよ!いつまで寝てるんですか!!だいたい……」

今まで歩きまわされせられた、文句も込めてお説教を始めるアルトだった。

「仕方ないじゃないか、昨日の晩は……その、あいつと……」

「??…義姉様がいらしていたのは知っていますけど、それがどうかしました?」

顔をかすかに赤らめながら答えるアークスに対して今ひとつわからない様子のアルトだった。

「だから…その…いいじゃないか!…あの子が良いって言ったんだから!!  許婚なんだし!!俺ももう21だぞ!」

「え?…え?…え?」

寝起きで頭が上手く働いてないのもプラスして半分やけになったアークスは今ひとつよく解ってないアルトにむかって叫びたてた。

「あの、訳が解らないのですけど……」

「つまり昨日は夜更かしをしてたんだよ………」

「あ………お兄様…ごめんなさい……」

ようやく意味が飲み込めたのかアルトは顔を真っ赤にしてペコリと頭を下げた。

「それで義姉様は?」

「朝、家に急用か出来たみたいで帰ったよ……もともと照れ屋な娘だし顔、合わせずらかったんだろうな…………えへへへ……」

「…………お兄様…お顔が歪んでいますよ………」

アークスが何を考えている解りじと目で兄を睨む妹だった。

「へ!?……あ…(ごほん)……で、おまえ何か用が有るんだろ?」

わざとらしく咳きをして、さっさと話題をずらそうとする。

「あ、そうでしたお兄様にこれを渡しておかないと……」

そう言って、有るとは懐から刃の無い剣のような物を取り出した。

「それって「弧櫻刀」じゃないか!」

「ええ朝、先ほど修理が終ったと、鍛冶屋のガイウス様が。」

「そうかようやく直ったか♪」

アークスが剣を握ると同時に根元から和刀の刀身が現れたのだった。

「お、よしよし…ちゃんと直ったみたいだな」

この剣は使う資格が無い物が握っても何の反応も無いが使い手に相応しい物が掴めば両刃や和刀や曲刀などもっとも使い手に合った刀身が現れる。

「本当にちゃんと直ったか、試しに大剣に変形させてみるかな?」

アークスが握る部分を上下に伸ばすと鍔が左右に広がりそして…………

「だめです!!」

剣を変形させようと思った途端、アルトは怒った顔で耳を引っ張って来た。

「イタタ……!!なんで……別にいいじゃないか。」

「駄目です!!また、むやみに出して壊したらどうするんです!!」

「わかった…解ったよ、止めるってば…。」

妹の剣幕にアークスは大人しく剣の刀身をしまった。

「ふう…じゃあ、私は部屋に戻って休みますから、おやすみなさいませ。」

そう言うとアルトはあくびをして、向かいの自分の部屋に戻っていった。

「ああ、おやすみ……って今、昼なんだけど……まあ、いっか人のこと言えないもんな…」

アークスも扉をできる限り、直して部屋に戻っていった。

終わり







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