--デート--



日曜日の午後。リョーマはコンビニへ出かけようと家の玄関をでるとそこには一人の男子の姿があった。
「え、え、え、、、、越前君ぅぅぅ〜〜!!!」
そこに居たのは紛れもない、壇太一だった。
玄関の前から門のところをぶらぶらと往復するように歩いていたようだ。
「なんか用事?」
リョーマは驚きつつも冷静を装い太一に質問をした。
「あ、あ、あのっ。越前君…。来週のに、に、日…えっと…」
太一は胸の前で手を弄くりながらつっかえつっかえ言葉を発していた。
その顔はもう真っ赤になっている。
リョーマはそんな太一の姿を見たリョーマはこのままもう少し見ているか、
助け船を出して救ってあげるか悩んだが結局後者を選んだ。
「日曜日なら空いてるよ。どこ待ち合わせ?時間は1時希望。」
「ほ、ほ、ほんとですか〜?!越前君やさしいですぅぅ。待ち合わせは…」
リョーマが折角助け船を出したにもかかわらず太一は再び黙り込んでしまった。
待ち合わせ場所が浮かばないらしい。
「越前君は何処がいいですかっ?!」
しかし太一。リョーマに質問を振った。
「じゃぁ…駅でいいよ。」
「じゃぁ駅で!越前君さようならっ!」〜〜〜
そう言い終わると太一は走り去って行った。
リョーマはコンビニへ行くという最初の用事も忘れ、家へと戻って行った。



まったく。かわいいやつ。



なんだかんだで日曜日はあっという間に来てしまった。
リョーマは珍しく朝早く起きてしまい遅刻することもなく駅へと着いた。
はじめてのデートでもないしもう何度も太一とはデートしている。
だけどなんどデートしてもなれることは無い。どうしても緊張してしまう。
それはやっぱり太一はリョーマの愛する…だからなんだろう。



リョーマが駅に着いたのは12時57分。
いつもなら太一が先に到着していてあの声で『越前君ぅぅ〜!!』と呼ばれるのだが、
今日は何故かそれが無い。あたりを見まわしてみたが太一らしき姿は見当たらない。
(仕方ない…。もう少し待ってみるか。)
リョーマは近くの自動販売機でファンタを買いもう一度待ち合わせ場所へと戻ってみた。
太一の姿はまだ無かった。
時計は1時30分を刻んでいる。太一はまだ来ない。
(太一のヤロー…。)
普通の相手との待ち合わせなら待ち合わせ時間の数分後には帰るリョーマだが相手が相手。
そうすることも出来ずにリョーマはただそこで待っていた。
リョーマの心には徐々に不安が増してきた。
いつもなら早く来て待っている太一。もしかしたら事故?そんなことも考えるようになった。
(太一、何かあったのか…。)
そして待つこと5分。
「だだだだぁぁ〜〜ん!!ごめんなさい〜〜><」
太一は走ってやってきた。
「ほんとにほんとに越前君ごめんなさい!今日寝坊しちゃって…。
 今日、何を着て行くか夜に悩んでたら夜中になっちゃってっ、そんで寝ちゃって、でっ…。」
リョーマはまただ・・。と思い太一の姿を眺めていた。
(今回は助け船ださないぞ…。)
「ふ〜〜ん。で?」
リョーマはわざと冷たく返事をした。
「それで…。うわぁ〜〜ん!何でもするんで許して下さい〜。越前君〜〜><」
そして太一はすがるように泣き出してしまった。
「えっ…?何でも・・する?なら許してやる。」
フッっと笑うと太一に手を差し出した。
「はいっ!なんでもします〜〜。許してくれる?越前君vvv」
さっきとは正反対の笑みを浮かべ太一は笑った。そして差し伸べられた手へと自らの手を出し、そして握った。
「そんじゃー映画見に行くかっ。」
「はいっ!」



今回二人が見る映画は今人気のホラー映画。じわじわと恐怖が増してくるものらしい。
リョーマはもちろんというべきだろうか。恐いもの系だって平気。
おばけ屋敷だって対して恐いとは思わない。というよりも恐いと感じない。
だけど、太一はどうだろう。きっと弱そう。



「キャッ…。」
太一は映画中にも関わらず小さな叫び声をあげた。
「太一っ〜。ちょっと黙ってろ。迷惑だろ。」
「スイマセン〜><じゃぁ越前君。手握ってもいいですか?」
「ハッ…?」
「ダ…メデスか?」
「別に。いいけど。」
「やったぁ!」
「その代わり黙ってろよな。」



「越前君〜あの映画恐かったですねっ!」
「そっか?」
2人は映画が見終わった後近くの喫茶店へ入っていった。
太一はコーラフロートを頼み、リョーマはパフェを頼んだ。
「だってあそこの女の人が追いかけられるシーン!もう僕が追いかけられてたら絶対に恐くて泣いちゃうもん。」
「そーだろうな。」
「でしょ、でしょ?!」
「あっ、そーだ。思い出した。」
「なんですかっ??」
リョーマはいいことを思い出したかのように笑った。
「さっきさー太一、なんでもするっていったよね?」
「ウン。」
「じゃぁさ〜俺のコト、呼び捨てにしてよ。」
「えっ?!”越前”って?」
太一は目を丸くし呼びなれぬ名前を言った。
「違う。名前で。苗字じゃないって。」
「え〜〜〜!なんか緊張しちゃいます〜。」
「だってなんでもしてくれるんでしょ?」
「…ウン〜…。」
太一は顔を真っ赤にした。そして…
「リョーマっvvv」
めっちゃくっちゃのスマイルで太一はそう言った。
「う〜ん。なんか俺が下になった気分。
 やっぱりダメ。太一は”越前君”のままでいーや。っつーかそっちがいい。」
「え〜〜。リョーマって気に入っちゃいましたvvこれからリョーマって呼んじゃおっ。」
「太一〜〜。」
「だってリョーマが言ったんだもんvv」
「ッチェ。もういいや。」
「やった〜〜★」
「太一には何も言えない…(苦笑」


★END★



---後記----------------------------
突発的に。
リョーマと太一、両方受けだよなぁ。
(書いてから何を言う)

 ・悠来摩琴・
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