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腹の底に響く重低音の連続した爆発音。
夜空をいくつもの大輪の華が彩り、消えるそばからまた新しい華が咲く。
川辺を賑わせてきた、今宵の花火大会もいよいよフィナーレ。
(あーあ、終わっちゃう。このまま、ずーっと花火が続けばいいのに)
ナナセは、傍らで花火に照らされるシンジの横顔をそっと伺った。
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2年前の秋まで、ナナセもこの街に住んでいた。しかし父親のとつぜんの転勤。
ちいさいクラスだけれど、仲の良かった級友たちとの、とつぜんの別離。
転居先は大きな都市で、のんびりとした性格のナナセにはどことなく馴染めないものがあった。
だけど、いいこともあった。
あわただしい引っ越しの最中、(ちょっと、いいな)と思っていた同級生のシンジからの告白。
引っ込み思案で、とても自分からは言い出せなかったナナセは、
これは転校という、一種の脚光を浴びることによって生まれたチャンスではないかと思っている。
なかなか逢う機会はない。
「元気?」「元気だよ」「逢いたいね」「逢いたいよ」
ふだんは、ケータイ、メールでいくどとなく交わされる言葉の数々。
小遣いもままならない歳である。
連休や、長い休みの折りに、元の街に住んでいる叔母を訪ねるという名目でナナセが出かけ、
やっと逢うことができるふたりだった。
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家族連れや若者のグループ。
花火見物の熱気からまだ醒めやらない人々。
それらがおしゃべりしながら帰る道。
だが、そんな喧噪の中、ふたりは黙って指先だけをかるく絡め、
すこしうつむき加減に歩いていた。
花火大会まではいられる。でもそのつぎの朝には帰らなくちゃ。
そうナナセはシンジに告げてあったから。今夜はその最後の晩だったから。
「なあ、ちょっと、いい?」
意を決したように、シンジが言った。
「・・・うん」
赤い鼻緒を見るぐらい、さらに深くうつむき、ナナセは返事をする。
その顔は耳まで真っ赤になっている。
シンジはナナセの手を、こんどはしっかり握りなおして
道を外れた林の中の小道に進んでいった。
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「んっんっ・・・」
まっくらな木立の間から、少女の甘い吐息が漏れる。
先ほどまでたくさんの人々がそぞろ歩いていた道筋から
ほんの数十メートルも小道を来ただけなのに、
木々が物音を吸収するのかしんと静まりかえった中、
自分の唇から出てしまう声がやけに響くようだ、とナナセは恥ずかしさでいっぱいだった。
逢うことができて、しかも邪魔の入らないところにいられるときになんどか繰りかえされてきた大切な時間。
とはいっても年齢的にも経験でもウブなふたりのことだから、
かるく唇を触れあい、腕を互いの身体にまわすだけで、すっかり夢心地だった。
「シンちゃん」
「ん?なに?」
「熱があるのにごめんね。でも・・・逢えてうれしいよ」
「たいしたことないさ、こんなの」
少年らしいぶっきらぼうさで、シンジが応える。
頭半分だけ背の高い浴衣のその胸にナナセは顔をうずめて
「・・・だいすき」
とつぶやいた。
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背中に回されていたシンジの右手が、髪や肩を撫で、そしてぎこちなく、浴衣につつまれた胸に伸びる。
膨らみの周囲をまさぐるように、柔らかく、ときにやや強すぎるくらいに。
思わずびくりと身を竦ませたナナセだが、力を抜きその幼い愛撫に身を任せた。
(コドモじゃないもん、このくらい・・・)
夏だから。またしばらく逢えないんだから。心の中でそんなふうに理屈をつけながら。
小鳥のキスのような淡い口づけ。ほのかに密着させるだけの抱擁。
いままでのそんなふたりの行為が、いつまでもそのままのわけがないのだから。
だからいま、キスをしながらの胸の愛撫も、そしてきつく抱きしめられたときに
シンジの下腹部に感じた熱い盛り上がりにも(これが男の子の生理なのね)と、
すこし驚きながらも愛されている喜びを感じていた。
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だけど・・・だけど・・・
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幼い仕草ながらも、愛しい人に身体を触られている幸せに
すっかり上気してしまったナナセだったが
その浴衣の裾の内側に手が伸びてきたときは、さすがにその手首を押さえて制した。
「シンちゃん・・・だめ・・・まだここは・・・」
いままでも、つい、シンジが暴走しかけたことはあった。
しかしこうしてナナセが制すれば、照れ笑いとともにシンジは手を引っ込めたものだった。
だが今夜、押しとどめようとしたシンジの腕の力強さに、ナナセは驚いた。
制止に逆らい浴衣の裾を割って、腕がふとももの内側に滑り込んできた。
でも驚いたのはそれだけではなかった。
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熱い。
すっかり火照った自分の身体に比較しても、燃えるように熱いシンジの手のひら。
それがじっとりと汗ばんでいるのは、緊張のためか、それとも・・・
「ね、ねえ、シンちゃん、また熱が出てきたんじゃないの?だいじょうぶ?」
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「ナ、ナナ・・・」
ナナセの首筋に押しつけたシンジの唇が、呻くように言葉を発した。
気がつくと、その息は、はあはあと荒くなっている。
「・・・ナナ、オレだめだ・・・逃げろ・・・」
逃げる?なにから?熱のせいだろうか、その意味するところがわからない。
「ねえ、だいじょうぶ?ちょっと休もうよ。そこに座ろ?ね?」
だめだというわりに太股をまさぐる手の動きは止まらない。当惑気味に話しかけるが
こんどそれに応えたのは、まるで別人のようなしわがれた声。
「・・・ナナ、オレだめだ・・・自分が・・・自分が抑えられないっ!」
最後は絶叫になったその言葉にぎょっとしたナナセは、シンジの顔を見た。
爛々と赤く、その眼が光っていた。
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「き、きゃああああーーーーーー」
闇を引き裂くような悲鳴は木立に吸い込まれ、消えていった。
だから街の人々がそれに気がつくことはなかった。
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肉体の沸騰とでも形容しようか。
ボン!ボン!と音を立ててシンジの身体がふくれあがっていく。
まるで革袋の内側から棒でつつくように歪な盛り上がりを見せて、来ていた浴衣を引きちぎっていく。
その身体は太い樹木のように。口には牙が生え巨大にパックリと開き、
ちろちろとピンクの舌が見え隠れし、
腕や脚はそれ自体が生き物のように蠢く無数の触手に。
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目を見開き、呆然と立ちつくしていたナナセに
べたべたと粘液を滴らせる触手が巻きつき、その自由を奪ってしまった。
すらりと伸びた手脚は左右から乱暴に引っ張られ、浴衣で覆われていた部分がすっかり露わになってしまった。
いまや、かわいらしい下着一枚が秘部を覆うのみだ。
「シ、シンちゃん・・・放して、ねえ?わかんない?放してっ」
すっかり異形のものとなってしまったそれに向かって、ナナセは一縷の望みをかけて訴える。
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しかし。
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びりりっ!
触手のひとつが下着に巻きつくと、その薄い生地はまたたくまに肌から剥ぎ取られてしまった。
四つの真っ赤な目が、露わになった処女を吟味するようにぎょろぎょろと見渡す。
そこに数本の細い触手がわらわらと群がると、膣口を拡げたり、
敏感な部分をつまんだり、あげくは尻の菊門を撫でる。
まるで珍しいおもちゃの出来栄えを確認するかのように。
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「だめっだめっ!そんな・・・そんなところ触らないで!は、はずかしいよお・・・」
いやいやをするように唯一自由な頭をふり、脚だけでも閉じようとするのだが
渾身の力を込めても触手に拘束された四肢はびくともしない。
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ひととおりナナセの秘部を玩びつくすと、満足したように細い触手はすっと引いていく。
その痕はべったりと触手が分泌する粘液のため、ぬらぬらと月明かりに光っていた。
恥辱に加え、細い触手の先端に生えた剛毛が敏感な部分にちくちくと刺さるため
歯を食いしばって耐えていたナナセもほっと息をついた。
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「オンナ・・・ハジメテノオンナ・・・ナナ・・・オレノモノ・・・」
もはや人間のものではない野太いその声がナナセの頭上から響く。
ナナセは先ほどとはちがう異質な圧迫を股間に感じた。
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「!」
異形のものの本体の一部が割れて、
そこから直径が拳ほどもある紫色の太い肉棒が迫り出していた。
醜く浮き上がる瘤。ビクビクと波打つ紫色の筋。
その槍型の先端がナナセの秘部に押しあてられていた。
(これは・・・これは・・・)
性知識の乏しい自分にだってわかる。
いや、むしろ女だからわかること。男が女にするその行為、まるでそのものに見える。
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「やだやだやだ!放して!放してったら!いやっいやっ」
思いのままにならない身体をよじって、なんとかその醜悪な先端から逃れようとする。
さきほどの粘液のせいもあって、肉棒(いまははっきりわかる、生殖器だ)の
先端はたびたびずるっと滑り、そこここから滴る粘液が新しい浴衣を汚した。
業を煮やしたようにナナセの腰に新たな触手が巻きつき、そんな少女の儚い抵抗に終止符を打った。
ぴたりとスリットにあてがわれた醜悪な肉棒が、徐々にピンク色の膣口に埋め込まれていく。
「あ・・・う・・・い・・・痛い・・・そんなの入らない・・・裂け・・・裂けちゃうよ・・・や、やめ・・・て」
破瓜の痛みに、息も絶え絶えに、ナナセは哀願するが、
意に介すことなく、ずっ、ずっ、と一寸刻みに極太の生殖器が処女を蹂躙していく。
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押してはやや戻し、さらに強く、奥へ。
最深部まで達した生殖器がなんどもなんども激しく、繰り返し奥に突き入れられる。
ピストン運動の間、押し出される、う、あ、あ、あ、といった呻き声とも鳴き声ともつかない声をあげ、
貫かれるリズムに、人形のようにぐらぐらと力無く揺れる頭。
ただこのときが早く終わって欲しいと願いながら、ナナセは激痛に耐えるほかなかった。
その腰に処女の証が、鮮やかに一本の筋をつくり流れていった。
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突かれるリズムがだんだん早くなる。
そして、ぐぐっと最深部に突き入れた生殖器が動きを止めて膠着する。
そのときなんの脈略もないままに、ナナセはぼんやりと保健の授業のシーンを思い出した。
それは女生徒だけを集めて特別に開かれた授業だった。
「いい、みんな気をつけるのよ。あなたたちはもういつでも赤ちゃんを産める身体なんだから」
擁護の先生の言葉が蘇る。
男と女の身体のちがい。生理。生殖行為。射精。妊娠・・・。
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ナナセは自分の奥深くで、肉棒が膨れあがるのを感じた。
「だめっ外に、外に出して!おねがい!中はやめておねがい」
とつぜん覚醒したように、ナナセは膣に深く差し込まれた生殖器から逃れようと力を振り絞る。
だがもう遅すぎた。
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どくっどくっどくっ
音にすればそんなさまか。膣内に熱い熱い迸りが満ちた。
化け物が歓喜の悦びにうち震えた。
「あ、あ、あ、ああ、ああ・・・」
ナナセは身体中から最後の気力が抜けていくように感じた。
「赤ちゃんが・・・赤ちゃんができちゃうよ・・・・」
力無く、その唇からつぶやきが漏れ、新たな涙が頬を伝わった。
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暗闇の中、ひとつの場所で繋がり、静止した異形の怪物と、
乱れた浴衣が辛うじてまとわりついているだけの半裸の少女。
より奥底に己の遺伝子を送り届けようと、
射精ののちにもなおしばらく生殖器で貫いたままであったが
やがて、白濁液と破瓜の血にまみれ、奇妙なコントラストに彩られた
紫色の醜い肉棒が、ずるりと少女の膣から引き抜かれた。
膣から溢れた粘っこい白濁液が、ボタボタと音を立てて地面に滴る。
化け物の舌がナナセの股間に伸び、愛おしげに破瓜の血を舐め取る。
「オレノ・・・オレノ・・・ナナ・・・カワイイ・・ナナ・・」
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手足を拘束している触手が少女をうつぶせの姿勢にさせた。
浴衣がまくれあがった白い尻が高く抱え上げられる。
その華奢な身体に、後ろからのしかかると、別の生殖器がナナセを貫いた。
はじめよりも乱暴に、奥まで一気に貫いた。
「うっ」
たまらず、ナナセが呻く。
衰えを知らず、疲労を知らず、
ただ、牡の悦びのままに化け物は少女を犯し、
その陵辱の痕跡を奥底に放出した。
それが引き抜かれると、先を争うように他の生殖器が少女の股間に群がった。
ときには2本の生殖器が無理矢理に膣に入り込んだ。
持て余した他の触手は、尻や唇や耳に差し込まれ、乳房をもみしだいた。
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朝が来た。
木立の間に少年と少女は倒れていた。
ほとんど全裸で、近くにボロ布のようになった浴衣が落ちているシンジと、
浴衣を身につけているが身体のほとんどの部分が露わになっているナナセだった。
はじめに気がついたのはシンジだった。
なにが起きたかまるでわからない混乱した頭だったが、四方を見渡し
傍らのナナセを見つけると揺り起こした。
はじめナナセは、起こした相手がシンジだと知ると、瞬間恐怖を瞳に浮かべたが、
いつもと変わらないその人であることがわかると、その胸にすがりついて泣いた。
そして、夕べの陵辱を、切れ切れに語った。
シンジは衝撃を受け、そしてふたり、しばらく抱き合って、泣いた。
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近くに小川を見つけたふたりは、なんとかそれなりに身繕いを整えた。
惨劇の痕を小川の水で拭い去るナナセを、シンジは背を向けて、待った。
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「じゃ、行こうか」
シンジが先に立って歩き出す。しかし、ナナセが付いてくる様子はない。
振り返ると、少女は木立から差し込む朝の光のなかに佇み、こちらを見ていた。
「どうし・・・」
その言葉を遮るように、思い詰めたような瞳のナナセがつぶやく。
「あたし・・・このままじゃ帰れない」
「でも・・・」
「ねえ、シンちゃん、あたしを・・・抱いて」
「?!」
「ゆうべあたしにあんな酷いことをしたのは、シンちゃんだけどシンちゃんじゃなかった」
「・・・」
「だから・・・いまのシンちゃんが、ちゃんとあたしを抱いて。そうすればもうこわくない」
そこまで一気に言葉にすると、ナナセは両手を背中の帯の結び目にまわした。
しゅるっ
帯が解けて、ナナセの足下に落ちる。
両手を帯から放すと浴衣の襟をゆっくり開いた。
「・・・それとも・・・あたしのように汚れた女はもう抱けない?」
朝日の中、神々しいまでの少女の裸体から、シンジは目が離せなかった。
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全裸で抱き合う少年と少女。そこには愛が満ちていた。
はじめ痛がったナナセだったが、やがて潤いと幸福感がそれを超越した。
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「オ、オレ、もう保ちそうにない」
腰を引こうとするシンジを、ナナセは制した。
「だめっ、抜いちゃだめ!」
「で、でも」
「ね、そのまま・・・そのまま中に出して、おねがい・・・」
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たまらず、シンジはナナセの中に自分の精を放った。
脱力し、自分の上に覆い被さるシンジを、ナナセは愛おしげに抱きしめた。
「みんな・・・みんな押し流して・・・あなたのものにして・・・」
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