給食のおばちゃんサンジと幼稚園のロロノア先生


 

□ 土用の丑の日 □

 

土用の丑の日はまだ先だけど、その頃はもう夏休み中だから、麦わら幼稚園では夏休み前の最後の給食に、うなぎが出る。

給食の献立表に「うなたまどん」と書いてあるのを見てから、ロロノア先生はずーっとずーっと楽しみにしていたのだ。

一人暮らしではうなぎとかなかなか食べないし、コンビニや牛丼屋で一人でうなぎ食べるのも、それはそれでなかなか侘しいものがある。

ほんとはうなぎときたら一緒に生ビールきゅーっと行きたいところだけど、園児と一緒だからそれは我慢我慢。

それに、麦わら幼稚園が誇る給食のおばちゃんが作ったうなぎの蒲焼は絶対絶対おいしいはずなのだから、ビールなんかなくてもよかろうなのだ。

 

そんなわけでお昼のお時間。

麦わら幼稚園では、お弁当持参の子と給食の子とがいる。

ママが作ってくれるお弁当も、給食のおばちゃんが作ってくれる給食も、どっちも愛情たっぷりのおいしい食事だ。

それでも夏場はママさん達も傷みとかいろいろ気になるのか、夏場だけ給食に切り替える事も多かったりなんかする。

ママも毎日いっぱいいっぱい子供のためにいろいろ考えているんだよ。

お弁当の子はおかばんからお弁当を出してきて自分のお机に置く。

給食の子は給食のおばちゃん達が自分のお机に給食を配膳してくれるのをよい子で待つ。

ちなみに麦わら幼稚園の給食は、松花堂弁当的な四角い蓋つきの弁当箱に入って出てくる。

ちょいリッチ気分。

もちろん幼稚園児用なので、蓋にはかわいいクマちゃんがどばーんと描いてあったりするのだが。

 

「おいしいおべんとうを、いーただーきます!」

 

みんなでよいこのご挨拶をして、蓋をぱかっと開ける。

 

「おお。」

 

ロロノア先生は思わず唸った。

お花の形に盛られたご飯の上に、ふわふわいり卵。

その上に一口大に切ったうなぎがたくさん盛り付けてあって、更にぱらぱら刻み海苔。

ポテトサラダにブロッコリーとトマト。

おいしそうなにんじんゼリー。

 

「うまそー。」

 

思わず呟くと、ロロノア先生のすぐ近くのお席のミホークくんが、すぐに真似して

「うまそー。」

と言った。

「ごめんなさい。先生のお口が悪かったね。“おいしそー”でした。」

すぐさまロロノア先生が言い直すと、ミホークくんは素直に

「おいしそー。」

と言い直してくれた。

 

小さく切られたうなぎを一つ摘み上げて、ぱくっと一口。

 

「おお。」

 

ロロノア先生はまた唸った。

揚げてあるらしく、外側カリカリ。中ふんわり。

鶏のから揚げっぽいけどもっと香ばしくてもっとあっさりした食感。

これならうなぎが苦手な子もきっと食べられるに違いない。

そう思ってお教室を見回すと、子供達はにこにこしながらうなぎを口に運んでいる。

ロロノア先生なら一口でぱくりのうなぎでも、子供達には口の中いっぱいのうなぎだ。

ちっちゃなほっぺたをハムスターみたいにいっぱいに膨らませて、みんな一生懸命に食べている。

「おいしいね。」

「おいしいね。」

にこにこ食べる子供たちは本当にかわいい。

ロロノア先生もみんなを見習ってわんぱくに食べることにした。

 

やべぇ、マジでうめぇ。

 

さすがに今度は口には出さなかった。

 

幼稚園の先生がやべぇとかうめぇとか言ってはいけません。

まあ、とってもおいしいね。と言いましょう。

 

それにしてもこのかりかりうなぎは本当においしい。

揚げてあるせいか、生臭さがない。小骨もまったく感じない。

かりっと齧ると、ふわんとうなぎのたれの香りがする。

これはやばい。

実にやばい。

蒲焼なんかよりもよっぽどビールのつまみに最適だ。

やべぇ。本格的にビール飲みてぇ。

 

決めた。

夏休みに入って、土用の丑の日になったら給食のおばちゃんちに押しかけて、これをもう一回作ってもらおう。

そんでビールをばかすか飲もう。

ついでに枝豆もゆでてもらおう。

 

そんなこんなで夏休み中も給食のおばちゃんちに入り浸ることになるロロノア先生だった。

 

2008/07/24


いつものうなぎを一工夫。


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