その日、1輪の花が抜き取られている事にセイは気がついた。
たった1輪で寂しいながらも頑張っていた花....
その花を最後に見たときもまだ、その花は開花していなかったというのに.....


  悲哀華


「ふあああ〜、こんなに暖かいと眠たくなりますねえ。」
「沖田先生は、いつも眠たそうじゃないですか。」
「ひどい!!神谷さん、傷つくようなこと言ってくれますねえ。」
「......本当の事を言ったまでです。」
大きなあくびをしながら話している沖田総司に見事に突っ込みを入れる神谷清三郎こと富永セイ。
2人は、非番だからといって、土手に遊びにきていた。
よく、2人はここにきて、春を満喫していったりするのである。
花を見たり、寝転んだり....
いや、寝転ぶのは総司だけというのが非常に多いのだが.........
「そういえば...沖田先生、新しい隊士の方がいるじゃないですか。」
「....半藤さんですか??彼が何か??」
総司は仰向けになっていたからだをごろんとセイの方に向ける。
セイと総司の目がばっちりとかち合う。
総司の目に思わずセイは黙り込む。
「...........神谷さん?」
「えっ、あっ、あれ??」
「何やってるんですか?昼まっから白昼夢でも見てたんですか??」
「いえ、あ、え、そうみたいですね。あはは...」
まさか、あなたの目に...顔に見入ってましたなんて言えるわけもなく、セイは頷いた。
「で、半藤さんがどうしたんですか??」
「あ、ああ...彼は人が斬れるんですか??」
「........何をいきなり。」
「いえ...新撰組に入ってきた理由などからして....彼は優しすぎますよ。」
「..........」
「.....どうかしたんですか??沖田先生??」
「いえ、別に、帰りましょう。」
何故か総司は胸がムカムカしてきた。
2人で、そんな親しげな話しをしてた....
そう考えるたびに、総司の胸のムカムカが大きくなっていく。
「お、沖田先生??」
さっさと歩き出していく総司のあとを、セイは必死についていく。
つんと着物を引っ張られた事で、総司は我に帰った。
「沖田先生、どうしたんですか??私、怒らせるような事を...」
瞳に涙をためながら、セイが総司に聞いてくる。
「...怒ってなんかありませんよ。」
そういいながら総司はセイの涙を指で拭う。
総司はにっこりと微笑んだあと、セイの手を引っ張って、共に屯所に戻った。 


総司と別れたあと、セイは部屋に戻る気になれずに稽古場で、ボーっとしていた。
どうして急に、総司が帰ろうと言い出したのかがわからない。
自分はなにか悪い事でもいってしまったんだろうか...
あの後も、ずっとセイは悩んでいた。
けれど、考えれば考えるほど、自分の気持ちが沈んでいく....
「はあ....」
意識しなくても勝手に口から出てくるため息...
「ひと練習するかな!!」
頭を切り替えようとして、たちあがった瞬間、後ろからポンッと叩かれた。
「神谷さん、なにしてるの??」
にこっとした顔で、半藤が話しかけてきた。
「あ...半藤さん。稽古ですか??」
「まあ...そういうわけじゃないんですよ。」
「??」
「部屋を出た時に、神谷さんが沖田先生と手をつないで帰って来てたから、ついに...と...」
「な、何を言い出すんですか!!!」
セイは顔を真っ赤にして半藤に怒鳴る。
びっくりしたような顔をして半藤はセイを見る。
「.....やっぱりちがったんですね。」
「...えっ??」
半藤はそっと微笑んで、セイの横に座り込む。
「いや...その後の神谷さん、凄く落ちこんでいたから....」
「半藤さん....」
「私で良かったら、相談にのりますよ。」
「うっ....半藤さん、ありがとう....」
半藤の優しさに、思わず涙が出る。
本当に、こんなに優しい人に人が斬れるのかと不安になる。
まだ半藤は、見かけだって幼い。
セイともそんなに変わらないくらいの年に見える.....
なのに、こんなに人を思いやる気持ちで、あふれている。
「でも...大丈夫です、半藤さんの優しさで、立ち直りました!!」
セイはこんなふうになりたいと思った。
総司を大きな優しさで包んであげられるような、そんな人になりたいと...
「....そうですか、よかった。」
「...へっ??」
「いやね、私、人の相談に乗るの苦手なんですよ、上手く助言が出来ないから。」
少し赤く染まった顔で、半藤はカリカリと頭をかいた。
「.....ぷっ。」
悩みもどっかに飛んでいったかのように、セイはいつのまにか笑っていた....


「ええっ??なんですって??」
屯所に総司の声が響く。
「お前...もっとちいさな声にしろ。」
いつもでかい声で怒鳴る、土方ですら、小さな声で怒っている。
「で、でも、半藤さんが密偵だなんて....」
「しかし、あいつが密偵だと考えたら、全てなっとくいくんだ。」
「けど....いったいどこが...」
「まず第一に、あいつが来てから隊内のことが漏れ出した事だな....
 そして.....」
そこまでいって、土方は話すのを止める。
「......なんですか?土方さん。」
「トシ...私が話すよ。」
「な、何いってるんだよ、俺が話すさ!!」
「いいんだ、私に話しをさせてくれ。」
「........」
そういうと、近藤は総司の前にどかっと座り込んだ。
「?なんですか??」
総司は自分の大好きな近藤が来て、思わず顔がにこやかになってしまう。
「.....総司、半藤と神谷が仲が良い事は知ってるよな??」
「何がいいたいんですか??近藤先生。」
近藤の話したいことが総司にはそれだけですぐわかった。
「神谷さんが情報を流してるって言うんですか??」
総司は思わず立ち上がって、大きな声を出してしまう。
「だから、そうは言ってないだろう!!」
土方が、総司の肩を叩いて、座らせて、落ちつかせる。
「神谷は...正直すぎるんだ...だから、ぽろっとなにかを話しているかもしれないとそう思ったんだ。」
「....でも...」
正直というところをつかれるとどうしても、返答に困ってしまう
そう、正直、素直という言葉がトレードマークのような神谷清三郎。
それが、彼...いや、彼女の美点であるのだが....
「とにかく、私が半藤に直接聞いてみるから....」
「総司、お前は神谷が何も話さないように、とにかく見張ってろ!!」
「.....はい。」
総司に、この2人に反抗が出来るはずもなく、会議は終わった。

1輪の花...
たった1輪で咲こうとしている寂しげな花....


花の命は....

すごく短くて....



<懺悔>
だは〜。とっきー。
例によって、全くわけのわからん小説になっちゃったよ〜
やっぱり、あやのには才能がないっす!!全く持ってないっす!!
どうしよう、これ、まだ前編よ〜!!!!
ふああ、いや〜!!ごめんなさい。(泣)





あやのんから、壱萬HIT記念に頂きました!!
(↑いや・・・強奪したと云った方が正しいのですが・・・/爆)
うふふふ〜vv(ヤバっ)あやのーんvv
今回も素晴らしいものをどうもありがとう!!(*>∇<*)
しかも前後編だなんて・・vvv大歓迎よ〜!!
才能が無い!?こんなにも良い作品なのに、何を仰いますか!
半藤さん、優しいねぇ・・・(ほろり。)そして悋気な沖田さんがまたしてもツボv
沖田さんとセイちゃん、半藤さん。。どうなっちゃうのでしょうか。。
後編が楽しみです〜(^^)






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