豊中市某精神病院トヨナカシボウセイシンビョウイン



豊中市某所にたたずむ閑静な住宅街のはずれに、仕事上でお得意さんの精神病院がありました。精神病院というと聞こえが悪いのですが、この病院。つい数年前に大幅な改装工事を行い大変キレイな内外装となり、近代的かつ衛生的な雰囲気の病院になっています。入り口はホテルの玄関を彷彿させる作りで、外来の患者さんたち数人が玄関口に掲げてある「E○A○A HOSPITAL」のプレートをバックに記念撮影をしていました。

しかし、我々社員の間では鬼門とされる物件です。
まず規模がでかい。4階建ての病院なんですが、1フロアをメンテナンスするのに半日を要します。1日中歩きっぱなし。歩かないと仕事が終わりません。あとはやはり患者さん達の対応です。心は病んでいますが体は元気いっぱいです。中には体も病んでらっしゃる患者さんもいますが、大半は中庭を囲んだドーナツ状のフロアを徘徊しています。
作業中よく患者さん達が話しかけてきますが、大半が我々の理解を超えた質問だったりするので非常に疲れます。
職場の先輩Tさんと一緒に二人して作業していると、中年男性の患者さんが「お兄ちゃんらカッコエエなぁ。男前やわぁ」と声をかけて近寄ってきました。先輩であるTさんが「おい、ジュニア(僕のあだ名)お前のこと言われてるで。何とかしてきぃや」などと言います。何とかってなんやねん?そんなんいやや!「あれ、Tさんを狙うてる目ですよ。声かけたらたぶん喜びはりますよ。」などと不毛な問答を繰り返すうちどんどん患者さんが近づいてきます。仕方なく「僕らぜんぜんカッコよくないですよー」と患者さんに告げ一目散にその場を退散します。
患者さんが追っかけて来ないのを確認し、押し寄せる疲労感を感じながら作業を続行します。

精神病院内でもっとも厄介な所。隔離病棟でも作業をします。一般の患者さんと隔離しないといけない患者さんが、ナースステーション奥の病室で隔離されています。病室の扉に15cm四方の小さな窓が付いていてその窓からのぞくと、膝を抱えうずくまってる患者さん。ベッドで横になってる患者さん。興奮しながら何か言ってる患者さん。
そんな患者さん達を横目に病室の前で作業していると、ドゴン!ドゴン!と音が聞こえてきます。音の方向を見てみると小さな窓から患者さんが僕を睨んでいます。僕を睨みながら扉を殴っていました。あまりいい気分がしないので、僕からも睨み返してやったら、すごすご部屋の奥に引っ込んでいきす。勝った!勝利に酔いしれながら作業を終え先ほど睨み合いをしていた患者さんの病室の中を覗いてやりました。
中では素っ裸になっている彼がいました。僕が驚き固まっていると、彼は僕に気づき襲い掛かって来ました。彼はいち物をボロン、ボロンと揺らしながら物凄い形相で僕に向かってきます。こわ!めっちゃ怖い。僕の負けです。激しい衝突音が鳴り響く病室を尻目に慌てふためき逃げ出しました。

疲労と敗北感を背負い作業は3日間続きます。最初は猛烈に違和感を感じる仕事ですが、最終日にはすっかり病院の雰囲気に溶け込んでしまいます。何も感じなくなる自分に、ちょっとやばいかな?と考えながら、精神病院での仕事を終えていきます。




戻る

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル