Control Girl

Factor02



前のお話。

「アストリュール山」で、未確認体を発見することが出来なかった天使たち。

そして、彼女らが王国に戻った後……彼女らの周りで異変が起こり始めた…。



エイサー国 軍会議室。

そこでは、四人の女性たちが何かを話し合っていた。

メリース『…ということで結局、15日あまりアストリュールに滞在していたにもかかわらず、何もそれらしきものは
見つけられなかった……ということか。』

吐き捨てるように言うメリース。 それを察し、テトラ。

テトラ『……ごめんなさい………』

メリース『…いや。 この件は、何らその‘生命体’についての明確な情報が手に入っていなかったのだ。いかに“天使”だとしても…
見つけられなくて仕方がない。 気にするな。』

そう言ったあと、サラが口を開く。

サラ『…ですがメリース様。 未確認体がどのような動きをするのかは、予測不能です』

メリース『ああ。だが、王国も警備を強化している。何かあっても対応できるさ。』

そう言った直後、見慣れた少女が血相を変えて飛びこんできた。

メイヤー『…お、おねーさま!?…た、た、大変です!?……け、け、けい……』

少女は明らかに狼狽していた。 それをなだめると共に訊くメリース。

メリース『落ち着け、メイヤー。 “けい”が、どうかしたのか?』

その質問に焦りを取り繕うことのできないままに、少女は言う。

メイヤー『…あ、アストリュール山周辺を守備にあたっていた・・・け、警備兵およそ1000名、および「未確認体」の詮索にあたっていた傭兵
民間希望者…2000名あまり……つまり人数にして約3000人近くの人間が、何らかの要因によって“消され”ました!!』

メリース『なに・・!?』

サラ『…・・・メイヤー嬢。 その要因は?』

メイヤー『残念ながら、まだ不明です…。 でも、共通項目もあります…。』

重苦しい口調ながらも、しっかりと言う。

メリース『…どちらも“未確認体”に関わりがある…ということか。……くそっ!』

悔しさのあまり、吐き捨てるように言う。そして、その後に彼女の中にひとつの考えが浮かびあがった。

メリース『…待て……………、メイヤー』

メイヤー『はい……何ですか? おねー…いえ、メリース様』

メリース『…ひょっとしたら……、消滅した警備兵たちの存在が、親・兄弟など親しいものたちの記憶から“消され”ていないか
確認してくれ…できるだけ早く』

メイヤー『・・・はい!情報部に問いただしてきます!』

ぱたぱたと駆け出して行く、エルフの少女。 その背を見つめながら、メリースという女司令は不安を感じていた。

サラ『………“ミストレビュート”…………』

ふと、サラが言う。

メリース『・・・!!』

テトラ・シンセ『??』

サラ『……“カラーリュート”ミストブルー・・・エイサー北東部にすむ“精霊族”の一種。

特殊能力は…』

それをさえぎるように。

メリース『…人間の記憶から、“ある人物が存在したという記憶”を消滅させてしまう……知っていたのか、サラ』

サラ『…Yes。 私の記憶が―――――!? あ…!?』

突如、何かを思い起こそうとして……倒れこむサラ。

テトラ『!!サラさん!?』

駆け寄るテトラ。 そしてシンセと二人で医務室に運び込む。


一人になったエイサー国会議室で。

メリースという女性は、テトラたちと入れ替わりになって入ってきたメイヤーから受け取った資料を見、考えをめぐらせていた。

――そうして、約一時間後。

彼女は、考えをまとめあげた。 そして誰に言うもなしにぽつり、と。

『厄介な…問題かも、な………』

彼女のぼやきが的中したのかどうかは否か。

その数日後、アストリュール山付近の少数民族が“消え”た。

その数は、およそ500人。

そして、先の現象と類似するかのように。

その民族の“存在”は人々の記憶から‘消され’てしまった…。

警備兵たちが存在したという“歴史”そのものが‘消され’たのとおなじように…。



エイサー国会議室。

メリース『・・・・・・くそっ! またか・・・・また‘消され’たのか・・・』

苛立ちを表に出すメリース。

メイヤー『・・・アストリュール周辺に少数存在していたはずの村が・・・・消滅・・・しました』

資料内容を確認するメイヤー。だがメリース当人、その資料は何度も読み返して彼女の記憶に焼きついているのだ。

そのとき、メイヤーの報告を聞いたテトラが口を挟んだ。

テトラ『・・・消滅・・・したんですよね?この一連の事件は全部・・・』

メイヤー『・・・はぁ・・・?』

よく理解できなかったらしく、首を傾げるメイヤー。

テトラ『・・・つまり、こういうことです・・・・警備兵や傭兵の皆さんが存在した歴史そのものも、この少数民族の村が存在した歴史も・・・民間人や
城内の一部の人々の記憶から・・・消えてしまったんですよね?』

メイヤー『・・・はい・・・』

テトラ『・・・だとするならおかしいですよ。なぜ全員の記憶から“消滅”せず、情報部・及び私たち天使たちの記憶からは“消滅”しないんですか?』

その発言に、その場にいた全員が核心を突かれた、という表情を見せた。

メイヤー『・・・確かに。本来なら全ての人々の記憶から・・・そして私の記憶からも“消滅”しなければおかしいはずなのに・・・』

そのとき、ふいにサラが口を開く。

サラ『・・・・推測される可能性として。・・・情報部・及びメイヤー嬢の記憶から“消滅”しない要因は、おそらく連日に渡り二つの事象の情報と
接しているため。天使・・・つまり私たちの記憶が“消滅”しない要因は・・・・』

メリース『・・・・・エンジェル・・・シード・・・・・・天使の力・・・・だろうな、おそらく』

何気もなしにメリースが言う。

メリース『・・・そうか・・なるほど・・・確かにサラの言う通り、それ以外に考えられないな。一部のものを残して“消滅した”記憶か・・・』

メリースは言いながら、テトラを見る。

メリース『・・・ふふ・・・テトラ、お前の疑問が全てを解くきっかけとなりそうだ・・・礼を言う』

赤面するテトラ。 続けてメリースは言う。

メリース『・・・では、テトラ・シンセ・サラは出撃の間で待機しておいてくれ。・・・メイヤーは、情報部に戻り、その現状での最新情報をリークし
常に私に伝えてくれ』

シンセ『・・・OKですわ。・・・・・・しかし、司令はどうする・・・・』

メリース『・・・なぁに。気にすることはない・・・・“やつ”の進路を割り出し、ちょっとばかり罠を仕掛けてやるのさ』

そして、そのあと彼女は自信たっぷりに言い放った。

メリース『・・・“やつ”にとっての、最高の・・・・・罠をな』


数時間後、出撃の間に待機していた天使たちの元へメリースがやってきた。

彼女の右手には、冊子が握られていた。

この事件を解決する冊子が。

そして、その3時間後。

天使たちは行動を開始した。

記憶解放のための行動を―――。




次回。

記憶解放のための行動を天使たちが実行していく。

・・・・その結末でみえる真実とは? 次回ですー(汗)





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