「KIDS☆KIDS☆KISS」

エピソード2  〜空〜

 

 天化は、いつまでたっても泣きやまない。
 どうしたものか、と俺は天化を抱きながら考える。
 いつも、泣きやまないときにやる方法。
 それは、「たかいたかい」をする事だ。
 たいていはそれで泣きやむ。
 ・・・・・やってみるか?

 俺は、天禄と天化をつれて庭に出た。
「さてと」
 何となく呟いてみる。
 しかし、何しろ天化の泣き声がうるさすぎる。
 自分の声も聞こえない。
「て・・・天化っ ほら、たかいたかーい!」
 俺は、らしくもなくおどおどしながら、いつものように天化を空にほうりなげる。
 天禄は、ニコニコ笑いながら飛んでいく天化を見ている。
 俺の「たかいたかい」は、馬鹿力な分、かなり上まで飛んでいく。
 数秒で、天化は米粒になり、雲の合間に消えた。
 それからまた、雲の合間に米粒が映り、天化の原型を表していく。

「おかえり天化!楽しかったかー」
 苦笑いを浮かべて天化を迎える。
 それもそのはず。
 まだ泣き止まねぇ。
 血はまだ止まってないらしく、絆創膏のガーゼの部分が赤くなってる。
「よ、よし、天化。もういっちょ!」
 俺は、もう一度天化をほうりなげた。
 さっきと一緒。
 米粒が消え、米粒が帰って・・・

 ん?

 帰ってこねぇ。
 おいおい、どうしたってんだ?
 いつもなら、ほんの数秒で帰ってくるぜ?
 もう・・・楽に10秒は経ってやがる。
「お父さん・・・天化は?」
 天禄が、俺のズボンを引っ張って言う。
「あ・・・どうしたんだろーな・・・」
 今はそう言うことしか言えない。
 だって、自分で飛んでいくワケにはいかんだろう?

 心臓の鼓動が早くなってるのが解る。
 心配で心配で、どんどん早くなっていく。
 ・・・聞仲に頼んでみるか?
 あいつなら・・・黒麒麟でちゃちゃっと・・・
 いや、もう手遅れかも知れない。
 どこか遠くへ飛んでいって、落っこちて・・・

 そこまで考えて、俺は首を振った。
 考えたくない。

 どうしたんだ?
 何処に行ったんだ?
 ・・・天化

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