建築家のディテール
 ダナリー先生がいつものようにお庭で、愛犬のパラノイアとじゃれていると、ロップルくんが目を泣きはらせてやってきました。
ダ: あらあら、ロップルくん。目が真っ赤ですよ。可哀想に。それじゃあ、自分の目が赤いことすらわからないでしょう。

ロ:

先生!ディテールって一体なんなんですか?
ダ: ははぁ、さてはプレゼンテーション用の図面に断熱材かなにか書き込んだね。それで、そんなものは必要ないってこきおろされたんでしょう。
ロ: な、なぜわかるんですか!
ダ: (遠い目)
ロ: せ、先生!
ダ: ロップルくん、君はディテールを目に見えるものだと思ってるのかな?
ロ: 違うのですか?
ダ: 全くわかっていないね。いいでしょう、ディテールという単語の具体的な使い方を見せてあげましょう。たとえばここに妹島和世の図面があるとしますよ。もちろんピラピラです。
ロ: はい、もちろんピラピラであります。
ダ: こういう建築だと感想もピラピラしてしまいますね。これは言語化が不可能な建築だとか、原広司がいってたでしょう。なんかよくわからんけどピラピラでカッコイイっていうものは、なんかよくわからんけどピラピラしてる言葉で飾り立てられることが多いんです。
ロ: はい、経験的に納得であります。
ダ: でもね、そんなこんなで観念的な感想を言い合った後に、一言付け加えるんです。『だけど、なんだかんだいってディテールもしっかりしてるのがスゴイよね、妹島和世って』
ロ: !!!
ダ: 『エッ、ディテール?なにこの人、こんなピラピラの図面からそんなものまで読みとってるの?スゴォイ!もしかしてこの人って本物(まじもの)?』なんて思われてしまうでしょう。
ロ: でも、先生!僕にはそんなディテール読みとれません。
ダ: バカモノォォォ!!!
ロ: ひっ・・・
ダ: わすれたかぁ!きさまは帝國軍人である前に建築家なのだ!この際、妹島の図面にディテールがあろうがなかろうが関係ない!あのシラッとして爽やかで薄い洗面台が実は設計ミスで、水が四方八方に飛び散ろうが、そんなものは言論統制の徹底した建築界においてはなんの意味も持たないのだぁ!
ロ: Yes Sir!!
ダ: よぉし!いいだろう。ではきさまの陳腐で乳臭い図面を同じように評してみろォ!
ロ: Yes Sir!! 『だけど、なんだかんだいってディテールもしっかりしてるのがスゴイよね、ロップルって』
ダ: っていうかぁ、「断熱材」じゃん。まぢフツーなんだけどぉ
ロ: !!!!!
ダ: わかったかぁぁ!そのまんまだとマヌケだろうがぁ!
ロ: 先生!理解しました。ディテールが見えないからこそディテールが云々いうとカッコイイんですね。これからはディテールはうっちゃっときます。
ダ: よぉし!ついでに鬼畜米英どももうっちゃれい!
ロ: マンセー!
ダ: マンセー!

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