*16歳以上、○○経験者にお勧めします… 


 DEAR MINE

 〜 related  matters3 〜


 大人への階段





 人は大人になる為に、経験しなければならないことがある。
 色々な知識を得ること、色々な体験をすること、
 社会に参加し貢献出来ること、
 自分で決心し、行動する事、自分の言動に責任を持てること……
 人と関わり、色々な思いをする事……。
 そして人を愛する事!



 今ここに大人になるため、初体験を迎えた恋人達がいた。
 互いの気持ちが通じ合い、『この人なら』と思ったからこの日を迎えた。
 
「なんか……強引だったかな?」
 このことに関しては、少女の方が積極的だった。
「……俺が、た、頼まれて、断れるわけないだろう……で、でも本当にいいのか?」
「う、うん……。このままじゃいけないと思ったの……」
 少女は顔を赤くしてうつむく。

 倉田咲十子と和久寺風茉。大人の階段を登るために意を決していた。

「逃げんなよ……」
「……うん、決めたの。もう逃げないって……」
 咲十子の瞳は真っ直ぐだった。





 しかし、自分から言い出したにも関わらず緊張が咲十子を襲う。
 脈を打つ心臓の音が、体中に広がっていた。
「……なんか、緊張するね……」
「緊張するなよ。緊張すると多分……痛いぞ。それとも止めるか? まだ間に合う……」
「ううん。やめない。……痛いのは嫌だけど、やめないよ」
 咲十子の強い決心を聞き、風茉はその瞳を見つめながら言った。
「俺も努力するよ。信用してくれ……」
「うん」
 咲十子は風茉の言葉に緊張が薄れて行くような気がした……。

 上着を脱ぎ、ぎこちない体を静に横たえて行く。
 見詰め合う二つの真剣な瞳。
 互いの絆を確かめるために握られた手と手。
 そして、熱くもれる吐息……。



 心も体も準備が整った時、ついにその時が訪れた。
 咲十子の体に太く硬い物が沈められていった。

 ビクン!!
 咲十子の体が硬直する。

「……い、痛い!」
「大丈夫か!?」 
 風茉の瞳に緊張が走る。
「ぅん。大……丈夫、ゆっくり入ってくるから……」
「そっ、そうか」
 風茉は安心した。

 もう少し深く体の奥に入って行く。
「痛っ!」
 咲十子の顔が苦痛にゆがむ。
「もっと……強く握って。お願い!」
 風茉は力いっぱい咲十子の手を握った。

 ほとばしる赤い愛の印。

 赤く高潮した頬。
 涙でにじんだ瞳で咲十子は言った。
「あんまり見つめないで、恥ずかしいから……」

   うっ!!! 咲十子すげーカワイイ!!!

 風茉がそう思うと同時に静にゆっくりと上下の運動が始まっていった。

「い、痛いか?」
「……ううん。少し慣れてきたみたい。痛みが遠のいてきた気がするの」
 咲十子は首を横に振った。
 繰り返し続けられる上下の運動……。
 そして、最後の瞬間が来た!

「あっ……」
 咲十子の体をすがすがしい快感が通りすぎて行った。
 体から力が抜けて行く。
 初体験を終えた喜びがそこには芽生えていた。

「少しは大人になったかな?」
 風茉も一息つく。
「フー。よく頑張ったな」
 優しい顔がそこにはあった。
「風茉君が居てくれたから……。風茉君のおかげだね。
 私のほうが年上なのに、風茉君に励まされたね。ありがとう」
 顔を見合い二人は笑った。 
 穏やかな時間が流れて行った……。



 ドアがノックされ、鋼十郎が何かを抱え入ってきた。
「咲十子様、ご気分はいかがですか?」
「はい、大丈夫です」
「初めての時は緊張するんですよね」
「ハガネさんもしたんですか?」
「私は毎回緊張しますね。あまり得意ではないものですから。もちろん今回もです」

「それよりハガネ。さっきから何抱えてんだ?」
「ああ、そうです。咲十子様何を飲みますか? パイナップルとリンゴとオレンジがありますが」
「あっ、じゃあパイナップルジュースを」
「はい、どうぞ。風茉様にも特別に差し上げますよ。どちらがいいですか?」
「ハガネが選べよ。したのはハガネなんだからな」
「フフッ。風茉君だってあと6年もしたら出来る様になるよ」
「俺は嫌だね! なんで痛い思いしてそんなことすんだよ!!」

「だって困ってる人がいるんだよ。いつも街で見かけてどうしようって思ってたの。
 私でも役に立つかなって。だから今回勇気を振り絞って挑戦したの!」
「大丈夫ですよ。風茉様の時も、今回の咲十子様の様に特別に個室を用意しますから。
 泣いてもわかりませんよ」
「誰が泣くかよ!?」
「その時は、私が手を握ってあげるから」
「咲十子まで!!」
  
   なんだよ。まったく。「風茉君はこういうの慣れてそうだから」って、お願いするからイヤイヤ来たのに!
   初めてで緊張するから「一緒にいて」って言ってたのは、どこのどいつだよ!?
   さっきはあんなに素直で可愛かったのにな。
俺は絶対嫌だね。小さい時腕に4つも穴を開けられたトラウマかもしれないが、自ら好んで針を刺そうなんて思わないね。
   絶対しないね! 献血なんか!!


 献血。それは16歳から出来る社会貢献。
 見返りを求めない、無償の愛……。
 10歳の風茉にはまだまだ遠い、大人の世界だった。




                                              
                                               END





<あとがき>
 
 他の作品が行き詰まり、逃げ場を求めた時に「フッ」と思いついた作品です。 

 早い話が咲十子の献血初体験のお話です。(笑)
 献血は16歳にならないと出来ません。
 このお話は献血経験者じゃないとわかりずらい話かも…?
 で、献血経験のない方に解説。
 
 献血は(詳しい事は各自で検索していただいて…)                                             
 赤血球を壊すことなく抜く為、とても太くて硬い針を刺します。
 そこから出る血は小さな袋に貯められるのですが、
 中で固まってしまわないように薬を入れ、
 機械で上下に揺らしながら20分ぐらい同じ姿勢(寝たまま)でいます。
 太くて硬い針の為にそれだけで痛いことも多々あります。
 血管の細い人はきびしいです。

 献血は血を抜くわけだから、血圧、一般状態など異常のない
 健康な人しか出来ないのですが、
 健康な人でも終了後気分の悪くなることはありますよ。
 終わったらジュースなど飲めます。今は色々と種類があるようですが、
 パイナップル・オレンジ・アップルジュースは定番でしょうか。

 ちなみに献血は、献血車・献血センターなどでしますが、
 あまり一般の病院ではやらないような気がします。(よく知りませんが)
 大きな災害とかけが人が多いような時はするかもしれません…。

 針を刺した方の手は、血を抜き易い様に握ったり開いたりするので、
 風茉が握っていたのは針を刺していない逆の手と言う事になります。
 咲十子の様に個室で好きな人に手を握ってもらえるのは、ある種幸せな事かも?
 (現実ではないことです。多分……)
 金持ちの和久寺の関連病院ということで、ハガネが設定したのでしょう。(^^;)
ちなみにハガネも献血してたみたいですね。

 そういえば針を抜き刺しする時、看護婦がでてこなかったですね。
 なぜかな〜?(笑)

 以上、解説でした。m(_ _)m
 
 
  
 執筆開始 2001年 9月26日
 推敲終了 2001年10月 4日 
贈  呈 2001年10月 4日  
  


                    Written by  TOMTOM



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TOMTOMさんから大人な(笑)ディアマインSSを頂きました〜vvv
途中、本当にドキドキしながら読みましたよ…憎いお方だわ〜。
ちなみにうりは献血未経験者。
あげられるほど血が多くないんで…その前に昔採血された時のトラウマ(?)が…。

でもそういえば風茉君て10歳だったんですねー。
すっかり忘れてました(オイ)だってあんな大人びてんだもんねぇ…。そうか、10歳か。若いな。

ご本人の要望により、解説も載せさせていただきました。
なるほど…!!勉強になります。
健康ではないのでやはり私は無理ですね!
でも風茉君が手を握ってくれるなら喜んで並々と献血します!(クサレ)

TOMさんどうもありがとうございました〜vv
そしてUPが遅れてスイマセン…;か、顔だけは…!!

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