走っても走ってもゾロの姿は見えない。

時間が無い!

先日、出来上がったばかりの「危機管理マニュアル」を思い出していた。

『非常事態における署内での救助作業時間について。
 万が一の放射能漏れによる被爆を考慮して
 署内の滞在時間は30分未満とし、以後、作業を継続する場合は……。』

もう、何分経ったかわからねぇ。
いや、ゾロはもっと前から中にいるんだ。クソッ!!
その場で立ちすくみ「落ち着け。」と自分に言い聞かせる。

その時、何か異臭を感じた。埃っぽい匂いを感じ、微かに目に染みる…。

「違う!」
サンジは声に出して叫んだ。
気が動転していたサンジは、咄嗟に先の事故を思い出し、動力炉の方に入ってきたが
警報装置がどのエリアで作動したかは確認していなかった。

資材の調整工程のどこかでガスが発生しているのだ。
「Bゾーンだ!」

サンジは走りながら、どんどん冷静になっていく自分を感じた。
ゾロがBゾーンにいることを確信できたからだ。
危機管理マニュアルでは、どのエリアで異常が発生しても、被爆の対応を最優先することになっていた。
その結果、化学系の問題が発生した時にはその初動が遅れることになる。

「ったく、使えねぇマニュアルだな。
 誰だ。あんな物に最終承認印を押したのは。
 …ああ、俺か。」
全く普段のサンジだった。
恐ろしいほどに頭は冴え、冷静に状況を判断していく。

得体の知れないガスの濃度が増す方向に走りながら考える。

これだけガスが漏れてるんだから、緊急停止装置は自動で作動しているはずだ。
じゃあ、あいつは制御室じゃなくてラインの方にいるはずだ。

・・・ガスがやばい。ガスがやばい。ガスがやばい。どうせ体に悪いんだろう。
大量に吸ったら…、最悪、死ぬかもな。
それとも、何かに引火して爆発するか…。

それにしても、真っ先にあいつがBゾーンに入ったとしたら
大した、状況判断だな。いや、野性的なカンか…。

Bゾーンの入口の扉を開けるとより一段とガスは濃くなり
目の前が黄ばんだような感覚になった
サンジはハンカチで口を押さえながら、ガスが一層強く漏れ出る扉を見つけだした。

「ここか。」

扉を開けると、中は黄色いガスが充満していて、数m先が見えないほどであった。
サンジが開け放った扉から中のガスが部屋の外へと逃げ出し、少しずつガスが薄まると

ゾロの姿が見えた。

何をどう暴れたのか、ボロボロになっていた。

ゾロの姿を見た途端、サンジは再びパニックになった。

まず、こんな状況で、なんで扉を閉めるんだ!と腹が立った。
次に社長として、被害を最小にくい止め、安全を確保するために、今すべきことを考えた。
そして、やっぱり自分が思ってたとおりにゾロが立っていた事が、たまらなく嬉しかった。

背後のサンジの気配に気付いたゾロが振り返り、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
どうやら発生源は止めたらしい。
その後ゾロはすぐに、安心したのか無表情になってガクリと膝をついた。

サンジはかけよった。
ゾロはガスを大量に吸い込んだせいで、意識が朦朧としているようだった。

とにかく、一刻も早くここから脱出しなければ。
こいつは、バカだからこんなんでも自分で走れるだろう。
まぁ、肩くらいは貸してやってもいいがな。

でもその前に。

一言、言ってやらないと気がすまねぇっ!!




「てめぇの命は俺のもんなんだろっ!」





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はい!『勝手に早乙女神楽特集』でした!
ツッコミどころ満載でお送りしてまいりましたが
最後の最後で「なんで腹巻やねぇ〜ん。」ってなツッコミが入るあたりが
淑女のギャグセンス。
くれぐれも、早乙女さんのイラストはギャグではありません!!

そして、やっぱり主従関係にはなってませんでした。
どうやら、私には主従関係は無理だと言うことが、良くわかりました。
それがわかっただけでも挑戦した意味がありました。十分です。
それから、ゾロの台詞が「若のものです。」しか
ありませんでした。これってありがちですか?

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