ゾロサンSS

甘めのSSに挑戦しました。
SSの書き方がよくわからないので、色々とおかしな事になってます。
SSというよりは、私のゾロサン設定をSS風に説明した感じになってます。
特に…、ああ、この続きは最後に言います。(^^)



微睡みから呼び覚ます物


目の前に広がる信じられない光景にサンジは息を呑んだ。

腰から下を毛布が覆っているだけで、何も身につけていないであろうゾロが床に座っている。
その奥に。
うつぶせになった女性が横たわっている。
ゾロと同じく毛布が腰を包んでいるだけで、白い背中が露わになっている。
表情は見えないが、ぐったりとした様子で、短い黒髪が汗ばんでしっとりと光っている。
枕元には彼女の物らしいメガネが置いてある。
驚きの余り言葉を失い、ただ口をパクパクしているサンジに気がついたゾロは
特に悪びれる風もなく、こう言った。

「うるさいから、黙らせた。」


ガバッと大袈裟な音を立ててサンジは飛び起きた。
「…何だ。夢か…。」
現実に戻った脱力感でしばし呆然とした。
夢で見たゾロと同じように、サンジは今、毛布以外には何も身につけていない。
そしてまた夢と同じように、傍らに横たわっている者がいる。
夢と違っているのは、それが女ではなく、男であり
グーグーと気持ちよさそうな寝息を立てている事だ。
生々しい夢に心臓は高鳴ったままである。
無神経にも見えるゾロの寝顔を眺めながら、安堵感ではなく更なる動揺がサンジを襲った。
嫌なセリフを思い出したからだ。

「うるさいから、黙らせた。」

不安や焦りというのが最も近い感情であろうか。あるいは怒りをも感じているのだろうか。
サンジは自分とゾロの関係をさっきの夢とだぶらせて頭がパニックになっていた。
何度となく重ねてきたゾロとの夜であったが、始まりはたいていそんな感じなのである。
挑発するサンジをゾロが押さえ込んで。あとはゾロのペースになる…。

薄暗い不安が募り、混乱がピークになった時、サンジは訳も分からずゾロを起こしていた。
「おい。ゾロ。大変だ。海軍だ。」
自分でも何を言っているのかわかっていない。先ほどの夢がよっぽどこたえたらしい。
『海軍』などという物騒な言葉を耳にして、ゾロは薄目を開けた。
しかし、そんな物が襲ってくる気配は全く無く、
(…俺を起こす前に、服を着ろよ…)などと心の中で突っ込んだだけで、ゾロは目を閉じた。
「おい。起きろよ。お前、自分が何をしたのか、わかってんのか。」
サンジはますます夢と現実がごちゃごちゃになっていた。

「うるっせいな。眠れねぇだろ。」

ゾロが吐いたこのセリフがサンジの別のスイッチを入れてしまった。
「うるさいのか。俺はうるさいのか。うるさいからか。俺がうるさいからなのか。」
今度は何だ、とばかりにゾロはようやく体を起こした。
「何もかも、俺がうるさいからなのか。だからなのか。それだけなのか。」
全く、言葉を覚えたばかりの子供よりたちが悪い…。
「どんな夢を見たのか知らねぇが、お前のB級ホラーにつきあう気はねぇよ。」
サンジが夜中に奇妙な事を言い出すのは、それほど珍しいことでも無いのでいつもの調子で軽く流すだけだった。

「夢なんて関係ねぇよ。俺がうるさいのかどうかって聞いてんだよ。」

サンジが何かに腹を立てている事はわかるのだが、ゾロにはさっぱり心当たりが無い。
しかも、どうやらやはり何か悪い夢を見たようだ。
聞き分けのない子供をなだめる言葉も思いつかず、かといって放っておいても
しつこく起こされそうだと思い、いつものように

サンジの顎をつかみ、自分の唇でサンジの言葉を封じることにした。

いつもなら、勝ち誇ったような顔でゾロを受け、まるで自分がし向けた罠にゾロがはまるのを
楽しんでいるかのように笑みさえ浮かべたりするサンジなのであるが。
・・・いつもと違う反応が返って来た。
ゾロを突き飛ばし、怒りと悲しみが入り交じったような苦しそうな表情でサンジはゾロをきつく睨んだ。

「俺がうるさいから、黙らせようとしたんだろ。」

(…ああ、そうだ。)

ゾロは、そう答えそうになったが、おそらく更に事態を悪化させるような気がして言葉を飲み込み
サンジの言い分らしい物を聞こうとした。
「一体、どんな夢を見たんだよ。」
「言えるか、そんなモン。」

「・・・・。話になんねぇな。」

ゾロはわざと大きなため息をついてサンジに背を向け、再び眠りに就こうとした。

サンジは諦めたようで、それ以上は何も言葉を発さずにいた。
しばらくして、サンジが服を着る音がし始めると、ゾロは目を閉じたたままその音を聞いていたが
サンジがそのまま寝室を出ていくのを窺うと
「ったく。しょうがねぇな…。」と呟きながら自分も服を着て、後を追った。

甲板の手すりに肘をついて、遠くから白み始めている空を眺めながらサンジは紫煙を吐き出していた。
適当な言葉が見つかるくらいなら、とうにそうしていた。
ゾロは黙ったままでサンジから少し距離を置いてドカッと座り込み、腕を組んで
背中の壁にもたれたかと思うと、目を瞑った。

ゾロが自分を気にかけてここに来ているのだ、と感じながらも
動揺の治まらないサンジにはどうして良いかわからない。

沈黙の時間が流れた。

重苦しい空気に耐えられず、先に弱音を吐いたのはサンジであった。

「せっかく静かにしてやってんのに、なんでわざわざ出て来んだよ。」
これを切っ掛けに、ようやくゾロも目と口を開いた。

「…てめぇはどうなんだよ。」
「はぁ?」

「さっきからてめぇは質問ばっかりしてやがるが、じゃあ、てめぇはどうなんだよ。」
「…だから…何が…」

途端に形勢が逆転した。
何故かサンジは弁明する立場に追いやられていた。
さっきまでの気迫は薄れ、虚ろな表情に変わる…。
…答えられる訳が無い。
核心に触れようとしていたのは自分の方であったのに、ゾロから命題をつきつけられて
逃げることも進むことも出来ずに情けない表情でゾロを見返す事しか出来ずにいた。

何もかも投げ出してしまったようなやるせないサンジを
ゾロが優位な立場で追い込んでいるように見えるが
実のところ、サンジのそんな無防備な表情こそがゾロの内心を揺さぶっていた。

弱い者が強い者へ見せるすがるような視線。
何を置いても自分に信頼を寄せている、という真っ直ぐな熱い思い・・・。
たまに見せるサンジのこんな顔に、ゾロは弱い。

下品な言葉で憎まれ口をたたくサンジなら、どれほど気が楽だろうか。
儚げにさえ見える、サンジの哀しい表情にゾロはどう応えていいかわからない。
この居心地の悪い困惑がサンジの不安を取り除いてやりたいという気持ちから来る事にゾロは気づいていない。
そして、戸惑いながらも、サンジを可愛いのだとゾロは思う。
可愛いという言い方が合っているかはわからない。
おそらくサンジはゾロにそのように思われる事を嫌がるであろうし
実際、ゾロもサンジを怒らせたい時に、この単語を使っている。

可愛く切ないサンジの表情に、ゾロは言い様のない愛着を感じながらも
そんな顔をさせているのが自分なんだと思うと、いたたまれなくなる。
こういう時、普段なら柔らかくサンジの後頭部に腕を伸ばし、自分の胸に埋もれさせるのだ。
こうする事で、いたたまれない視線を自分からそらす事が出来るし
同時に小さな宝物を手に入れたような満足感も得られるのだ。


そして今。

サンジが求めているものが何となく見当はつくものの
あいにくゾロの辞書に「アイシテル」などという言葉は存在しない。

観念した、というようなゾロの潔い笑みは余りにも短くてサンジの目には映らなかったが。

「質問に答えないのはお互い様か。」
いつも通りの不敵な様相に戻ったゾロはそう言うとゆっくり立ち上がり、サンジへと近づいた。

何の心の準備も出来ていない素の表情を晒したサンジの口元から煙草を取り上げ、海に投げ捨てると
ゾロは言葉を続けた。
「まぁ、俺はお前が静かでもこうするけどな。」

ゾロの唇がサンジのそれに重なった時、サンジの哀しい瞳に幕が下りるのであった。


おしまい。

寸止めバンザイ!



私の思うゾロとサンジの関係を書いたつもりです。
どうしてもサンジが女々しくなってしまうのは、サンジが普通にしてたら間違いが起こらないからです。(笑)
ゾロサンの、特にゾロがサンジを想う気持ちというのを説明したくて、こんな感じになりました。
SSは下手くそだけど、書いていて気持ちよかったです。(^^)
最後まで読んで下さってありがとうございます。




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