Dream of Darkness |
---|
シオンの部屋のドアを叩く。木の乾いた音が、空間に響いた。
「シオン、ちょっといいか?」 声が聞こえ、それとほぼ前後せずにドアが開く。 部屋の中から覗いたシオンは、眼帯もいつもの赤いバンダナも外していた。 もうそろそろ眠ろうとしていたところらしい。
「悪い。寝るトコだった? 明日にしようか?」
もともと愛想の良い方じゃないから、笑顔ではない。
でも、迷惑そうでもなかった。 「・・・・・・? 何だ?」 入った途端固まったまま動かない俺に、シオンは不審げに訊いてきた。 「あ・・・・・そうだ、これ」 気まずくなりかけたその場を取り繕うように、 後ろに隠すように持っていた一振りの剣を差し出す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・盗品を俺の家に持ち込むなよ」
上目遣いに俺を睨むシオンの隣に腰を下ろしながら、俺は「違う違う」と手を振った。 「結構したんだぞ? んで、どうよ? 俺の目からはそれなりなモンに見えたんだけど・・・」
やっぱ、お前ほど目が利かねーからちょっと自信ないんだ。
「すげえ代物だぜ、これ。ここに彫り込んである紋章があるだろ?
200年くらい昔にこの辺の工房で作ってたヤツには、だいたいこれが入ってるんだ」 気を逸らすためにシオンの話に応える。声がうわずらないようにするのが大変だった。
「ああ、だけどこの刀身、見てみろよ。刃こぼれどころか”くすみ”
すらねえ。
相当の腕の職人じゃねえと、ここまできれいには出来ねえ」 茶化すように褒める。けど、シオンは、そんな俺のふざけた態度も耳に入らない様子だった。 まるで久しぶりに恋人にあったみたいな顔で、剣や鞘を鑑定している。
「・・・・ちょ・・・っ、・・・・・や・・・め・・・!」
その音で我に返ったシオンが、押しのけるようにして俺の唇から逃れる。
必死に自分を拘束する俺の腕から逃げようとする。
「・・・・・・・・・・犯らせて」 状況に付いていっていないシオンが、驚きに目を見張った。
「お前が欲しい」 言いながらナイトテーブルに手を伸ばすと、 そこに置いてあった剣・・・シオンの言葉を借りれば「すげえ代物」を手に取る。 「・・・・! デュ・・・」
目の前に刃物を向けられたシオンは、思わず硬直した。 「ッ!!」
電撃を流されたような緊張に、びくんと身を震わせたシオンの身体は、
あっという間に露わになった。 「・・・・ッ・・・」
シオンの身体にまとわりついている夜着の残骸を手際よく取り除きながら、
日に焼けた肌に舌を這わせる。 「ふざ・・・けるなっ!」
つかまれていた腕をふりほどいて、自分の上から俺を退かせようとする。 「あんまり抵抗しないでよ。手加減できなくなっちまう」
俺は笑っていた。自分でも何がそんなに楽しいのか分からなかったけど。
・・・多分、もう半ば狂気に支配されかかっていたんだろう。
「戦士が剣で脅されるなんて・・・・油断したな」 今にも飛びかかりそうなくらい殺気立った眼で俺をにらみつける。
「好い顔だ。泣かせたくなる」 そんな俺の揶揄など聞こえない様子で、ギリギリと歯を食いしばって睨んでくる。 「なぁ、色っぽい声で泣いてよ」
言いながら指を挿れると、シオンの全身の筋肉が一気に強張った。
腕や肩、脚がぶるぶると震え、顔が上気する。 「・・・ッ・・・! イ・・・ッ・・・・ァ・・・ッ!!」 荒い息とともに唇から漏れた声は、思わず腰が砕けそうになるほど色っぽい泣き声。
「やれば出来るじゃねーか」
無慈悲に指をうごめかせると、左の青い瞳から涙がこぼれ落ちた。
噛み潰したような泣き声はますます艶っぽさを帯びてくる。 「もっと声、聴かせろよ」 まるでそれを要求する合図のように、再度指を増やす。 「・・・・ふ・・・ッ・・ク・・ぅ・・・ッ!」 乱れていく呼吸の端から抑えきれずに漏れる吐息の量が増えてきた。 でも、それでもなお、俺の要求に対して頑なに抵抗を続けている。 「可愛くないな」
そんなふうには全然思ってないけど、素直じゃないっていうのは事実だ。
ホントは大きな声で泣き叫びたいくせに・・・。
「泣けよ」
前をくつろげていきなり貫くと、まるで死後硬直のように、シオンの四肢が不自然に跳ねた。 「イッ・・・うあッ!! あ・・ああ・・ああああぁぁーッ!!!」
容赦なく無理矢理に、これ以上進めないところまでくわえ込まされたシオンが、ついにオチた。 「・・・・・・・・・・イかせてやる・・・・・」
破壊してしまいたいくらいの激しい欲動に支配されて、俺は、残酷なくらい乱暴に下肢を動かした。
唐突に目が覚める。 覗き込むのは、琥珀色の長い髪、青い宝石のような瞳の持ち主・・・・。 心配そうな表情を、ほっとした色に変えて、そいつは微笑んだ。 「よかった・・・・。気が付いたんだな。 すごくうなされてたから、今、ぶん殴ってでも起こそうと思ってたところだぜ」 太陽のような笑顔。不可侵の天使。
こいつは、ほんの欠片ほどにも俺を疑っていない。無垢で真っ直ぐな瞳で俺を見る。 「顔・・・洗ってくる」 いたたまれなくなって、ベッドを降りた。逃げ出すようにシオンの横をすり抜けると、 その髪から、肌から、暖かい日差しの香りが漂い、俺の鼻をふんわりとくすぐる。 掴みかかって、押し倒してしまいたい・・・・・。
それが楽しかったのは、ほんの数日間だけだった。 夢の中で出てくるのは、いつもシオンと俺だけ。
そして、俺は、必ずシオンを無理矢理に・・・・。
ディープですね・・・(汗)。つーか、夢じゃなきゃ、ヤバい・・・。(いや、夢でも激ヤバだろ) |
1996 (C)SQUARE Rudra's Mines 2002 Presented by FU-ByKA |
+TOP+ |