+LOVE is the sin..+ chapter 4 |
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「・・・・・・・・っく・・・・・っ」
ほんの一瞬の隙のために、下肢を俺の欲望に汚された屈辱のせいなのか、シオンはきつく唇を噛む。
内股を伝い、流れ落ちる欲望の感触が耐え難いのか、堅く閉ざされた瞳から涙をこぼす。
「・・・っくしょ・・・ぉ・・っ! ちくしょぉー!!」 ”どんな風でも良い。俺のことを・・・・”
躰の奥底から突き上げてきた、魂の叫びのようなそれを、声に出した覚えはなかった。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!?」
俺の顔を見た途端、驚愕の色を浮かべたシオンの脚が、俺を蹴り飛ばす力を緩める。
「好きなんだ・・・。俺にも・・・もうどうしたらいいか分からねぇくらい好きなんだ。
たのむよ。俺に・・・、一度だけでいいから・・・」
シオンの頬に、紅い雫がいくつも落ちる。
日に焼けた肌の上に、残る紅い染みが、自分のものであることに気付くのに時間がかかった。
「お前が欲しいんだよ。真剣に、冗談抜きで、お前を俺の物にしてぇ・・・。
もう、他の誰にも触れさせねぇようにして、俺だけの物にしてぇ・・・」
涙が止まらない。それ以上に感情が抑えられない。切なくて苦しくて、
このまま心臓が潰れて死んでしまいそうなくらい心が痛い。
「最低だよな、俺・・・・。お前みてぇな真っ新な、きれいな心、持ってる奴にこんなこと・・・・」 何の解決にもならない。それでも俺は再びシオンの脚を開かせていた。
「やめろ! サイゾウ、こんな事に何の意味があるんだ!!」 多分、感情が高ぶっている俺の言葉は、叩き付けるように乱暴で、 シオンはそれに気圧されてしまっているんだろう。 ただ、瞳を大きく見開いて、俺を見つめることしかしない。 「二度とこんなことしねぇ。絶対にしねぇ。これっきりだ。 だから・・・・だから抱かせてくれ。お前を・・・!!」
シオンの細い両脚を肩に担ぎ上げ、その腰を引き寄せる。 「シオン・・・・」 血の気を失い冷え切ったシオンの頬に、そっと手を添えた。 逃れようという意志表示程度の抵抗しかしないシオンの顔は、 簡単に、少し力を加えただけで俺の方へ向きを変えられる。 「・・・・・・・サイゾウ・・・」
静かにシオンが呟いた。その瞳には、先ほどまでの激しい怒りの感情は一切見られない。
どちらかというと無表情。感情を失ったような、静かで虚ろな瞳が、まっすぐに俺を見つめてくる。 「・・・・・・・・!?」 何が起きたのか、と狼狽える俺の目の前で、シオンは目を閉じた。 そして、躰から一切の力を抜く。全てを俺に委ねて来た。
「シ・・・・・・・シオン・・・・・・・・・・!!」
その、あまりにまっすぐな、偽りの欠片もないシオンの言葉が、かえって残酷に俺を貫いた。 「・・・・・・・だめだ・・・・・。 やっぱり・・お前は、こんな俺みてぇな薄汚ぇ野郎に汚されちゃいけねぇ・・」 自分の過ちに、今初めて気がついた。 いや、ずっと前から分かっていたはずなのに、激しい欲情がそれを掻き消していたのだ。 シオンは、永遠に潔癖である存在・・・。
俺は、シオンを見ることが恐ろしかった。
顔を上げて、俺が汚れた視線を向ければ、きっとシオンはそれだけで汚れてしまう。
それが恐ろしくて、顔を上げられなかった。
床を這いずってシオンから離れる。 「・・・・・サイゾウ?」
そっと手が差し伸べられる気配に、全身の鳥肌が立つほどの恐怖を覚えた。
「触るな! 俺になんか触っちゃいけねぇ!!」
シオンの声は、不安の色を含んでいた。
その唇が俺の名を紡いだの聞いた瞬間、心臓が止まるかと思った。
「ダメだ!! 俺なんか見るな! もう忘れろ! 俺のことなんかきれいさっぱり忘れちまってくれ!!」
決してシオンを見ることの無いように顔を伏せたまま、
後ろへじりじりと下がってシオンとの距離を離した。
ノブが触れた瞬間、俺の恐怖は留め金を失った。 駄目だ、シオン! 手を離せ!
「待てよ、サイゾウ! もっとちゃんと説明し・・・・」 どうだっていいじゃねえか、そんなこと! 早く・・・・早くその手を離さないと、お前が・・・・!! もう、俺の頭の中には、恐怖しかない。腕を掴むシオンの手の暖かさが、何よりも怖かった。 背を向けたままで、必死でシオンを振りほどこうとする。 なのにシオンは、しっかりと俺の腕を掴んで許さなかった。 「うああぁあぁぁっ!!!」 俺の中で何かが切れた。 「・・・・・・・!!?」
そんな俺に驚いて、思わず身を引こうとしたシオンを、俺は乱暴なくらい強く掻き寄せていた。
もうどうでもいい。
自制心も理性も何もかも放棄した。 「・・・・・んんっ・・・・!!」
腕の中でシオンが、苦しげな呻き声を漏らし、胸を強く押してきた。
それに応えて、ほんの少しだけ唇を離し、合わせる角度をずらす。
俺にすがるシオンの手から、力が抜けていく。
「・・・・・・・!?」 ぐったりとしてしまったシオンから、慌てて口を離すと、その躰を抱き留める。 「シオン!?」
頬を軽く叩きながら名前を呼んだが、反応はない。
シオンは完全に泥のように眠ってしまっていた。 「・・・・・・・・・」
そんなことはあるはずはない。だが、シオンの、綺麗で無垢な寝顔をじっと見つめていると、
それが現実のものになってしまいそうな気になってくる。
壊れ物を扱うように大切に抱き上げ、ベッドにそっと寝かせてやる。 取り返しのつかないことをしてしまった。
身を裂かれるほどの苦痛を伴う後悔が、体中を責め苛(さいな)む。 「・・・・・・・あぁ・・・・・・・ちきしょ・・・・ぉ・・・・・・・」
自分は汚らわしい奴だ。 「ちきしょ・・・・・っ!!」 いけないことだとは、分かっている。それでも・・・・。
気がつくと、ゆっくりとシオンの下肢へ顔を近づけていた。
その内腿、下腹部、そしてシオン自身にまとわりつく自分の性欲を、舌で拭おうとして。 その音で、我に返る。
弾かれたようにシオンから離れると、浴室に逃げ込んだ。
だが・・・・・。
こんな事をしても、シオンに付けてしまった己の汚れは消えない。 「シオン・・・ごめんな・・・。俺・・・ホントに・・・ごめん・・・」
タオルと一緒に持ってきたきれいな衣類を、自分が汚してしまったその躰に着せてやる。
欲しいと望んだりしない・・・・。 だから・・・・
だから・・・・・
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う〜ん、話の収拾がついてないですね…。果たしてこの続きはあるのか?! 多分無いでしょう。(おい) とりあえず、読んでしまわれた方、済みません。m(_ _;)m
実はこれの原文、かなり古いです。
1999年7〜9月にかけて、HTMLのお勉強用題材として書きました。(どんな題材や!?) |
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