LOVE is the sin..
Last chapter
side of saizoh


「・・・・・・・・待ッ・・・・・・・!」

 逃げるように部屋を出ていったサーレントを追って、ベッドから飛び出そうとするシオンを、抱き留めた。

「シオン・・・・サーレントの気持ちを、踏みにじる気か?」
「・・・・・・・・・え?!」

 俺の言葉の意味が分からず、シオンは顔を仰いだ。

「・・・・・・・好きだから、離れなきゃいけないことだって・・・・・・あるんだぜ・・・・?」

 俺は優しく笑う。でも、泣きそうな顔をしていたかも知れない。 シオンがとても不安げな顔をしていた。

「だから、追っちゃだめだ」
「・・・・・・・でも・・・・・・!」
「俺も・・・・そうなんだよ?」
「サイゾウ・・・・・・!?」
「俺も、シオンを汚すくらいなら、いっそ・・・ガフへ還ろうと・・・・・」

 俺の目に涙が溢れたのが分かった。今まで、泣きたいと思ったことも、泣いたこともなかったのに、 このたった数日の間で、俺は何度泣いたんだろう?
 だが、シオンの涙は、俺のそれよりも早くそのほの白い頬を滑り落ちた。

「イヤだ!」

 まるで留め金を外されたように、溢れ続ける涙。

「イヤだ! サイゾウがいなくなるなんてイヤだ! ウソだったのかよ!  ずっとそばにいてくれるって言ったのは、ウソなのかよ!」
「・・・・シオン、もう、元気になったよな?」
「サイゾウ!!」
「元気なシオンには、 ”守ってくれる人” なんて要らないだろ?」
「イヤだイヤだイヤだ!!」
「シオン・・・いい子だから、分かってくれよ」
「サイゾウが、俺が元気になったらいなくなるって言うなら、元気になんかならねえ!!  いなくなれるモンならなって見ろよ! 俺を一人にしたら、その場で死んでやる!」
「・・・・・・・・・シオン・・・・・・」

 こんな駄々っ子みたいなシオンは初めてだった。何がシオンをこんなに変えたのか。
 俺の僅かな逡巡の隙に、シオンはたった今の発言を行動に移す。

「やめろ! やめるんだ、シオン!」

 自らの腕に手加減無しで歯を立てたシオンに、俺は心臓が止まりそうなくらい驚いて、あわてて止めた。
 ほんの一瞬のことだったのに、僅かとは言え、シオンの腕は皮が裂け、血が溢れ出している。

(本気だ・・・・・・・・・!!)

 心の底から戦慄を覚えた。
 恐ろしいことだった。
 自分のせいで、シオンが、本気で自らを殺そうとしている。

「いなくなってみろよ!!」

 野生の獣のような瞳で、シオンが俺を睨んだ。

 シオン・・・・・・お前は、俺を自由にすらしてくれないんだな・・・・・。

 シオンは、分かってしていることではないのだ。 だが、シオンが取った全ての行動は、俺を完全にシオンに縛り付けるのに、最も有効な方法だった。

 ・・・お前は俺を独占するが、俺はお前を独占できない・・・・・・・・。

 それだけはしたくないのだ。自由だからこそ、シオンなのだから。
 そして、心のどこかで、シオンに縛られてしまいたい自分の存在にも気付いていた。

「・・・・・・・お前は・・・・俺が必要か?」

 どうなろうと構わない。何もかもを諦めて、俺は聞いた。優しく。
 シオンは、再び涙の留め具を外して、しがみついてくる。
 それだけで、全ては決まった。もう、この呪縛から逃れることは出来ない。
 だが・・・・

「・・・それなら・・・・・・」

 完全にとらわれてしまったのに、俺はそれが切ないくらいに嬉しかった。 嬉しくて嬉しくて堪らない。そして、シオンがどうしようもないくらいに愛おしい。

「シオン・・・・触れてもいいのか? お前を見てもいいのか?」
「・・・どうして? 何でそんなこと訊くんだ?」
「・・・お前が汚れたりしないかどうか、知りたい」
「しねえよ! 絶対にない、そんなこと!」

 俺の心のどこかで、張りつめていた糸が切れる。
 深い安心感。
 大丈夫なのだと、やっと思うことが出来た。
 今までは、そっと触れるだけでも、その触れた部分から、シオンが徐々に汚れていくような、 そんな畏れが常につきまとっていた。

「・・・・シオンが・・・無いって言うのなら、大丈夫だよな・・・・」
「大丈夫だ! 絶対に大丈夫だ!」

 真剣なシオンの瞳が、とても嬉しい。
 喜びを隠さずにそのまっすぐな瞳を見つめて、俺は思わず顔をほころばせた。

「好きだよ、シオン」

 今まででは考えられないくらい、この言葉を発することが嬉しい。 以前はあんなに苦痛ばかりを伴う言葉だったのに・・・。

「・・・あ・・・・俺・・・・・」

 シオンは、不意に困ったような顔をする。

「いいんだ、シオンは。別に俺のことを好きでもなくていいんだ」
「そんなの・・・!」
「俺を必要としてくれさえすれば、それで良いんだ。俺にはそれで充分だから」

 シオンは、戸惑ったような顔で、俺を見上げる。
 そんなシオンをしっかりと腕の中にしまい込みながら、俺は微笑んだ。
 そんな俺の笑顔をじっと見ていたシオンが、不意にそっと目を閉じた。

「・・・・・・・・・・・・・・・!?」

 重ねられるのが唇だけでも、それ以上のものでも、かまわない。 シオンはそう覚悟している。
 その覚悟が分かった。体中が戦慄く。

 抱いても・・・・・良いって・・・・・・かまわないって言うのか?!

 早鐘のように心臓が鼓動を打つ。内側から突き上げる熱が、一気に頬を熱くした。
 まるで初めてキスをするようにぎこちなく、俺はシオンの唇に自分のそれを近づける。
 シオンは拒まない。

「シオン・・・・・・・・愛してる・・・・」

 シオンの唇を覆った。シオンの肩が僅かに震える。

「怖いか?」

 唇を離すと、心配さを隠さずに聞いた。
 シオンは、頬を真紅に染めて首を横に振る。
 「ホントに?」と、疑うような表情で、そのうつむき加減のシオンの顔をのぞき込むと、 シオンは耳まで赤くして、小さく答えた。

「ちょっと・・・・・・だけ・・」
「・・・やめとくか?」
「だ・・・大丈夫だ!」

 驚いたように顔を上げたシオンに、いたずらっぽい笑顔を返す。

 引っかかった。

 シオンも気付いたらしい。途端にシオンの躰中が熱くなるのを感じた。
 そんなシオンを優しく抱き寄せる。
 そして、最上級の愛情を施すために、そっとその細い躰を自分の下に包み込んだ。
 ゆっくりとシオンの四肢から力が失われていく。

「・・・サイ・・・・ゾウ・・・・」

 シオンの熱い吐息。
 熱っぽいまなざしを受け止めて、俺は、ゆっくりとシオンの躰に愛を伝えた。




FINE



 読んでしまわれましたね・・・。すみません。
 とにかくまず謝るしかないです。こんな乙女なシオンに、鬼畜なサーレント!  何か、シオン、ラストだけ無茶苦茶我が儘だし・・
 いや、ホント済みません。お願いだから苦情や非難のメールだけは送らないでくださいね(マジで)

 この話はホントに勢いだけで書いてしまったものなので、 ストーリー中に出てくる設定もほとんどこの場限りの思いつきの設定です。  サーレントは、ごく普通の中流家庭に生まれて、ごく普通に言霊師を目指したんだと思ってます。 男●なんて、飛んでもねえ!
 そもそも、サーレントはシオンよりもソークさんにラブラブで、 潤んだ瞳でシオンを見つめながら愛を告白することなんて、無いんじゃないかなぁ?  シオンだってそんなに簡単にサイゾウに折れたりしないと思うし。
 chapter9でサイゾウがサーレントに話したシオンの生い立ちは、 一応隠れキャラの中で確定している設定だったりしますが・・・。

 というわけで、この話は、シオンやサーレントには実際に起きていない、 誰かの妄想(誰かって誰さ? え? 隠れキャラ? その通りですね) の中の話だと思ってください。

 なお、このメッセージを読み終わると、あなたのパソコンのキャッシュは自動的に消去され・・・ たりしませんので、出来るだけ早くこのデータは削除しましょう。 でないと、あなたのパソコンが汚れてしまいます!

 それでは、一刻も早く下の+TOP+から表の世界へ戻りましょう。
 え? 戻っても大して変わらない世界だって? まぁ、そんな身もふたもないことおっしゃらずに・・。



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