ラウラの詩
〜序・1/3〜

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 お前ってさ、何でそんなにいっつもしかめっ面なんだよ?

「これが地顔だ」

 一緒にいるこっちが肩こるんだよなぁ。あ! そうだ!

「却下だ」

 まだ何にも言ってねぇだろ?

「お前のことだ。 どうせまた、ろくでもないことを思いついたんだろう」

 バカにすんなっての。今回のは名案なんだからさ! な! ヤンロン。お前もっと笑えよ!

「必要もないのに何故笑わねばならん?」

 それを言っちゃ、身も蓋もねぇってか…。

「そもそも男児たる者は、泰然自若たるべし。 常に落ち着いていてこそ、その価値が現れるのだ」

 うげ…ヤバイ流れ…。

「そこへいくと、マサキ、お前は些か喧騒が過ぎる。 もう少し一言一句の重みを意識した方がいいだろう」

 あ〜、もう、こんな時まで説教することねぇだろ!

「待て! どこへ行く気だ、マサキ!」

 どこだっていいから、ヤンロンの説教が聞こえねぇとこ!

「…………!! いかん!  こっちへ来るんだ、マサキ!」

 いててててッ! そんなに力一杯引っ張らな……。


 あれ? 

 今一瞬、目の前が光ったと思ったのに、すぐに真っ暗になった。

 何でだろ?

 って、ヤンロン、何お前がしがみついてんだよ!  お前が馬鹿力で押さえるから、何にも見えなかったんじゃねぇか!

マサキ!!

 ……ヤンロン? あれ? 何? お前、何言ってるか聞こえねぇぜ?

お前は無事なのか?!

 ヤンロン? お前…、怪我してる?

 何? 何だよ? 何があったんだよ?!

 今の光? 今の光のせいなのか? お前…、俺のこと庇ったのかよ?!




「マサキ、どうかしたのか?」

 え? アレ?
 ヤンロン?

「何だ? 鬼魂(幽霊)でも見るような顔をして」

 だって…、お前、怪我して、それで目が見えなくなって…!

「怪我? 目が見えなくなった…?  ふむ、あの爆発の時の後遺症がまだ残っているようだな。 お前は鼓膜をやられたせいで、心身共に均衡を失っていたからな。 まだ記憶が混乱しているんだろう」

 え? じゃぁ、ヤンロン、お前、身体は? 何ともないの?

「見て確かめればいい。どうせ、お互い裸なんだからな」

 は…はだかぁ?!!
 うわわわわっ! 何で俺、何も着てねぇんだよ!

「…色気のない奴だとは思っていたが、まさかここまでとはな」

 ちょ…ッ! ヤンロン! 呆れてねぇで、状況を説明しろっ!

「説明も何も、僕たちは今、性交中だ」

 ええええーっ!!

「途中で眠りこけた上に、すっかり忘れてくれるとはな。 さすがの僕も傷つくぞ」

 イヤそんなこと言われても、覚えてないモンは仕方がねぇっつーか…。

「そうだな、お前に水を差されてしまったことだし、 今夜はもうやめておこう」

 へ?

「何だ?」

 え…、あ…、いや、俺は別にいいんだけどさ。 ヤンロンはそれで良いのかなぁ…って…。

「良いように見えるか?」

 ……………………。

「……………………」

 あの…、ヤンロン…。

「…続ける…ぞ。いいか?」

 …ん、…うん。


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