ラウラの詩
〜序・2/3〜
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優しく上から、腕の中に包まれて。
脚を開かされて。
腰を抱き上げられて。
ゆっくりと熱いものを入れられて。
俺はそれを根元まで全部受け入れて。
初めは優しかったのが、だんだん激しくなって。
掻き回されて。
探し当てられちまった場所を、何度も責められて。
そして突然、電気が頭のテッペンから背筋へ抜けた。
その後全身から力が抜けた。
横になってるのに、自分の手脚が重たく感じる。
だるい気分のまま目を開けた。
一番最初に目に入ったのは、紫色…?
…あれ?
「は…ぁ…、…う…ッ?」
息が、慌てて飛び出したみたいに、変なふうに肺から抜けた。
ひんやりするものが顔に触ってきて、それが人の手だと気が付いたのと同時に、話しかけられた。
「ようやく悦んで下さいましたね、マサキ?」
「…え…?」
シュウの声…?
なにが…どうなって…?
ここ、どこなんだよ…?
ヤンロン…?
あ…。
俺…。
ずっと…ここで…、シュウに…。
イヤだ…。
目なんか覚ましたくなかった。
あれから…どのくらい経ったかなんて、もう分からない。
どんなにいやだって叫んでも、どんなに必死で抵抗しても、逃げられなくて…。
ヤンロンの目を治して欲しかったら、言う通りにしろって、脅されて…。
優しさの欠片もない、冷たいシュウが怖くて怖くて、胸が潰れそうだった。
だるくて辛くて、意識なんてほとんど無いくらいなのに、乱暴に扱われて…。
身体中が痛くて苦しくて、まともに眠ることさえ出来なかった。
だんだん指先から冷たくなってきて、全身がひどい寒気に襲われた。
その後、やっと何もかもが麻痺してきて、意識が飛んで…。
「…あ…、そんな…俺…ッ」
俺、無理矢理、犯られてたのに…。
あんなにメチャクチャにされてたってのに…。
シュウとヤンロンを間違えて、イッちまうなんて…。
「あ…、う…ッ、うぅ……ッ」
シュウが何か言ってたけど、そんなの聞こえなかった。
嗚咽が込み上げてきて、それが胸につかえて苦しかった。
違うんだ、ヤンロン。
俺、一度だってお前に抱かれたいなんて、思ったこと無い。
お前はいつも口うるさくて、鬱陶しいなって思うことはたくさんあったけど、
でも、どんなに無茶しても、どんなバカやっても、
お前は俺のこと、放り出したり見捨てたりしなかった。だから…。
だから、大好きだった。
お前は何にも言わないから、怒鳴りつけられたりすると、やっぱり嫌われてるのかなって、
いつも不安になったけど。
でも、お前に嫌われてたとしても、お前ほど俺のこと構ってくれる人っていなかったから。
……いたけど、もう…、死んじまったから。
だから、怒ったり注意したり説教されたりすると、嬉しかった。
「こいつ、今、俺のためだけに怒ってるんだな」って思うと、すごく嬉しかった。
ホントに、それだけ。
だって、お前は俺にとって、「大人」だから。
親みたいで、先生みたいで。当たり前みたいに無条件で、側にいてくれる人だから。
なのに、俺…こんな身体になっちまって、お前とあんなコトする夢まで見ちまって。
汚い。
俺…、汚いよ…。
最悪。
何で、俺、こんな最低なこと考えてるんだよ?
いやだよ、俺…。俺がこんなふうになっちまったなんて、いやだ…。
ヤンロン……。
ヤンロン……!
俺、元に戻りたい…!
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