ラウラの詩
〜前編・3/7〜
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確かにヤンロンは、いつも俺を見守っててくれた。
でも、それは単に俺が危なっかしいから。
年上の責任、っていうような、あいつの堅っ苦しい義務感みたいなやつで。
第一、俺には、怒られた記憶はあっても、優しくされた覚えはない。
「もし貴方が彼にとって最愛の人間でなければ、呪いは解けません。
私が呪いを発動させれば、彼の目はその瞬間に光を失うでしょう」
俺の心を見透かしたような、シュウの言葉。
「私の、ささやかな報復ですよ。
ここまで貴方に想われておきながら、貴方が一番ではないなんて、薄情で贅沢でしょう?」
楽しそうに笑うシュウの姿は、やってることの冷酷さとあまりにもかけ離れてて、ぞっとした。
シュウが、ヤンロンをおとしいれようとしてる。
ヤンロンが、俺のせいで命の危険に晒されてる。
俺がヤンロンのこと好きだったせいで、ヤンロンは死んでしまうかも知れない。
俺は…どうしたらいい?
どう?
もう何も…!
何もないじゃねぇかよ!
シュウの言うなりになるだけじゃ足らないなら、俺に出来ることなんてもう、何もないんだ!
もう、ヤンロンのために出来ることなんて一つもない!
「健気ですね、マサキ。
そんなに愛らしい泣き顔で、彼を想うのですか?」
「…シュウ…、ヤンロンを殺さないでくれよ…ッ」
「それは彼の心が決めることですよ、マサキ?
彼が貴方を大切に想っていなかったとしても、それは貴方の責任ではないんです。
悪いのは彼なんですよ?」
「…違う…、違う! 俺の…せい…ッ」
「聞き分けのない人ですね…、マサキ」
冷たい声だった。
また…暴行される…?
でも、顎を掴まれて、少し乱暴にシュウの方を向かされただけだった。
「こうして、ただ押し問答を繰り返していても、仕方がないと思いませんか、
マサキ?」
「……………う…」
「愛されていないと憂えるよりも、
彼の愛に賭けて私に抱かれる方が、ずっと建設的だと思いませんか?」
「あ……」
「さぁ、マサキ」
促されるままに立ち上がる。
「ご自分で、脱いで見せてくれませんか?」
「………………ッ!!」
「嫌ですか?」
「……脱ぐ…よ…」
「そんなに恥じらって…可愛いですね、マサキ」
「……………」
「初めて見ましたよ、貴方が脱ぐ姿など……。
なるほど…そんなふうに脱ぐのですか…」
俺のほんの微かな動作さえ見逃さないほどに、シュウが俺をじっと見ているのが分かった。
顔に火がついたように、熱い。恥ずかしくて、恥ずかしくて、ずっと下を向いていた。
でも、もう、俺はシュウに逆らえない。
俺がヤンロンのために出来ることは、本当にもう、これしかないんだ。
「よく出来ましたね、マサキ。では、そこに横になって頂けますか?」
指し示された通り、手術台の上に自分で昇って、横になる。
「結構です。では、次は脚を開いて下さい」
あまりの恥ずかしさで、泣きそうだった。
でも、唇を噛み締めて、こぼれそうな涙を我慢して、シュウに向かって全部晒した。
「従順な貴方は、とても愛らしいですね、マサキ」
「……………………」
「では、最後にこれを…」
「……ぁ…っ! ……は…ッ!」
突然、晒した場所を指でなぞられて、思わず息を呑む。
「私があんなに教えたのに、貴方は本当にすぐに忘れてしまうんですね。
こんなにきつく閉ざして…」
「……う…、ん…んぅ…ッ」
「撫でただけでそんなに固くならないで下さい、マサキ。
これでは貴方も痛いんですよ?
まぁ、常に初々しい貴方の姿は、私にとってこの上ない喜びですが…」
そういうとシュウは、俺の手を取って、ゴルフボールくらいの、
赤くて透明な柔らかい珠のようなものを握らせてきた。
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