ラウラの詩
〜後編・6/6〜

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「どうした?」
「…………」
「何故そんな泣きそうな顔をする?」
「…大丈夫だ…。覚悟は出来てるから…」
「覚悟?」
「皆…怒ってるよな…」

 ヤンロンから返ってきたのは「きょとん」としか言いようのない顔だった。
 でも、すぐに優しい顔に戻って、俺の頭を撫でてくれる。

「全然違う話だ。僕と、お前にしか関係のない…な」
「俺とヤンロンにしか関係ない話?」
「ああ、そうだ」


 ヤンロンは、とても明るく、優しく笑っていた。




「愛している、マサキ」




 ……え?

 何…だよ? 今の…って?

 頭の中が真っ白になってる。

 何が起きたのか、分からなくて。
 何が起きてるのか、分からなくて。

 俺の唇に、同じ柔らかさのものが触れていた。

 すごく優しく。

 羽根でくすぐられるみたいに。

 それはすぐに離れていってしまったけど、俺の心の中にはたくさんのものが残った。

 喜びとか、幸せな気持ちとか。

「また泣かせてしまったな」

 ヤンロンが苦笑している。

「ヤン…ロン…、あの…ありがと…」

 目の前の笑顔が、優しくて暖かいものに変わる。

 暖かい腕に抱き寄せられて、暖かい胸の中にしまい込まれる。


 よかった。

 もう終わったんだ。

 あんなに苦しかったことが、辛かったことが、何もかも。


 よかった。

 本当に。

 本当に、よかった。


 安心して、ホントに安心できて、ずっと堅く凍らせてた気持ちが一気に溶けて崩れた。

 気を張って押さえてた今までの恐怖とか不安とかが、一気に押し寄せてきた。

 震えが止まらなくなって、涙も止まらなくなって、 ヤンロンの服がびしょびしょになるんじゃないか、っていうくらい泣いた。

 俺の中の泣きたいこと全てを吐き出すみたいに、泣いて泣いて泣いた。

 その間、ヤンロンはずっと何も言わずに、俺を抱き締めて、頭や背中を撫でてくれた。


 俺、もう我慢しなくていいんだよな?

 もう辛いことなんてないんだよな?

 ずっとヤンロンが側にいてくれて、もう二度と、一人で取り残されたりなんてしないんだよな?


 嬉しくて、嬉しくて、胸の奥がすごく暖かい。

 ヤンロンの優しさに包まれたまま、俺はその暖かさに、もう一度意識を溶かした。


1996
(C)BANPRESTO
/WINKY SOFT

2006
Presented by
FU-ByKA
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