Sonnet de clown
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 腕を掴み、壁に向かって振り向かせる。
 小さな身体を、有無を言わさず壁に押しつけた。

「え? シュウ? やっ! 何す……!」

 怯える声など無視して、逃げ道を塞ぐように背後から押さえ付ける。

「シュウッ! 何を…ッ!」
「これが彼を治療する交換条件ですよ。 彼の目を治したいのでしょう? その想いが本気ならば、このくらい何ともないのではないですか?」
「…や…ッ! シュウ! …何する気…ッ!」
「『何』? ご存じないはずがないでしょう?」

 ジーンズを膝まで引き下ろして、剥き出しにした双丘。
 その引き締まった谷間に指を滑らせる。

「や…! 変態ッ!
なんてトコ触ってんだよっ!」

「おや、彼は違うのですか?」
「何ワケの分かんねぇこと…!」

 それ以上答えることはしなかった。
 代わりに指先で、緊張に固く窄まる恥孔をなぞる。

「………………!!?」

 途端に肩を強ばらせたマサキを無視して、ゆっくりと指先を押し込む。

「いッ…! シュウッ! やめ…何…ッ!?」
「力を抜いて下さい、マサキ。これでは挿れられません」
「…え…? 何を…?」

 身体の芯の疼きは、限界に達していた。
 もはや、会話すら煩わしい。

「あらかじめ、警告はしましたよ」

 性急に前をくつろげて。

 ただ一言、予告にもならない言葉を言い置いて。

 そして、昂ぶりを突き入れた。

「…………………ッ!!!」

 マサキの息が詰まった気配がした。
 全身が震え出す。

「…あ…ッ! あ……あッ!!!」

 硬直した身体が震えるたび、微かな泣き声が絞り出されるようにこぼれた。

 愛おしい人の中で、きつく、強く締め付けられる。

 それだけで、悦びのあまり、達してしまいそうになる。

 白くはじけそうになる脳裏を堅持し、小さな身体を抱きすくめ、更に奥へと繋がった。

「やぁッ!! シュ…痛…ッ! やめ…ッ!! シュウッ!」

 腕の中でのたうつ身体を抱き締めて押さえ込み、ゆっくりと身を進めて深奥まで収める。
 そのままおもむろに突き上げた。

「……ひ…ぁ…ッ!!」

 腕の中の身体が仰け反る。
 肩口に押しつけられた新緑の色をした髪に口を寄せ、耳朶を噛む様に囁く。

「動きますよ、いいですね?」
「…え…? シュウ…、何? 待っ…!!」

 怯える声を無視して、情交を始める。

「やぁ…ッ! シュウッ! 痛い…! 嫌だ!  痛い…ッ、シュウッ!やめ…ろ…ッ! 痛いッ!」

 私に揺さぶられる小さな身体。
 抱き締めても、抱き締めても、まだ足りないくらい愛おしい人。

 結び合った場所からお互いが一つに解け合っていくような錯覚の中、 その最深部へと情事の証を注ぎ込んだ。
 ほぼ同時に腕の中のマサキが弛緩する。
 抱き、支え上げて、その顔を覗き込むと、青ざめた頬を涙に濡らして、意識を手放していた。
 失神するほどに好かったのかと、前を調べるが、そこには兆した気配すらなかった。

「……私相手では、感じもしてくれないのですか…」

 確かに、優しくはなかったですね。否、そんな余裕がありませんでした。
 愛おしさのあまり、貴方の悦びにまで想いを割けなかった。

 しかし、もし相手が、彼──ホワン=ヤンロンであったなら、貴方は……。

 手に入れた喜びが無い、と言えば嘘になる。
 だが、それ以上に胸に去来する、この虚しさは、一体何なのか。

 そっと身体を退いた。
 私がいなくなると同時に、受け止めきれなかったものが、マサキの内股を汚す。

「……………………!!?」

 溢れた自らの欲望の色を見て、更に、退いたばかりの己を確かめて、 それが見間違いでないことを知る。

 マサキは、処女のように血で汚れていた。


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