Sonnet de clown
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当然、マサキが選ぶことの出来る選択肢など、最初から一つしかない。
突きつけられた条件全てに、頷いて見せた。
幼い子供のように泣きじゃくりながら。
そして約束通り、ホワン=ヤンロンに別れを告げるため、
彼の前で私に抱かれ、淫らな娼婦の如き嬌態を演じた。
それを見たホワン=ヤンロンが何も言わず去った後、火がついたように激しく泣いて。
そして、それが、貴方の感情を見た最後。
優しくしても。
苛立って見せても。
どれだけ丁寧に愛撫しても。
どれだけ手荒に犯しても。
返ってくるものは何もない。
ただ黙って、私にされるがままを受け入れる。
何をしても、手に入らないのだと。
そう思い知らされた。
今、こうして腕に抱いているマサキは、私が欲しかったマサキではない。
私の欲しかったマサキは、本当にあるがままのマサキ。
怒って、笑って、泣いて、喜ぶマサキ。
私の想いが、貴方の心を殺してしまうというのなら、私は貴方を愛してはいけない。
もしも、貴方への愛を忘れることが出来る日が来たら、
貴方を愛したことを、貴方と笑って話せますか?
こんなひどいことをしたと、私に怒ってくれますか?
とても辛かったと、泣いてくれますか?
それでも、彼を治してくれてありがとう、と喜んでくれますか?
マサキ。
マサキ。
マサキ。
貴方が、好きです。
だから、貴方に出会えたこと、それだけで充分だと。
たとえ想いが叶わなくても、貴方を愛せることを、幸せだと。
今、ようやくそう思えるようになれたから。
「そろそろ貴方にも飽きました。出て行って頂けますか?」
マサキ。
マサキ。
マサキ。
貴方が、好きです。
だから、私は、惨めで無様な道化師に成り下がる。
::: fine :::
彼は100の想いで貴方を愛していた。
私は70の愛と70の恋で貴方を想っていた。
それが私が彼に勝てなかった理由。
シュウは想いの強さではヤンロンに勝っていました。
だけど、マサキが求めていたのは、想いの深さだったから…。
1996
(C)BANPRESTO
/WINKY SOFT
2006
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FU-ByKA
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