郊外地域の低床コミュニティ・バス

低床LRTは中規模の都市部では最適な公共交通機関ですが、郊外の人口密度の低い地域ではやはり採算性が悪くなります。とは言っても人がある程度住んでいてニーズがあれば公共交通機関を走らせないわけにはいきません。そこで、このような地域には低床のコミュニティ・バスを循環させます。このバスの特徴は、郊外と中心街を直接結ぶ路線を走るのではなく、原則としてLRTの停車場までの補助的な交通手段であることです。

コミュニティ・バスは、LRTではまかなうことができない郊外の住宅地と、最寄りのLRT停車場とを結ぶいわば毛細血管のような役割をにないます。郊外の住宅に住む人は、最寄りのバス停からコミュニティ・バスに乗り、LRTに乗り換えて中心街に向かいます。

ここで重要なのは乗り換えのしやすさです。LRTもバスも互いに低床なので、バスが一時的に道路上のLRTの停車場に入ることができれば、降りたその場が乗り場になり、なおかつ階段などの段差が一切ない非常にシームレスな乗り換え環境が構築できます。もう少し道路に余裕があれば歩道を挟んで一方がLRT、他方がバスというふうにすれば、バスとLRTがほとんど一体化した乗り換え環境が構築できます。

また、コミュニティ・バスは郊外地区だけを循環するので、中心街のような渋滞もなく、比較的定時性が保たれます。例えば15分おきに規則正しく運行(フリークエント運行)できれば、バスを利用する人も非常に便利になるでしょう。また中型のバスを使えば狭い路地も入ることができ、住民に密着した非常に小回りのよいルートも設定可能になります。

例外的に、郊外と中心部を直接結ぶバス路線はやはりある程度必要です。通学用のスクール・バス直行便なども当然必要です。特に、最寄りにLRTの停車場がない地域や、LRTが通れるほど広い道路が整備されていない地域は、中心街から放射状のバスルートを設定しなくてはなりません。それでも、バスの路線系統が格段に減るし中心街はトランジット・モールで一般車両の進入は規制されているので、今よりもはるかに速く快適に運行できるはずです。


コミュニティ・バス路線

コミュニティ・バスは、郊外の住宅地をきめ細かく回り、最寄りのLRT停車場まで行ったあと、また住宅地を回ります。このような小循環ルートを、各住宅地ごとに設けます。

武蔵野市のムーバスのようにコミュニティ・バスに非常に近い形態で、すでに実施されているケースもあります。ムーバスはLRTへの接続ではなくJR線への接続ですが、住宅地の中までくまなく回るルートを設定しているというところが、コミュニティ・バスと同じ思想です。



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