中心街のどこに軌道を布設するのがベストか |
これも難しい問題です。軌道は基本的に人通りが多い道路で、商店街や公共施設のすぐ近くを通すのが理想的です。しかし、そううまく配置されているわけではありませんので、道路ごとに優先順を付けるのと同時に、徒歩圏も考慮しなくてはなりません。 徒歩圏とは、人間がこのていどの距離なら歩いてもいいかなと思える距離で、400mとも1kmとも言われています。もちろん人によって違うし、荷物のありなしやその時の気温・天気によっても異なるでしょう。いずれにしても1kmはちょっと遠いかもしれませんので、ここでは徒歩圏を500mとします。時間にして徒歩7〜8分というところでしょうか。この「500m」は後ほど優先順位づけの判断材料に使います。 では、軌道を布設すべき道路の優先順位を考えてみます。 まず、鍛冶町大通りは最優先順位とすべきでしょう。先ほども書いたように中心街の大動脈ですので、ここを第一優先度とします。次に第二優先度はどこが最適でしょうか。一見すると広小路のような気もします。しかし私は大手通りを第二優先としたいと思います。理由は、大手通りは浜松北部方面への基幹道路でもあり、将来的に路線延長も視野に入れられるからです。さらに市役所や浜松城公園、中央図書館など公共施設も至近にあるので大手通りのニーズの方が大きいと判断できるからです。一方広小路も重要な幹線道路であり、ここに軌道を通せば東街区再開発地区へのアクセスもよくなります。しかし、鍛冶町大通りからアクトシティ北側の道路の方に延ばすことで東街区の南半分は徒歩圏内500mにはいることになります。また、広小路と平行して遠鉄も走っているので、優先度は低くなります。 これで下池川町交差点から大手通りを南下し、鍛冶町交差点を東に曲がって浜松駅前を通り、アクトシティ展示イベントホールの西側の市営駅北駐車場までのL字型の路線ができました。距離にして約2.5kmです。(右図1) 次に軌道を敷くとしたら、どの道路がよいでしょうか? その前に先ほどのL字型路線でカバーできない中心街を見てみると、東街区の北半分が相当します。この地域には県総合庁舎や静岡文化芸術大学などがあり、ここをなんとかカバーしなければなりません。現状で一番簡単なのは、アクトシティ展示イベントホールの西側の市営駅北駐車場前まできた軌道を北に曲げ、馬込川西岸に沿って文化芸術大学まで延ばす案です。しかし、この部分には十分に幅の拾い道路がありませんので、できれば再開発事業の一環として新たに道路拡張整備をしてほしいと思います。(右写真) さて、これでU字型の路線ができ、中心街を徒歩圏内とすることができました。ここまで来たら路線の環状化に踏み切りたいと思います。環状にすればLRTの運行や乗客の利便性がはるかに向上するからです。すなわち、下池川交差点と文化芸術大学を結ぶ六間道路が最終候補となります。環状線の総延長距離は約4.5kmです。(右図2) 環状の外側500mの範囲も徒歩圏となりうるので、環状の1辺を約1kmとすると徒歩圏はクリエート浜松を中心に2km四方のエリアとなります。すなわち東端は佐藤1町目、西端は松城町あたり、北端は中沢町の南、南端は寺島町あたりになります。 あと付け加えるとすれば、鍛冶町大通りを走る軌道は浜松駅北口コーンコースの直近まで引っ張ってきたいと思います。現在、浜松駅北口の花時計があるところあたりです。駅を出てすぐ「段差なく」乗り換えできるというのがポイントです。 |
上図の黄色い線は遠州鉄道で現在は高架になっています。しかし、1985年までは地上を走っており、路線もかなり異なっていました。当時は県総合庁舎からアクトシティ東側へななめに走り、スイッチバックで浜松駅北側まで延びていました。つまり上図でいうアクトシティ北側の赤いラインは、もともと存在していたのです。高架にした結果、ほぼ直線で浜松駅に着くことができ、かなりの時間短縮にはなりました。しかし、旧軌道も平行して活用できなかったものか思うと、残念に思います。
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