需要と供給



初めて会ったのは大学一年の時のコンパで、だった。

男にブランド品と同じ価値を求める女達に、僕達有名私立大医学部の学生は人気があった。

入学して間がないと言うのに二桁を早くも超えたコンパの数に辟易しないでもなかったが、その時のコンパは男子の目の色が違っていた。

お相手の女子が皆、医者の娘であったからだ。

「波生、オマエは来なくていいんだぞ」

「そうだよ。必要ないじゃんかオマエには」

直前まで僕はそう言われて参加を渋られたが何を言う。

「僕の家は開業医じゃないからね」

開業医のお嬢様との繋ぎをつけておきたいのは君たちと同じだよ。

「何言ってんだよ、金持ちのくせにさぁ」

ブツブツと煩いが僕はニッコリ笑って押し切った。

普段から僕のレポートを当てにしている奴らは文句を言いながらも僕の参加を認めざるを得なかった。

それは確かに僕は長男で家は資産家ではあるが、実家の事業を継ぐのは既に異父兄と決まっているし、在学中はともかく、卒業した後の実家の援助など期待は出来ない。

派閥の厳しい大学病院に残る気はない。

幸いにも僕は容姿に恵まれていると自負していたので、早々に逆玉を狙いに行ったのだ。
5対5の合コンは規模としては小さいが、短い時間で狙いを定めるには無難だ。

女子の年齢は幅があったが、やはり一番人気は一番若い子だった。

何より一番の綺麗どころだったし。

でもなぁ・・・アレは。

「里果ちゃんは学校どこ?」

「S女子です」

オレンジジュースをストローでくるくるとかき混ぜながらニッコリと笑って答える様は上品でいかにも育ちの良いお嬢様のようだ。

挙げられた学校の名前も一貫教育が売りの名門私立校だし。

他のお嬢さん達もそれなりに可愛かったり綺麗だったりしたのだが、峯下(やまもと)里果(りか)という彼女に敵う程ではなかった。

僕はその子に対してノリ気になった訳ではなかったが、競争率が高いと今まで培われてきた闘争本能に火がつく。

「ねぇ、抜け出さない?」

僕はテーブルの下で彼女の手をそっと握って囁いた。

彼女はそんな僕の行動にビクリと身体を一瞬だけ震わせたが、僕をじっと見つめ返して「いいですよ」と微笑み返してきた。

他の参加者のブーイングの嵐の中、僕と彼女は開始早々に堂々と抜け出し、会場であるイタリアンレストランを後にした。


「・・・ここですか?」

僕が彼女を連れて入ろうとしている建物を見上げて、彼女は戸惑ったようだった。

「そうだよ。ここはウチが年間で部屋を取ってあるからね」

場末のラブホテルにでも連れ込まれると思った?

お嬢様の君にそんな事はしないよ。

キーを持っている僕はフロントに立ち寄ることなく、最上階までのエレベーターに乗った。

「いきなりで驚いた?帰りたい?」

ホテルに入ってから落ち着きがなさそうにキョロキョロとしている彼女に僕はエレベーターを待つ間に声をかけた。

すると、彼女は僕に揺るぎ無い真っ直ぐな視線を向けて「いいえ」と言い切った。

うん、度胸もあるんだ。

結構な事だけど、その強気はいつまで続くのかな?

部屋のドアを開けて彼女に「どうぞ」と入室を促す。

エレベーターから部屋に入るまでの彼女の足取りは震えもせずしっかりしていた。

僕はカードキーを無造作に放り投げると「先にシャワーを浴びさせてもらうね」と言って彼女をスゥートルーム置き去りにした。

レストランを出る時こそ手を繋いでいたが、それ以外は彼女に触れてもいない。

今だってそうだ。

彼女に逃げるチャンスは幾らでも与えた。

それでも逃げ出さないのは、彼女なりに覚悟をしているって事なんだろう。

でもね、どれだけ強い覚悟をしていようと、僕は許してあげないよ。

バスローブ姿で戻った僕は、彼女も同じ格好をしているのに気づいてちょっと驚いた。

「あちらのシャワーブースで私もシャワーを済ませました」

時間を無駄にしたくないってこと?

「早いね」

男の僕より素早くシャワーを済ませられる女の子なんて初めてだよ。

「髪を洗っていませんし」

成程、確かに長い髪は濡れてない。

僕は髪も洗ったからなぁ。

「じゃあ、おいで」

僕は寝室のドアを開けて誘う。

ベッドに腰掛けて待つ僕に彼女は「電気は消していただけます?」と小さな声で囁いた。

「いいよ」

僕がベッドサイドのスイッチを切ると、リビングの明りをバックに立っていた彼女がドアを閉めてベッドへと近づいてきた。

そして僕の隣に腰かけると、ベッドが少し揺れて彼女のシャンプーの香りがふわりと漂う。

バスローブ越しに肩を抱いて、襟から手を潜り込ませて胸を探る。

「あっ・・・」

へぇ、見た目よりも大きい胸だな。

胸に触れながら襟刳りを広げてバスローブの紐を解きながらベッドに横たえる。

暗闇に慣れてきた目で白い身体をじっと見つめる。

やっぱりね。

「ねぇ、里果ちゃんって本当は幾つ?」

僕に胸や腹を触れられて、震えるような吐息を吐き出している彼女に問いかける。

「え?」

突然の質問に戸惑う彼女に僕はさらに問いかける。

「17・8に見えなくもないけど・・・12・3ってところ?」

僕の言葉に彼女は息をのんだ。

「ダメだよ。子供が火遊びなんかしちゃ」

そう言って僕は彼女の身体から離れて立ち上がった。

「・・・どうしてわかったの?」

ビックリしたのか肌蹴たバスローブを直す事無く彼女が訊ねて来る。

「合コンでオレンジジュースは拙いよね。お酒が飲めなくてもせめてアイスティーかウーロン茶にするべきだったよね」

僕が部屋の明かりをつけると、漸く自分の格好に気付いた彼女が身形を正す。

「それに手や首を見れば女性の年齢は大体推察出来るよ。君のは綺麗過ぎ。まるで赤ちゃんみたい」

確信を持ったのは全部脱がせてからだけど。

「で、本当は幾つなの?」

「・・・12」

うつむいた彼女がぽつりと溢した。

「中学生?」

彼女は俯いたまま首を横に振った。

ひゃあ、小学生かよ。

最近の小学生は発育がいいねぇ。

「どうしてこんな事したの?」

僕は彼女から少し離れてクィーンサイズのベッドに腰掛けた。

「煩いわね!どうだっていいでしょ!アンタだってこんなところに連れてきてベタベタあたしに触ったんだから偉そうに説教なんてする資格はないわよ!」

逆ギレですか?

それとも本性発揮?

僕は睨みつけて来る彼女の啖呵に拍手を送りたくなった。

ま、確かに、僕に彼女を説教する資格はないだろうな。

でも、少しばかり懲らしめるくらいは許されてもいいんじゃないかと思うんだ。

「最初に年齢詐称をしたのは君だよ」

僕以外は疑ってもいなかったみたいだけどね。

「そんなに男と寝てみたかったの?」

僕の追及に彼女は大きな溜息を吐いて肩を落とした。

「だって・・・パパったら女じゃ跡は継げないっていうんだもん」

はぁ?

僕は少し唇を尖らせて呟いた彼女の言葉に唖然となった。

年相応の喋り方になった彼女の言葉の意味を量りかねて。

「病院はあたしが医者になって跡を継ぐって言ったのに、パパったら『女じゃダメだ』とか言っちゃって・・・あたしに婿を貰えって言うんだもん」

はぁ、反抗期なのかな?

「婿養子を貰うなら、自分で選びたかったの!」

ふうん。

「それで僕は君のお眼鏡に適った訳?」

随分、あっさりと誘いに乗って来たし。

「あなたが一番男臭くなくて綺麗だったから」

なんだ、それ。

「顔が綺麗なら女慣れしてると思って・・・初めてなら慣れてる人の方がいいって聞いたし」

あらら・・・そりゃ初めての子にガッつく程飢えていませんけどねぇ。

「僕はロリコンじゃないよ」

苦笑した僕に彼女は嘲る様な視線を返した。

「それで?」

下を向いた視線の先にはバスローブを押し上げる僕のモノがあるわけで・・・ま、僕も健康な男子ですから。

「男性の生理的反応を論っちゃいけないよ」

君は子供でも身体は立派な一人前の女性だからね。

「犯罪者になるのが怖いの?」

挑発的な彼女の言葉と視線に僕の中の何かが奮い立った。

この子はまだ小学生で子供だけど体つきは子供じゃないし、婿養子を考えているなら一人娘なんだろう。

それもかなり大きな病院を経営しているとか言ってたし(ここ重要)何より美人なのは確かな事で、これから成長すればどれだけ綺麗になっていくのか楽しみではある(最重要)

今まで僕が寝てきた女性達はプライドが高い年上ばかりで、気軽なベッドの上だけでのお付き合いだった。

年下の家付き娘は面倒そうだが、一から教え込むというのも男のロマンかな?

「ハイリスクでもハイリータンが期待出来るなら怖くないよ」

僕はそう言って軽く彼女の唇にキスをした。

ちょっと驚いた様に大きな目を見開いた彼女は、それでも僕の首に腕を回して抱きつき、唇を自ら合わせて来る。

伏せた睫毛は長く、柔らかい身体は僕の腕の中にすっぽりと入ってしまうほど小さい。

身長はそれなりだったのに。

赤らんだ頬をして顔を離した彼女に僕は「口を開けて」と指示すると、素直に濡れた唇を開く。

舌を潜り込ませればミントの香りがする。

オレンジジュースの甘い香りがしても可愛かったのにな、と思いながらも、シャワーを浴びた時にキチンと歯を磨く清潔感は好ましいと感じる。

僕は潔癖症ではないが、セックスの前後にシャワーを欠かさない。

前儀をしなくても構わないなら必要ないかもしれないが、女性には必要不可欠なものらしいし、初めてなら尚更だと思う。

今まで処女なんて面倒で嫌だと思っていたんだけど。

唇を吸い上げては離しを繰り返し、舌を絡ませながら再びバスローブを肌蹴て胸をゆっくりと揉む。

すっとなぞる様に乳首に触れて探っても、流石に勃ちはしていない。

指でクリクリと乳首を捏ねくり回しても痛そうに顔を顰めるばかりで快感にまでは至らないんだろう。

最後までは無理かな?

荒い息継ぎをしている彼女の唇から胸へと場所を移すと、部屋の明るさに「電気・・・消して」と彼女が抗議してくる。

「どうして?」

僕は彼女の胸から顔を上げずに問い返した。

「もう隠す必要はないでしょ?」

年もバレたし、それに何より、僕は彼女の身体を明るい場所でよく見てみたかった。

上気した顔、白い肌、ピンク色の乳首に、陰りのない股。

「綺麗だよ、よく見せて」

ニッコリ笑った僕に彼女は顔を顰める。

変態だとでも思った?

でもね、女性の裸ってものほど男を興奮させるものはないんだよ?

ちゃんと感じさせてあげるから、僕も楽しませてほしいね。

軽く吸いつきながら舌で舐れば少しずつだが乳首も勃ってくる。

子供の肌に跡をつけるのも残酷な気がして白い肌に吸いつくのはやめておいた。

その代わりと言っては何だが、乳首を執拗に舐れば彼女の身体がピクピクと震えて反応する。

「あ・・・ん・・・あはぁ・・・んん」

「気持ちいい?」

ますます顔を赤くした彼女はコクリと頷く。

左手を胸から股へと忍ばせるが、やっぱりまだ濡れてはいない。

まあ、これくらいでビショビショに濡れてたらこっちがピックリだけどね。

僕は彼女から離れてベッドカバーと毛布を漸く捲った。

彼女にはバスローブを脱いでシーツの上に寝るように伝えて。

寝転んだ彼女の両足を持ち上げて広げると、流石に「やだ!ちょっと!」と抗議の声が上がったが。

「痛いのはイヤでしょ?」と返せば黙った。

ご開帳されたソコは流石に綺麗な色をしていた。

うん、僕はロリコンじゃないけど、クンニをするなら使い込まれていない場所の方が遣り甲斐があるのは確かだな、と一部の嗜好を持った方々への理解を示した。

それに毛が生えていないというのも抵抗感を少なくする。

舌を這わせたりするのにもね。

「あ、そこ・・・」

「シャワーを浴びたなら綺麗でしょ?」

襞を舐める僕に抗議する彼女を黙らせると、ボディソープの香りのする場所を溝を抉る様に舌を這わせた。

う〜ん・・・やっぱり濡れないなぁ。

ここで無理矢理突っ込んでも・・・痛いだけだろうし。

少しずつ慣らしていくしかないのか?

指で広げながら、舌で襞の奥に隠れている場所を探る。

「い、たい・・・」

え?これだけで?

唾液で濡らした指を差し込もうとしただけで彼女は小さな悲鳴をあげた。

やれやれ、やっぱり早過ぎたのか。

僕は早々に諦める事にした。

「もっと自分で慣らしておかなきゃダメだよ。予習復習って大事だからね」

あっさりと白旗を掲げた僕に、彼女は酷くお冠で散々詰られた。

「この役立たず!インポ!臆病者!」

うう〜ん・・・子供にしては言葉を知ってるのか?

それにしても酷いよね。

僕の理性的な行動を理解しようとしないなんてさ。

しっかり勃ってたんだからインポじゃないし、僕は臆病なんじゃなくて慎重なんだけど。

まあ、子供に理解させるのは難しいか。

でも、その勝気さは気に入ったし、将来性も期待出来る。

自らの手で女にしていくってのは中々ロマンだよね。

大丈夫、これで終わりじゃないんだから。

僕はプリプリ怒っている彼女を送り届けて、その背中にそう呟いた。






あたしは両親が長い間、不妊治療を行った末にやっと出来た一粒種だ。

だから小さい頃から大事に育てられた。

パパもママも高齢になってからの子供なので、叱られもせずに甘やかされて育った自覚もあるし、周りからもそう言われている。

けれど、その環境に甘えるだけでなく、自分自身もそれなりに努力してきたつもりだ。

実家の総合病院を継ぐつもりで勉強も頑張ったし、周りとも愛想よく付き合っている。

お陰であたしの評価は完璧だ。

なのにパパときたら『女が医者なんか目指すな』と時代錯誤も甚だしい。

自分が婿養子だからって、あたしにまで婿養子を取れって言うの?

バカバカしい!

女子大生で従姉の百合ちゃんが『今度、医学部の学生とのコンパがある』って教えてくれた話に乗ったのは、そんなパパへの反抗心からだけど、引っかけた相手が拙かった。

あっさりとあたしが年をサバ呼んでいるのを見抜いて、お説教めいた事を言い出したくせに、しっかりとあたしの身体を甚振った後で『やめる』って何?

ふざけるのもいい加減にして欲しいわ!

キスだけならまだしも、裸にして、人の身体を舐め回しておいて。

そこまでしておきながら最後までしないって何様のつもりよ!

きっちり責任取らせるつもりだったのに!

あれだけじゃ、ただあたしが玩ばれただけじゃないの!

次の日、早々に抜け出したあたしを心配した百合ちゃんにも『大丈夫よ』って笑って言うしかなかったし。

百合ちゃんが言うには、あのふざけた男は、実家が開業医じゃなくてもかなりお金持ちの息子で一番人気だったらしい。

まあ、あたしもあの顔で選んだようなものだったけど。

でも、もう二度と会わないんだし、と思ってたのに・・・


あたしのパパは次男だからママの実家の病院を継ぐべく医者になったけど、パパの実家は代々政治家を生業にしている。

パパのパパ、つまりおじいちゃまは一番下の孫であるあたしに甘い。

何かにつけてあたしを引っ張り出したがる。

今回も、おじいちゃまのお誕生日のパーティに振り袖を着て出る様に言われた。

あたしはまだ小学生でも、背が高いし、身体の育ちがいいので高校生に見られるのはよくある事だ。

着物を着て髪を結いあげ、化粧をすれば大学生にだって見られるだろう。

年寄りの政治家や財界人が集まるパーティなんかつまらないのに。

すけべ爺ぃ共の厭らしい視線に曝されるのはゴメンだけど、おじいちゃまのお願いをお断りする事は出来ない。

パパが怒るし、ママも泣いて縋ってお願いして来るから。

そんなに医者も政治家や財界人との繋がりが大切なのかしら?

まあ、大切なんでしょうね。

お互い持ちつ持たれつで。

あたしは少し剥れながらも、パパに言われる儘、爺ぃ共ににっこりと挨拶をしていた。

そんな時、聞こえてきた「本日はおめでとうございます」の若い声。

ゲゲッ!この声には聞き覚えが・・・

「ありがとう、君は確か・・・波生の・・・」

おじいちゃまの言葉に振り返るとヤツがいた。

「はい、本日は父と母が生憎と都合がつかなかったものですから代理で伺いました。波生の長男の静矢です」

ああ、波生ってあの波生だったのか。

海外でも幅広く商売をしているとか言う、あの波生ね。

そんな大きなトコの長男なら、どうして医大生なんかになったのかしら?

爽やか好青年を演じてるヤツは、おじいちゃまと伯父様とパパといった年寄りに受けがいいのか話が弾んでいる。

その話を漏れ聞くところによると、ヤツは長男でも義理の兄がいるらしく、ソイツが跡を継ぐのだとか、それで自分は医大に入ったとか、謙虚な振りをしつつ、さらりと自己アピールを忘れない。

案の定、ヤツが医大生だと聞いたパパの目の色がキラリと光った。

「ほう、優秀なんだね」

騙されちゃダメよ!パパ!

コイツは合コンで数多の女を持ち帰るようなヤツで、いたいけな小学生にまで手を出すヤツなんだから!

とは口に出しては言えないけど、あたしの心の叫びを感じ取って欲しい!

「丁度いい、娘の家庭教師を探していたところなんだが、お願い出来るかな?」

ああ、あたしの心の叫びはパパには届かなかった・・・

「お嬢さんの家庭教師ですか?大学受験でも?」

白々しい!あたしの年なんてとっくに知ってるくせに!

「いや、実はこれでもまだ小学生でね。医者になりたいなんて無茶を言ってるから、せめて勉強だけはさせてみようかと思ってね」

パパの嘘吐き!

あたしが医者になるのを反対してる癖に!

「それは親孝行なお嬢さんですね。僕でお役に立てる事があれば喜んで」

ヤツの白々しい態度は兎も角、パパも大概下心がミエミエの態度だわ。

そうよね、医大生になりたてのヤツはパパにとっては在り難い存在だわ。

あたしのお婿さん候補の一人としてキープしておくには。

あたしが大学を卒業する頃には、コイツは医学部を卒業して前期・後期の研修も済んでる頃だし、おまけに財界トップクラスの家柄ときては二重にウチの役に立つ存在と成り得る。

ヤツだってあんなコンパに参加してたってコトは、開業医の娘で逆玉を狙ってたんだろうし。

懲りもせずに再度、あたしに近付いて来るって事は、コイツも逆玉を諦めてないみたいだし。

何だか狐と狸の化かし合いみたい。

「お父様、私はまだそこまでして頂かなくても大丈夫です」

こんなヤツに教わる事なんて一つもないわよ!

心の中ではヤツを睨みつけながらも、表面上はニッコリと笑って、大人なあたしは異議を唱えた。

「折角だから教えて頂きなさい、里果」

パパはあたしに甘いと言っても、自分が決めた事には頑固で融通が利かない。

こうしてあたしは不埒な医大生を家庭教師に迎える事になった。

もちろん、コイツが馬鹿正直にあたしに勉強だけを教える筈もない事は誰にだって想像がつくでしょ?

それでも、ヤツは週に二回、我が家に出入りをするようになった。

パパはもちろん、面食いのママも大歓迎で。

あたしとしてもパーフーのお嬢様が通う今の女子校の中等部より、進学率が高いと言われている私立の中学を受験出来る理由が出来た事にもなるんだけど。

「ね、僕と君の需要と供給が一致してるよね」

とは我が家庭教師のお言葉。

フン!何が需要と供給よ!

野心と欲望の間違いじゃないの?

パパはヤツにかなり高額の授業料を払っているらしい。

そして、ヤツがあたしに教えているのは机の上での勉強ばかりではない。

もちろん、ちゃんとあたしの学力は上がっている。

それは一重にあたしの努力と実力の賜物であって・・・ヤツのお陰でもある事は否定しないけど・・・無事にあたしの希望していた中学への進学は果たせた。

ヤツの授業がどんなものだったのか・・・口にするのも痴がましい。

大体、ベッドの上でする授業ってあたしのような年齢にする事?

出るところに出れば後ろに手が回るわよ?

ああ、でも・・・それをしっかり受けちゃってるあたしもいけない事は判ってる。

ヤツの所為ばかりにも出来ない事は。

人間は快楽に弱い生き物だって知ってたけど、自分がこれほどまで享楽的な人間だとは知らなかったわ。

まあ、でも、ヤツが色々な面での家庭教師として向いているのも事実。

パパが本気であたしのお婿さんを探し出すまでの間、精々ヤツには防波堤になって貰おうじゃないの。

あたしが医者になるまでとは言わなくても、医大に入るくらいまでは。

って、先の長い話かしら?






































 

Postscript


以前、日記でぼやいていた法に触れそうなヤバイ話です(苦笑)
本当は色々と『幼い処女の頂き方』みたいなハウツーをするつもりだったんですが(処女喪失話は面倒で嫌いだけど)話を考えだしたら長くなりそうで、面倒臭がり屋の私にしては珍しく、時間をかけてじっくり開発して貰っちゃおうかな?と思ってます。

なのでこのお話は当然続きます。
だけど、続きはいつになるのか判らないので取り敢えず短編でのアップとなりました。


さて、この男女逆転パラレルもコレで実は第4弾(笑)
2は別館に掲載してありますし、3は拍手でチラリと掲載済み(すでに撤去済みですが)
順番に掲載していくつもりでしたが、出来上がったものから(一区切りがついたものから)掲載してしまったのは余りにも更新していない所為で・・・申し訳ないです。

色々とヤバイお話ですが、続きを期待して頂けるとありがたいかも。


2010.7.8 up

 







 


 

 

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