こいごころ









「はー・・・俺ってなんて気前がいいんだろう・・・」

自分で言うな、と突っ込みたくなるけどもそこは突っ込まずに・・・
あのあと部活を見終えたは、菊丸の後押しもあり、不二と共に帰っていった。
そして残された菊丸は、ひとり、帰路についていたのだ。

「菊丸せんぱいっ」

笑顔で話しかけたのは男子テニス部マネージャーの2年、大石
副部長・大石の妹である。

「あ、ちゃん・・・」
「どうしたんですか?今日いつもの元気がなかったですよー?」
「そ、そんなことないにゃ!いつもど〜り、元気元気!」
「・・・先輩、ホントの気持ち、隠しちゃダメです!!」

やけにムキになって言う
いつもの優しくて人に怒るようなことはしないと違って、菊丸は驚いた。

「そ、そんなに怒らなくても・・・」
「いーえ!先輩がホントの気持ち隠すから怒ります!
こっち来てください。私が悩みとか、全部ききます!」
「いや、ちゃん、普段マネージャーやってて疲れてるんだから
早く帰って休まにゃいと・・・」
「大丈夫です!マネージャーは部のみなさんのメンタル面でも支えないと!」

そう言っては強引に菊丸を公園へ連れて行く。
そしてベンチに座らせると飲み物を買う、と言って側の自動販売機へ向かった。
菊丸は背もたれに思いっきり寄りかかり、瞳を閉じて上を向く。

「・・・なんか・・・ちゃんのペースだ・・・俺らしくない・・・
よっぽどこたえてるのかにゃ・・・」





「・・・せんぱい・・・・」

の声が聞こえたので目を開けるとそこには瞳を潤ませたの顔があった。

「うわっ!!びっくり!!」
「す、すいません・・・!」
「ど、どうしたにゃ・・・?そんな泣きそうな顔で・・・」
「・・・あ・・・あの・・・・・・ほんっとに言いにくいんですけど・・・・・・・・」
「・・・?」

申し訳なさそうにお辞儀をして、言い放った。

「お金、忘れちゃって飲み物買えなかったんです!!ごめんなさいっ!!」










「・・・うう・・・ホントに・・・申し訳ないです・・・マネージャー失格ですね・・・」
「き、気にすんな〜。お金忘れるくらい人間ならあることだから・・・。」

結局、飲み物代はとりあえず菊丸が持つ事になった。

「それで!先輩は一体何に悩んでたんですか?」
「・・・あ・・・・・・。」
「どーんと言っちゃってください。
私が何かできるかはわかりませんが、言った方がきっとすっきりしますよ。」

にっこりと笑顔で言う。





この子はいつもこうだ。





小さくてよくドジばっかりしてなんか小動物みたいだけど、

ちょっとしたところは気が利いて、部員の微妙な異変にもすぐに気がつく。

そして、解決するため方法をいろいろと考える。





何にでも一生懸命。





色んな意味で騒がしいけど、どこか憎めなかった。










・・・話してみよう。










菊丸は、事情を説明した。





「・・・そうだったんですか・・・・・・」
「・・・・・・・・・ホントに、好きだったんだ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、の気持ちは変えられないから・・・」
「えっ?」
「・・・え?」
「その先輩、私と名前、同じなんですか?」
「・・・あ。そういえば・・・そうだ。」
「・・・・・・ご、ごめんなさい・・・私が近くにいたらその先輩のこと、思い出しちゃいますよね!」
「大丈夫。もうだいぶ諦めついたから・・・」

とは言うものの、それでもまだ悔しそうで、はいてもたってもいられなくなった。

「先輩、嘘つきです。全然大丈夫じゃないですよ!」
「・・・・・・・・」
「先輩は、いっつもそうです!
何があってもずっと笑顔で・・・でもそれじゃ疲れちゃいますよ。
たまには気・・・抜かなきゃ・・・!」

自分で言っておきながらだんだん涙ぐんできたをみて、菊丸も糸がぷつり、と切れたようだった。





目の前が、滲んでくる。





見られないように、と顔を伏せる。
それでも、零れ落ちるものは地面を濡らす。

「わり・・・いま・・・みないで。」
「・・・・・・せんぱ・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これで・・・さいご・・・だから・・・・・・泣くの。」





大雨のときのように濡れていく地面。

それを見て、は菊丸の頭を抱きしめた。

「先輩、いっぱい、いっぱい、泣いてください。私、ずっとここにいますから・・・」















「あーすっきり〜。」

さっきまで泣いていたのが嘘のようにすっきりとした表情の菊丸。
あれだけ泣いたのに目の腫れもそれほど目立たない。

「よかったですね!」
ちゃんのおかげ!さんきゅっ!」
「どういたしまして!」
「もう遅いにゃ〜。そろそろ帰ろっか〜」
「そうですね!」

満面の笑みを菊丸に返す

その笑顔は、夕陽にあたり、何故か凄くきれいに見えた。

「・・・もうばっちり、吹っ切れそうだ・・・」

誰にも聞こえない、本当に小さな声で言った。

「先輩!夕陽が綺麗ですよー!」
「あっ!ホントだにゃー!」










大きくあいた穴に、少し、土が埋まった





それはきっと、自分のことのように泣いて、自分を慰めてくれた天使のお陰・・・





その穴に、あたらしい、小さな種がまかれた










それは





ほんとうに小さな










こいごころ










という名の・・・
















fine.

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はい。
不二さんモノで始まったのに、エージモノになってしまいました。
ごめんなさい。
てか英二をあのままにしておけなかったので・・・
これもなんだかなー・・・って展開ですけど。
しかも今回のシリーズはヒーロー泣かせなヒロインですねー。
・・・まぁ、こういうのも良いですかね。

というかなんかあんまり夢っぽくなくてスイマセン・・・
く、苦情が来そう・・・!

それでは、ここまで読んで下さってありがとうございました。
次回はもっとちゃんとしたモノを書けるよう頑張ります!

020825

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