ある秋の日の放課後。 夕日で紅く染まった空が凄く綺麗な日だった。 メロディ いつもだったら部活をしている時間。 でも、今日は図書委員の仕事で遅くなっていた。 校舎の最上階、端っこにある図書室から昇降口へは遠い。 必然的に沢山の教室の前を通ることになる。 そして、音楽室の前を通った時だった。 ポーン・・・・ ピアノの音がした。 一つの音を一定のリズムで響かせる。 ずっと聴いていると眠くなる、それぐらい安定したリズムだった。 何回か聞こえた後、音楽が始まった。 繊細で 哀しくて でも どこか引き寄せられる・・・ 自然と手が扉にかかり、そっと開けてみた。 そこには、見慣れた少女がいた。 彼女は窓から入ってくる光で紅く染まり、 とても寂しげに瞳を閉じてピアノを弾いていた。 その姿が、綺麗で、ほっとけなくて・・・ 「・・・・・・・・」 そっと、足を進めた。 彼女の邪魔をしない様に、そっと・・・ 「・・・・・あれ?リョーマくん。」 リョーマの気配を感じたのか途中で演奏を止めて、コチラを振り向いた。 「どうしたの?部活は??」 「図書委員の仕事。」 「あ、そっか。」 ははっ、と軽く笑って返す。 「は何やってんの?」 「見ての通りだよ。」 「本来なら部活に出てるはずだと思うんだけど。」 「・・・・・・・」 部活 は男子テニス部のマネージャー。 真面目なが部活をサボるなんて有り得なかった。 よっぽどのことがない限り。 ということは、よっぽどのことがあった、と言うことだ。 そう思ったリョーマは部活に遅れて手塚にグラウンドを何周させられようとも どうしてもそこから離れることは出来なかった。 が、好きだから 「なんか、あったわけ?」 「・・・・なにもないよ。」 「なにもないのにが部活をサボるとは思えない。」 「・・・・・・・・・リョーマくん、部活行かなくていいの? グラウンド何周もさせられちゃうよ?」 「ここでを置いていったらも走らされるけど。」 「・・・私は別にいいから・・・」 「俺が良くないから。」 「・・・・・」 真っ直ぐ見つめてくるリョーマ。 彼には気持ちを隠すことは出来ない、とは思った。 「私ね・・・・テニス部のある先輩が好きだったの。」 やっぱり、と思った。 のことをずっと見ていたから、彼女に好きな人がいることは 薄々感づいていたから・・・ 「・・・・・それで、今日、この先もうこないんじゃないかっていうくらいのチャンスがあって・・・ 告白したの。」 で、ふられた、と。 わかってはいても、あえて黙っておくことにした。 「この態度見れば・・・わかるよね。」 だんだん、涙声になっていく。 「・・・・・・・・っ・・・好きな人が、いる・・・・って・・・・」 言えば言う程涙が溢れてくる。 「・・・わかってたんだけどね・・・ずっと、見てたから・・・ 告白・・・したのも・・・・・・ちょっと期待してたから・・・ でもやっぱ・・・・・はっきり・・・・言われちゃ・・・と・・・・」 言葉にならなくて、止まらなくて、 リョーマに見られたくなくて、彼に背を向けた。 外の様子が嫌でもよく見える。 テニスコートも 「・・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・」 が声を殺して泣く音だけが室内に響き渡った。 リョーマは、そんなを見て、どうしようもない気持ちに駆られて 「ひゃっ」 ピアノの椅子を半分空けるように座っている。 そこに、と背中を合わせる様にリョーマは座った。 「そんなヤツよりさ、もっといいヤツ、いるよ。」 「・・・え?」 いつもの様に生意気な口調。 でも・・・ 「の、すぐ側に。」 椅子についていた自分と同じくらいの大きさのの手に、リョーマは自分の手を重ねた。 これが、生意気だけど照れ屋なリョーマの精一杯の励まし。 精一杯の愛情表現。 「ピアノ、弾いてよ。今度はもっと明るい曲。」 ある秋の日の放課後。 夕日で紅く染まった空が凄く綺麗な日だった。 明るくて、優しい 音楽室から聞こえるそんなメロディーに乗せて 新しい、小さな恋の種がひとつ、 舞い降りた fine. -------------------------------------------------- 初リョマものでした。ど、どうでしょうか・・・ いつになく短い話ですネ・・・。 おまけにとっても変な話でございます。うう・・・。 とりあえず、リョマくんと背中合わせ!! を書きたかったんですヨー。 とりあえず満足。 でも文才がないために、上手く表現出来なかったのが心残り・・・ 感想等、頂けると狂喜し、やる気に繋がりますので もしよろしければbbsに書き込んだり、メールで送ってやったりしてやって下さい。 それでは、ココまで読んで下さってどうもありがとうございました。 次回はもっと良いものを書けるよう頑張ります。 021109 * このままウィンドウを閉じて下さい * |