君を思う気持ち 7.5




「顔見せろよ…」
シーツの上から、耳元で囁いた。そのままそっとその薄い耳を甘噛みしてやると、慎吾の身体がピクリと動いた。
「やだって…」
「どうして?もう誤解は解けたんだろう?」
現金なものだ。慎吾と元に戻れたとわかった途端に、今度は顔が見たい。その肌に触れたくてたまらない。
「なぁ慎吾…」
「ぜ、ぜってーヘンなこと…すんなよ」
ヘンなことって…今さらだろう。とおかしくなったが、そこで笑ってしまっては、慎吾は絶対出てこない。天の岩戸よろしく、ここは出てきてくれるまでは、我慢我慢だ。
「…わかった。顔が見たいだけなんだ。出てきてくれよ」
出来るだけ神妙に言う俺の声に、少しづつシーツの端が下がっていく。
顔を出した慎吾は、目元を赤らめ、恥ずかしいのを隠すように、仏頂面で口を尖らせていた。
でも…。隠しきれてないぜ。慎吾。キョトキョトと落ち着かない視線。真っ赤に染まった耳。なんて可愛いんだ…。
「ダメだっつっただろ」
思わず頬に手を伸ばした途端に飛んでくる慎吾の厳しい声。
あんまりじゃないか。せっかくいい雰囲気になれたと言うのに。不満げに慎吾の方を見る。慎吾は決まり悪そうに呟いた。
「…オレ。ぜってー汗くせぇ」
汗…。そうかそうか。そーいうことか。
慎吾は風邪引いて風呂に入ってない、なんてことを気にしてるらしい。
だがそんなこと、俺にとっちゃどうでもいい。むしろ慎吾の匂いがしてイイとか思うぐらいのモンだったが、そんなことを気にしてる慎吾がまた可愛くてたまらない。
「…風呂入るか?熱も下がったしな」
慎吾は嬉しそうに頷いた。

風呂の支度をして、慎吾を連れて行く。
「洗ってやるよ」
「イヤだ。風呂くらい1人で入れる」
「駄目だ。もし具合悪くなったらどうするんだ」
…押し問答の末、珍しく俺が勝った。やはり本調子ではないのだろうか。

頭からシャワーをかけ、髪を洗った後は、スポンジを充分に泡立て全身をくまなく洗う。
「かぁ〜気持ちいい〜」
ほとんど脂肪のついていない細い背中を優しく擦ってやると、久しぶりに汚れを落とした慎吾は鼻歌なんぞ歌って気持ちよさげにしていたが、こっちはそれどころじゃなかった。
ポタポタと髪から落ちる水滴が華奢な項から背中へ流れ落ちる。狭い風呂場で、目の前には濡れた髪が張り付いて、ほんのり上気した慎吾の顔。下半身直撃だ。
本当は、慎吾の気の済むまできれいに洗ってやって、その後…。と思っていたのだが、どうも待てそうにない。
ゴシゴシと洗っていた手が自然と撫で摩るような怪しい動きに変わっていく。
「ちょ…毅!何やってんだよ!」
気付いた慎吾が抗議の声を上げた。悪いが無視させてもらうぜ。慎吾。
泡だらけになった慎吾の身体を後ろから抱きしめ、その滑る感触を充分に楽しむ。なぜ自分もズボンを脱いでおかなかったかと後悔したが、そんなことをすればトウの昔に思惑に気付かれてしまっただろう。
「やだっ…」
するりと前に手を滑らせ、胸の色づきに軽く悪戯すると、慎吾の甘い制止の声が上がった。
「んんっ…」
かまわず引っかくようにして、その先端をくすぐる。ツンと立ち上がったそれを摘んで捏ねるように擦り上げた。その腕から逃げるようにして慎吾が身をくねらす。
「やめろって…毅ぃ」
「どうして?洗ってるだけだぜ?」
我ながら白々しいが、そんな可愛い声でやめろって言われてもな…。やめられねぇっつーの。
前に手を付き、それで支えるようにして立っている慎吾の、少し開いた足の内側をすぅーと撫で上げた。慎吾の少し熱を持ちかけた中心がピクリと跳ねる。慎吾がそこが弱いとわかっていて、何度も何度も繰り返すうちに、ソコはすっかり勃ち上がって、ピクピクと震え始めた。
「や…だっ…てぇ」
慎吾の声がますます甘くなる。
「あ…しまった。洗い忘れてたな…」
しかし慎吾が本気で怒り出すと困るので、ここはさっさとその気にさせてしまうに限る。
またも白々しいセリフを吐き、慎吾の中心に手を伸ばす。
「…あッ」
触れた途端に、慎吾の身体がビクッと震えた。ヌルヌルと泡を絡め、慎吾の薄い体毛を泡立てるようにして、周辺から攻めていく。
「この…エロ…おやじッ」
荒く息を吐きながら慎吾が振り返って俺を睨む。この後に及んで可愛くないことをいうヤツだ。(でもそういうとこも可愛いぞvv)
「悪かったな…。オヤジで。じゃあそれらしくさせてもらうかな」
俺はニヤリと笑い返すと、ますます焦らすように慎吾の中心から手を外した。丹念に、言葉通り洗うようにして、袋ばかりを撫で回す。
「んッ…」
袋から可愛らしいセピアのすぼまりまでをつつッーと指で辿ると、慎吾が濡れた髪を振りたてて身を捩った。キュッとしまった入り口をつつき、引っかくように刺激する。
「あ…んッ」
慣れた身体は敏感に快楽を拾い上げ、繰り返すうちに締まっていたすぼまりが、柔らかくほぐれ、ヒクヒクと淫らな収縮をし始めた。
「やる…なら…さっさと…やれよっバカッ」
ゆっくりジワジワと動くその手つきに焦れたのか、慎吾がたまらないといった風に叫んだ。
してやったり…だ。お言葉に甘えて、泡だらけになった服を脱ぎ去った。真っ赤になって下を向く慎吾の腕をとり、抱きしめる。細くて折れてしまいそうな慎吾の身体。欲に潤んだ瞳。ああ。可愛くてたまんねぇよ。
「慎吾…可愛い」
耳元に唇を押し付け低く囁きながら、慎吾の中心に触れる。焦らされていたソコは、泡ではない先走りの淫汁ですでにヌルヌルになっていた。クチュクチュと卑猥な音を立てて、慎吾の1番イイところに指を這わす。
「あ…ああッ…んッ」
俺の肩に頬を預け、慎吾が甘く掠れた声で鳴く。その声をもっと聞きたい。もっと…。
空いた手で、慎吾の蕾に指を挿し込むと、クチッと湿った音を立て、すんなりと飲みこんでいった。
「んんッ…はぁ」
柔らかくて熱い慎吾の中を存分に掻き回し、その感触を楽しむ。そのまま指を増やし、一点をつつくようにして、抜き差しすると、慎吾の声が大きく切羽詰ったものに変わる。
早く慎吾の中に入りたい。絡みつく内壁を、指ではなくて、俺のモノで、感じたい。
ああ、もう我慢できねぇ…。
「慎吾…」
低く呟き、慎吾の身体を壁に押し付ける。
「足上げて…」
浴槽に足を上げさせ、そのまま一気に根元まで沈みこんだ。
「あああッ」
慎吾が苦しそうに眉を寄せ、甘い悲鳴を上げる。
ギチッと少しも隙間の無いくらいに、一杯に頬張ったソコはきつく俺を締め付けた
限界まで串刺しにするように突き上げ、捏ねるように、えぐるように腰を使う。
「ん…ふッ…ああッ」
慎吾の中は柔らかく俺を受け入れ、その口からは押さえられない喘ぎが漏れた。
快感に耐えるように寄せた眉、力なく開けられた口元…。
…たまんねぇよ。慎吾。
抜き差しする度にその身体がグラグラと揺れ、膝が崩れ落ちそうに震える。
「あ…たけ…しぃ…」
呼びながら薄く目を開け、慎吾が俺を見る。俺の首に腕を回し、必死でしがみついて来る。
互いの腹に擦られた、慎吾のモノはカチカチに膨れ上がって、とめどなく快楽の涙を零していた。
「ダメ…だ。もッ…イき…そうッ…」
絶頂が近いことを訴える、慎吾の声。
もっと聞いていたいけれど、自分もそろそろ限界だった。
追い上げるように、慎吾のポイントを執拗に、激しく攻め立てる。
「たけ…しッ…あッ…イイッ…」
慎吾のしがみつく腕に力がこもる。
「ああッー」
寄せた眉を一層きつく顰めて、掠れた悲鳴を上げ、慎吾は白濁を撒き散らした。
「…くッ…慎吾ッ」
締まる内壁に煽られ、自分も一瞬遅れて、慎吾の中に勢いよく注ぎこんだ。



「ったく何が具合が悪くなったら…だ」
少し掠れた声でブツブツ言いながら、慎吾は煙草に火を付けた。
「おい。煙草はよせ」
中里がそれを取り上げようと、手を伸ばしてくる。
「その病人にあんなことしたのは誰だよ!?」
睨みつけると、中里が肩を落とす。こりゃー気分いーぜ。
ふふん。しばらくこのネタで苛めてやろう。
ま…超気持ち良かったから…いいけどよ。
それに、中里があんな強引にシ始めるなんて…。ちょっと…嬉しかったし…。
ちょっとだけだけどなッ。


こうしてケンカは終わり、一部、中里の性格には変化をもたらしたまま、
2人は元通りになったのだった。




END





すっかり「へたれ中里」が気に入ってしまった。ははは〜。



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