【5/19】レビュー「テニスの王子様(実写版)」 |
普通にダメな映画でした。
原作は確かに「テニスの王子様」なんですが、アニメ劇場版が原作に忠実だった(?)のに対し、実写版はかなり独自のキャラクター解釈がなされており、原作信者的には正直改悪だったと思います。まず問題なのが、越前少年が原作よりも子供っぽくなり、なんていうか「常時スネてる子供」みたいなんですよね。
僕の中での(原作の)越前少年は「完全に無敵」で、かつ「魔王のような極悪さ」なんですが、劇場版だと「テニスが巧いだけの生意気なダメ中学生」という感じで、原作越前の持つ一種異様なカリスマ性が感じられません。まず、この点がネックです。原作は越前少年(とその他)の現実超越性によって、ある意味スタイリッシュな作品になってるんですが、劇場版の越前らは、より等身大の中学生に近く、従って作品自体が非常に泥臭い。あまりカッコ良くないわけです。
また、テニスの本質は群像劇にあると思うんですが、実写版では尺の短さから多数のキャラクターを深めるわけにはいかず、どうしても越前メインで深めることになってしまいます。そのため、越前以外のキャラの立て方が甘い。中途半端という以前の問題で、桃城あたりはまるで描かれない。むしろ、どうでもいい面だけ掘り下げられます。そしてメインで掘り下げられる越前少年は、僕達のお馴染みの越前少年ではないわけです。これでは納得できるわけがありません。
他にもダメなところを箇条書きにすると
・伊武戦のケガの理由が(スポットが描かれないため)表現不足
・ブチャの髪型がブチャじゃない
・ブチャが疲れない(ブチャなのに最後まで元気)
・ジローが単に頭の弱い子だった
・檜垣の存在が(妹共々)意味不明
・オチが意味不明
まだ色々あった気がしますけど、良く覚えてません。正直眠かった。要するに、ドロ臭くて、薄っぺらで、予想を裏切ってくれない出来栄えだったわけです。アニメ劇場版では恐竜が絶滅したし、原作では照明が降って来たわけですが、そういうサプライズはないのです。
ただ、フォローも入れると、僕達はあまりに完璧な作品である原作やアニメ劇場版に慣れっ子になってしまっているために、実写劇場版をあまり楽しめなかっただけで、全く原作を触れてない人が見たら、それなりに楽しめ……ないよなあ、やっぱり。だって底が浅いんだもん。普通の映画として見ても多分あまり面白くない。
でも超テニス描写はそれなりに(あくまでそれなりに)頑張ってたから、テニス耐性が全くない人が初めて見たらビックリするのかも??
「中学生なのにヒゲが生えている」とか面白い場面も若干あったけど、正直見なくていいレベルだと思います。レンタルで十分。そんな感じの作品でした。
関連:「魔都、名古屋を征く」/「テニス呼称を差し止め申請」
外部リンク:「実写版テニスの王子様レポート」
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