朝が来て、目が覚めた。
時計を見た。うん、朝6時だ。予定通りだ。
ここは大阪の南海なんば駅から商店街をちょっと歩いたところにある「なんばオリエンタルホテル」というホテルの一室である。
予定通りしたくを始める。関西テレビの24時間テレビもちょっとだけ見ていく。
食事は取らずに荷物をまとめてフロントに行く。そしてチェックアウトし、商店街を抜けて南海のなんば駅前にいったん出て、地下へ進む階段を見つけて御堂筋線のなんば駅へと向かった。
大阪駅から明石大橋を経由して淡路島の洲本(すもと)へと向かうバスの発車時刻は8時なので、余裕を持ってバスターミナルに向かうことができそうだ。レインボーカードを自動改札に通し、ホームに出てやってきた電車に乗った。今日も御堂筋線は混雑している。
心斎橋、淀屋橋と進んで電車は梅田に到着した。ここで降りて改札に向かい、レインボーカードを通して自動改札を出る。
階段を昇って地上に出た。うん、いつも通りの大阪駅の南口である。
確かきのう大阪駅で特急しなのから大阪環状線に乗り換えた時、バスターミナルはけっこう西の方にあったことを覚えている。そんなわけで西に向かう。
かなり西に歩いて、四つ橋線の西梅田駅の入り口が見えてきたところにバスターミナルはあった。
こんなことならなんばから四つ橋線に乗った方が近かったかもしれないなあと思った。まだ7時半にもなっていないので、食事が取れそうだ。
なんとなく東京の八重洲地下街のように地下街に食堂があるような気がしたので地下に進んでみた。
読みは当たり、JR西日本直営の食堂があった。ここでモーニングセットでも食べていこう。
モーニングセットを食べる。やっぱりうまい。
若干の余裕を残して食堂を出た。もうすぐ8時である。
そのうち洲本行きのバスがやってきた。となりに徳島行きのバスもある。そうだ、徳島行きも8時発だった。
洲本行き、徳島行きのそれぞれに行列が並ぶ。今日は一番前の席を予約している。ながめが良さそうだ。
バス指定席券を見せたら、周遊きっぷの京阪神ゾーン券の方も見せる必要があるとのことで、見せた。
そしてバスに乗り込んだ。8時がやってきてドアが閉まり、発車だ。
洲本行きバスは徳島行きバスの後に続いて大阪駅の南西のバスターミナルを発車した。ぼくはまだ見ぬ明石大橋に期待をふくらませていた。
大阪駅前を発車したバスは、しばらくは渋滞した大阪駅の近くを信号待ちしながら進んでいく。
途中踏切を渡る。こんなところに踏切なんかあるんだと思ったら、ここは3年前に通った新大阪から大阪環状線に通じる貨物線ではないか。
特急はるかが通る線路なのに、いまだに道路と踏切なんだなあ、1時間に何本も走るわけではないから踏切でもいいのかなあと思いながらバスは進んでいく。
そのうちインターチェンジに来たようで、高速に入ったようだ。高速に入るとしばらくはすいすいと進んでいった。
しかしある合流地点を過ぎるといきなり混雑した。この混雑が鉄道と道路交通の差なのである。淡路島には結局鉄道は来なかった。鉄道を通して欲しかっただろうなあと思った。
しばらく渋滞していた。だんだんと進み始めたようだがぼくはしばらく眠ることにした。
目が覚めた。まだ明石大橋には来ていないようだ。左手前方に橋が見えてきた。いよいよだなあと思った。
いったんバスは山側に曲がっていった。そして料金所を通り、トンネルを通る。
トンネルを抜けると目の前に明石大橋が見えてきた。そして橋に入る。
左右に瀬戸内海が広がっている。瀬戸大橋を渡ったことがあるけど、瀬戸大橋は短い橋がいくつか集まったものである。
それと比べると明石大橋は1本の長い橋なのでながめもまた違ったものである。ともかくいい景色を、バスが淡路島に入るまでながめていた。
淡路島に入ると左手にパーキングエリアが見えた。かなり混雑していた。橋を見物する客でにぎわっているのだろう。バスはさらに進んでいった。あとは特に大きな集落もなく、森の中を進んでいく。
さてどうやら高速を出るというところになったようだ。しかしバスは高速の途中、車の列の最後尾で停車した。
そのままのろのろと車の列は進んでいく。なんとここは、延々と続く高速の出口の車の列らしい。なんだか知らないが津名のインターチェンジは車の交通量に比べて料金所の処理能力が劣っているのだろう。
10分以上並んで、ようやくバスの順番になった。そして料金所を抜けるとすいすい進むようになった。いったん津名のターミナルに寄って客を降ろしていく。
津名からは海岸通りを進んでいく。ながめのいい海である。ジェットコースターっぽい建造物が見えてきた。あれは遊園地なのだろう。こんなところに遊園地があっても客は来るのだろうか?
しばらく進んで、定刻から30分遅れてバスは洲本のターミナルに到着した。船の港と一緒になっているバスターミナルのようである。まあなんとか帰りのバスの発車前に着くことができた。約1時間ちょっと帰りのバスまであるようだ。
さて散歩してみよう。海と反対方向に歩くと、壁に「カネボウ」と書かれているのが見えた。なんだろうと近づいてみると、どうやら工場のようだった。
しかし工場だけではなく、何か別の施設もあるようだ。まわりこんでみると門があり、門をぬけると広い庭が広がっていて、観光客がけっこう集まっていた。3連休のなかびなので観光客がいるようだ。このあたりは工場とは別の施設のようだ。
庭を進んでみた。そして何かの建物の前に出た。建物の中に見えたのは絵画のようだ。ここは美術館のようである。美術館かあ、別に入らなくてもまあいいかと思った。
また庭を通って門から外に出た。もう少し帰りのバスの発車まで時間がある。
バスターミナルと反対の方向にジャスコがあるのに気がついた。弁当でも買っていこう。
ジャスコは大学1年の時に行ったことがあるくらいで、そのジャスコはまもなくジャスコでない店になってしまったから、実に15年ぶりということになる。
ジャスコに行く。ふだんアパートのそばで良く行くスーパーと似たような品揃えだが、やっぱりチェーンが違うと多少品物が違う。
今日は新宮のホテルに泊まる予定だが、食事はどうしようかと思い、マルちゃんの緑のたぬきでも買っていくことにした。そして弁当を買う。これは明石から新大阪まで乗る特急の中で食べようかと思った。
あとは飲み物を買っていく。もうそろそろバスターミナルに行ってもいいだろうと思い、ぼくはジャスコを出た。
洲本(すもと)のジャスコで買い物したぼくは、また港へと戻ってきた。まあはじめての淡路島はこんなもんでいいだろう。港の待合室で休む。
じきに新神戸行きのバスがやってきた。大阪駅前からのバスは30分遅れたが、こちらは定刻に発車のようだ。大阪駅前と同じく、周遊きっぷの京阪神ゾーンのゾーン券とバス指定席券を見せて乗る。
バスは発車し、さっき乗ったバスを反対方向に進む。ということはいったん津名(つな)のインターチェンジに進むということだ。
海岸通りを進み、津名に寄って客を乗せていく。そしてインターチェンジを通る。降りる時と違い延々と待たされるということはない。
そして高速に上がり、びゅんびゅん進んでいく。明石大橋の近くのサービスエリアが見える。
ふたたび明石大橋を渡っていく。今度もいいながめである。
しかし橋を渡りきらないうちにバスは停留所に停車した。ここが目的地の高速舞子(まいこ)だと言う。
こんな橋の上で降りるなんてどういうことなのかと思ったが、とりあえず降りた。ほかにも降りる客がいたのでぼくは彼らについていくことにした。
洲本(すもと)から乗ってきたバスを高速舞子(こうそくまいこ)で降りた。ここも明石大橋の一部である。
さてどうするか。ほかにも降りた人たちがいて、くだり階段をおりていくようだ。ぼくもおりていくと、至近距離にJRの舞子駅と山陽電鉄らしき駅があった。
とりあえずとなりの明石まで行ってみよう。なぜなら、この京阪神ゾーンは3月までのミニ周遊券と違い、在来線特急の自由席にも特急券なしで乗れるのだが、特急は舞子には停まらず明石にしか停まらないからである。
ゾーン券を見せて改札を通り、姫路方面のホームに行く。雨が降ってきた。電車がやってきた。各駅停車はオールロングシートだが多少はすいていて、1駅だけだがすわれた。そして明石で降りる。
とりあえず今日の目的地は和歌山県の新宮(しんぐう)なので、ここから新大阪に行って、新大阪から特急くろしおで新宮に行けばよい。
新大阪に行くのはせっかくだから特急にしたい。時刻表では鳥取から来る特急スーパーはくとに乗ればいいようだがちょっと時間がある。
洲本のジャスコで弁当は買っているのだが、どうせだから食堂ですわって休もうと思い、改札を出て食堂に向かった。カレーを注文する。雨が降っていて散歩はできないみたいなので、ゆっくりと食べることにする。もうすぐスーパーはくとがやってくるようなので店を出て駅に戻った。
改札を通り、ホームで待っているとスーパーはくとがやってきた。去年乗った列車である。
自由席に行ってみるとほとんどお客がいなかった。3連休のなかびでもすいているもんなんだなあ。
とりあえずすわって、しばらく景色をながめる。なにしろすぐ右手には明石大橋があるのだから、そこを過ぎるまでは景色をみていよう。
スーパーはくとはスピードを上げていく。明石大橋にさしかかる。右手のすぐ近くに見えていた明石大橋はあっという間に後ろに去っていった。なかなかいい景色である。
そして洲本のジャスコで買った弁当を食べ始めた。いつもこのあたりを新快速で通り過ぎる時は満員で立っていることも多い。それに比べるとこうやって特急ですわって過ごせるというのは、青春18きっぷと周遊きっぷって違うなあと思った。もっとも青春18きっぷが使えるのはあしたからだが。
駅で普通列車を待っている人たちを見ながらスピードを上げてスーパーはくとは通り過ぎていく。三ノ宮で停車するが客は乗ってこない。
そして大阪を過ぎて新大阪に到着したのではくとを降りた。ここは京都に向かって最も左側の在来線ホームである。あれ?そう言えば特急くろしおが出るのってこのホームじゃなかったっけ?
そうだそうだ。案内を見るとやっぱりくろしおはこのホームから出る。まだ発車時間があったが、自由席の位置を調べて並び、くろしおを待つことにした。
新大阪の特急くろしおの出るホームの自由席の場所で待った。客が並ぶ。けっこう客は多いようだ。
そして折り返しのくろしおが到着した。客が降りていく。そしてしばらく待たされた後でいよいよ乗車である。
もちろん海の見える席に乗った。以前新宮行きの夜行列車に乗った時は、和歌山から南のかなりの区間で暗い海が見えたから、今日は昼間の海が見たかったからである。しばらく待つと発車である。
まずは淀川を渡る。そしてくろしおは、東海道本線と分かれて右に分岐していく。3年前の新宮行き夜行でも通ったはずの線路である。
大阪駅から離れた場所をくろしおは通り過ぎていく。そして踏切を渡る。あ、ここは朝8時に大阪駅から洲本まで乗ったバスが、大阪駅から高速入口まで進む間に渡った踏切だ、と気がついた。
踏切を過ぎると大阪環状線が見えてきた。しばらく大阪環状線の下を進み、ようやく西九条で合流した。あとは天王寺まで大阪環状線を進む。左に通天閣が見える。
天王寺で多少客が乗ってきて、新宮に向けて発車する。大きく右に曲がり、阪和線を進んでいく。
そのうち車内改札がやってきたので、「日根野→串本」の自由席特急券を「日根野→新宮」に変更してもらうことにした。
でも、ちゃんと京阪神ゾーンのゾーン券と「日根野→東京都区内」の乗車券を見せているのに、さらに「日根野→新宮」の乗車券を出してきた。ぼくはもう一度かえり券を見せて、経由がちゃんと阪和・紀勢・津・河原田となっていることを示して乗車券は引っ込めてもらった。
無事特急料金の差額の200円で特急券を発行してもらった。このくろしおは日根野に停車するのでこれでいいわけである。
阪和線の日根野に停車し、日根野を過ぎていく。人家が少なくなり、山の中を通る。そして和歌山に着いた。さらに進む。
そしてようやく海が見えてきた。御坊(ごぼう)までは去年昼間に通っているが、やはり海は何度見てもいい。午前中に明石大橋から瀬戸内海を見てはいるが、和歌山の海もいいものである。
3年前に見た海の中のデジタル時計も見えた。以後、ところどころで海が見える。御坊を過ぎた。
御坊を過ぎてからの海はいい景色であった。午後のながめのいい海を見ながら進んでいく。あした寄ろうと思っている串本も過ぎた。
串本を過ぎても海は続く。いいながめだなあと思うけど、このあたりの住民にはめずらしい景色ではないんだろうなあと思う。
ふだん見慣れた地元の景色も、よそから来た人が「すばらしい山ですね」と言っているのを聞いて、ああ、そんなものなのかな、と思うのである。それと似たようなものなのだろう。くろしおは進んでいく。
そしてようやく、終点の新宮に到着した。7月なのでまだ明るいが、とりあえずもうホテルに行こう。新宮駅は3年前に来たとおりの駅であった。
くろしおを降りて、3年ぶりに新宮駅を出た。さてステーションホテル新宮はどこだろう。
駅を出てみると右手の方にホテルらしい建物が見えたが、まっすぐ進む道はないようだ。
どうやらまっすぐ海岸方向に進んで、右に曲がるとあるようだ。右に曲がる。多少細い道だ。
バスターミナルがある。東京行きの高速バスが出ているようだ。さらに進むとステーションホテル新宮があった。
チェックインする。朝食はどうするかきかれたので、どうせ駅弁1個分のねだんだろうし、あしたはホテルの朝食をたのむことにした。
部屋に入り、洲本のジャスコで買った緑のたぬきで夕食にする。食べ終わったら風呂に入る。
このホテルは窓から列車が見える。いいホテルのようだ。あしたは潮岬(しおのみさき)に行こうと思いながら眠りについた。おやすみなさい。
目が覚めた。電車の音がする。
ここは和歌山県の新宮(しんぐう)市にあるステーションホテル新宮である。きょうは旅行3日目である。
ふだんホテルに泊まる時は、いつも朝飯はコンビニとかで買うことが多いのだが、きのうの夕食が緑のたぬきだったことだし、きょうはたまにはホテルの朝食を食べていこう。駅弁1個分の値段でうまい朝飯を食べた。そしてチェックアウト。
これから潮岬(しおのみさき)に向かうことにする。もより駅は串本(くしもと)だ。
今回は青春18きっぷではなく、今持っている周遊きっぷ・京阪神ゾーンのかえり券は新宮まで使ってしまったので串本に「戻る」にはきっぷを買わなければならない。オレンジカードで串本まできっぷを買って電車に乗ることにする。
きのう見た紀伊勝浦のあたりの海をもう一度見る。朝の海である。やっぱり海はいつ見てもいいなあ。
そして電車は串本に到着した。電車を降りて潮岬行きのバスを探す。無事見つかったので乗る。やっぱり3連休だけあってけっこう客がいるなあ。バスは観光客を乗せて発車する。しばらくは市街地を走っていたが、だんだん人家が少なくなってきた。
潮岬は紀伊半島の先端の、さらに小さな半島の先端にある。だからけっこう山がちな、森に囲まれたところを通る。バイパスっぽい道から細い道に入っていく。集落をまわるようだ。住民の足にもなっているようだ。
そしてまた広い道に出る、「次は灯台入口」というアナウンスがあった。でもなんとなく終点まで行ってみたくなり、灯台入口では降りずに終点まで来た。バスを降りる。
小雨が降っていた。近くに灯台とは違う円柱のタワーがあったが、入場料がかかるらしいので入らないことにした。目の前に芝生があるが、もしかしたら立ち入り禁止かもしれないなあ。
と思ったら芝生の向こうに休憩所っぽい場所がある。どうやら芝生にも入れるようだ。行ってみよう。
休憩所は小さな売店があるくらいだが、太平洋が見えるのでけっこうながめは良い。しばらくながめてバス停近くに戻ると、タワーの近くに別の建物が見える。どうやらみやげもの屋のようで、ここは入場料がかからないようだ。入ってみよう。
売店にはいろいろなものが売っていたが、ぼくの目に留まったのは、紀伊半島の地図が描かれたハンカチだった。それもまだ関西空港がないものだ。
なにしろ、松阪のところに東京行きの「フジフェリー」があるのだ。もう廃止されたフェリーで、とても安く関東と関西を結ぶものだったのでいつか使いたかった。なつかしいなあと思いながらハンカチをながめた。
みやげもの屋を出ると雨があがっていた。もう一度芝生の向こうの休憩所に行き、あたりを散歩してみると海岸の近くに出る道があったので進むことにした。
しかしぬれた植物がたくさんあって、進むとどんどんズボンがぬれていく。まあしかたないかと思い、それでもずんずん進む。
そして海岸の近くまでやってきた。ザブンザブンと波の音がする。やっぱり海はいいなあと思った。もうそろそろ串本に戻るバスに乗ろうと思い、バス停まで戻る。そしてバスに乗る。ズボンはそのうちかわくだろう。
また集落を通り、串本駅まで戻ってきた。さて、名古屋に行く特急は紀伊勝浦から出ているので紀伊勝浦まで行く必要があるが、ぼくの周遊きっぷのかえり券は新宮まで使っている状態なのできっぷは串本から新宮まで買う必要がある。しかしそれだと紀伊勝浦で途中下車できない。
しかしよくしたもので、串本→新宮は、串本→紀伊勝浦+紀伊勝浦→新宮ときっぷを買った方が安いのだ(みなさん駅すぱあとでも使って計算してみてください)。
だから紀伊勝浦まできっぷを買って電車に乗る。また海が見える。そして紀伊勝浦に到着。まずは新宮までのきっぷを買うわけだから、いったん改札を出なければならない。
そう言えば時刻表には、紀伊勝浦で駅弁が売っているようなことが書いてあったなあ、駅弁屋がどこかにないかなあと思いながらきっぷを改札に渡して、駅弁売り場を探すことにした。
改札の目の前にくだり階段があり、階段をおりるとねらい通り、駅弁屋が2軒並んでいた。さてどれにしよう。
ぼくは右の駅弁屋で「鮪(まぐろ)ステーキ弁当」を買った。これから乗る特急南紀の中で食べることにする。まだ発車までは時間があるが、入線が早いかもしれないし、構内に入ることにして階段を上がり、自動券売機で新宮まできっぷを買うことにした。
紀伊勝浦駅の改札の外の駅弁屋で鮪(まぐろ)ステーキ弁当を買うと階段を上がり、改札に戻った。まずは新宮まできっぷを買う。
そして新宮までのきっぷ、周遊きっぷのかえり券、紀伊勝浦→名古屋の自由席特急券を見せて改札を通った。
すでに入線していた特急南紀の自由席にすわる。お客は数えるほどで、10人もいないようだった。そして発車。
新宮までは右手に海を見ながら快適に進む。新宮到着直前にぼくがきのう泊まっていたホテルの窓が見えた。
ぼくの泊まっていた部屋のカーテンだけが半開きになっていた。もしかしたらきのうこのホテルは客が少なかったのかなあ、串本のホテルは満室だったのになあなどと思った。新宮でもあまり客は乗ってこないまま名古屋に向けて進んでいく。
新宮から先も3年前に普通列車で通ったことはあるのだが、ほとんど眠っていたので昼間の車窓を見るのははじめてである。まずは見てみよう。
新宮より西と違ってかなり内陸を通るようである。あまりいい景色ではないようだ。とりあえず駅弁でも食べよう。
まぐろステーキという名前ではあるが、どう見ても唐揚げにしか見えない。でも食べてみたらやっぱりおいしい。いい駅弁だなあと思いながら食べ終えた。
窓の外を見ると、ほとんど山の中であるが、ところどころ右手に海が見える場所がある。でもほんのわずかで、そこを過ぎるとまた山の中に入っていった。そのまま多気(たき)を通り過ぎていく。
多気から先では名古屋に行くのに特急南紀を使う人はいないだろう。だからもう自由席の客が増えることはないわけである。自由席は半分も客がいないまま津を過ぎて伊勢鉄道区間に入っていく。
快速みえでは伊勢鉄道区間をねらいうちで車内改札が来たものだが、特急南紀ではここでは車内改札は来ない。
今は7月だからフルムーンパスは使えないけど、ほかにも特急乗り放題系のきっぷはあるはずだから、そんなきっぷを持った人たちに伊勢鉄道分の運賃を払わずに乗られてしまうぞ・・・と思うけどそんな客ってほとんどいないんだろうなあと思った。
伊勢鉄道区間を過ぎ、四日市を過ぎていく。
そして輪中(わじゅう)の区間を過ぎて愛知県に入っていく。そして終点、名古屋に到着した。
さて、去年9月、10月に名古屋では同じ食堂に寄っている。その時に行った食堂に今日も寄ろう。新幹線は1時間半後の東京行きを予約しているので時間はある。
改札を出て、迷わずに進む。給仕が年輩の女性ばかりの食堂だ。今日も去年と同じ、「唐揚げセット定食」を頼んだ。卵豆腐が出てきた。卵豆腐を食べてしばらくするといろいろな唐揚げが出てきた。エビフライも出てきた。店内には腰の曲がったおばあちゃんがヨロヨロとお茶を配っている。いい食堂だなあと思った。
すっかりおなかもいっぱいになって、1155円払って店を出た。
続いてぼくが進んだのは名鉄のバスターミナルである。もしかしたら名古屋から高速バスに乗ることがあるかもしれないので場所を確認するのだ。
名古屋駅を出て、右に曲がる。金山方向に進むとなぜか道ばたで単行本を売っていたので買うと、ブックカバーのおまけがあった。名古屋ではこんなこともあるんだなあ、都会だなあと思った。
しばらく進むとのぼりのエスカレーターがあったのでのぼってみた。するとそこが名鉄のバスターミナルだった。
高速バス路線もあるし、市内の路線も走っているようだった。
次にJR東海のバスターミナルを探すことにした。どうやら3年前に雛形あきこちゃんの握手会に行ったテルミナの建物の近くのようだ。まずは駅に戻る。
狭い通路を進むとバス乗り場があった。これでよし。
さらにテルミナの建物の2階に進むと市営バス乗り場もあった。これくらいでいいかと思い、ひかりに乗ろうと改札へ向かっていった。
名古屋の名鉄・JR・市バスのバスターミナルを見て、新幹線の改札に来た。
改札は自動改札になっている。もしかしたら自動改札が使えるかもしれないなあと思い、ためしてみることにした。日根野→東京都区内のかえり券と名古屋→東京の特急券を重ねて自動改札に入れてみる。無事通れた。ちゃんと周遊きっぷにも対応しているようだ。
東京行きのホームに上がる。ぼくが指定席を取っているひかりまではまだ時間があるので、とりあえず指定席を取った車両の前で待った。
何本か前のひかりですごいものを見てしまった。
発車直前に、列車に乗った男性とホームにいる女性がキスをしたのだ。
もしかしたらぼくが知らないだけで、新幹線のホームでキスをする男女って、けっこう多いのかなあと思った。なにしろ、こんなに間近でキスを見るのは、おととし、中央線の高尾行きから三鷹止まりの各駅停車の電車を見たときに車内でキスをしているのが見えて以来だ。あの時はキスをしている女性ににらまれたものだった。
そんなことを考えているうちにぼくの乗るひかりがやってきた。さあ乗ろう。指定席にすわって発車だ。
もう暗く景色は見えないが、新幹線用の広告の看板が見えたりしておもしろい。こうやってひかりは東京へと進んでいった。
この3日間いろいろあったが、またあしたから会社だ。2週間会社に行ったら青春18きっぷの旅行が待っている。この夏もがんばろうと思った。