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43.伊豆急行と大井川鉄道

説明

1994年は2月の北海道旅行を皮切りに、いろいろなところに行きました。12月もはじめての広島・岡山・香川の旅行に行き、青春18きっぷを1枚(当時は1日1枚)使いました。

実家の家族に2枚送ったので、ぼくの割り当ては残り2枚です。

天皇誕生日近辺に3連休があるので、なかびは休んで1日目と3日目に18きっぷ旅行をしようと思いました。
1日目は高崎線→上越線→信越本線→磐越西線→会津鉄道→野岩鉄道→東武→日光線→東北本線という旅行をしました。

3日目は、2日目の夜に品川に行って大垣行き夜行にでも乗って、あとはどうするかまた考えようと思いました。

こうして天皇誕生日の翌日の夜をむかえ、青春18きっぷにあしたの日付を入れてもらい、川崎まできっぷを買って品川に向かったのです。

東海道本線その1

品川〜熱海

磐越西線・会津鉄道などに乗っていったんアパートに帰り、1日ぐっすり眠ってから夜を迎え、品川駅にやってきた。川崎までのきっぷは買ってある。青春18きっぷにあしたの日付も入れてある。

さて、これから大垣行きの電車に乗ることは決めているが、どこに行くか決めていない。おいおい決めることにしよう。まだまだ乗ったことのない鉄道はたくさんある。

ホームに行く。きょうは青春18きっぷが使えるので先月より客は多い。7月に乗った時と同じくらいだ。7月と同様に定期の大垣行きと臨時の大垣行きが出るのでなんとかすわれそうだ。臨時の方に並ぼう。
午後11時を過ぎて、まず定期の方が入線してきた。並んでいる人たちが乗り込んでいく。そして臨時が入線。どやどやと乗り込む。なんとかすわれた。
先月は熱海まで乗ればよかったが、きょうはどこまで行こうか。この時はそう考えていた。そして定期の大垣行きが発車。数分してこちらの臨時も発車していく。

いつものように電車は進んでいく。金曜ではないのでサラリーマンらしき人は少ない。多摩川を渡り、横浜を過ぎていく。
戸塚手前の斜面に建った住宅が見える。そして大船も過ぎていく。青春18きっぷシーズンなのでほとんど客は減らない。小田原を過ぎて暗い海が見えてきた。

なんだか腹の調子がおかしい。でも電車のトイレに行くのはなあ。
うーん、どうしようか。えーい、今年は3回も降りているし、熱海で降りてトイレに行こう!そう決めた。

徒歩

そして電車は熱海に到着。今年4度目の熱海に降りる。川崎までのきっぷを渡して青春18きっぷを見せて改札を通る。

トイレのある場所はわかっている。改札を出て右に進む。なんとか間に合った。トイレに行ってひといきついた。
さて、これからどうしようか。電車は朝までないから、今年3回熱海で降りた時みたいにまたすかいらーくに行くことにした。ただ、前3回と違ってきょうは天気が悪いのが不安なところである。

さあ、まずは歩きだそう。4月や先月のようにアーケードをぬけていく。
アーケードをぬけたら雨が降っているのでかさをさす。道を渡って急な下り坂の細い道をおりていくとどこかのホテルの裏手に出る。
さらに進むと海岸の見える通りだ。すぐそばにお宮の松もある。そのそばにすかいらーくがある。ここに深夜に来るのももう4度目だ。

夜食

きょうも入る。相変わらずけっこう客がいる。こんなクリスマスイブの深夜に、熱海になんか来ている人がたくさんいるのだ。もっとも地元に住んでいる人が大半かもしれない。食事代が1割増しなのにすごいなあと思う。
食事を注文する。料理が来るまでにどこに行くか考えた。

4月と先月はスーパーホリデーパスを使っていたので、大垣発東京行きに乗る必要があって3時10分ごろまでに熱海に戻っていたが、きょうは青春18きっぷなので東京行きに乗る必要はないだろう。
そうだなあ。以前会社の旅行で伊豆急行の稲取まで行ったが、そこから南に行っていない。よし、きょうは伊豆急下田まで行ってみよう。
だけど下田で観光なんかしているともったいないから、すぐに折り返しの熱海行きに乗って熱海まで戻ってこよう、そう考えた。
となると、すかいらーくを出たら熱海駅に戻る必要はない。熱海から伊東の方向に1駅進んだ、来宮(きのみや)にいくと知らない道を進むことになっておもしろそうだ。よし、すかいらーくの食事が終わったら来宮に向かおう、そう決めた。下田から熱海まで戻った後はまた後で決めることにしよう。

急いでいない時は食事はすぐにやってくる。
食事がやってきた。伊東線の電車の始発は5時過ぎだろうからきょうはゆっくり食べてもいい。
とは言ってもそんなにゆっくりとは食べられない。

食事

あまり時間もつぶれないままに食事が終わってしまった。まだまだお客がやってくる。もうそろそろ席を立ったほうがいいだろう。窓の外を見ると雨は降っている。朝になってやんだらいいなあと思いながら、ぼくは割り増しの食事代を払ってすかいらーくを出た。

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伊東線

徒歩

お宮の松のそばのすかいらーくで夜食を食べ終えると、ぼくは店を出て来宮(きのみや)駅があるらしい方向をめざした。熱海から降っている雨は降り続いている。またかさをさして坂道をのぼりはじめた。

4月や11月に熱海駅に帰ったときとは別の道を進んだ方がおもしろそうだと思い、以前より伊東寄りの道を探してのぼっていく。道を間違えても、どうせ始発の伊東行きは3時間後だから何度でもやりなおしはきくだろうし、道が見つからなかったら熱海駅まで戻ってもよい、そう考えながら進んでいく。
雨が降り続く中、のぼり坂をのぼり続ける。いかにもホテル街だった場所が、住宅街へと変わっていく。

ふと、道の途中に「何か」があるのを感じた。
それはねこだった。ひさしで雨がかからず、地面から1メートルくらい高い場所にねこがいたのである。そーっと近づいてみた。
あまり歓迎されていないような気がしたけど、めったにねこなんてなでられないので、そーっと手をのばしてみた。

ねこ

なんとか逃げないでなでさせてくれた。なにしろ雨なので、逃げるとぬれてしまうからなのかもしれない。歓迎されていないようなのでちょっとだけなでたらまた歩き出した。さらにのぼっていく。

そのうち駅舎らしい建物が見えてきた。

計画

ふう、着いた着いた。来宮のようだ。入り口は開いている。入っていすにすわろう。
お、窓口に時刻表がある。そう言えばすかいらーくで、伊豆急下田まで行って熱海まで帰ってくるところまでは計画したけど、その先を考えていない。この時刻表を見て決めよう。

まず始発の伊豆急下田方面の電車は伊東止まりだ。使っているのが青春18きっぷだから、いったん降りて伊豆急下田まできっぷを買った方がいいだろう。そして熱海まで引き返してくるとこの時刻か。
ぼくはなんとなく、大井川鉄道にでも乗ってみたいような気がした。「ものの本」によると、なんでも「アプト式」を使うようになった現在日本唯一の鉄道だということだからだ。しかし行って帰って東京に戻ることができるだろうか。もうちょっと時刻表を見てみよう。

熱海から大井川鉄道の金谷まで行くとこの時刻、すると大井川鉄道のこの電車に間に合って・・・なんとか終点の井川では行ける。そこから引き返して・・・すると金谷がこの時刻。そこから東京に向かう・・・なんとか帰れることがわかった。
だがしかし待てよ。「ものの本」では、確か終点の井川から静岡までバスが走っているって書いていなかったっけ。乗れるかな?
バスのページを見た。確かに井川から静岡に向かうバスが出ている。うーんちゃんと来るかなあ。
よし。バスを待って、ちゃんと来たら乗ることにしよう。バスに乗っても静岡から普通列車だけで東京には帰れそうだ。なにしろあしたは会社なのだからちゃんと帰る必要がある。

とにかくこれからの行程で電車が遅れたらあきらめて引き返そうと考えた。これで計画はまとまった。さあ、始発の伊東線の電車を待とう。

来宮〜伊東

なにしろ午前5時を過ぎないと電車はやってこない。それまではずっとひとけのない来宮駅だ。もちろん客なんかやってこない。そのまま1時間以上待った。
そのうちすぐ近くで照明が点灯した。自動券売機のようだ。こんな場所でも電車が来る時刻になったので、ちゃんときっぷは買えるのだ。もうそろそろホームに行こう。ホームで電車を待つ。

ようやく伊東行きの電車がやってきた。東海道本線で走っている電車と同じような電車だ。もちろんお客は誰もいない。そのまま発車だ。
電車はまっくらな中を進んでいく。海が見えるのか見えないのかわからない。伊東まで何駅もないが、ちょっとうとうとする。

12月なのでまだまだ暗いまま、電車は終点、伊東に到着である。もちろん青春18きっぷが使えるのは伊東までなので、伊豆急下田まではきっぷを買った方がいい。
とりあえず改札を通ることにしよう。でももちろん改札には誰もいない。
もう青春18きっぷにはきょうの日付が入っているから問題はないだろう。伊豆急の自動券売機はちゃんと電源が入っているかなあと思いながら、改札を通ると左右を見回して自動券売機を探した。雨はやんでいるようだ。

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伊豆急行

伊東〜伊豆急下田

来宮(きのみや)から乗ってきた電車を伊東で降りて、自動券売機を探した。
よし、あった。1000円札を2枚取り出してきっぷを伊豆急下田まで買う。
どうせ電車が来るまでに駅員は来ないだろうから、きっぷを持ったまままた改札に戻る。

それほど時間がかからないまま、伊豆急下田行きの電車がやってきた。なにしろ熱海で数時間も待ったのだ。だからこれからの待ち時間はたいしたことはない。
伊東始発の電車なので誰も客はいない。そのまま発車。

ずっと暗いまま進む電車である。景色は帰りに見ることができるのでこれでいいだろう。

だんだん明るくなってきた。なにしろ観光地の多い伊豆急行である。たいていは森が見えるだけだが、たまに観光地っぽい建物が見えたりする。
そしてすっかり明るくなったころ、電車は終点、伊豆急下田に到着した。ここも電車からは観光地っぽい建物が見える。

伊豆急下田駅

とりあえず帰りのきっぷを買わなければならないので改札は通らなければならない。青春18きっぷが伊東から有効なので伊豆急下田から伊東まで買えばいいだろう。
改札を通り、自動券売機を探す。あった。誰も並んでいる人はおらず、1000円札を2枚入れて伊東まできっぷを買った。

熱海行きの電車まで時間があるので、まずは駅を出てみよう。
出てみると、いかにも観光地って感じのまちなみだ。
なんとなく港町って感じだ。こういう駅前は好きだなあ。

伊豆急下田〜伊豆高原

さて、いつまでもいられない。大井川鉄道に乗るためにはすぐに熱海に引き返す必要があるのだ。また駅に戻る。
改札のそばにはみやげもの屋があった。朝早いのでほとんど人はいないが、きょうは3連休の最終日だし、ここに泊まった客が多少はいるかもしれない。そんなことを考えながらきっぷを見せて改札を通る。

そして伊東から下田まで乗った電車と同じような、どこにでもありそうな電車に乗る。この時刻に下田を出る客はそれほどいないようだ。そして出発。
またもと来た道を引き返していく。さきほどと違って夜が明けているので景色が見える。ところどころ海も見えてきた。稲取、熱川と過ぎていく。

そして伊豆高原、といったところで電車が停車し、アナウンスがあった。なんでも「車両交換」だとのことだ。
時刻表では伊豆急下田から熱海まで直通して1本に見える電車だが、なんでも伊豆高原で乗り換えが必要とのこと。よくわからないがいろいろなルールがあるのだろう。

今まで乗ってきた電車を降りると、これから乗る電車はホームの向かい側に停車していた。乗ってみよう。

伊豆高原〜熱海

乗り換えた電車はなんとも変な電車だった。
座席が海方向に向いているのだ。いかにも観光列車っぽい電車だったわけである。

それにしてもまぶしいなあ。今は朝、朝日が窓からさしこんでくるのだ。ひさしをしめなくちゃ。あれ?
この電車、カーテンもひさしもないじゃないか!
ものすごく不親切な電車だなあと思いながら、まぶしすぎる車内を10人くらいのお客といっしょに過ごしたのである。
まあ海が見えるのはいいが、この電車、毎日毎日まぶしいなあと思われながら走っているのかなあと思った。

それでも伊東が近づくと朝日がさしこまなくなり、伊東を過ぎると徐々に車内も落ち着いてきた。
さっき通った時はまだ夜が明けてなかったから、はじめて見る伊東線の景色だ。熱海が近づくと山に近いところを通るようになる。

数時間前に乗った来宮を過ぎるとなぜか左手に東海道本線が寄り添うようになった。そしてしばらく進み、終点の熱海に到着した。

さあ、時刻表どおりだと今から西に進んで金谷(かなや)に行けば大井川鉄道に乗って東京に帰って来られる、そう考えながら乗り換え階段に急いだ。

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東海道本線その2

旅行記本文

伊豆高原から乗ってきたカーテンのない電車を降りて、階段を進んでなんとか静岡の方向に向かう電車までやってきた。
多少は混雑しているけど、それほどのこともない。いくら3連休とは言え、やっぱり12月だからお客はこんなものなのかなあ。
電車に乗ると発車である。いつものように電車は丹那(たんな)トンネルに入っていく。

この普通列車用の丹那トンネルを西に進むときはたいてい大垣行きの夜行列車である。
そうでない時も、たとえば数年前に身延線(みのぶせん)に乗った時も午後だった。だから午前中のこんな時間に通るのははじめてである。
違う時間に通るとまた新しい発見があるかもしれないと思いながらトンネルを通る。そして三島、沼津と過ぎていき、また海が見えるようになった。
しかし意外と東海道本線は海が見える区間が短い。でもまあ海は伊豆急行でさんざん見てきたからしばらくは見なくてもいいだろう。身延線の乗換駅、富士を過ぎていく。

静岡からもたいして客の数は多くない。こんな日に西に向けて進んでいく客もそんなに多くないのだろう。
そんなあまり見慣れない景色を見ながら、電車は焼津(やいづ)、島田を過ぎ、ようやく目的地の金谷(かなや)に到着した。電車を降りる。
青春18きっぷを見せて改札を通るとまずはかばんにきっぷをしまっておく。次に使うのは数時間後だからだ。

さあ、大井川鉄道の金谷駅ってどこにあるのだろう。

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大井川鉄道その1

乗り換え

東海道本線の電車を金谷(かなや)で降りた。
階段を上がっておりて改札に来た。青春18きっぷを見せて通る。

駅前はたいしたお店もなかった。乗換駅なのにこんなものなのかなあ。
右手に大井川鉄道らしき駅舎がある。入ってみると窓口があったので井川まできっぷを買った。

さて、ここ大井川鉄道はなんでもSLが走っているらしい。でも9月に乗った真岡鐵道(もおかてつどう)のSLってけむかったからなあ。
SLって進んで乗るものじゃないなあと思ったものだった。SLはしばらく待つと乗れるがその前に千頭(せんず)行きの電車があるようだ。どちらに乗っても千頭から井川行きに乗り換えられる。

SLは指定席料金がかかることだし、きょうは電車の方に乗ることにした。SLに乗らなくても大井川鉄道には「アプト式」という変わった体験ができる。それは千頭から井川行きの列車で体験できるらしい。
なんでも大井川沿線でダムをまた新しくつくることになり、それで今まで大井川鉄道が通っていた場所がダムに沈むことになった、それで新しくダムに沈まない場所にレールをしくことになったが、とても勾配がきつい場所にしくことになり、それならアプト式にすれば話題になっていいんじゃないかというわけでアプト式にすることにした、という話である。

発車

改札を通ると電車は停車している。乗ろう。
みんなSLに乗るらしくお客はあまりいない。多少古い電車だが7月に乗った日立電鉄ほど古くなさそうだ。8月に乗った岳南鉄道(がくなんてつどう)並みだと思う。そして発車。

電車はしばらく東海道本線沿いに静岡方向に進み、しばらくして大きく左に曲がっていった。
すると右手に川が見えるようになる。大井川だろう。

電車は各駅停車なので、こまめに停車していく。ずっと大井川が見える。まあそりゃそうだ。
でもお客の乗り降りはほとんどない。まあ学校も休みになっているからなあ。

到着

そんな川のながめをずっと見ていた。3月の只見線、9月に乗った米坂線、みんな川のながめのいい路線だった。ここもいいなあ。
客は少ないまま進み、電車の終点千頭に到着である。

電車を降りる。さて、井川行きの列車はどこだろう。
千頭の駅は変なつくりになっていて、とりあえず井川から来る列車も金谷から来る列車もいきどまりホームに停車するのである。
しかしそのいきどまりホームが、なんていうか近すぎず遠すぎない距離の位置にあるのだ。そして中間改札もある。

電車を降りた客は改札に向かう人も多いようだが、もちろんぼくは中間改札に向かうことにする。きっぷを見せて通る。さあ、はじめてのアプト式の体験だ。どんなものだろうとぼくはわくわくしていた。

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大井川鉄道その2

千頭〜アプトいちしろ

金谷(かなや)から乗ってきた電車を千頭(せんず)で降りて中間改札を通る。

電車ホームと多少離れたホームにあったのは、多少古そうな客車であった。もっともぼくは客車にはおとといも新津から会津若松まで乗ったしそれほどめずらしいものではない。
そんな客車は大入り満員だった。さすがに金谷〜千頭間より列車の数が少ないこともあるだろう。

そのうちSLらしき列車がとなりにやってきたようだが、9月に真岡鐵道で見たばかりなので別にめずらしいものでもないと思い、特に注目はしなかった。
SLからかなりの客がこちらに乗ってきたようだがそれほどでもなかった。千頭周辺を観光して、SLで金谷に戻る客も多いのだろう。

そしてようやく発車、というところになって車掌っぽい男性の声がスピーカーから聞こえてきた。なんとこの客車は、男性が沿線についてアナウンスするようだ。こんな列車はめずらしい。
アナウンスがあって列車は発車する。アナウンスはとても興味深いものであった。「ものの本」に書いてあったとおり、これから乗る区間は現在日本で唯一となるアプト式の区間であるということだ。
金谷から千頭までと同じく、近くに川が流れている。今年は青春18きっぷでいろいろなところに行ったが、やはり川のながめはいいものだなあと思う。この大井川もいい。たくさんの乗客といっしょに川をながめながら客車は進んでいった。

アプトいちしろ〜長島ダム

そして客車は停車した。アプトいちしろ駅だ。車掌の話だと、ここでうしろにアプト式に対応した電気機関車を取り付けるためにしばらく停車するということだ。
すなわち、信越本線の横川駅と同じということだ。もっとも1994年現在、横川駅で使われている電気機関車はアプト式ではないのだが。

とりあえず乗客は全員降りて、まずはトイレに向かう。さすがに横川みたいに駅弁が買えるわけではない。
そして客車に戻る。確かに真新しい電気機関車が連結されている。そして前を見ると確かに架線が上にあり、ここから先が電化区間であることがわかる。そして客車はゆっくりと発車した。電気機関車のモーターの音が聞こえてきた。

電気機関車と客車は、ゆっくり、ゆっくりと進んでいく。

本当に勾配がそんなに急なのか。ぼくは前後を確認してみた。
なるほど、車両のうしろより前の方がとても高くなっている。信越本線の横川と軽井沢の間よりも車両が傾いているようだ。

それからアプト式の確認だ。ぼくは車両の端に行って、レールが見える場所を探してみた。
確かにアプト式っぽいでこぼこした金属がレールの中央に見える。やはりここはアプト式なんだなあと思った。

またアナウンスがあった。多少低い場所にレールが見えるが、あれはアプト式の付け替えが行われる前の大井川鉄道のレールで、今はもう列車が走っていないレールだとのことだ。
しかも、川の水が増えるとあのレールは水にしずんでしまうとのことだ。なんともさみしいものだなあと思う。

そしてアプトいちしろの次の駅、長島ダムだ。アプトいちしろから連結されてきた電気機関車はここで切り離される。軽井沢みたいな駅ということだ。ここから先はそれほど勾配も急ではないようで、ディーゼル機関車だけで進んでいく。

長島ダム〜奥大井湖上

さらに進むと、変な地形の場所に出た。

川がアルファベットのCの形に上流から流れているのだ。そして大井川鉄道のレールはそのCの字を下から上に突っ切って進んでいる。
川は大井川で、Cの字の右上から右下に向けて流れていて、大井川鉄道のレールは2回橋を渡っているのだ。

川

川はとても深く、水面から橋を見上げたらとても高そうだ。

アナウンスによれば現在水をためている最中で、徐々に水位は上がっていくとのことだ。
そう言えばニュースで、愛媛県で今も給水制限が続いているとか言っていたことを思い出す。
去年は冷夏で○○米(○○はとある国名)を輸入することが必要だったのに、今年は暑くて水不足、なんともいたしかたないなあと思う。

7月に愛知県の大府(おおぶ)駅で朝降りたときも駅のトイレの水が止まっていたし、大井川近辺もそんな天気だから水がたまらないのだろう。

景色をながめると、かなり低い場所まで川岸に木があることがわかる。
どう考えてもあそこって、水がたまったら沈んでしまうよなあ。

おそらくどこのダムも、ああやってもとあった木々はダムに水をためる際にわざわざ切り倒したりせず、沈んで窒息して枯れていくのにまかせているのだろう。ダムになってしまった植物の宿命とは言え、やるせないものだなあと感じる。

奥大井湖上〜井川

そして客車はスピードを落としている。これから停車するのは「奥大井湖上」という駅なのだが、アルファベットのCの形の大井川のちょうど中央の陸地にあるようだ。
したがって橋と橋の間ということになる。

どうやらこの場所を大井川鉄道が走るようになったのは最近らしいので、ぼくはこの景色を見て、もしかしたら何年かしたら、川の水が今より増えるのかもしれないなあと思った。
そして川の水が増えたころ、もう一度ここに来てみたい、そして奥大井湖上駅に降りてみたいと思った。

客車は停車したが乗り降りはなかった。そしてまた発車。橋を渡る。もし予定通り井川からバスで静岡に帰ることにするならこの景色を見るのはきょうはこの時だけだ。しっかりこの景色を見ておこう。

そして客車は進み、「ものの本」、すなわち温泉旅行旅の本に書いてあった「接阻峡温泉(せっそきょうおんせん)」駅に到着した。ここで残っていた中で半分以上の客が降りていく。
3連休はきょうまでだが、冬休みが始まったという学生もいるだろうし、きょうここに泊まる人もいるだろう。それに大井川鉄道は接阻峡温泉止まりの客車がかなり多いのだ。

もうこのあたりはアプト式になっても線路が付け替えられていない区間かもしれない。また発車し、客車は進んでいく。

そしてようやく客車は終点、井川に到着した。ここは静岡市である。

停留所

さて、また別の「ものの本」によれば、静岡行きのバスが出ているはずである。きっぷを渡して改札を出て、バスが通っていそうな広い道はないか探してみた。
あった。停留所もあった。ちゃんとバスが出ているかどうか確認してみよう。うん、静岡駅の方に行くようだ。それほど待たずにバスがやってくる。

ぼくと同じようにバスを待っている人たちもいる。ここの停留所が始発ではないようなのでもしかしたらたくさん客が乗っているかもしれないが、なんとかなりそうな気がする。
バスを確認したのでまわりの景色を見てみた。ここにもダムがある。たぶんこのダムは大井川鉄道がアプト式になる前からあるダムだろう。
さらに上流にもダムがあるらしいし、そもそも大井川鉄道はこれらのダムを建設する建設資材を運ぶために建設されたそうだし、ダムはけっこう全国にあるのだろう。

そんなダムのまわりの緑の景色を見ながら待つと、ようやくバスがやってきた。乗ってみるとそれほど客もおらず、楽にすわれた。さあ、出発だ。

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バス・井川〜新静岡

谷間

大井川鉄道の井川駅前を出たバスは、まずダムを渡った。
さっきアプト式電気機関車で押し上げられていたところのダムとはまた違うダムである。大井川にはさらに上流にもダムがあるようだ。いろいろたいへんだなあ。
そんなダムとダム湖を見ていたが、すぐに山の中に入っていく。

ことし1年は鉄道でいろいろな所に行ったが、バスにもけっこう乗っている。
けっこう山の中を走るバスもあった。バスは鉄道で見られない景色が見られるからけっこうおもしろい。

バス

山の中に入ったバスは、まがりくねった道を長いこと長いこと走っていく。いちおう進むごとに標高は下がっているようだ。
なにしろ金谷から井川まで大井川鉄道でかかった時間のことを考えれば、バスでも同じくらいの時間はかかるだろうと容易に想像できる。
最初のうちは山の頂上が横に見えていた。それが進むにつれてだんだん上の方に見えるようになっていく。バスは谷間に入っているようだ。ずっとそんな景色を見ていたいが、今は12月、日が暮れるのは早い。だんだん暗くなってきた。

休憩

そして小さな建物のある所に到着。運転手さんがトイレ休憩ですと言う。さすがに長いバスだからトイレ休憩はあるか。トイレに行ってバスに戻る。
あとは暗い中をバスは走る。しばらくは谷間を走っていたが、やがて街灯が増え、行き交う車も増えていった。静岡駅に近づいているのだろう。
そのうち住宅も増え、市街地に帰ってきたようだ。なんとか予定どおりバスは進んでいるようで、渋滞することもなくバスは進む。もうすっかり普通の国道と変わらない景色になり、そして終点の新静岡に到着した。

たぶんここは5月に静岡鉄道に乗ったときの新静岡駅に近いところだから、歩いてJRの静岡駅に行けるだろう。早くJRに行って東京に帰ろうと、バスを降りた。

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東海道本線その3

旅行記本文

井川(いかわ)から乗ってきたバスを新静岡のバスターミナルで降りて、てくてく静岡駅まで歩く。
5月にも逆方向に歩いているのでなんとか静岡駅に着いた。でも急いで電車に乗って東京に向かった方が良さそうだ。

数時間ぶりの青春18きっぷを取り出し、改札を通る。そして東京方面の電車に乗る。
暗くなってはいるが、まあなんとか東京まで帰れるだろう。丹那(たんな)トンネルをくぐり、熱海に着いた。乗り換えだ。

4月に初めて熱海で降りて以来何度か降りている。いつもお宮の松のところのすかいらーくで食事するだけだが、観光地っていうのは観光しなくてもいいところだ。つい20時間前にも降りたし、また降りることもあるだろう。そんなことを考えながら熱海をあとにする。
あしたは会社なので電車で眠って少しでも休まなくてはならない。この冬はもう青春18きっぷは使わない予定だし、もうすぐ正月で実家に帰って休める。

さあ、あしたからもうちょっと仕事だ。そして正月が明けたら次の3連休のうち2日を使ってハートランドフリーきっぷの旅に行こう。
10月に寝坊して行けなかった岩泉線に今度こそ行こう。そんなことを考えながら、東京に帰っていった。

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