◆木霊の日記帳 神サマの贈り物 |
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それは春の終わりにしてはやけに暑い日の出来事だった。 何の前触れもなく、玄関先に置かれてあった不思議な色合いの卵。 ふわふわとした緩衝材に包まれ、ご丁寧に赤いリボンまでかけてラッピングされてあるそれを一番先に見つけたのは元気が溢れて垂れ流さんばかりの銀髪のピクシーだった。 「なぁなぁ木霊ぁ。コレ何? また何か買い物でもした?」 ラクガキやメモ、スケッチブックが散乱するテーブルの上。散らかる紙の山を押しのけて無理やり卵を安置したのは第一発見者こと光属性のピクシー・夜羽。 騒ぎを聞きつけてやってきたのだろう、金色の髪があちこちに跳ねている光属性のピクシー・エターニアと銀色の長い髪を赤いリボンでひとくくりにした闇属性のピクシー・メフィアがやや遠巻きながら様子を伺っている。 「玄関の前に置いてあったんだけどさ、こんなのキャラバンでも見た事ないよ。」 夜羽は好奇心丸出しで卵をぺたぺた触っている。 「ん〜? ここしばらくは何も注文してないし懸賞も心当たりはないぞ〜? タニアは何か知らない?」 紙の山に埋もれかけていた木霊がペンを走らせる手を止めて記憶をたどる。が、こんな卵の事は記憶にないらしく傍らの金髪のピクシーに話を振る。が、彼はふるふると首を横に振るばかり。
「知らないかぁ。んじゃメフィアはー?」 慌てて手を伸ばす木霊、その手をくるくるとかいくぐる黒い翼のピクシー・メフィアが卵に添えられていたカードをひらひらと掲げる。体格差はあれど機動力では人間がピクシーに勝てるわけもない。その事に木霊が思い至ったのはテーブルの上とその周辺が混沌に支配された頃だった。 「なんだ、ギブアップかよ情けねーな」
畳まれたノートパソコンに腰掛けて高らかに勝利宣言するメフィア。 「なーメフィア、何書いてあるの?」 メフィアの背後から夜羽がカードを覗き込み、二つに折りたたまれたカードに記された文字を読み上げる。
「せーれー獣について…?」 3人のピクシーが揃ってカードを覗き込む。タニアと呼ばれた金髪のピクシーがそこに記された文字を拾い上げる。
「アナタの旅の御供になる精霊獣のタマゴです。アナタと居ることでさまざまに成長し、旅の手助けをしてくれるようになるでしょう。…だって。 宛先は木霊、送り主の名前は分からない。」 あんまりといえばあんまりな言い草にフテ腐れるメフィア。テーブルに置かれた卵を軽く蹴飛ばしてタンスの上、彼のお気に入りの場所に飛んでいってしまう。
「…マスター、ちょっと言いすぎ?」 「うぅ、ペン入れ終わらねぇ。色塗り諦めるかちくしょー」
半泣きでがりがりとペンを走らせていた。
「今のうちに候補だけでも考えない?」 かくして木霊の家は今日も平和に過ぎて行くのであった。 |
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