まもって守護月天!再逢 オリジナルSS

現在(いま)を生きる幸せ(前編)

 

 

人間は皆、宿命を持って生まれてくる。

性格、才能、寿命・・・・様々なものを決められて生まれてくる。

人、それを「運命」と言う。

ある人が言っていた。

「人間の未来は99%が生まれたときから決まっている。そして残りの1%は希望だ
・・・・」

もしかしたら人間だけじゃない。

動物、植物、さらには無生物までその「運命」が決められているのかもしれない。そ
して、すべてのものがきっと願っている。・・・・1%しかない希望という名の奇跡を・・
・・

精霊とて同じことなのだろう・・・・長い年月を自分の宿命という名の「運命」を背負っ
て・・・・

 

 

 

 

フェイ「・・・・月が・・・・騒いでる・・・・月だけじゃない、太陽も大地も・・・・。そう、あな
たたちは見つけたのね・・・・自分達の居場所を・・・・。」

 

 

 

 

暖かい朝の日差しがカーテンの隙間を縫って部屋に入ってくる。ぽかぽかと暖かい風
が吹いている。季節の移り変わりとはこのことを言うのだろうか・・・・少し気だるい体
を起こし太助は着替えを済ませキッチンに向かった。キッチンからは朝食のおいしそ
うなにおいが漂ってくる。

太助「シャオ、おはよう。」

太助の声でシャオは振り返った。

シャオ「おはようございます、太助様。」

シャオは笑顔であいさつを返してくれる。それが太助の朝の日課であり、安らぎの時
なのである。

シャオ「今日から新学期ですので。新しい気持ちで行けるように、お料理も工夫して
みたんです。」

テーブルの上には美味しそうな料理の数々が所狭しと並べられている。

太助「すごい量だな・・・・まぁルーアンがいるから残らないと思うけど。」

シャオ「ルーアンさんはよく食べますからね。これじゃあ足りないかもしれませ
ん。」

普通の会話・・・・ただ、シャオと一緒にいるだけで幸せな気分になれる。シャオの横顔
がとても愛しく思える。

太助「(これからもずっと一緒にいような・・・・なんて恥ずかしくて言えないよ
な。)」

奥手な太助にとってシャオに好きと伝えただけで大したものだ。今のような歯が浮く
ような台詞を口に出すのはやはりまだ無理である。

太助とシャオが楽しく話をしているとルーアンが眠そうにキッチンに入ってきた。

ルーアン「ふぁあ〜。たー様、シャオリンおはよ。」

太助「ああ、おはよう。」

シャオ「ルーアンさん、おはようございます。」

太助「キリュウはまだ寝てるのか?」

ルーアン「紀柳のことだから昼まで寝てんじゃないの?こんなにぽかぽかしてるんだ
し、春眠暁を覚えずって言うでしょ。」

太助「何か意味がちょっと違う気が・・・・まぁいいや。シャオ、俺ちょっとキリュウを
起こしてくるよ。」

シャオ「お願いします。太助様。」

太助はキリュウを起こすために二階に上った。

コンコン

太助「おーい、キリュウ起きてるか?」

ドアをノックして問いかけてみるが返事はなかった。

太助「・・・・キリュウ、入るぞ。」

太助は少々遠慮がちにドアを開けた。キリュウも女の子、女の子の部屋に入るのは何
かと緊張するものだ。

太助が中に入ると殺風景な部屋がそこにあった。どうやら今日は大掛かりな目覚まし
は無いようだ。

太助「キリュウ〜、朝だぞ〜」

太助はベッドに寝ているキリュウを軽く揺すってみた。

キリュウ「ん、んん。」

キリュウはまるで赤子がいやいやするように体を動かした。

太助「キリュウ、早く起きないと。」

キリュウ「主殿・・・・もう少し・・・・」

太助はやれやれといった感じで困っていたが、ふと、いい事を思いつきキリュウの耳
元でポソッとつぶやいた。

太助「キリュウ・・・・早く起きないと温泉が閉まっちゃうよ。」

キリュウ「温泉!?」

キリュウは「温泉」の単語に反応して勢いよく体を起こした。

太助「やぁ、キリュウおはよう。(うまくいくなんて思わなかったなぁ)」

太助はキリュウにあいさつをしたが、キリュウはあたりをきょろきょろと見回してい
る。

キリュウ「主殿、今、温泉と言わなかったか?」

太助「気のせいじゃないかな・・・・それより朝ごはんだから早く起きて。」

キリュウは腑に落ちない様子で渋々ベッドから起きた。

 

 

 

 

楽しい朝食の時間が終わると太助達は学校の準備をして家を出た。

そよ風が穏やかに吹き、どこからとも無く桜の花びらが運ばれてくる。

太助達が通学路を歩いていると途中、翔子と合流した。特に約束をしていた訳ではな
い。もはや生活の習慣である。

シャオ「おはようございます。翔子さん。」

翔子「あぁ、おはよ、シャオ。」

相変わらずこの二人は仲がいい・・・・もし相性を占ったら100%ではないだろうか?

翔子は太助に耳打ちをした。

翔子「それにしても、七梨。新学期早々両手に花とは羨ましいかぎりだねぇ。」

太助「な、何いってんだよ!山野辺。」

現在、太助はシャオ、ルーアン、キリュウに囲まれて歩いている。さらに翔子も加わ
れば両手に花どころかもはやハーレム状態である。(いや、本気で羨ましいです。)

翔子「ホントのことだろ。隣がシャオとキリュウって時点で・・・・」

キリュウは赤くなって(翔子の言葉のせいで)シャオはいつもどおりポケポケッとし
ている。そこにルーアンが食って掛かってきた。

ルーアン「ちょっと!不良嬢ちゃん。なんであたしの名前が出てこないのよ!こんな
天然ポケポケ娘や色気の無い無愛想娘よりあたしの方が全然いいじゃないのよ。」

花織「って言うか〜、ルーアン先生って年齢に問題があると思いますけどね〜。」

どこからとも無く花織がやってきてサラリと問題発言を言ってのけた。

ルーアン「いい度胸ね・・・・この馬鹿娘。」

花織「ホントのことじゃないですか?っと、おはようございます。七梨先輩。」

太助「あ、あぁ、おはよう。」

たかし「おっはよ〜、シャオちゃ〜ん!」

乎一郎「ルーアン先生、おはようございます。」

いつの間にかたかしと乎一郎もちゃっかり加わっている。

太助「・・・・ずいぶん騒がしいな・・・・」

翔子「ホントはシャオと二人っきりが良かったのにな。」

翔子は太助の思っていたことをビシッと言い当てた。

太助「山野辺・・・・。お前な〜。」

キリュウ「そうか・・・・。主殿がそう思うのなら、私も協力するぞ。」

太助「キリュウまで・・・・。気持ちはうれしいけど、今日はみんなで行こうぜ。」

キリュウ「わかった。・・・・主殿は優しいのだな。ここにいるみんなのことを考えてい
る。」

太助「い、いや・・・・。そんなこと・・・・」

キリュウ「主殿ならきっとシャオ殿をいつか守護月天の宿命から救うことができるだ
ろうな。」

これは建前でもお世辞でもなんでもない心からの言葉だった。

太助「そ、そうかな・・・・ありがとうキリュウ。」

ルーアン「ちょっと、たー様。な〜にキリュウといい感じになってんのよ。」

花織「そうですよ。先輩はわたしと一緒に学校に行くんですよ。」

ルーアン「なんですって!まだ言うかこの色気ゼロめ・・・・」

キリュウ「やれやれ、にぎやか過ぎるのも考えものだな・・・・私は先に学校に行ってい
る。今の時間帯なら文殿がいると思うからな・・・・久しぶりに会ってくる。」

キリュウが短天扇に乗ろうとしたとき翔子が引きとめた。

翔子「待った!私も乗せてって。」

キリュウ「別にかまわないが・・・・」

翔子「ちょっと用事を思い出してね。早く学校に行かなくちゃならないんだ。」

そういって二人は一足先に行ってしまった。それとほぼ同じころ。今度は出雲がやっ
てきた。

出雲「おはようございます。シャオさん、今日もとても美しい・・・・」

たかし「ゲッ、宮内出雲!何でここにいるんだよ。」

出雲「おや、野村君いたんですか。」

たかし「お前売店はどうしたんだよ。準備とかあんだろ。さっさと行けよ。」

出雲「馬鹿ですかあなたは。今日は新学期だから始業式だけでしょう。」

出雲とたかしでは軍配は明らかである。

シャオ「賑やかで楽しいですね。太助様。」

シャオが太助に微笑む・・・・太助はシャオの笑顔を見て「こういうのもたまには良いか
な。」と思った。

 

 

 

 

太助達が歩いている所を一足先に行っていたはずのキリュウと翔子が上空から様子を
見ていた。翔子が「ちょっと様子を見てようぜ。」と提案したのだった。

キリュウ「翔子殿、学校に早く行かなくてはならないのか?」

翔子「あ〜・・・・あれはウソ、なんかあの場に居たくなかったからな・・・・」

キリュウ「翔子殿は・・・・主殿のことが好きなのだな・・・・。」

翔子「ななっ、何言ってんだよキリュウ!んなわけないって・・・・」

キリュウ「シャオ殿やルーアン殿、花織殿が主殿に迫っているのを見て気を悪くした
のではないのか?」

図星であった・・・・だが翔子もタダでは転ばない。

翔子「そういうキリュウ・・・・あんたも同じなんじゃないの?」

キリュウ「・・・・」

キリュウは黙り込んだ。ただ妙に頬が赤かったため翔子は確信した。そしてどうせば
れてるんなら・・・・としゃべり始めた。

翔子「・・・・七梨ってさ、鈍感で甲斐性なしだけどさ・・・・誰にでも優しいんだよな。い
ざって時すげー頼りになるしさ・・・・なんかそういう所がいいなって・・・・」

翔子は「今言ったことは内緒だからな!」とキリュウに言って顔を赤く染めた。

少し間をおき今度はキリュウが口を開いた。

キリュウ「・・・・主殿は初めて私を受け入れてくれた方だ・・・・つらい試練だって前向き
に取り組み、シャオ殿を救ってやりたいと必死になって頑張っている。そんな主殿を
見てるとなんだか胸が苦しくなるんだ・・・・でも、」

キリュウが言葉を続けようとすると翔子が言った

翔子「でも、シャオと七梨には幸せになってもらいたい・・・・だろ。」

キリュウはフッと目を細めて微笑む。

キリュウ「あぁ・・・・」

翔子「お互いそんな性格だな。」

キリュウ「あぁ・・・・そうだな。」

翔子「今度、私の家に泊まりに来いよ。キリュウと話すのって何か楽しいし・・・・」

キリュウ「私なんかで良いのか・・・・」

翔子「あぁ、もちろん!」

キリュウ「(やはりここは不思議な所だな・・・・人間と精霊の壁なんてすぐに取り除い
てくれる・・・・)」

 

 

 

 

始業式が終わり太助達は家に帰ってきた。すると玄関の前で佇むフェイの姿があっ
た。

太助「フェイ、どうしたんだこんなところで?」

フェイ「シャオリン、ルーアン、キリュウ・・・・そして太助。貴方達に大事な話がある
の・・・・精霊の宿命について・・・・」

 

 

今・・・・人間と精霊の壁が崩れようとしている・・・・

 

 

 

 

あとがき

 

 

ども、さすらいの小説家(笑)ちょ〜さです。

今回は純粋な月天です。コメントもシンプルに・・・・

どうぞお読み下さい。

 


ハルカの勝手コメント

 ちょ〜ささんの新作、「現在(いま)を生きる幸せ」前編をお届けしました。

 まぁ、実を言うとハルカは再逢にはあまり詳しくないのですが…(^^;

 全体的に、楽しく読ませていただきました。

 特に紀柳、翔子の描写はとても「らしかった」こともあり、文句ナシです(笑

 しかし、どうやら単純なラブコメでもなさそうです。

 願わくばこのほのぼのとした雰囲気を後編にも期待したいですね(^^

 それでは次回も楽しみにお待ちしております。

 

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