まもって守護月天!オリジナル小説

「万難地天の恋愛事情」

 

 

最終話 輝く未来(あす)に向かって

 

 

秀一「・・・・ここは?」

秀一が目を覚ますと、そこはもといた場所だった。

フェイ「気が付いたか・・・・」

声のしたほうに振り向くとフェイがこちらを見つめながら立っていた。

秀一「そういえば、フェイちゃん。あのとき合格って・・・・」

フェイ「あぁ、あなたは私の出した問いかけにすべて答えられたからな・・・・」フェイ
はフフッと笑みを浮かべそのまま話を続けた。

フェイ「あなたのような純粋な人間も珍しいな・・・・太助もあなたのように堂々と自分
の気持ちを伝えれたらシャオリンももっと早く宿命から解き放てるのにな・・・・」

秀一「それじゃ、太助にもいつかこんなことをするのか?」

フェイ「刻がたてば・・・・な。」

フェイは、遠い目で彼方を見つめている。と、秀一はあることに気付いた。

秀一「なぁ、これでホントにキリュウちゃんは宿命から解き放たれたのか?」

フェイ「いや、今までのことはあなたにキリュウを宿命から救うだけの資格があるか
試しただけ・・・・キリュウを解き放つのはこれからだ・・・・」

フェイ「私はキリュウを呼んでくる・・・・あなたはここで待っているのだ。」

そう言い残し、フェイは身軽に住宅の屋根を跳びながら行ってしまった。

 

 

 

 

秀一が戻って来たのとほぼ同時刻。キリュウは自然公園でずっと悩んでいたが、謎の
光に気付き(最初の光は気付かなかった。)その場所に向かうところだった。が、そ
の途中、光っていた方角からフェイが現れ、キリュウはフェイに呼び止められた。

フェイ「見つけたわ、キリュウ。あなたに話があるの・・・・」

キリュウ「私に・・・・話?」

フェイはその場の沈黙をかき消すように話し始めた。

フェイ「あなたに聞きたいことがあります。」

キリュウ「・・・・私に聞きたいこと・・・・」

フェイ「キリュウは秀一のことが好きなのね。」

キリュウ「な、そんなことない、別に秀一殿のことなど何とも・・・・」

赤くなって俯きながらキリュウは否定した。

フェイ「隠さなくてもいい、精霊が人間に好意を寄せても、それは男と女の自然の摂
理、仕方がないこと・・・・」

キリュウ「・・・・いいんだ、もう、秀一殿のことは忘れるから。」

フェイ「無理に忘れようとしなくてもいいだろう?」

フェイの問いかけもキリュウは否定した。

キリュウ「だめだ!忘れなければ・・・・私は、万難地天の役目を果たせなくなってしま
う・・・・」

フェイ「・・・・私の独り言なんだが・・・・実は、万難地天の宿命からキリュウを救いたい
と言ってくる。愚かな人間がいてな・・・・」

キリュウ「・・・・えっ?」

フェイ「その者が見事にその資格を獲得したのだが・・・・」

キリュウ「・・・・」

フェイ「さぁ、この先でその者が待ってる・・・・早く行きなさい。」

キリュウ「しかし・・・・」

キリュウが戸惑っているとフェイはキリュウの頭を優しくなでた。

キリュウ「な、フェイ殿?」

フェイ「あなたはこの長い年月、ずっと孤独に耐えて役目を果たしてきた・・・・だけど
もう、苦しむことはないわ・・・・三精霊はいずれその宿命から解き放ってあげるつもり
だったから。・・・・あなたはその最初の精霊、これからのあなたの宿命は・・・・幸せにな
ること・・・・」

キリュウ「フェイ・・・・殿。・・・・ありがとう。」

キリュウはフェイに感謝をすると光の下に向かっていった。愛する人の下へ・・・・

 

 

 

 

秀一「(キリュウちゃんに会ったら、なんて話しかければいいんだ?)」

この前の気まずい状態から一度も会っていないので秀一はどんな風に話しかければい
いか悩んでいた。と、そこに

キリュウ「秀一殿!」

キリュウは走ってきて秀一に思い切り抱きついた。

秀一「な、キ、キリュウちゃん?」

キリュウ「秀一殿、私は秀一殿が好きだ、誰よりも、秀一殿のことが・・・・」

キリュウの告白に秀一は笑顔で答える

秀一「やっと俺に振り向いてくれたか。全く、待ちくたびれたぞ。」

もはや、二人の愛を阻む物などなにもなかった。二人は、互いのぬくもりを感じあう
ように抱き合った。

フェイ「お取り込み中に悪いのだが・・・・」

いつの間にかフェイの姿がそこにあった。淡々とした口調で話を続ける。

フェイ「これからキリュウを人間にする。」

フェイの提案にキリュウが答えた。

キリュウ「待ってくれ、秀一殿と少し話しがしたい。」

フェイ「別にかまわないが・・・・」

キリュウは秀一に深刻な表情で告げた。

キリュウ「秀一殿が私のためにフェイ殿の試練を受けたのは分かっている。だが、私
はまだ必要としてくれる人がいる。精霊である私を・・・・だから・・・・」

キリュウの伝えたいことは秀一には手に取るように分かった。

秀一「分かってるよ。それに俺だってその方が良いと思ってたし・・・・」

フェイ「話は終わったみたいだな。」

秀一・キリュウ『あぁ』

 

 

 

 

 

 

数日後のある休日の朝

 

 

キリュウ「あの、主殿、今日は、その、用事があるので試練は休みにしてくれないか
・・・・」

太助「あぁ、もちろん、せっかくのデートだもんな。」

太助が冷やかすとキリュウは恥ずかしそうに顔を赤らめた。と、キッチンからシャオ
の呼ぶ声がする。

シャオ「キリュウさ〜ん、お弁当忘れてますよ〜」

キリュウ「あ、すまないシャオ殿。」

シャオ「せっかくキリュウさんが作ったんですから。忘れちゃだめですよ。」

太助「これってキリュウが作ったのか?」

シャオ「はいっ、キリュウさんってホントはすごくお料理上手なんですよ。今度から
手伝ってもらっちゃおうかな。」

太助「へ〜、俺も今度食べてみたいな。」

キリュウ「あの、その、それじゃ私は行ってくる・・・・」

キリュウは慌てて行ってしまった。

シャオはそんなキリュウを見て太助に聞いた。

シャオ「太助様。最近キリュウさん、なんだか幸せそうですね。」

太助「あぁ、少し明るくなったよな。」

万難地天の宿命はまだ解かれてはいない、キリュウがそう願ったのだ。

自分を必要としてくれる人のために・・・・秀一も「フェイちゃんの力じゃなく、自分の
力で救ってあげたい。」と言っていた。

太助「よ〜し、俺も頑張ろう!」

シャオ「何を頑張るんですか?」

太助「(きっといつか、俺もシャオを救ってみせる・・・・)」

ピンポ〜ン

チャイムが鳴り、たかし、乎一郎、出雲、花織の四人が入ってくる。

たかし「シャオちゃ〜ん、遊びに来たよ。」

乎一郎「ルーアン先生、遊びに来ちゃいました・・・・」

出雲「家の母特製の和菓子をお持ちしました。」

花織「七梨先ぱ〜い、新しく買ったゲーム、一緒にしましょ〜。」

太助「だぁ〜、ったく、人が意気込んでるときに・・・・」

太助は文句を言おうとしたが、たかしの声にかき消された。

たかし「そういえばさ、さっきキリュウちゃんに会ったんだけど・・・・

なんかすごく可愛かったよなぁ〜。俺、キリュウちゃんがスカート履いてる姿って初
めて見たぜ。」

今日、キリュウはキャミソールにスカートという格好で出かけていったのだ。(本人
は少し恥ずかしがっていたが・・・・)

太助「それって那奈姉のせいだろ。ほぼ無理矢理着せてたしな・・・・」

出雲「恋は女の子を変えますからね・・・・(どうやら秀一君はうまくいったみたいです
ね)」

 

 

 

 

同時刻、霧島神社

 

 

翔子「よ、ご両人!」

秀一「何だ、お前いつの間に・・・・」

翔子「フフン、【面白いこと大好き人間】のこの私に隠し事なんて通じないよ。」

秀一「まったく、少しはあの時みたいにおしとやかに出来ないのか?」

翔子「あの時?」

秀一「俺に告白したとき。」

秀一が口に出した瞬間、翔子は思いっきり秀一を引っ叩いた。

秀一「って〜、お前本気で殴ったろ。」

翔子「お前がそのことを言うからいけないんだ。」

秀一「でも、俺は結構嬉しかったぜ。そんじゃ遅れちまうからもういくぞ。」

そう言って、秀一は翔子の頬にキスをして走って行った。

翔子「バカ・・・・」

翔子はキスされた頬に手をあてて笑みを浮かべて秀一を見送った。

 

 

 

 

キリュウ「すまない、少し遅れてしまった。」

秀一「そうでもないさ、俺だって今来たばっかだから。」

二人はこの前と同じ水族館に来ていた。

秀一「同じところで飽きないか?」

キリュウ「ここは、秀一殿と初めて一緒に来た場所だから・・・・」

秀一「そっか・・・・ところで今日はいつもとずいぶん違った格好だね。」

キリュウの服を見て秀一は尋ねた。

キリュウ「やはり可笑しいか?」

秀一「いや、すごく似合ってていいと思うよ。」

キリュウ「そ、そうか・・・・」

秀一に褒められてキリュウは顔を赤らめた。

秀一「なんか飲み物買ってくるよ。何がいい?」

キリュウ「ミルクティーがいいな。」

秀一「フフッ、キリュウちゃんもミルクティーにはまったな。」

 

 

 

 

二人はいろんな場所を見て回った。

水族館のほかに骨董屋とかアクセサリーショップだとか・・・・

公園を散歩しているとき、ふと、キリュウが黙ってしまった。

秀一「どうかしたの?キリュウちゃん?」

キリュウ「なぁ、秀一殿。私達は正式に付き合っているのだから・・・・

その・・・・私のことは呼び捨てにしてほしいのだ。」

秀一「分かったよ、キリュウ。」

キリュウ「秀一殿。」

二人はしばらく見つめあった。と、秀一はキリュウに頼みごとをした。

秀一「・・・・なぁ、キリュウ、目を閉じてくれないか・・・・」

キリュウは秀一の言葉の意味を理解し、最初は戸惑ったがゆっくりと目を閉じた。

キリュウ「こうか?」

二人の顔がだんだん近づいてゆき、唇と唇がそっと重なった。

キリュウ「・・・・ん」

それからしばらくの間、唇を通して互いのぬくもりを感じあった。

秀一「・・・・すごく美味しかったよ、キリュウ。」

キリュウ「恥ずかしい・・・・」

キリュウは顔を赤く染めた。そんなキリュウを見て、秀一はさらにキリュウが愛しく
思えた。

秀一「愛してる・・・・」

キリュウ「・・・・私も・・・・」

 

 

 

 

人間と精霊・・・・たとえ、その間に壁があったとしても・・・・互いを思う気持ちがあれ
ば、きっといつかその壁を越えることが出来る。

空は遥か彼方まで続いてゆく・・・・

たとえ時が流れても、二人の想いが変わることはない・・・・

そう、この地球がいつまでも廻り続けるように・・・・

 

 

 

 

万難地天の恋愛事情 END

 

 

あとがき

 

 

ちょ〜さです。とうとう完結しました。

いや〜、私のへっぽこSSを愛してくれた。あなた!あなた!そう、そこのあなた!
(いるのかなぁ?)

必ず文章レベル上げて復活します。(未定)

私の作品で一人でも多くの人に感動を与えれたのなら光栄です。

次回もここにアクセスし・て・ね!

それでは再見!!

 


ハルカの勝手コメント

 ちょ〜ささん作、「万難地天の恋愛事情」最終話をお届けしました。

 あっというまの完結でしたが、紀柳さんが最後に幸せになれた時点でハルカは満足です(阿呆

 皆さんがどう感じたかは一コメント書き(オイ)であるハルカには知る由もありませんが、

 どうぞその胸中を直接ちょ〜ささんに伝えてみて下さい。

 それでは最後になりましたがお疲れさまでした>ちょ〜ささん。

 楽しい作品をどうもありがとうございました♪

 

 ちょ〜ささんへの感想メール

 

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