人通りの多い道を一人の青年が走っている、狂ったように突っ走る、
一体何が彼をそんなに追い立てるのか。
  
「え?俺はただ遅刻したから走ってるだけだけど?」
  
走り疲れてきたのか青年は訳のわからない事を口走る。
  
「だから前回の続きだってば。」
  
わかったわかった、ったくもー。
しばらくすると青年・・・浦島景太郎が目指している場所が見えてきた、喫茶ひなたと書いてある。
景太郎は戸を勢い良く開けた。
中には髪の短いくわえタバコをしている女性がいた。
  
「すいません遅れました!」
「おそい!!!」
  
即答で返されて景太郎は少しビビってしまった。
  
「すっすいませんはるか叔母さん。」
「叔母さんじゃないだろ!」
  
中にいた女性は景太郎の叔母ではるかというらしい。
  
「まったく、ところでおまえを呼んだのはちょっと頼みごとがあるんだ。」
「頼みごと?」
「ああ、私が昔ハンターをやっていたのは知ってるな?」
「ええ・・・まあしってますけど。」
「ハンター本部から要請がきてな、私に今日だけ教官をやってほしいと頼まれた。」
「へぇー、そうなんですか。」
「そこでおまえに店番をやってほしいんだ。」
「え!?」
  
  
  
               ラブひなストーリー
                 「見守られる人達」A
  
  
  
「ほ・・・ほ・・・本気ですか!?」
「ああ、本気だが、どうしたんだ?そんなにあわてて。」
「だってここで店番なんかしたらどうなると思ってるんですか!」
「どうなるんだ?」
「俺の出番が減るんです!!」
  
よっぽど慌てているのかまたまた分けのわからんことを口走る。
  
「話のながれってもんがあるんじゃないのか?」 
「だからって少なすぎるんです!!」
「いいじゃないかべつに。」
「よくないですよ!!こらぎんぎん!俺の出番を削るな!俺も行かせろ!」
  
しょうがない、今後一切出番を無くしてこの後に出してあげるか。
  
「はるかさん!実は俺店番だいすきなんです!!いやー店番ってたのしーなー!。」
「・・・・・・・・・・・・」
  
ふっ、勝った・・・・ 
はるかはジト目で景太郎をにらみつけていた。
  
「・・・まあいい、店番頼むぞ。」
「はい、わかりました。」
  
そう言うとはるかは喫茶ひなたを後にした。
  
「おいぎんぎん、今後の俺の出番削らないでくれよな。」
  
さーてね、どうだろう
  
「ああ!!うそつき!!」
  
一方そのころ・・・・・
  
「無視すんなよ・・・」
  
  
  
「ここがハンター本部・・・・・」
「そうよしのぶちゃん、ここが・・・ハンター本部。」
「しっかしでっかいなー、普通の家の三つ分くらいあるやんか。」
  
余りのデカさにスゥが呆然としているとしのぶがある事に気付いた。
  
「あのハンター本部の後ろにある大きな柱はなんでしょう?」
  
ここぞとばかりにキツネが答える。
  
「何や知らんのかいな、あれはなぁ、空中都市エデンにつながる柱や。」
『空中都市!?』
  
みんながおどろき声を張り上げる。
  
「そうや、あの柱はエデンにつながる唯一の道、あそこに登れるんは一部のハンターだけや、
そしてエデンの一番上にはな、東大と呼ばれるとこがあるんや。」
  
そう言いながらキツネは上を見上げた、そこには目が痛くなるくらいの青空と一本の柱があるだけだった。
成瀬川達もつられて上を見上げキツネと同じく浸っていた。
すると突然スゥがお約束の事をぶちかました。
  
「トウダイってなんや?うまいんかー?」
  
その一言でさっきまでの雰囲気が音を立てて崩れた。
  
「スゥ・・・・あのな、東大って言うんはな、このハンター本部ぐらいの家のこっちゃ。」
「ふーん、で?そこになにがあるん?」
「そこには世界中のすべての情報が流れ込んでくるんや、そこに行けばわからん事なんて無いんや、
現在だけじゃなく過去・・・このひなた王国が出来てから今までの三千年の歴史、それと他の全ての国の歴史もすべて
東大の中にあるんや、ひなた王国より長い歴史を持つ国はないからなぁ。」
「へぇーー、すごいわねーー。」
  
成瀬川だけでなく素子、しのぶ、スゥも後ろで感心してる。
  
「だけどキツネさんよくしってますね。」
「しのぶぅ、こんなんハンターになるんやったら常識やで。」
「え?そうなんですか?しらなかった。」
  
少し落ちこんだしのぶに成瀬川が助け舟を出す。
  
「キツネ、ポケットから『これであなたもガイドさん!ひなた王国完全ガイドブック』ってのがはみだしてるけど?」
「ああ!!あんなところにオオムラサキモンシロキアゲハがいるで。」
「ごまかすな!それになに色なのよそのチョウチョ。」
「なはははは、それよか早よいこか。」
「まったく・・・・・」
  
そんな事を言いながら成瀬川達は歩き出した、すると・・・・
  
ドン!!
「きゃ!!」
  
しのぶにいかにもガラの悪そうな男がぶつかってきた。
  
「ごっごめんなさい!だいじょぶですか?」
「ああ?ごめんですむならハンターはいらねえってんだよ!!」
  
男が怒り始めた、いわゆる当り屋というやつだ。
  
「あーあ、服が汚れちまっただろうが、高かったんだぜ?これ、弁償してくれるよな?」
「いっいくらですか?」
「そうだなー、これくらいだ・・・」
  
それはとても彼女達に払える金額ではなかった。
  
「そっそんな!無理ですそんな大金、持ってないです。」
  
そこへ成瀬川とキツネの援護射撃。
  
「だいちそんな服がそんなにするわけ無いじゃない!!」
「そうやで、そんなだっさい服そんなに高いわけないやろ。」
  
そこへとどめのスゥの一撃。
  
「センスないんとちゃうか?おっちゃん。」
  
プチッ!
「んだと!したてになりゃいいきになりやがって!!」
  
おもいっきりうわてになっているのは気のせいだろうか。
  
「気のせいだ・・・とにかく覚悟は出来てんだろうな!」
「ふん!あんたみたいなセンスの無い奴には負けないわよ!」
「このアマ!ギッタギタにしてやる!!」
「できるもんならやってみなさい!さあ行くのよ素子ちゃん、正義があなたを待っている!!」
「・・・・・あの・・・なる先輩?」
「どうしたの素子ちゃん。」
「いや、なんでもないです。」
  
素子は疲れた顔をしながら止水を抜いた。
  
「いくぞー!」
  
そう言うと男は素子に突っ込もうと身構え足を踏み出そうとした瞬間、どこからか女の人の声がした。
  
「やめておけ、おまえがかなう相手じゃない。」
  
するとさっきから集まっていた野次馬の中から一人の女性が出てきた。
  
「なんだおまえは!」
「答える必要は無い・・・・・おまえ服のセンス無いな。」
  
男は体をプルプル震わせてぶちきれ寸前だった。
  
「いっいまなんていった!?」
「センスが無いといった。」
  
ぷちぷちぷっちん!
「このアマー!しねーー!!」
  
ついにきれた男が突っ込んできた、しかし軽くかわされ男は前のめりにころんでしまった。
  
「・・・・・おまえ・・・よわいぞ。」
「でっけえおせわだ!!!」
  
周りから笑の嵐が巻き起こる。
  
「くっくそ、おぼえてろよ!!」
  
男は泣きながらお約束のセリフを吐いて走っていってしまった。
哀れな奴・・・・・
成瀬川達はその女性に声をかけた。
  
「あの、ありがとうございました。」
「いやべつに感謝されるような事なんかしていないぞ、ただバカがこけただけだ。」
  
そう言うとハンター本部の中に入っていった。
  
「あの人もハンターなんやろか。」
「さあね、中に入ればわかるんじゃない?」
「そうやな、ほないこか。」
  
成瀬川達はハンター本部の中へと入っていった。
  
  
  
「きれいなとこやなー。」
  
キツネは中に入るなりそう呟いた、
そう言うのも無理は無かった、なかは物凄く手の込んだ作りになっていたのだ。
石造りの壁は鏡の様につるつるに磨かれ、さまざまな模様が描かれていた、
さらにありとあらゆる神話などに語り継がれている神や女神などの石像がおかれ、
派手過ぎず地味過ぎない、そんな空間になっていた。
成瀬川達はそんな部屋に見とれていた、
そんな成瀬川達に笑みを浮かべながら一人の女の人が近寄ってきた。
  
「あなた達、ここは初めて?」
  
成瀬川は突然話しかけられて戸惑いながら答えた。
  
「はいそうですけど・・・・・」
  
その女性はかなりの美人で背は素子より少し小さいぐらい、髪は肩より少し長めの黒髪を後ろで縛っていて、
『スポーツならなんでもござれ』といった体型の人だった。
  
「ああ、ごめん自己紹介がまだだったわね私の名前は『神崎芽衣』(しんざきめい)っていうの。」
「あたしは『成瀬川なる』それと右から『紺野みつね』『青山素子』『前原しのぶ』『カオラ・スゥ』よ、よろしく。」
「よろしく、ところでここで何をしていたの?」
「あたし達ハンターになりに来たんだけど何をすればいいのかわかんなくて。」
「それなら私が案内してあげるわ、ついてきて。」
  
芽衣はそう言うと受付へと向かった。
  
「ここに名前を書いたらそこにあるドアを入ってつきあたりを右に行けばいいのよ。」
「ありがとうございます神崎さん。」
「芽衣でいいわ、それじゃあ縁があったらまた会いましょう。」
  
芽衣はそのままどっかへ行ってしまった。
  
「えー人やったなー。」
「そうね、あの人もハンターなのかな?」
  
キツネと成瀬川がそんな事を話しているとスゥがやっぱりお約束の事を言った。
  
「しのぶー、ハラへったー。」
「・・・カオラ、んもう、はいお弁当。」
「おお!サンキューしのぶー。」
  
カオラは物凄い速さで食べ出した。
  
「スゥちゃんが食べ終わったら行くわよ。」
  
とか言ってる間にスゥは食べ終わってしまった。
  
「ふいー、御馳走さん。」
「スゥも食べ終わった事だしそろそろいこか。」
  
成瀬川が受付に話しかけた。
  
「すいません。」
「はいはい、ハンター志望の方ですか?」
「はいそうですけど・・・・・」
「いやー、そうですか僕は『ハンター本部のさわやか受付【みっよ〜ん】』ですヨロシク!!」
「あのー、カメラ目線はよした方が・・・・・」
「さてと、ここに名前を書いてください。」
「無視ですか・・・」
「はいなんでしょう?」
「いえいいです。」
  
成瀬川達はリストに名前を書き始めた。
  
「名前書き終わりました。」
「そうですか、それでは僕についてきてください。」
  
そう言うと隣にあったドアへと向かった。
  
  
  
成瀬川達は長い廊下を緊張しながら歩いていた。
突然みっよ〜んが話しかけてきた。
  
「皆さんはハンターになるために来たんですよね?」
「それ以外にここに来るやつおらへんがな。」
「それならまたちょくちょく会うと思うんであらためて自己紹介しましょう。」
「ウチは紺野みつね、通称キツネや。」
「あたしは成瀬川なる。」
「青山素子だ、よろしく。」
「前原しのぶです、よろしくお願いします。」
「ウチはカオラ・スゥちゃんやよろしゅうな。」
「よろしく、さっきも言ったけど僕の名前は『受付界の貴公子【みっよ〜ん】』です夜・路・死・苦!!」
「だからカメラ目線はやめいっちゅうに・・・・」
「それに『さわやか受付』じゃなかったの。」
「はっはっはっはっは、そんな事気にしない気にしない!さあ着いた。」
  
いつのまにか目的地まで着いていたようだ。
  
「それじゃまた、はははははははははは!!。」
  
みっよ〜んは笑いながら窓から飛び出した。
  
「さて、みんな、いくわよ。」
  
みっよ〜んのボケをさらっと受け流しながら成瀬川達はなかへと入っていった。
  
「あ、あの、もうちょっとかまってほしいんだけど・・・・・・」
  
血まみれになりながらみっよ〜んはそう呟いた。
  
  
  
ドアをあけるとそこには一人の女性がいた、もうわかってると思うがハンター本部の前で男をすっ転ばした女性である、
またまた分かってると思うがこの女性は『はるか』だったりする。
  
「なんだ、おまえらたしか本部の前にいた奴らじゃないか、ハンター志望だったのか?」
「おお!あん時の!あん時は世話になったなー、助かったで。」
「ちょっとキツネ!失礼でしょ、あの時はありがとうございました。」
「いや、そんな硬くならんでもいいぞ、自己紹介がまだだったな私は『浦島はるか』だ、そっちの紹介はいいぞ、
受付でおまえらを見かけたからな。」
  
そう言いながらはるかはお気に入りのマル○ロに火をつけた。
  
「さあ、それじゃあ始めるか、まずは素子、おまえからだ。」
「はい!お願いします。」
「いい返事だ、いくぞ。」
  
はるかはニヤッと笑うと懐から何かを取り出した。
  
  
  
                                    T o   B e   C o n t i n u d e
  
  
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次回予告!!
  
「浦島、もうおまえにも出来るはずだ!斬岩剣を打ってみろ!!」
「うん!わかったよ、・・・・・・奥義斬岩剣!!!」
ズドォォォォォォォォォォン
「で・・・で・・・出来たーーーーーーー!!出来たよ素子ちゃん!!」
「うむ、良くがんばったな。」
「いやぁ、素子ちゃんのおかげだよ。」
「これなら空も飛べるかもしれないな。」
「へ?素子ちゃん?何いってるの?」
「さあ行くぞ浦島。」
「ちょ、ちょっと待ってよ、素子ちゃん!?」
  
数分後、崖の上で落ちていく景太郎の悲鳴を聞いて我に返る素子がいた。
  
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※必ずしも予告で書いてあることが出るとは限りません(笑)
 
ではではー。
  
  
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