前回のあらすじ。
――むかしむかしから中国奥地に伝わる伝説じゃ――
太「
巻き戻し過ぎでガンス」………。
花「おじゃましま〜す」
太「待て待て待て!待た待ち待つ待て待と!」
ル「活用形!?しかも間違えてるし!」
だって中2だし。
ともあれ、こちらの制止を振り切って侵入してくるこの厨房(お前も厨房だが)
那『
てか勝手に切るんじゃねぇぞゴルァ!!!相手の了承無しに切るのはマナー違反だって家庭科で習わんかったんかぃ!?』太「ふげぇっ!?那奈姉!?切った筈とかいうツッコミの前に受話器から顔出てる出てる!!」
那『フフフっ、こんな芸当、私の秘技を使えば楽勝よっ♪』
太「奇面組じゃねぇか」
花「ああっ!? アナタは――アナタはもしや…」
那『…んー?』
見ると、那奈の姿に花織は感涙の眼差しを向けている。
太「…あれ?那奈姉――知り合い?」
那『いや…知らんが』
花「那奈先輩!!――
麗しの白虎、花織ブルー!!」那『っ!(条件反射)――
灼熱の獅子、那奈イエロー!!』太「……。」
…顔だけで見えないが、多分目の前の花織と同じく電話の向こうではポーズ取ってんだろうなぁ。
花&那『「
生命ある処に、正義の雄叫びあり!」』(←ダブルポージング)ル「うー…もう時代はハリケンジャーだぞーってツッコミは野暮なのかしら…」
シャ「それではっ!キリュウ、ルーアン姉、こちらも対抗しましょう! ハリケンで!」
キ「マジっ!?」
シャ「嫌ならキリュウだけ『ご奉仕するニャン♪』でもいいんだけど」
キ「ああっそれは勘弁してくれ(汗)」
シャ「それじゃ――」
と、何やら円陣を組む精霊三姉妹――…ぽそぽそと「それじゃ、キリュウは大地だし陸忍ね」「となると、私は赤だし空忍?」「じゃぁ、私は水忍で行きますね」と声が聞こえると、ばばっと、三人は配置についた。
――すると、なぜか舞台効果で室内が薄暗くなる。
太「……。」
案の定、桜吹雪の下で三人が傘回してるし。
ル「
風が鳴き、空が怒る――空忍、ルーアンレッド!」シャ「
水が舞い、波が踊る――水忍、シャオブルー!」キ「
大地が震え、花が歌う…――お、陸忍、キリュウイエロー!」
太「やぁ、色取りが眩しい…」
何か、キリュウのは本当に万難地天のキメ台詞っぽく聞こえるのは気のせいか?
ル&シャ「「
人も知らず、世も知らず…影となりて悪を討つっ!」」
太「――…と、あいつら(精霊三姉妹)がポーズ取ってる間に、俺と愛原はリビングに場所を移したワケだ」
ちなみに、電話は再び切ったぞ。でもってさっきみたいな事の無いよう電話線は外してるぞ。更に念の為携帯の電源もOFFだ。
花「それにしても、七梨って苗字でもしかして――って思いましたけど、那奈先輩の弟さんだったんですね、七梨先輩」
太「さっきから気になってたが――なんで那奈姉の事知ってるんよ。面識無いハズだろ?」
すると彼女はまたもや拳を握り熱血なポーズを取る。
花「よくぞ聞いてくれました! 私にとって、那奈先輩とは――…そう! 例えて言うならこのネギマの様!」
太「悪ィ、トサカのてっぺんから足のつま先までさっぱりわからん」
何でネギマがここに。
花「だからですね、この肉が那奈先輩で、ネギが私です」
太「…ますます判らないのですが…」
花「先輩枕買ったじゃん!」
太「
ネタがぐっちゃぐちゃだぞヲィ」
花「――…改めて(マジメに)説明しますが、那奈先輩…――七梨先輩がどう思ってるかは知ったこっちゃないですが」
太「……。」
花「あの方の世の秩序を守ろうとする正義超人な姿は、私にとって憧れであり、ヒーローであり、夢であり、目指すべき目的だったのです!」
太「ああもう偉いんだか間違ってるんだか(汗)」
花「そういうワケですから――」
言うと、彼女はすっと背中に手を回した。
花「――先輩って、こーいう事あんまり知らなさそうだから…」
太(…この時点で、既にえっちぃ事を期待出来無い自分が情けない)
彼女はそのまま“何か”を掴み取ると、にゅっと引き出し、テーブルに置いた。
太「
ちょっと待て宇宙刑事大百科って何だコレ」しかもご丁寧に名前の文字も宇宙刑事カラーかよ。分厚い文庫サイズのその本――結構年代物だな――を手に取り、中をぱらぱらと流し見た。おお、懐かしい、赤射蒸着のプロセスがしっかり記載されとる。
花「まだまだありますよ、ほら」
太「
『全員集合!仮面ライダー大百科!1号からBLACKまで!』」BLACKまで、と言うのが時代を感じさせる。て言うかさぁ…
太「
お前いくつだよ」花「はいっ、今年で13になります!」
太「嘘だろ、ぜってぇ。レイ(作者)も以前、SSのネタを巡って年齢詐称疑惑があったからな…お前も実は●十歳ってオチは」
花「無いですよーっ」
と、更にウルトラマン系(しかもグレートまでだし)のまで取り出していた。他にも戦隊モノ(これまたジェットマンまでか)とかも出てるし。
花「さ、今日は朝まで特撮ヒーローの素晴らしさをレクチャーして差し上げます!」
太「嫌だぁ!そんなの那奈姉でもう間に合ってるですぅ!!」
昔、那奈がまだ七梨家に住んでいた頃――太助は、同じように姉からレクチャーを受けさせられていた。
太「しかも朝までって泊まる気かよ!」
花「大丈夫です!
朝までこうやってレクチャーしてるのですから泊まるとは言いません!」太「
待て(汗)」屁理屈だ、完全に。
花「それじゃ、まずは今や煌く等身大特撮ヒーロー、仮面ライダーからハナシを始めましょうか」
太「だから待てって(滝汗)」
花「今のライダーとはかけ離れた龍騎のを合わせるとゆうに30人(細かく同キャラ(RXとロボ、バイオとか)も分けるなら)を超える彼らですが――」
太「ああっしかもホワイトボードまで用意してるし」
ついでにボードに描いた1号ライダー滅茶苦茶下手だし。
………そんな風に講義が始まったリビングを、忍風戦隊もとい精霊三姉妹は廊下からこっそり覗いていた。
シャ「勉強になりますねー」
キ「私にはイマイチ興味湧かないが…世代じゃ無いから」(←でもこいつら全員●千歳)
ル「てか私ら、触れてないけど思いっきり無視られてたのよね…」
花『つまり、本郷さんの頭脳はデスラー総統を遥かに凌ぐIQ800なのです!』
スティックでパンパンとボードを叩く手も力強く、熱弁を振るう彼女。その姿はからも、普通の女子中生じゃないってのをかもし出してる。
…って、そういう問題じゃなくてだな。
キ「しかし、良いのか? なんか塩ビのフィギュアなんか出してるし…」
すると、「あ、先生。ちょっとトイレ行って来て良いですかー?」と太助が手を挙げる。「仕方ないですねー」と言いながらも花織先生が了承すると、太助は慌ててリビングを出てきた。
太「はぁ…参った」
…別に泊まるのは良いんだが(!)、あの講義を延々受けさせられるのは勘弁…。
太「あれと同じような講義をガキの頃から受けてたからな…もうタイガーホースだぜよ」
キ(タイガー…虎、ホース…馬……下手くそだな、主殿…)
太「そういうワケで、あの特撮博士を帰す、なんかいい案ないか?」
ル「はーいはーい」
太「お?ルーアンあるのか?」
<はっちゃけ花織を突っ返せ大戦〜ルーアンの場合〜>
花「あ、七梨先輩戻ってきましたね――…あれ?ルーアン先生」
ル「愛原さん、ご両親にはここに泊まる事は言ってあるのかしらん?」
そう。これがルーアンの考えた
『教師の立場を利用しろ!これが本当の先生(先制)攻撃作戦!』である――…彼女自身が名付けた作戦名だがセンスのカケラも無い。花「う……言ってません」
ル「それじゃぁ泊まるのはよくないわよねぇ。――…今日は遅いし、もう帰りなさ」
花「
大丈夫ですっ!!」ル「そう、判れば宜しい…――って、え!?」
作戦成功は目に見えた――途端に不意打ちを食らい思わずつんのめるルーアンに、花織は胸を張って言い切った。
花「
正義ですから!!!」………。
……。
…。
ル「ごめ…なんか反論出来んかった」
太「くっ、ネタとしても面白くなかったし――山田君、ざぶとん3枚持ってっちゃいなさい!」
太「はい、それじゃ次はキリュウだな」
キ「っ、私が2番手か!?…よ、よし…」
<はっちゃけ花織を突っ返せ大戦〜キリュウの場合〜>
キ「花織…殿」
花「あれ? アナタは確か…七梨先輩と同じクラスの――紀柳先輩」
キ(っ…!先輩…先輩か…悪くない…)(←ささやかな感動)
花「?どーしました? て言うかなんでここに」
キ「いやそれは置いといてだな。――実は、ある…太助殿が言うにはだな」
花「はい」
キ「花織殿に帰っても
むぐっ!?」太「
はいはいはいはい!! 愛原、ちょっと待っててな!!少し取り込んでるんで!」(とキリュウを引っ張り即座に退席)
………。
太「
阿呆か貴様はぁぁぁっ!!!」キ「ひぅぅっ…
『正直者には棚から牡丹餅!本音をぶっちゃけはっちゃけよう作戦!』…上手く行くと思ったんだけどなぁ…」太「問題外だダーホ!!もうお前ざぶとん全部没収!!」
キ「ああっそんなっ!?Σ(T□T」
シャ「それじゃ、アンカーは私ですね!」
太「頼むよ…何か3段落ちでロクでもねぇ予感するけどな」
シャ「にゃははーっ、ご期待通りにやってみせましょう!!」
太「期待してねぇっ!ンな期待っ!」
<はっちゃけ花織を突っ返せ大戦〜シャオの場合〜>
花「――あ、今度はシャオ先輩ですか…あれ、どうしました?」
シャ「あははーっ」
花「え…?! あの…なんですか、その構えは」
シャ「この技を使うのも久し振りです…」
花「え…久し振りって――」
シャ「過去に使ったのは大体七百飛んで28年前」
花「飛んでないんですけど…どこも飛ぶ隙間無いですし」
シャ「(無視)――あの時は、中々後退してくれなかった元軍艦隊に対し30%の出力で行いましたが…」
花「え…元軍って――あ、文永の役ですよね。今日の社会で習いました」
シャ「そう、偉いわね…――」
と言いかけ、シャオは目を閉じて呪文を唱え始めた。
花「そ…っ!?その呪文は――あのっ最強の――っ!?」
シャ「――もう…遅い!」
太「やはり暴力で訴えるかっ!てか完全版っ!!?チッ…!神奈、オーバーソウルだっ!」
神(うむ、承知した!)
←もはや太助の持ち霊状態ウイング化した太助は、もう大陸1つ消滅しそうなエネルギーをチャージするシャオと驚愕する花織の間に割って入り、
太W「甘いッ!
イレイサー・ヘッドォ!!」咄嗟にアレを具現化し、太助は膨張する直前の破壊の混沌に叩き付け――
――………。
街一つ、吹き飛ぶ程の爆発が、昇る六月の夜空の街かな
↑威力消滅し切れなかった分。
太(ったくよぉ……あそこで俺が時間止めて退避させてなかったら今頃鶴ヶ丘の街どころか内地全てが消滅してたところだったぜ…)
まぁそうなったとしても次回には復活してるのがこの物語の良い所なのだが。
とりあえず、吹っ飛んだ我が家から愛原を掘り起こし、こうして彼女の家に送る為、夜道を歩いている。
花「先輩、さっきは有難うございました…」
太「ああ…まぁ、あれは俺もかなり危険やったし」
花「――…ねぇ、先輩……シャオリン先輩の事…好きなんですか?」
太「
どうしてそーなる!?」花「いえ、なんとなくそーかなって。乙女の勘で」
甚だしくぶっとんだ勘である。
太「冗談でもそんなワケないと思うのが常識人達の勘なんだけどなぁ…」
花「…ついでに、キリュウさんの事も」
太「え――
のぐぁっ!?(←よそ見して電柱にぶつかった)……なっ、今度はキリュウか!?そんな訳…あるか…っ」花「今回はあからさまに動揺してますねぇ」
太「やかまひぃ!」
花「…そう、ですか…」
…ルーアンは?
花「――…でも、先輩…――シャオ先輩もキリュウ先輩も、
うどん人じゃないですよね」太「………――…は?」
花「だから、うどん人じゃないですよねって言ってるんです」
太「いやそれは理解出来たんだが…何故にうどん人?」
花「あの一つ段階を飛ばしたような非常識な性格…間違いなく我々そば人が憎むべき存在、うどん人です」
太「……。」
ごめん。ちょっと普通と違うけど、マトモっぽい可愛い娘だと思ってたけど。
太(やっぱこの娘よく判んない)
やはり壊月天に普通はいらないってか?(泣)
ハルカの勝手コメント
いってみますか? 小説版も(笑 ←人事につきノリ良し
四十年の歴史を誇る(らしい)往年の戦隊モノですが、あれってば毎年新たな戦隊が登場してますよね。
そんなんだからか、ハルカはハリケンジャーを知りませんでした(^^;
ハルカのなかではガオレンジャーで止まってましたね、どうでもいいことですが。
さて、レイさん作「まもって守護月天〜22Century〜」の23話目をお届けしたわけですが、
よくよく考える…までもなく、23話も頂くというのは生半可な感動ではないです。
文章でいくら書いても詮無いことでありますが、どうもありがとうございました。これからもよろしくおねがいしますm(_ _)m
それでは次回も楽しみにしております。読者の皆さん、是非レイさんに感想メールをお送りください。